DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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一章 王宮の女戦士
1-16口上
「はい、おねえちゃん!」
子供たちとホイミンが、声を揃えて返事をした。
ホイミンは、それはもう嬉しそうに微笑んでいる。
子供たちの顔は、もう真っ赤だ。
理解できないことを考えすぎると知恵熱が出ると言うが大丈夫だろうか、ともかく用件は伝わったようなので良しとしよう、返事をしたホイミンはここに留まるつもりなのか、いやそれはなかろう、などとライアンは思っている。
微笑むホイミンに声をかける。
「ホイミン。行くぞ」
「はい、ライアンさん!」
魔物たちは、こちらから近付くまで、台座から動かず待っていた。
こちらに逃げる素振りが無く、子供たちを傷付ける危険を冒す必要が無いからであろう。
ホイミンは、小さく震えている。
台座の上の魔族が、大仰に声を上げる。
「我らの目当ては、子供のみ。勇者になる可能性のある、子供のみだ!大人になぞ、用はない。」
それはもう聞いたが、亡き同僚は地獄の帝王云々を、どこから聞いてきたのか。
情報を深く聞き出す話術でも、持っていたのか。
名も知らぬ彼が、命を失って得たこの情報は、必ず生きて持ち帰らねばならない。
「だが、ここを知られたからには、生かして帰すわけにはいかん。死んでもらうぞ、戦士よ!」
ライアンは返す。
「勇者であろうと、なかろうと。未来ある子供らを、邪悪な輩なぞに、くれてやるわけにはいかん。戦士ライアンとホイミンが、ここで成敗してくれる」
ホイミンの震えが止まり、表情が引き締まる。
子供たちは、興奮したように騒いでいた。
「ホイミンは攻撃するな。回復以外は、防御に徹するように」
「はい!」
魔族は祭服のようなものを纏い、錫杖を持っている。
魔法などを使うのなら厄介だが、ホイミンが受けても致命傷にはならぬだろう。
ホイミンは体力の把握に慣れ、回復の時機を誤ることは、皆無に近い。当然、ライアンも気にするつもりである。
魔力の剣で攻撃力はさらに高まり、今のライアンであれば、危険なおおめだまも、一体程度は問題無く倒せる。
まずは、魔族を狙う。
複数の魔物との集団戦を重ねたふたりは、二体の魔物の攻撃を、概ね危なげ無く捌く。
途中、ホイミンが集中して狙われるが、ライアンが庇い、ホイミンがすぐさま回復する。
付かず離れず、呼吸を合わせ舞うように戦うふたりに、子供たちが歓声を上げる。
魔族が倒れる。
「ホイミン、回復」
「はい!」
体力が全快する。
「ホイミン、下がって」
「はい!」
ホイミンが大きく距離を取る。
ホイミンは、おおめだまを知らない。
ただライアンを信じ、受け容れる。
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