DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
第28話:居なくなって初めて解る身内の大切さ…
(サントハイム城)
アリーナSIDE
「これ…どういう事…!?」
私は喜び勇んで城の中に入り、そして唖然としている。
騒がしいとは言わないが、常に何らかの物音がしている城内…だが今は静寂に包まれている。
「み、みんなはどうしたの?」
クリフトに…ブライに…そしてリュカに問いかけても答えは返ってこない。
誰に聞いたって解る訳が無いのだろう。
「ねぇみんなー…何処に行っちゃったのー? 冗談は止めてよね! みんなー!!」
私は歩き回り各部屋を探索する…響き渡るのは私達の足音だけ。
そして自身の木霊だけ…
「か、完全に無人ですな………!?」
「ブライ殿…一体どういう事なのでしょうか?」
ブライとクリフトも城内が無人な事を確認し、驚き困惑している。
「ねぇリュカ…どういう事だと思う…?」
無意味と判りながらも誰かに訳を聞かなきゃならない…
そうしないと不安で押し潰されそうだから。
「みんな……隠れん坊が上手いんだね! 全然見つけられないよ…まぁ、見つける気は無いんだけどね!(笑)」
「真面目に答えてよね! 隠れん坊の訳がないでしょ!」
リュカに聞いても解らないのは判ってた…でも、ふざけた答えが返ってくるのだけは我慢出来なかった…
「じゃぁ真面目に答えようか?」
私のヒステリックな怒鳴り声が木霊する中、声のトーンを落としたリュカが不安を煽る様な一言を言ってくる。
「な、何だって言うのよ…」
本当は聞きたくない。
大凡の事は私も解りかけている…でも誰かに八つ当たりをしたかっただけなの…
「夢で未来を見る事の出来る王様…以前見た夢は、地獄の帝王が復活する夢…魔族共がそんな能力者を放っておくとも思えない。つまり………」
「「「…………………………」」」
また静寂が城内を支配する。
私だけじゃない…クリフトもブライも同じ事を考えていたのだろう。
魔族が現れ、サントハイムの人々を皆殺しにしたのだ…
「じゃぁ…やっぱりお父様は殺されたのね!?」
私は残酷な現実に耐えられず、その場に崩れ落ち泣き出してしまう。
考えたくなかった…その答えにだけは辿り着きたくなかったのに…
「いや…殺されてはいないと思うよ。だって何処にも死体がない。血の痕すら残ってない。犯罪を発覚させたくない人間だったら兎も角、魔族が証拠隠滅を計ったとも思えない。城内の人々を丸ごとだからね…」
「え、それって…!?」
私はリュカの言葉に顔を上げる。
もしかしたら希望が残されているかもしれない。
「うん。憶測だけども魔族はサントハイムの人々を殺してないと思う。何かに使う為…何だかは解らないけど、殺さずに連れ去ったと思うのが妥当かな? まぁ城内の様子から、突如消えた感じが見えるから、連れ去ったと言うよりか、別空間に閉じこめた的な…」
「じゃぁ…この原因を作った犯人を捜せば、お父様達を助け出す事が出来るのね!?」
「う~ん…断言は出来ないが、多分助けられると思うよ」
凄いよリュカ…ちょっとの情報で色んな事を考えつくんだね!
何だかリュカが一緒にいれば、どんな事が起きても大丈夫な気がしてくるよ。
「アリーナ様、落ち込んでいても始まりません! リュカさんが仰る通りなら、一刻も早く陛下達をお助けせねば…」
「うん、そうだねクリフト。泣いてたって誰も助けられないもんね」
「では城下サランに行き、城内での事について情報を集めるとしましょう。無人の城にいても埒が明きませんからな!」
私の体に活力が戻ってきた。
クリフトと見合わせて、ブライの提案に頷く。
「でもその前に、事件の最中にこの城に居た子に話を聞いてみようよ」
「何を言っておるリュカ? 事件が起きている時に居った者は、皆異空間に飛ばされてしまったんじゃろうに…残っている目撃者など居らんぞ!」
「きっと魔族の目的は人間だけだったんだと思うよ…ほら、感じるだろ? 事件を目撃した子の気配を!」
私にはリュカが何を言っているのか解らない…
気配を感じろと言われても、何も感じないから理解する事が出来ない。
私達は三人して困惑していた。
するとリュカは、私達を導く様に歩き出す。
リュカにだけは何かが見えている様に…
国王の間を抜け階段を上がり、お父様の部屋の前を通り過ぎ、ぶ厚い扉の私の部屋へと入って行くリュカ。
「何だこの部屋? 窓もなければ扉は頑丈…でも中は綺麗に装飾されている。矛盾しねーか? 広い独房の様な王家の部屋…しかも壁には大穴が開いてるし」
私の部屋に驚くリュカ…
は、恥ずかしいよぉ~…
今までは誰に見られても恥ずかしくなかったのに…
「そんな事はいいから、お前の言う目撃者に早よう会わせんかい!」
ブライのお陰でリュカの気も他に移り、何となく恥ずかしさから解放された。
う~ん…全てが解決出来たら、私も女の子らしさを磨いた方が良いのかもね。
「こっちだ…この大穴の外から、その子の気配がする」
私が未来に思いを馳せていると、導き手のリュカが大穴から城2階の屋根に飛び降り、隈無く誰かを捜し続ける。
人が居るとは思えないけど、リュカが居ると言っているのだから誰か居るのだろう。
私達も屋根へと下り、周囲を探し出した。
そして、その子は突如姿を現した!
「みゃー!」
「ミーちゃん!?」
お城のメイド達が可愛がっている猫のミーちゃんだ。
「え? この子が残った目撃者!?」
「そうだよ。きっと一部始終を見てたと思う…ねぇ、ミーちゃん?」
そう言うとミーちゃんを抱き上げ話しかけるリュカ…
「のうリュカ…確かにお前の言う通り、その猫は全てを目撃していたと思う…じゃが、聞き出せないのじゃから意味がない事じゃろう?」
「そんな事ないよ…僕は動物の言葉が解るからね。今もミーちゃんが教えてくれたよ…“僕に似た顔だけど、目つきが怖い魔族が来て、お城のみんなを消しちゃった”って言ってるよ!」
「ほ、本当に動物の言葉が解るの…?」
折角協力してくれているリュカに失礼な質問だろう…
でも聞き返してしまう事でもある!
「………別に信じなくても良いけどね。でもミーちゃんは“魔族達は一旦デスパレスに帰るって言ってた”って言ってるよ。勿論シカトしても良いけどね」
「ううん、ごめんなさい。リュカの事を疑ってなんかいないわ! リュカを信じて私は行動する!」
「そうですな…実際この世界には南の方に、デスパレスと言う魔族の城があると聞いた事があります。異時代から来たリュカに、その情報があるとは思えません…」
「そうですねブライ殿。しかし我らとてデスパレスの正確な位置は知りません…どうでしょうか、南の方と言う事で取り敢えずはミントスに船で乗り付けると言うのは?」
「うむ…そうじゃなぁ、良い案じゃと思う。ミントスにて情報を集めるとしよう!」
さっきまで絶望していたのに、リュカの推理のお陰でドンドン話が進んで行く。
うん。嘆くのは私に似合わない…取り敢えず行動あるのみよね!
アリーナSIDE END
(サントハイム)
家族や知人を一片に失ったアリーナ達…
しかし異時代人のリュカがアドバイスを与えた事により、大きく心に活力を取り戻す。
大切な人々を助けるという使命を胸に…
此処からアリーナ達の壮大なる旅が始まったのだ。
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若干一名がお気楽な気分のままだけども…
第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険 完
後書き
さあ次話から第三章です。
トルネコさんが活躍するよ。
あちゃのトルネコは、ちょっとアレだよ!
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