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勇者ハルカのレポート

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勇者ハルカのレポート

 
前書き
アレフガルドを離れ、ローラと共に世界を巡った。
その時、僕はラダトームから幾つかの書物の持ち出し許可を得られた。
それを参考に、僕は色々と考えたことを記そうかと思う。 

 
#1
ベラヌール付近でのこと。
僕はとある男に頼まれ、害獣を駆除する仕事を行った。
「ベギラマ!!」
声高く叫ぶとまばゆい光の閃光が害獣を壊滅させる。
「それは…ベギラマか?」
僕はフッと笑いながらこう答えた。
「ああ。そうだよ」
男は首を縦に振り、
「違う!それはベギラマじゃない!もっと強力な呪文だ!」
と叫んだ。
「…何?ベギラゴン?…違う。ロト様の時代とは呪文の性質も違うんだ。ギラは炎の呪文、ベギラマは閃光の呪文。ライデイン、ギガデインの消失と共に、ベギラマの性質は変わった。ベギラマはいわゆる“デイン系”の代わりとして姿を変えたんだ。ベギラゴンはそれと共に衰退した」
「…」
男は黙った。呆然と立ち尽くし、僕を見ていた。
「いや、さすが、ロトの勇者」
男の言葉に、僕はただ笑い返しただけだった。

#2
イオ、イオラ、イオナズン。そのうち、最上級のイオナズンは、再びよみがえる可能性の高い呪文だ。実際、何人かの大魔法使いかがそれに似たような魔法を成功させている。
ヒャド、ヒャダイン、ヒャダルコ、マヒャド。コレは氷の呪文。これは実際、ムーンタウン(*1)のとある魔法使いが成功したが、その時、多数の死者が出ており、今では禁止されている。
バギ、バギマ、バキクロス。これは僧侶が扱っていたと言われる呪文。今でも護身用として、聖職者が時たま使う。ちなみに、ローラはバギなら扱えるようになった。
ザキ、ザラキ。これは死の呪文。これも僧侶の呪文であった。ただし、こちらは禁忌の呪文の一つとして封印されている。しかし、いずれかはその封印も解けると僕は思う。
メガンテ。これは最大の禁忌の呪文。ロトの妻、プラチナはこれを使うのを必死に拒んでいたとの事。今は誰も扱おうとはしない。いつかまた、使用者が現れたとしても、使って欲しくないものだと、僕は思う。
モシャス。変化の呪文。限られたものしか扱えない呪文。ローラをさらったドラゴンや、竜王も使ったと言われるが、真偽は定かではない。
ドラゴラム。これは禁忌呪文と言われてはいるが、250年前に滅んだ呪文の為真偽は不明。
ニフラム。ゾンビ系の魔物から身を守る為に使われたとされる呪文。理由は定かではないが、この呪文も無くなってしまった。そういえば僕は“腐った死体”系統の魔物は見ていない。一気に骨となってしまったのだろうか。
ベホマズン。ロト様が覚えていたと言う究極の回復呪文。あまりにコストがかかる為、衰退していった。その下位種のベホマラーもなぜか衰退していった。こちらは原因不明。
ベホマ。これは高等の聖職者のみが扱える。幸い、僕が竜王を倒すまでにこれを使った敵は存在しなかった。ローラが懸命の努力の末、習得。
他にも、呪文は色々と存在していたようだ。僕は引き続き、呪文についても調べることにする。

(*1)後のムーンブルクとなる小さな町。ちなみにムーンペタは僕がムーンブルクを建国した後にできた町である。

#3
僕とローラはサマーヴィル(*2)にたどり着いた。
そこに一人の老人が住んでいた。
歳は7、80といったところか。少しやせ細ってはいるものの、顔色は悪くなく、健康そうだった。彼は僕達を小さな洞穴へと招き入れた。
「…なんでしょう?」
「これ、何だと思う?」
老人が手にしたのは、僕も見覚えがある紋章の入った盾。
「あ、ロトの盾、ですか」
僕は初めて見る物なのに、全く驚きも真新しさもなかった。ローラは少し驚いていたようだが。
「その通り。お前さんはロトの勇者じゃろ?なぜ、この盾はお前さんの元へ行かなかったんじゃろうな?」
「さあ。剣、鎧、印は手に入りましたけどね」
僕は老人にそれらを見せる。鎧は実際に身に着けて見せた。
「おお、兜が姿を変えたではないか!」
老人は叫んだ。ただし表情は変えずに。僕のいつも被っている角兜が、姿を変えたのだ。角の部分が曲がり、ロトの紋章の入った、兜。僕はそれを“ロトの兜”と呼んでいた。…ロト様がそれを見につけていなかった可能性もあるので、何とも言えないが。
「すばらしい…おっと、盾の話をしていたな…ほう…盾なしで竜王は倒したと言うことじゃな?」
「ええ」僕はうなずいた。「僕は水鏡の盾を持っているんです、ほら」
老人は表情を変えずうなずき返した。
「ほう…美しい盾じゃ」
「ハルカ、私は不思議に思うのです。なぜ、これはアレフガルドの外にあるのですか?ロト様もアレフガルドの外には出てはいなかったんですよね?確か…」
「上の世界に帰った」
「ええ」
「ロトの盾がここにある理由、か。僕は噂だけなら聞いている。カンタダと言う人物が持ち去ったと言う説だ。ただし、あくまでしか噂でしかないけど」
「そうなんですか」
僕とローラは老人のほうを見る。彼は何か知っているのだろうか?
「ああ、それならわしも聞いた。まあ、わしも真偽は分からないがな。ただ、マスクをした男が、この盾をおいていったと言う目撃情報ならある」
彼の話だと、本当の可能性もある。カンタダはマスクをしているらしいからだ。ただ、可能性があるだけでそうと決まったわけではない。
真相は今でも分かっていない。
まあ、なんにせよ竜王を倒してしまった僕にとってはあまり関係のないことなのだが。

僕はロトの鎧をはずす。いつもの鎧、いつもの兜の姿に戻る。
「あの、お願いできますか」
「なんじゃ」
「その盾、これからもしばらくそこで預かってもらえますか」
「持っていかないのか」
「今は水鏡の盾で十分ですので」
横でローラがうなずく。水鏡の盾も十分強いのですよ、と。
「確かに、人を襲う魔物は居れど、鉄の盾でどうにかなるだろうしな」
老人も僕の提案に同意したようだ。
少し話した後、僕は洞穴を去る。
「また、くると思います。あなたは将来、“国民”となるでしょうから」
「ああ」
これがどういう意味か、老人はすぐに理解したようだ。

(*2)後のサマルトリアとなる小さな町。ちなみにリリザも僕がサマルトリアを建国した後にできた街である。

#4
竜王を倒してから2年、僕は父親となった。
ローラが双子の男の子を出産したのだ。
兄は体が少し大きく、黒髪で少し目が青い。弟はローラと同じ色の髪と緑色の目で、赤ん坊ながら中性的だ、と僕は思った。
僕は18歳、ローラが17歳の出来事だった。 
 

 
後書き
あとがきとか解説
DQ1のその後を妄想&捏造(?)してメモのような感じにしました。
ちなみにムーンブルクは既に存在していたと言う二次創作(商業含む)も多いけど、私はムーンブルクもローレシア、サマルトリアと共にDQ1勇者が創った国というほうが好きです。
DQ1勇者とローラ姫の第1子(男の子)はローレシア王子似、第2子(男の子)はサマルトリア王子似、第3子(女の子)はムーンブルク王女にという設定だったりします。 
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