万華鏡
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第二十一話 夏休みのはじまりその十
だがここで里香は言った。
「けれど殺されてるのは」
「それは?」
「その相手はっていうと?」
「藤会とその関係者だけみたいよ」
あくまで彼等だけではないかというのだ。
「普通の人には何もしてないみたいね」
「じゃあヤクザ屋さん同士の抗争?」
「それ?」
「そうかもね」
こう言うのだった。
「それでも洒落にならない殺し方だけれど」
「ヤクザ屋さんの殺し屋かしら」
琴乃は里香の話を聞いてい言った。
「それかしら」
「だったら適当にやってけだけれどな」
美優はヤクザ同士の抗争ならそれでいいとした。
「ああいう人達は適当にやり合ってな」
「数が減るといい」
「そういうことね」
「ああ、別にいいだろ」
美優は景子と彩夏にも話す。
「ゴミ同士が潰し合ってくれたらな」
「それだけ世の中が綺麗になる」
「そういうことなのね」
「そうだよ、だからいいだろ」
美優はあっさりとしていた。
「特に藤会なんてとんでもないところだったしさ」
「ヤクザ屋さんってね」
景子が四人に話す。
「神社とかお寺とも関係あるけれど」
「あっ、テキ屋とか賭場とか」
「そうなの。昔は賭場は境内とかで開いてたし」
里香にこのことを話す。
「それにお祭りの時の出店もね」
「ヤクザ屋さんだったよね」
「うん、だからね」
それでだというのだ。
「神社とかとヤクザ屋さんって結構関係があるけれど」
「今は?」
「今も多少あるわ」
琴乃にもこのことを話す。
「だからテキ屋さんとかがだから」
「藤会もなの?」
「あっ、藤会はね」
その藤会はどうかというと。
「ほら、八条町って白虎社があるじゃない」
「あそこって港湾の積荷のあれでしょ」
琴乃はその白虎社をそう認識している。
「確か」
「うん、港湾とね」
そしてだった。
「後はテキ屋とかもやってるのよ」
「あれっ、テキ屋さんもだったの」
「あそこ元々もヤクザだったのよ」
「代紋系だったの」
「ええ、そうだったのよ」
それがその白虎社だったというのだ。
「あそこはね。港の積荷も元々はヤクザ屋さんの仕事だったから」
「そうだったの」
「呉がそうじゃない」
琴乃達が夏休みに行く広島の有名な軍港である。
「呉も港があって積荷のお仕事が多いから」
「ヤクザ屋さん多いの」
「広島はそもそも港の場所だから」
それでだというのだ。
「ヤクザ屋さんも多くなったのよ」
「そうだったね」
「そう、それにね」
「それに?」
「映画でもあったじゃない」
東映の極道ものだ、一世を風靡した。
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