DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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三章 トルネコおばさん
3-08戦争はおやめ頂きたいです
姫が苦笑する。
「私などより、よほど素敵な方ですから。仕方のないことですわ。」
「そう……。そうね。お姫様を袖にするような、そんな男。忘れてしまいましょう。リック王子様は、本当に素敵なお方ですものね。」
「ええ。本当に。」
「想われるのが、女の幸せでございますのよ。私の夫もね、私は最初は、なんとも思っていなかったのですけれど」
そう言って、夫婦の馴れ初めから結婚に至るまで、現在の幸せな結婚生活など、語り出すトルネコ。
姫は時に驚き、時に笑いながら、興味深げに話を聞く。
さらにリック王子の人となり、届いた熱烈な恋文の数々に話は及び、語り終える頃には姫の顔はすっかり明るくなっていた。
「あらやだ、すっかり話し込んじゃったわ。王様をお待たせしてもいけないから、そろそろ失礼しますわね。」
「おかげさまですっかり心が軽くなりましたわ。ありがとうございます、おばさま。」
「いいんですのよ、そんな、水臭い。では、ごめんあそばせ。」
「また来てくださいね。」
謁見の間に戻り、とうに書き上がっていた手紙を受け取る。
「わしの手紙をボンモール王に!くれぐれも、よろしく頼んだぞよ!今は人同士が争っている場合では無いのだ。もしそなたの働きで、戦争が止められたなら、店を出すことも許そうぞ!」
戦争も止められてお許しも頂けるなんて、一石二鳥だわね、頑張らなくっちゃ。
と張り切ったトルネコは、奮発してキメラの翼でボンモールに戻る。
いざ戦争と勇み立つボンモール王に、やれやれ間に合ったようだわね、と手紙を差し出す。
「何?エンドール王から手紙とな?」
怪訝な顔をしながらも、手紙を受け取り読むボンモール王。
「ふむ、ふむ……。なんと、そうゆうことであったかっ!?いずれ我が息子リックがエンドール王の娘婿になるなら、リックが次のエンドール王じゃ!何も攻め込まずとも、エンドールは手に入るではないか!」
何が何でも戦争ってわけではないのね、おかしな王様じゃなくてよかったわ。
「御苦労であった。早速使いの者を出すので、そなたは下がって良いぞ。」
どうも気分屋らしい王の機嫌が変わらぬうちにと、さっさと下がり、城を出る。
「使いを出すと言っていたけれど。あたしからも報告にあがった方が、いいのかしらね。」
エンドールも見て回りたいし、一応行っておきましょう。
急ぐわけでもないからと、今度は歩いてエンドールに戻る。
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