ヘタリア大帝国
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TURN61 過ぎたる兵器その九
「あの奇妙な機械から出してな」
「わかった、それならだ」
「ガメリカに栄光を」
ルースは山下とアメリカが近付く中でもまだ何か呟いていた。彼が崩壊していることは明らかだった。
ガメリカ大統領の身柄拘束で戦いは終わった。アメリカはワシントンに戻ったがすぐに彼の国民達から万雷の拍手と歓声で迎えられた。
「祖国さん待ってたよ!」
「元気そうだな!」
「ガメリカが復活だ!」
「祖国さんがいる限り大丈夫だ!」
「皆有り難う」
アメリカはその彼等の歓声に応えながら言う。
「僕は君達を裏切って逃げ出したというのに」
「いや、逃げていないよ」
「祖国さんは俺達の為に頑張ってくれたじゃないか」
「その為に講和してここに戻ってくれたじゃないか」
「それでどうして裏切ったんだよ」
「祖国さんは裏切ってないよ」
「俺達を救ってくれたんだ」
太平洋軍と講和しそして彼等を救ってくれたというのだ。
「本当にな」
「それでどうして祖国さんを怨むんだ」
「そんなこと絶対にないからな」
「だからこれからも宜しくな」
「一緒にやっていこうな」
「皆、本当に有り難う」
アメリカは嬉し涙を流すことを必死に堪えながら国民達に応えた。
「僕はこれからも君達の祖国として頑張るよ」
「祖国さん万歳!」
「頑張ってくれよ!」
「一緒にやっていこうな!」
「これからも!」
「兄貴、おかえり」
アメリカ妹も笑顔で兄に声をかける。
「ハンナさんも元気だよ」
「僕のいない間ガメリカを支えててくれたんだな」
「あたしも祖国だからね」
アメリカの妹だからそうなる。彼女もまたガメリカの祖国なのだ。
「ちょっとばかり頑張らせてもらったよ」
「お陰でこれから何とかなりそうだな」
「それでミスターはどうなったんだい?」
アメリカ妹は兄に彼の現状を尋ねた。
「ああ、マンハッタンは投降してからね。とはいってもあの訳のわからない兵器の開発の責任を問われる位でね」
「特に何もないか」
「それも別に法律を犯してもないし」
それでだというのだ。
「罪に問われることもないさ」
「そうなんだな」
「そうだよ。それでミスターは」
「あのままじゃどうしようもないだろうな」
精神が完全に崩壊してしまっているというのだ。
「病院に入院することになるだろうな」
「そうなんだね」
アメリカ妹は兄の言葉を悲しい顔で聞いた。
「あの人はそれで」
「大統領も退任だな」
「そうなるね。どのみちすぐに選挙だけれどね」
「それにはダグラス司令が出るわ」
ハンナもここで出て来た。
「さしあたっては大丈夫よ」
「そうか。ダグラスが僕の上司になるのか」
「そうなるわ。対立候補はどちらも弱いから」
既存の二大政党のどちらもだというのだ。
「プレジデントの方は副大統領だけれど」
「副大統領というと確か」
「トール副大統領よ」
「ああ、彼だったな」
アメリカもその存在を半分忘れていた。視線を上にやってハンナに応えていることにそれが出ている。
「彼だとな」
「ダグラスには負けるわね」
「ああ、絶対にな」
「次の大統領は彼で決まりよ」
そのダグラスでだというのだ。
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