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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第三章 聖杯大戦編
  第六十四話    『セイバー対決』

 
前書き
タイトルがあれですが中身はあんまり戦いはしません。
技の応酬はしますがほとんどシホとの会話です。 

 






ある場所で、フィアットは無表情で召喚の呪文を唱えていた。

「…召喚に従い参上した。あなたが僕のマスターですか?」
「…………」

召喚されたサーヴァントが聞くが、フィアットは無言。

「…? マスター…?」

サーヴァントが動こうとするがそこにある男性がフィアットの首に刃物を突きつけて、

「動くな。お前のマスターは今私の手の中にある」
「なんだとッ!?」
「サーヴァント。お前がマスターを助けたいと少しでも思うのなら私の言う事を聞け」
「くっ…! そんな事が…!」
「さぁ、どうした…返答は?」

サーヴァントは悔しみの顔をしながら、

「……………わかった、従おう。だからマスターには手を出さないでくれ」
「それでいいんだ…」

男はその顔に狂気の笑みを浮かべて言う事を聞くフィアットの頭を撫でた。

「(…兄、さん……お姉…様……、助、けて…)」

わずかばかりの意識しか残っていなく体が自由に動かすことのできないフィアットはただそう願うしかできなかった。


◆◇―――――――――◇◆


Side シホ・E・S・高町


「さて、これでサーヴァントは全員召喚されたことになるの。
サーヴァント諸君…もうわかっていると思うがこの戦いでは皆の願いは叶えられないだろう。
聖杯はすでに汚染されているからな」
「ああ。その事なら俺とライダーは先刻承知だ」
「ええ。災いの種を破壊するとしましょう」

ランサーとライダーは私達にしっかりと協力してくれるようだ。

「私は特にないかなー。でも志貴の仇をとるっていうならあの金ピカを倒すって望みはあるわね」
「呵呵呵! 血沸き肉踊る戦いができれば儂はそれで本望よ!」

ファニーヴァンプとアサシンも特に反骨心はないようである。
そして、

「陛下…協力してくださいますか?」
「ええ。シルビア…いえ、今はシホでしたね。そんなものは今の平和な世界に撒き散らしてはならないのです。だから協力は惜しみません」

オリヴィエ陛下も協力してくれるようだ。
よかった…。

「奏者の願いならば余はなんでもこなしてみせよう!」
「はいです! コテンパンに聖杯をぶち壊しましょう!」
「頼もしい限りだな、キャスター」
「そうね。それと皆には魔導師の説明もしておいた方がいいんじゃないかしら?」

なのは、フェイト、はやてはそれに「そうだね」と頷いた。

「魔導師…? この世界では魔術師じゃねぇのか?」
「うん。ランサー。一応魔術回路も世界の意思で宿ったけど本来私達はリンカーコアを使って魔法を使うんだ」

フェイトの説明でサーヴァント達はこの世界出身のオリヴィエ陛下以外は驚いている。
その証拠に私達はそれぞれセットアップして見せた。

「おー! 奏者よ。なかなか似合っておるぞ」
「はは…ありがとうセイバー」
「これは魔法少女って奴…? 私もしたいなー…」
「いや、ファニーヴァンプ。魔導師やからね、あしからずな」
「マスター…子供にしてその際どい格好はどうなんだ…?」
「ら、ランサー! 気にしている事を言わないで!」
「それに士郎はただアーチャーの野郎の格好に変わっただけだな」
「放っておけ、ランサー…」
「でも似合ってますよ。ご主人様(マスター)
「時代は変わるものですね。非殺傷設定とは、便利な世の中になりましたね」
「そうなんです! ファイターさん!」
「…スズカはならないのですか?」
「私とアリサちゃんは魔術回路だけなんだよ? ライダー」
「ふむ、なんとも面白おかしい光景ではあるな」
「あたしも最初は驚きっぱなしだったわね」

サーヴァント勢とマスター勢とで色々交友が結べてきたわね。
それで少し離れた士郎お父さん達はというと、

「もう、色々な事が立て続けで私はお腹がいっぱいだわ」
「お母さんも…? 実は私もだよ」
「なのは達が遠くなっていくな」
「まだ父離れはしないでほしいがな…」

なにやらもう達観してきたみたいである。

「それではいい頃合ですし私達はもし街中で戦闘が起きた時の対処のために結界を張って人々からサーヴァント同士の戦いを遠ざける作業をしますね」
「そうですね、母さん。僕達ではサーヴァントには敵いませんからね。悔しいですが…。魔導師達には街が壊れたのを修復してもらう作業に移ってもらいましょう」

リンディさん達がそう話を切り出す。
確かにそれだと助かる。
私達のサーヴァントは話をしっかりと聞いてくれるからいいけど、敵Sideのサーヴァントやマスターはなにをしでかしか分かったものではないから。
それから色々と話は決まっていき、今日はもう私達は召喚の件もあり魔力が大幅に消費しているので一度帰り休養する事になった。


◆◇―――――――――◇◆


翌日から私とWセイバーで学校が終わった後、夜に街を回ることになった。
士郎は相方がキャスターなので拠点にしている月村邸で待機している。
別れる際に、士郎はキャスターのパラメーターを確認してかなり接近戦な能力でしかも「陣地作成がCとはこれいかに?」とキャスターを問いただしていた。
でも作れないことはないので拠点である月村邸を今現在キャスターは鋭意改造中である。
なんせ大師父に教えてもらったのだが月村邸の土地は龍脈が流れていて魔術師の拠点とするなら最適な場所だと教えてもらったから。
そして他のみんなもいざという時に備えて待機している。
ランサーは以前言峰に偵察任務をやらされた経緯があり独自で調べている。

それと二人もセイバーじゃ混乱するので私はアルトリアとネロと真名で呼ぶことにした。
前の聖杯戦争ではアルトリアは家で待機していたからいち早く駆けつける事ができなかった。
けど今回はアルトリアはアンリミテッド・エアの中で待機、ネロも霊体化してすぐに出れるようになっている。

《して奏者よ。サーヴァントとマスターに宛はあるのか?》
《マスターは分からないけどセイバーは宛があるわ。なんせ聖杯の泥に汚染されたアルトリアその人なんだから》
《そうであったな》
《シホ。もし私が来たらおそらく聖杯の泥で受肉しているのでネロだけでは敵わないでしょう。その時には私も出ます》
《うん。ユニゾンして擬似セイバーとして戦おう》
《二人のセイバーか。余は楽しくなってきたぞ》

ネロとアルトリアと念話を交わしながら町の中を歩いていく。
そして時間は九時過ぎになり通る人がまばらになってきたところで、急に強烈な視線を感じた。
視線の先には一人の少年がいた。
歳は15歳くらいだろうか。銀の髪に赤い瞳。
その少年の姿を見てすぐにある事に思い至った。

(彼は、もしかしてホムンクルス…?)

少年はクスリと笑い、

「…こんにちは。小さいお嬢さん。
僕の名前は『ノア・ホライゾン』。君の思っているとおりホムンクルスだよ」
「なっ…!」

まさかそんなに簡単に答えてくれるとは思っていなかった。

「そして僕のサーヴァントは…」

少年…ノアの言葉とともに空の上から強烈な殺気が降りてくるのを感じた。
それで私は身構える。
そしておりてきた…いや、この表現はおかしい。
まるで隕石か流星のように地面へと降り注いでくるかのようにそれは降ってきた。
アスファルトを砕き、それは地面に着地し、その黒い騎士甲冑の人物は髪の色は灰色に目は金色、肌の色も血が通っていないかのように白く変わり果てているが見間違えるはずがない。

「セイバーのサーヴァントだよ」
「あれは…やっぱりアルトリアね」
《奏者よ! 出るぞ!!》
「うん! お願いネロ!」

そしてすぐにリンディさんに連絡をいれる。

「リンディさん! 私の周囲に結界を展開お願いします!」
『わかりました!』

それで黒いセイバーの登場に騒めきだしている一般市民の人達は姿を次々と消していき誰もいない空間へと変わる。

「お願い、ネロ!」
「任された! 奏者よ!」

ネロが霊体化を解除して私の前に立つ。
その手にはネロの愛剣である隕鉄の(ふいご)…『原初の火(アエストゥス・エストゥス)』を出現して構える。

「…そのような歪な剣で私と対峙するか?」

黒いセイバーはその手に黒く染まった剣を出す。
すぐに解析をかけてわかった。
あれは属性が反転しているがれっきとしたエクスカリバーだということに!

「…ふん。これは余の至高の剣である。貴様にとやかく言われたくはないぞ、セイバー!」
「弱者がよく吠える…。いいだろう、貴様に我が剣を食らわせてやる。せいぜい足掻くのだな」

本当のアルトリアがこんな人を見下した発言をするわけがない。
やっぱり性格すらも聖杯の泥に汚染されてしまったんだ!

「本物のセイバーの力をとくと見よ!」
「本物だと…? よくぞ吠えた。ならば、どちらが真のセイバーなのかこの戦いで決めようではないか!」

そして黒いセイバーが剣を構えてこちらへと一歩踏み出してきた。
それだけで重圧が私達を襲いかかってくる。

「「くっ…!?」」

それで私とネロは思わず目を覆う。

「ネロ、気をつけて。一筋縄では行かない相手だわ!」
「分かっている、奏者。最初から死力を尽くして挑んでいくとする!」

黒いセイバーが剣を掲げてまるで弓から放たれようとしている矢のように前に屈んで、そして地面を踏み抜き一瞬でネロと肉薄した。

「ッ!? 早いな!」

幾度もの剣同士のぶつかり合い。それだけで衝撃波が発生し、やはりあちらのセイバーが強いのかネロが少しずつ押されてきている。

「ふっ…この程度も耐えられんか…? 話にならんぞ!」
「くっ!? 調子づきよってからに!
だが…奏者の前で無様にやられるわけには、いかないのだ!
ゆくぞ! この剣舞、そなたに! 喝采は剣戟の如く(グラディサヌス・プラウセルン)!!」

ネロの技が黒いセイバーの肩に決まり傷を刻む。
だが肩をやられたというのに黒いセイバーは笑みを浮かべ、

「面白い…私に噛み付いてくるとは中々のものだ。ならば…卑王鉄槌(ヴォーティガーン)!」

黒いセイバーが剣に黒い風を溜めてネロに向かって放ってきた。あれはもしかして『風王鉄槌(ストライク・エア)』の変質したもの!?
それによって起こった衝撃波は塊となってネロの腹を掠めていった。

「くっ…避けられなかったか…!」

なんとか致命傷は避けれたけどネロは傷を負ってしまっていた。

「ネロ! すぐに治療するわね!」

私はすぐにネロへと寄りイリヤ譲りの治癒魔術を展開する。
それによってネロの傷は塞がる。

「…すまない、奏者よ。だが、次はもう喰らわん!」
「へぇ…力の差が歴然だというのにまだ挑んでくるんだね?」
「当たり前よ! 私達は勝たなきゃいけないのよ! そしてあなたも止めるわ! ノア!」
「僕を止める…? それは無理な相談だね。だって、僕は “小聖杯”なんだから」
「なんですって…!? いや、確かにホムンクルスなんだからその可能性はあったわ。
でも、あなたはそれでいいの!? 言峰綺礼の操り人形のままで!」
「僕の師匠の事を知っているんだ? 君、何者…?」

ノアはコロコロと表情を変えて聞いてくる。

「何者でもいいでしょ! 私はあなたの気持ちを聞いているのよ!」
「僕はただ役割を果たすだけだよ」
「そんな…それじゃただの人形じゃない! ノア、あなたにも心があるなら自身の事も考えなさい。
そして言峰綺礼が起こそうとしている事を考えなさい!」
「師匠はただ生まれてくる命を祝福しているだけだよ…それのどこがいけないの?」
「その生まれてくるものがこの世界に災いを振りまくことになるのよ!?」
「うん。知ってる。でも、それが…?」
「なっ…!」

なにも感じていないの? ノアは…。
そうか。なにか変だと思ったら、

「そう…。わかったわ。あなたは心が欠落しているのね。あなたは…」
「それ以上のマスターへの暴言は許さんぞ。娘…」

そこで今まで私とノアの話で戦いを停止していたセイバーがノアの前に出て剣を私に向ける。

「セイバー…。あなたにも言いたい事がある。あなたは以前のマスターである士郎を守れなかったそうね」
「……………何が言いたい?」
「その士郎を殺した言峰綺礼とギルガメッシュを憎いとは思わないの? あなたはそこまで心が汚されてしまったの?」
「そんな事か。ふんッ…シロウは愚かだったのだ。素直に聖杯に心を売り渡していれば死なずにすんだものを…」
「間違っているのは貴様の方だ! セイバー!!」

そこで今の今まで待機していたアルトリアがアンリミテッド・エアから出てくる。
それを見て黒いセイバーは一瞬驚きの表情をするがそれだけ、ただ微笑を浮かべ、

「ほう…何かと思えば甘さを捨てきれない私か。なぜここにいるのか知らんが見ていて心の底から嫌悪感が湧いてくる…倒すか」
「シホ…私達も行きましょう…! ここであの間違った思いを抱いている私を正すのです!」
「わかったわ、アルトリア!」
『ユニゾン・イン!!』

そして私はアンリミテッド・エアを起動して一気にセイバーフォームへと姿を変え、その手にエクスカリバーを構える。

「ネロ! いきましょう!」
「うむ。ともに駆け抜けようぞ、奏者よ!」

そして私とネロが駆け出そうとしたその時だった。
目の前に一陣の風が巻き起こり、次には私のお腹に蹴りが決められていた。
それで吹き飛ばされる途中でネロに支えられながらなんとか態勢を立て直して見るとそこには長い赤い槍と短い黄色い槍を持った新たなサーヴァントが立っていた。

『まさか…ランサー!?』
「ゲホッ…。…アルトリア。あのランサーってもしかしてまさかディルムッド・オディナ!?」
『はい、そうです! ですがなぜ彼が…!』

新たな敵の登場に場は緊迫するのだった。


 
 

 
後書き
セイバー・オルタの性格はこんなものでいいでしょうかね?
オリキャラのノアも今後でどういったオリジナル設定か話に書いていきます。
そして第四次ランサーを最後に登場させました。やっぱりランサーと言ったらこの人でしょう。
しかも普通のランサーのわけがない。
今後ランサー対決、大いに盛り上げます。 
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