八条学園怪異譚
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第二十四話 古墳その九
「安心出来るわね」
「わかってないと怖いでしょ」
「相当ね。だから送り犬って怖がられたのね」
「ニホンオオカミもね」
その夜の山道で人の後ろについてきた狼もだというのだ。
「結構怖がられてたよ」
「やっぱりそうよね」
「けれど僕も狼さん達もどういった存在かわかってもらえたら」
そうなればというのだ。
「怖がる人も減ったから」
「今の私達みたいに」
「そうだよ」
送り犬は声を笑わせて話す。
「僕達にとっては少し残念だけれどね」
「妖怪って本当に人を驚かせるの好きよね」
「だから生きがいなんだって」
その人を驚かせる行為そのものがだというのだ。、
「僕達にとってはね」
「人を驚かせないと死ぬとかじゃなくてもよね」
「それが最高に嬉しいんだよ」
愛実に話す。
「お酒やお菓子を楽しむのと同じだけね」
「趣味ね」
「そうそう、趣味なんだよ」
「やれやれね。とにかくね」
「うん、古墳だね」
送り犬は愛実が話をい戻してきたことに応えた。
「今からそこに行くんだね」
「ええ、じゃあ案内お願いね」
「うん、後皆もいるから」
「あの動物霊さん達ね」
「中に入ればいるよ」
彼等も前に来た時と同じくだというのだ。
「ちゃんとね」
「夜の動物園っていっても賑やかね」
聖花は送り犬の話を聞いて腕を組み呟いた、その間も動物園の中の方を見ている。
「ここの場合は」
「だからいい動物園なんだよ」
猫又が聖花の今の言葉に答える。
「ここはさ」
「他の動物園も知ってるのね」
「長生きはするものだよ」
何百年生きてきた妖怪といての言葉だ、それだけに説得力がある。
「日本全国の動物園を回ってきてるよ」
「それで知ってるのね」
「そうなんだ、上野も天王寺も行ったよ」
「天王寺は近いわね」
「電車ですぐだからね」
本当にすぐである、八条鉄道なら彼等が今いる八条町から直通で行ける。
「あそこは特に行ってるよ」
「天王寺動物園ねえ」
「大阪はいい町だよ」
猫又は笑顔で語る。猫にも表情がある。
「食べ物も美味しいしさ」
「猫又さんって何が好きなの?食べ物は」
「お寿司だよ」
それが好物だというのだ。
「それも上方風のさ」
「江戸前じゃないのね」
「おいら関西猫だからさ」
生まれの話にもなる。
「大坂っていった頃に生まれたんだよ」
「っていうと江戸時代?」
「安土桃山時代だよ」
もう一つ前の時代だった。
「丁度石山御坊が燃えた頃に生まれてさ」
「織田信長の頃じゃない」
「そうだよ、その時に生まれてさ」
「で、今に至るのね」
「そうなんだ。大坂城が戦で焼けたのも見て」
大阪の陣である。こjの戦で豊臣家が滅んでいる。
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