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転生者とマテ娘と日常?

作者:マテ茶
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模擬戦とハラオウンと呼び方と


八神達に正体を明かした一月後、俺はハラオウンとの約束を果たすために管理局の目の届かない無人世界に来ていた。正直めんどい。
溜め息を吐きながらクイックローダーにカードリッジをセットする。
俺のデバイスはレヴィとハラオウンと同じくリボルバー式のカードリッジシステムだ。
レイジングハートのようなマガジンタイプでは無いのでクイックローダーで補給した方が早い。
動作を極めれば、マガジンタイプよりも早くなるだろう。


「…おっせぇ。」
『まったく、マスターを待たせるなんて何を考えているのでしょうか。自分から言い出したくせに。』


クイックローダーの補充を終え、未だ来ないハラオウンに対して愚痴る。バルディオンは俺以上に苛立っているらしく、宝石の明滅が激しい。


「目が痛いから止めろ。」
『はぅん!!』


バルディオンを叩くと少女のあどけない声なのに艶っぽい声が出た。
こいつ、本当にデバイスなのか?人間じゃないかと疑いたくなる。
それから二十分ほどして、ハラオウンが現れた。いつぞやのピンクのポニーテール…シグナムも連れて…。


「おい、増えるなんて聞いてないぞ。」
「ご、ごめんね。シグナムったら着いてくるって聞かなくて…」
「バトルジャンキーめ…」


ぼそりと呟くと、ハラオウンは頭を下げてきた。俺は頭を上げるように言いシグナムを見る。


「シグナムだ。我が主から聞いている。お前の事は他言はせんよ。」
「そりゃ有り難いね。」
「しかし、これでテスタロッサより強ければ局入りしても…」
「シグナム?」


一瞬風が起きたかと思うと、シグナムの首筋に鎌が当てられる。
おい、速すぎだろ!


「暁は局員になりたくないって言ったって話したよね?」
「す、すまないテスタロッサ。もう言わないから鎌を下ろしてくれ…。」


あのシグナムがすくむくらい、今のハラオウンは怖かった。艶消しの目は止めろよ…マジで。


「御免ね?始めようか?」
「どこからでもどうぞ。」


俺はバルディオンを手に持ち、バトンのようにクルクル回す。ハラオウンは少し踏み込むと、一気に距離を詰めてきた。
後十数センチで刃が俺に届くところで、ハラオウンは何かに気付いたように急停止する。そのまま突き進んでいれば喉元に直撃するコースで、俺がバルディオンをハラオウンに向けて突き出したのだ。
そのまま距離を取るハラオウンに対して、俺は攻めるわけでも無く立っていた。


「どういうつもりかな?」
「べっつに?単に体温めてるだけだぜ?」
「それにしては動かなすぎじゃない?」
「……んじゃ、お互いエンジンかけますか。」


お互いの回りにそれぞれの魔方陣が展開される。俺は槍を右手で構え腰を落とし魔方陣に意識を集中させた。


『 Plasma Lancer』
「ファイア!」
『Thunder Spear』
「貫け!」


ハラオウンが魔法を放ったと同時に俺も魔法を放つ。直射型のプラズマランサーに、同じく直射型のサンダースピアが当たり小さな爆発を起こす。
全てを撃ち落とすと同時に、ハラオウンがサイズフォームで袈裟に斬りかかってくる。俺は魔力刃目掛けて槍を突き出し受け止めると、ハラオウンの魔力刃を砕いた。ぶつかり合う刃が無くなり鑪を踏むハラオウンに向け突きを繰り出すが、軽く避けられてしまう。


「執務官は伊達じゃないってか?割りと本気で狙いにいったんだがな。」
「暁こそ、魔力刃砕くなんて滅茶苦茶良くするね?」
「デバイス本体は壊れないから安心しろ。これが壊すのは魔力だけだ。」


バルディオンを振り回し再び構える。


「ねぇ暁。罰ゲーム決めない?」
「お、良いな。んじゃ俺は…俺の代わりにそこのバトルジャンキーと戦う、だな。」
「じゃあ、私は…負けた方が勝った方の名前を呼ぶ。一生ね。」


…はい?それは負けたら強制的に名前で呼び会うと?恥ずかしいにも程があるぞ!


「はぁぁぁ!?そんなんアリか!?」
「アリだよ!いくよ、バルディッシュ!」
『Yes,sir』
「ハズ過ぎるわ!負けて溜まるかよ!バルディオン!」
『絶対負けません!』


シリンダーが稼働しリボルバーから薬莢が飛び出す。カードリッジをロードした証だ。
それと同時に、バルディオンの先から出ている魔力刃の光が強くなる。
俺は槍を腰だめに構えると、魔力の爆発を利用して突き進む。
ハラオウンの放つ魔力弾を掻い潜りながら接近を試みるが、高起動型のハラオウンに上手く避けられてしまう。
カードリッジでブーストした魔力も無くなりその場に止まる俺。ハラオウンは好機と見たのか更に魔力弾をばら蒔き、バルディッシュを斧にして斬りかかってくる。


「っ…光龍槍!」
「!?」


俺は魔力弾に掠りながら避けると、バルディオンに魔力を込め一気に突き出した。龍を象り圧縮された魔力がハラオウン目掛けて一直線に進む。
防御を軽視した攻撃が予想外だったのか回避行動をとるハラオウン。何とかかするだけで済んだのか、バリアジャケットには傷ひとつなかった。


「ちっ、当てたと思ったんだがな。」
「掠っただけでかなり魔力減らされたよ…貰ってたら落ちてたかも…」
「ま、貫通高威力仕様だからな。」


口元に笑みを浮かべると槍を構える。ヤバイ、これはこれで楽しいかも…。
ハラオウンは左手に魔力溜めると、拳大のスフィアを作り出す。


「プラズマ……スマッシャー!」
「うお!危な!」


直ぐ様複数の魔方陣を展開して速射魔法を放つハラオウン。俺は横方向に移動してギリギリ回避した。


「…楽しいね、暁。」
「やっばりお前はレヴィのオリジナルだ!バトルジャンキーな所とかそっくりすぎる!」
「でも、暁も楽しいよね?」
「…否定はしねぇよ。」


ハラオウンに問われ、笑みが浮かんでしまう。否定できない自分に少し呆れてしまった。
俺もバトルジャンキーの気があんのか?と自問しながら構えると、小さな魔力弾を牽制用に乱れ打つ。


「バインド!」
「…構成は細かいな。でも…」


速攻解析と解除をしながら同時にサンダースピアを二十ほど放つ。
アイツは動揺しながらも、キッチリ避けていた。


「結構頑張ったつもりなんだけどなぁ…」
「俺にバインドは効かねぇからな。」
「…ちょっとショックかな…」


苦笑いを浮かべるハラオウンに向けて笑顔で返してやり、リボルバーに残っているカードリッジを全てロードする。
再び腰だめに構えると、トップスピードで肉薄し何度か打ち合うと槍の特性を利用して力任せに叩き付ける。
ハラオウンはそれをデバイスで受け止めるも勢いに負けて後ろに下がる。
更にバインドをかけて身動きを封じる。


「なっ、何この構成!?凄く複雑!」
「ま、戦う前からずっと構成編んでたからな?」


驚くハラオウンを尻目に、未だに残っているカードリッジの魔力を右手に収束させて向ける。


「模倣だけど…ブラストファイヤー!」


魔力スフィアから圧縮した魔力砲を打ち出す。ガードも出来ないまま、まともに食らうハラオウン。
辺りに煙が立ち込める
。まずいな…仕留め損なったし、煙のせいで辺りが解らない。


「バルディッシュ!ザンバー!」
『 Zamber Form 』
「な!?」


煙の中からいきなり現れザンバーを振りかぶるハラオウンの一撃をガードするが、思い切り地面に叩き付けられる。クソっ…油断した…!


「雷光一閃!プラズマザンバー…ブレイカー!」


振りかぶる大剣から発せられる雷属性の砲撃に防御する間もなく、俺は砲撃に飲み込まれた。








「っ……あたたた…」


地面に激突した背中が痛む。
あの砲撃をまともに受けて気絶していたようだ。


「あーあ…負けか。」
「良い勝負だったな。見ていて中々面白かったぞ。」
「そりゃどーも。」
「暁、大丈夫?」
「大丈夫だ、流石ハラオウンだな?」
「…つーん。」


あれ?何で顔を背けるんだ?


「三崎、罰ゲームだ。」
「はぁ!?あれマジだったのか!?」


シグナムに言われ驚き目を見開く。ハラオウンは相変わらず顔を背けてるし、シグナムは目を細めて笑ってやがる。
暫く思案したあと、溜め息を吐く。逃げられないな…


「…強いな、フェイトは。」
「うん!」


今度は嬉しそうに頷くハラオ…フェイト。うん、もう自棄だ。


「それにしても、あの砲撃はマテリ…シュテルだったか?の技だろう?」
「ああ、見よう見まねで撃ってみたけど、やっぱりまだまだ精度が甘いな。」
「…そう言えば!暁、私のプラズマランサーに似た魔法を使ってたよね?」


思い出したかのように身を乗り出すフェイト。



「落ち着けっての。サンダースピアな?」
「そういえば…ブラストファイヤーも使っていたな?」
「ああ、それがどうした?」
「魔力変換資質…雷なの?炎熱なの?」


隣に腰を下ろしたフェイトが問いかけてくる。俺は素直に種明かしをした。


「いや。俺に魔力変換資質はねぇよ。単純にプログラムを構成して使ってるだけ。」


俺の答えに驚いた表情を浮かべるシグナムとフェイト。何か可笑しかったか?と思いながら立ち上がり埃を払う。


「実は凄い魔導師とか…」
「私も一戦交えたいものだな…」
「楽しかったけど、模擬戦とトレーニングは程々にしとけよ?」


ぼそぼそと呟く二人を置いて転送魔法を構成する。場所は…家で良いか。


「フェイト!次はシュテル達も一緒にしような?」
「う、うん!」
「では、その時は私もご一緒させて貰おう。」
「お手柔らかに頼むぜ、シグナム?じゃあな。」


軽く手を振り自宅に向けて転移する。
俺は、初めて名前を呼んだフェイトの顔を思い出しては小さな笑みを浮かべるのであった。




おまけ


「アキラ、どうでした?模擬戦は?」
「やっばり強いわ。負けちまった。」
「ほう?我に勝ったのにも関わらず不様に負けたと…?」
「でぃ、ディアーチェ!?いや、勝負は時の運だしフェイトもかなり動き速かったし…」
「「「フェイト?」」」
「皆さん!?目が据わってますよ!?」
「…アキラ、特訓をしましょうか?」
「そうだな。負けぬように徹底的にしごいてやる。」
「楽しませてよね?アキラぁ…」
「ちょ!?俺かなり疲れてんだけど!お願い!話聞いて…ぎぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


その夜、あまりの疲労に入浴中に寝て溺れかけた暁の姿があったそうな。


 
 

 
後書き
入浴中に執筆がマイジャスティス!作者のマテ茶です!

さあ、話が始まって初めての戦闘回!いかがだったでしょうか?正直こんなチラ裏描写なんてぐしゃぐしゃに丸めて捨てたい作者でございます。
因みに暁くんが勝つと思った方。残念!負けちゃいました!
暁くんは強い能力を持っていますが、人の子です。負けるときには負けちゃうのです。


さて、今回は暁君の使った魔法を紹介しましょう。
先ずはサンダースピア。これは作中フェイトさんが言うように、プラズマランサーの同型互換版です。牽制用に魔力を落としてますが、魔力弾に触れれば爆発して魔力弾をかき消す効果を持っています。
続いて光龍槍。魔力をデバイス先端に集中させ、踏み込みと同時に圧縮魔力を射出する貫通高威力魔法です。
ディバインバスターと違い余計な魔力をかけない分範囲が狭いですが、速さと威力はピカ一です。圧縮された魔力が龍の形なのは、暁くんの趣味です。

次回はなのはリハビリとアリサすずかとのお話になります。
それでは、マテ茶でした! 
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