DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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二章 やんちゃ王子の観光
2-15失われた叡智渦巻く旅の扉
「…………。ん?あー、あー。おおっ!?こ、声が出るぞ!治った、治った!」
止める間もなく薬を飲んだ国王に、ブライが溜め息を吐く。
「全く。こんなところは、親子良く似ておいでですわい」
「良かったな、親父!」
ブライの小言もどこ吹く風と、父王が話し始める。
「だから父上と……。まあ、良い。ともかく礼を言おう。
実はわしは、とてつもなく恐ろしい夢を見たのじゃ。
巨大な怪物が、地獄から蘇り、全てを破壊していた。
初めはわしの胸にだけ仕舞っておくつもりだったが、余りにも何度も同じ夢を見るのだ。何やら、不安になっての。
大臣に、夢の話をしようとしたその途端、声が出なくなったのじゃ。」
それは話して大丈夫なのか。
大丈夫だったから良いか。
「…………。
もしかすると、何かが起ころうとしているのかも知れん……。
アリーナよ、わしはもう止めはせぬ。
世界の様子を、見て回って参れ。」
「はい、父上!行って参ります!」
「ブライにクリフト。アリーナを頼んだぞよ!」
「致し方ありませんな」
「身命を賭して、お仕えいたします!」
「よし、言質は取った。次こそ武術大会だ!」
「国内のめぼしい場所は、概ね見て回りましたからな。エンドールに行くのも良いでしょう。世界の交通の中心たるエンドールには、世界中の様々な食材が集まり、豊かな財力でそれらを惜しみなく使うエンドール宮廷料理は、贅を尽くすという言葉が相応しい一品。庶民の手が届くよう、価格を下げる工夫を凝らしたものも、値段の割に味は良いと評判で」
「華やかなエンドールの宮殿は、洗練されたサントハイムとはまた違った魅力があり、特に女性に人気だそうです。武術大会の行われる勇壮なコロシアムは、男性に人気とか」
「コロシアムか!楽しみだ!」
食べ歩きも観光も、好きにすれば良い。
コロシアム、武術大会だ。
再び移動魔法で砂漠に取って返し、南東の祠に向かう。
祠を守る兵士には父王の連絡が届いており、止められることは無い。
「堂々と通れるというのは、良いものだな」
「一国の王子ともあろう方が。おかしなことで感動するのは、やめなされ」
「これが旅の扉ですね。私、初めて通ります」
魔力が渦巻き光を湛える、旅の扉を通り、エンドール側の祠に出る。
「なんという神秘!なんという不思議!ああ、いかなる技で、あの扉は動いているのでしょうか!?」
クリフトはひとり興奮している。
「うう、気分が悪い。不覚だ」
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