ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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シオンの特技
午前九時~第七十四層主街区ゲート広場~
シオンは昨夜約束にあった通りに主街区ゲート広場に来ていた。ゲートの近くにはすでにキリトが来ていた。
「おっす、キリト」
「おお、きたか」
「どうした?そんな辛気くさい顔して?」
「いや、まあ。もう一人来るんだがな・・・」
「誰だよ?」
「それは・・・」
すると、後ろの転移門から誰かが転移してきた。
「きゃあああ!避けてえええ!」
「うぉあ!?」
「よっと」
転移門から転移してきたその人物はキリトと激突し、見事地面にキリトを押し倒した。シオンはそれをかわして、二人の様子を見た。
しばらくすると、その人物はいきなり「や、やあああ!!」という声をあげ、キリトをビンタという形で思い切りぶっ飛ばした。
そこでシオンはその人物が誰なのかわかった。
「なるほど、アスナか・・・」
アスナは腕を胸のあたりでクロスしているところを見ると、キリトが何をしたかはなんとなくわかった。
「キリト、お前も災難だな・・・」
「や、やあ。おはようアスナ」
すると今度は転移門から別の人物が転移してきた。その格好は白と赤の服紛れもなく血盟騎士団のユニフォームだった。そしてシオンはその人物に見覚えがあった。
「あれは確か、昨日アスナの護衛としていた・・・。えーっと、クラディールだったかな?」
「アスナ様。困ります勝手なことをされては!さあ、ギルド本部まで戻りましょう」
「嫌よ、今日は活動日じゃないわよ!・・・だいたい、アンタなんで朝から家の前に張り込んでるのよ!?」
『おいおい、マジかよ。そんなのやっていいのは警察だけたぞ』
「ふふ、どうせこんなこともあろうかと思いまして、私一ヶ月前からずっと早朝より監視の任務についておりました」
『もはやストーカーの域だな・・』
シオンが落胆している間に話は進んでいたようだ。クラディールはアスナの腕を掴んで無理やり連れていこうとしていた。
そこでキリトがクラディールの腕を犯罪防止コードギリギリの力で掴んだ。
「悪いな、お前さんのトコの副団長は、今日は俺の貸し切りなんだ」
「そうそう、それにいい年の大人が女の子を無理やり連れていこうだなんて、現実だったら警察に捕まるよ」
「貴様らァ・・・」
「アスナの安全は俺たちが責任を持つよ。別に今日ボス戦をやろうって訳じゃない。本部にはあんた一人で行ってくれ」
「ふざけるな!貴様らのような雑魚プレイヤーにアスナ様の護衛が務まるか!私は栄光ある血盟騎士団の・・・」
「なら・・・」
シオンは次の瞬間とんでもないこと口にした。
「俺が血盟騎士団に入ってやるよ。それで俺がアスナの護衛をやってやる」
「えっ!?」
「はっ!?」
「なにっ!?」
「これなら文句ねーだろ?言っとくけど、アンタよりはだいぶマトモに務まるよ」
「こ、このガキィ・・・そこまで言うからにはそれを証明する覚悟があるんだろうな・・・」
するとシオンの目の前にメッセージウインドウが出てきた。
クラディールから1VS1 デュエルを申し込まれました。受諾しますか?
シオンはアスナに目をやるとアスナは小さく頷いた。シオンはYesボタンを押し、“初撃決着モード”選択した。
「おい!“白の剣士”シオンとKoBのメンバーがデュエルだとよ!」
いつの間にかギャラリーが増えていてかなりの騒ぎになっていた。
「今日はどんな武器を使うんだ?」
「楽しみでならないな」
そんな声が飛び交うなか、キリトとアスナは静かに見守っていた。
「ねえキリト君?みんなああ言ってるけど、どういうことなの?」
「そうか、アスナはシオンのプレイスタイルを知らないのか。ボス戦でもあまり組まないからな。まあ、見てろよ、アイツは他のやつとはひと味もふた味も違うぜ」
そんななかシオンはクラディールの武器を見て、ウインドウをいじくっていた。
「相手は両手剣か・・・。どうしよっかな~」
悩んだ末決めたのは、
「よし、これにしようかな♪」
クリックして出てきたのは、なんと短剣だった。
「えっ!?短剣!?」
「おお、これまた冒険したなシオンのやつ」
短剣はスピードは補えるが両手剣に比べ、パワーもリーチも負けるどちらか言えば不利なチョイスである。
「え、でも昨日は片手剣じゃなかったっけ?」
「ああ、アイツは短剣も使えるよ。それおろか・・」
「何?」
「まっ、それは見てからのお楽しみってことで。っと、そろそろだな」
カウントは刻一刻と迫り今まで騒いでいたギャラリーも静まりかえっていた。
シオンは目を閉じ、深呼吸をして、再び目を開けた。
そして、首をコキコキッと鳴らすと、
「さあ、はじめようか」
そしてカウントは0になり、デュエルがはじまった。
後書き
少し間が空いちゃいました。
次回のシオンとクラディールのデュエル、お楽しみに♪
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