LyricalNANOHA~家族の絆~
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第一話 プロローグ
前書き
真面目成分多めの話が書きたくなりました。
第一話 プロローグ
一人の男性が夜道を仕事帰りで疲れた体に鞭を打って歩く。何時もなら二時間前に仕事が終わって、家に帰って息子の優斗と娘の聖と一緒に飯を食うだけだったのに!! あのやろう、いきなりあんな仕事を押し付けやがって、あのテッペン禿め!! ……ハァ~終わった事をネチネチ言っても仕方がねェな。
築20年以上の古いアパートの102号室の鍵を開けて中に入った。
「ただいま~」
「「パパ~!!」」
「うぉう!!」
丁度腰の方に抱き着いてくる優斗と聖。優斗は髪型は短髪で黒髪で、少しタレ目で常に気弱そうな表情をしている。聖の方は、腰まである黒髪のストレートヘアー天真爛漫で常に活気が満ち溢れている。
そんな二人は現在5歳児の双子。優斗が兄で聖が妹であるが、偶に逆なんじゃって思う時がある。
身長は二人とも110㎝前後といったところである。
「パパ!」
「おなかすいたよぉ~」
それと同時に二人のお腹から『くぅ~』っという可愛らしい音が鳴った。
「そうだな、何が食いたい?」
「「カレー!!」」
二人して元気よくバンザイをした。優斗と聖マジ天使!! 俺の気合入りまくりだ。
「待ってろよ!! 父ちゃん特性カレーを作ってやるからな!」
「おー!」
「お、おー」
元気よく腕を振り上げる聖と、聖の迫力に気圧された優斗は弱弱しく腕を上げた。クッソ! ミスったぜ。今手元にデジカメが無いのが悔やまれる!! 今手元にあればこの子たちの良い写真が撮れたのにぃぃぃぃぃ!!
早速作業服を脱いで洗濯機に放りこんで適当にTシャツとズボンを着て台所に立ち、料理を始めた。我が子供たちの声をBGM代わりにして料理を進める。最初からテンションはクライマックスって奴だ!!
それから約30分後
「全ての食材に感謝を込めて」
「「「いただきます!」」」
今日のカレーはチキンカレー。
うん、今日もなかなかの出来具合だな。
「どうだ、うまいか?」
「おいしいよパパ!」
「うん、おいしい」
「それは良かった」
二人の嬉しそうな顔を見るだけで、もう俺のお腹が一杯だ。そうは言いつつも飯は食べる。
(もう、5年も経ったのか……月日が流れるのは速いな~。優斗と聖が生まれ、湊が死んでからそんなに経つんだな……)
俺はタンスの上に飾ってある写真を見て、優しい笑みを浮かべた。その写真には俺と女性の二人だけが映っていた。二人とも良い笑顔で写っている。
(なぁ、湊……お前は幸せだったのか?)
返事何て帰ってくるわけがねェよな。もし、アイツが此処に居たらもっと賑やかな食卓になっていただろうな。有りえないもしもの世界を考えても仕方無いよな。
「聖。もう少落ちついて食べなさい、食い物は逃げたりしねーからよ」
「うん!」
聖は口の周りをカレー塗れにしていたから、ナフキンで口の周りをキレイに拭いた。また、パクパクと食い始める。あららら、また口の周りがカレー塗れになってらぁ。
それに比べて優斗は、綺麗な食べ方だよな。一体どっちが女の子やらって話だな。
「どうしたのパパ?」
「いやなんでも無いよ。優斗」
どうやら、優斗は俺の視線に気づいていたようだな。
「パパおかわり!!」
「仰せのままにお姫様」
「にひひひひ!」
おい、聖。お姫様はそんな笑い声は出さないぞ。せめて『おーほっほっほっほ!!』って笑い方に……うんアウトだな。流石にそれは無いな。絶対に聖には似合わない。
その後、食事も終わり食器も洗い片づけた。お風呂に湯船を張りに行った。
その間優斗と聖は子供向け番組の『アソパソマソ』という自分の顔を千切って他の人に食べさせて元気にさせてるというショッキングかつ自己犠牲満載のアニメを見ていた。
「よし! 聖、優斗、お風呂に入るぞ」
「いまいく!!」
「うん」
三人で脱衣所に入る。流石に少し狭くなってきたな、何時かは少し大きめの所に引っ越さないといけないな。何時かはこいつ等にも部屋が必要になってくるだろうしな……何があっても聖と優斗を護っていかないとな。
「優斗。聖。バンザイして」
「「は~い」」
二人の服を脱がして洗濯機に入れる。
「次は下も脱いでパパに渡してね」
「「は~い」」
二人の下の衣類を受け取り洗濯機に入れて、俺も服というかTシャツとズボンと下着を脱いで洗濯機に入れる。二人は裸になった瞬間、早速風呂に入り湯船に飛び込む。
「コラコラ、危ないから湯船には飛び込むなっていつも言ってるだろ」
「「ごめんなさいパパ」」
シュンッと落ち込んでしまった我が息子と娘。今回は少しキツイ声色になってしまったからな、仕方のない事だ。
「別にパパは起こった訳じゃないぞ。只危ないから注意をしているんだ、怪我でもしたらどうするんだ? もう絶対にやらないって約束出来るか?」
「うん、やくそく!」
「できるよパパ」
「ほいじゃぁ」
俺の右手の小指は優斗と、左手の小指は聖とつないで。
「「「ゆびきりげんまんウソついたらはりせんぼんの~ますゆびきった!!」」」
「約束したからな。絶対に破るなよ」
「「うんパパ!!」」
「よし!」
体をシャワーで流した俺も湯船に入った。うん流石に大人一人に子供二人でもキツイな。
だから、右太腿に優斗を乗せ、左太腿に聖を乗せた。コレで少しはマシになった。
「パパ」
「うん、聖どうした?」
「おせなかながしていい?」
首をちょこんっと傾げて聞いてくる聖に俺の目と鼻から愛の汁がドバドバと流れた。
(ああ~湊。俺は今死んでも悔いは無い!!!!!)
(隼君、今死んでコッチニ来たらOSHIOKIですよ♪)
もの凄い寒気が全身を駆け巡った。うん、俺の聞き間違いだよな……聞こえる筈が無いよな……うん! そうだ、そうに決まっている。
そんなこんなで、聖に背中を流してもらい。三人で順番に洗いっこをして風呂を出た。
居間のテーブルを片づけ、敷布団をと掛け布団を取り出して床に敷いた。
「聖。優斗。歯ぁ~磨いたか?」
「ブイ!!」
「うん」
テンションの差が天と地だなこりゃあ。今日は疲れたし、酒も飲まずに俺も一緒に寝るか。
部屋の電気を消し、俺の両腕を枕にして寝る聖と優斗。
「おやすみ」
「「おやすみなさい」」
聖と優斗が寝付くのを待って
「湊。おやすみ」
瞼を閉じて、俺も寝た。
翌朝。
携帯のアラームが鳴り、あまりの五月蝿さに叩き起こされる俺ら家族。そんな俺らの第一声が『おはよう』じゃ無く。
「「「ここどこ?」」」
彼らの目に飛び込んできたのは、辺り一面の木だった。
後書き
更新は遅いです。
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