とある六位の火竜<サラマンダー>
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システムスキャン
「なんでシステムスキャンだからって30分前登校なんだよ!」
愚痴りながら顔を洗い寝癖を直し制服を着る。この時点で7時50分。遅刻は確定だ。
「朝ご飯食べてる時間もないな・・・。でもどうせ遅刻なら食べても・・・」
一瞬そんな考えが浮かぶがいやいやと思い直す。
「どうせ最初はシステムスキャンの説明と注意なんだ。その間に着けば・・よし!」
気合を入れて部屋からでてたてかけらているスケボーを手にとる。階段を全力で駆け下り、道路に出る。スケボーに乗り加速する。スケボーの後ろからは炎がでていてブースターの役割を果たしていた。
「目標5分以内!」
蓮は自らの発火能力を存分に発揮して学校までの道を全力で進んでいった。
「じゃあ説明と注意は終わり。準備があるからもう少し待ってるように。」
「やっと終わったー・・・」
システムスキャンの説明を終えて担任の大悟先生が教室から出て行く。その瞬間、佐天涙子<さてんるいこ>は机に突っ伏した。長い綺麗な黒髪に白梅の花飾りをつけている。
「なんでシステムスキャンだからって30分も早く来なきゃいけないのよ~。説明なんかされなくてもわかってるのに。もうちょっとゆっくりでもいいじゃん。」
「仕方ないですよ。先生方も私たちに危険がないようにしてくれてるんですから。」
愚痴る佐天をなだめるのは初春飾利<ういはるかざり>。頭につけた大量の花がついた飾りが特徴で学園都市の学生による治安維持機関、風紀委員<ジャッジメント>に所属している。
「それは分かってるけどさー・・・・」
不満げに言って佐天は窓から外を見る。グラウンドにはシステムスキャンの準備に追われる先生たちの姿。
「どうせあたしに能力なんて・・・・」
「どうしたんですか?」
頬杖をつき言った言葉は初春にはとどいていなかった。一瞬の暗い表情と声をすぐに切り替え、佐天は笑顔になる。
「なんでもないよ。」
「さあ、こっからどうしようか・・・」
学校に到着した蓮は校門の影に隠れて悩んでいた。その視線の先の昇降口には屈強な男性教師3人。
「生活指導の相原に体育教師2人。なんでこんなに厳重なんだよ・・・」
おそらく裏口や他の出入り口も固められているだろう。こんなことしてる暇があったらシステムスキャンの準備してろよと思わないこともない。
「しかたない。ちょっと無茶するか。」
ため息をついて蓮は佐天に電話をかけた。
「それにしても今日は神谷いないね。」
「そういえば・・・どうしたんでしょうね?」
佐天は右隣の席を見て考える。
「風邪なんかひく訳ないし・・・寝坊かな?」
「たぶんそうですね。でも、今週って生活指導強化週間ですよ?」
「遅刻で反省文3枚だっけ?かわいそうに・・・」
そんなことを話しているとふいに佐天の携帯に着信。画面の表示は神谷蓮。
「お、噂をすれば・・・神谷?寝坊?」
『決め付けんなよ、事実だけど。』
「事実ならいいでしょ。で、どうしたの?」
『ちょっと頼みがあるんだけど。校門側の教室の窓開けてくんない?』
「窓?いいけど・・・」
聞き耳をたてていた初春が窓を開く。3階にある教室からは身を隠す蓮の姿が見えている。
「なにやってんの?」
『先生たちから隠れてる。教室に先生いる?』
「いないけど・・・」
『よしっ。じゃ、窓から離れててね。』
そして電話が切れる。蓮がなにをするか大体予想できてしまった佐天と初春は顔を見合わせる。そして同時にため息をついた。
佐天との電話の後、学園都市製で小さく折りたためるスケボーを鞄にしまい立ち上がる。
「よし、いきますか!」
蓮は開いている教室の窓の下に向かって走り出す。途中昇降口の先生に見つかったらしく、止まれ的な声が聞こえてきたが無視。そして窓の下に到着。思いっきりジャンプ。それだけじゃ3階に届くわけない。だから蓮は足の裏から炎を噴射。その勢いで3階の窓まで到達する。
「おい!!待て!!!」
「3階の窓から入るか、ふつー・・・・」
下から聞こえてくる先生たちの声を聞きながら教室に窓から入る。
「ふう~疲れた・・・あれ?」
蓮は少しの達成感を味わっていて気づく。異様に静まり返った教室。自分に集中する視線。
「あ~え~っと・・・おはよう・・・」
とりあえず挨拶してみるが誰も反応しない。どうしようと蓮が本格的に考え始めたとき
「「「すげええええ!!!!」」」
大音量の歓声が響く。
「なに?どうやって入ってきたの!?」
「すごいすごい!!」
「相原の驚いた顔面白かった~!!」
「え?あ、ちょ・・・・」
大勢のクラスメイトに囲まれて蓮は困ったような視線を佐天と初春に向けるが、2人は笑いながらこちらを見ているだけ。さっきとは違った意味で蓮が困っていると校内放送が流れる。
『システムスキャンの準備が終わりました。全生徒は測定場所に移動してください。』
放送のおかげでクラスメイトから解放された蓮は
「なんか疲れた・・・」
そう言って大きなため息をついて自らの測定場所に向かった。
蓮の測定場所はプール。体育着に着替えた蓮は水の入っていないプールの中心に立つ。
「神谷~、準備いいか~?」
「いつでもいいですよ。」
担当の大悟先生の確認に頷きながら返す。先生は満足そうに頷くと合図する。
「では始め!」
先生の合図ともに蓮の頭上から大量の水が降り注ぐ。
(前より水多いし・・・・)
そんなことを考えながら蓮は演算を開始。能力を発現し蓮の体を炎がつつみこむ。炎は大きな竜の形になり頭上の水を瞬く間に蒸発させていく。その姿はまるで蓮に火竜が乗り移ったかのようだった。
「すごいな・・・。おっともういいぞ、神谷」
「はぁ~、終わった終わった・・・ってうわっ!!!!」
炎を消した蓮の頭上に大量の水が降り注ぐ。
「ゲホゲホ・・ゴホッ・・・殺す気ですかっっっ!?」
むせながら担当の大悟先生に全力で抗議する蓮。すっかりずぶ濡れになってしまっている。
「だって先に水を止めると周りが大変なことになるじゃないか。」
「そうですけど・・・はぁ・・・」
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総合評価・・レベル5
測定器が機械的な声で測定結果を読み上げるなか、学園都市7人のレベル5の第6位。最強の発火能力者<パイロキネシスト>。『火竜』<サラマンダー>の二つ名をもつ『炎使い』<フレイムマスター>の神谷蓮は全身びしょびしょでプールの真ん中でうなだれていた。
後書き
うまく書けないなぁ・・・・
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