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八条学園怪異譚

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第二十三話 犬と猫その十

「どんな人かね」
「そうよね。それにしても幽霊もあまり古いと」
「いないっていうのね」
「そんな気もするわね」
「あまり年代を減ると成仏するのかしら」
 聖花は愛実の話を聞いてこう考えた。
「やっぱり」
「戦国時代とかだと結構いるけれどね」
「それでもね」
 そうした話もするのだった、そしてだった。
 二人は猫又と送り犬が案内する場所に向かうことになった、まずはというと。
「何処に行くのかな」
「防空壕か古墳かよね」
「そのどちらか」
「うん、どっちにするの?」
 送り犬は後ろから二人に尋ねる。
「僕達にしてみればどっちでもいいけれどね」
「防空壕でも古墳でもね」
 猫又も言う。
「どっちでもね」
「ううんと、古墳が一番気になるわね」
 愛実は二人、元々は犬と猫なのでそう言っていいかわからないが彼等の言葉を受けてそのうえで右手の人差し指を口に当てた。
 そのうえでこう言うのだった。
「それだと」
「古墳にする?」
 聖花が愛実に言う。
「それだと」
「そっちにする?」
「防空壕には誰かいるのかしら」
 聖花はここでこう言った。
「それも気になるわね」
「いるよ」
 猫又は二人の方を振り向いて答えた。
「ちゃんとね」
「あっ、いるの」
「防空壕の方にも」
「これまでの動物園にいた皆がね」
 彼等がいるというのだ。
「いるよ」
「ふうん、そうなの」
「動物の皆がいるのね」
「そっちの怪談もあるけれど」
 猫又はそちらの話もする。
「夜の動物園を徘徊する動物の一団ってね」
「本当に色々な話がある学園ね」
「動物園にもあるなんて」
「動物園にもあるし」
 それにだった。
「植物園にも水族館にもね」
「本当に何処にでもあるのね」
「学園のあらゆる施設に」
「劇場にもいるし」
 何がいるかはここでは話さない猫又だった、だがいるのは間違いないというのだ。
「後は美術館にもね」
「じゃあそういうところにも行って」
「それで調べられるのね」
「うん、そうしたらどうかな」
 こう話す猫又だった。
「どうも妖怪や幽霊のいるところに泉の候補地があるしね」
「そうね、それじゃあ」
「この動物園以外にもね」
「まあとにかく今はね」
 猫又は話を戻してきた。 
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