ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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ラグー・ラビット
前書き
リンクスタート!
「フッ!」
右手に持った片手剣が青い光と共に音とうなりを上げる。シオンは今、74層の迷宮区に生息するリザードマンロードと戦っている真っ最中だった。
リザードマンロードが放つ“フェル・クレセント”をかわし、うしろに回り込むと垂直四連撃ソードスキル“バーチカル・スクエア”を放った。
HPが0になったリザードマンロードは青白いポリゴン片となって消えた。
「ふう・・・」
シオンはあたりを索敵し敵がいないことを確認し一息着くと、使い慣らした愛剣を背中の鞘に収めた。軽く伸びをした後に時間を確認するとシオンは再び歩き始めた。
手元のウィンドウを開き、転移結晶を取り出すと、
「転移!アルゲート!」
そう告げるとシオンの体は青白い光に包まれて消えた。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
アルゲートに入るとシオンはエギルの店に向かった。
店に入ると見慣れた顔ぶれがいた。
「お~っすエギル。それとキリト」
「よう、シオンか。また買い取りか?」
外人のような肌の黒さにがたいのいい大きな体。店の店主エギルはそうシオンに尋ねた。
「まあな。キリトも買い取りか?」
「ああ、ちょうどこれから」
全身黒で覆われたその服装と少しどこか女の子らしい顔立ちの少年。
“黒の剣士”キリトはシオンの質問に答えるとウィンドウを操作してエギルとシオンに見せた。
それを見たエギルとシオンは驚きの声をあげた。
「おいおい、S級のレア食材じゃねえか」
「“ラグー・ラビットの肉”か、こんなもんよく捕れたな」
「74層の森で見つけたんだ」
「お、おいキリトお前別に金には困ってねえんだろ?買い取るったって、自分で食おうとはおもわねえのか?」
「確かにこんな代物、二度と手に入らないだろうな」
「俺もそう思ったよ。でも、こんなアイテム扱えるほど料理スキルを上げてるヤツなんてそうそう・・・」
「俺は一応あげてるけど、そすがにこれを扱うにはまだ熟練度が足りないかな」
「キリト君、シオン君」
不意に後ろから声がしたので振り返るとそこには“血盟騎士団”の副団長をしている“閃光”のアスナがいた。キリトは肩に置かれたままのアスナの手を掴むと振り向きざまに「シェフ捕獲」と言った。
そして、シオンは彼女の後ろからキリトを睨む存在に気づいた。
「お~いキリト。アスナの後ろから怖いくらいの視線を感じるからいい加減離してやったら?」
キリトはその言葉に慌ててすぐに手を離した。その時アスナは少し寂しそうな顔をしたがまたいつも顔に戻り、
「珍しいなアスナ。こんなゴミ溜めに顔を出すなんて」
「お前がこんなスラムみたいな所に来るとはそれなりのようなのか?」
「もうすぐ、次のボス攻略だから生きてるか確認しに来てあげたんじゃない」
「フレンドリストに登録してるんだから問題にだろ?」
「ああ、いちいち来るなんて律儀だよな~」
「生きてれば良いのよ。で、シェフがどうこうって何よ?」
「ああ、そうだった。お前今、料理スキルどのくらい?」
するとアスナはいかにも得意げな顔をして、
「ふふん♪先週に完全習得したわ」
「なに!?」
「おお」
二人はそれぞれ驚きの声をあげる。キリトに至っては心底驚いている。
「シオン君はそこまで驚いてないように見えるけど?」
「ん、そうか?まあ、お前ならそんくらいあげるだろうと思ってたからかな。少し前に食わせてもらったサンドイッチ、美味しかったし」
「ふーん」
「まあ、ちょうどいいや。キリト」
「ああ、その腕を見込んで頼みがある」
キリトはアスナに先ほどの“ラグー・ラビットの肉”を見せた。
予想通り、目を見開いて驚いた。
「うわっ!こ、これS級食材!?」
「取引だ。こいつを料理してくれたら一口食わせてやる」
するとアスナはキリトの胸ぐらを掴むと、顔数センチのところまで引き寄せた。
「は・ん・ぶ・ん!!」
ここまでやられてしまっては大半の人は断れないだろう。何せ彼女はSAOのなかでも指折りの美人さんである。そんな人にあんなことをされては断れない。
キリトも思わず頷いてしまい、アスナはやったと言って小さくガッツポーズをした。
「とゆうわけでエギル。見ての通り取引は失敗のようだな」
「ああ、みたいだな。それよりシオン、お前買い取りの依頼があるんじゃ?」
「おっと、そうだった。ほいこれ」
シオンはウィンドウから一本の剣を選んでエギルに渡した。エギルは剣を見て鑑定しているとシオンは、キリトに、
「そうだキリト。俺にも食わしてよその“ラグー・ラビットの肉"」
「構わないが」
「安心しろ。アスナみたいにはいかないが、並よりは上の自信がある。何か他のものを作ってやるよ」
そんな風に会話をしているとエギルの鑑定が終わったようだ。
「いいのかシオン。こんな良い武器売っちまって?」
「ああ、構わない。確かに良い武器だけどこれにはまだ敵わないかな」
そう言ってシオンは親指で背中にかけてある剣を指差した。
エギルは苦笑しながら「そうか」とだけ言ってお代を渡した。
するとエギルはシオンの耳元で、
「ところでシオン、あの肉一口だけでも・・・」
しかし、シオンは軽い笑みを浮かべウィンドウをしまいながら言った。
「感想はメールで送っとくよ♪」
「そ、そりゃあないだろ!!」
こうして俺たちは店を後にした。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「で、料理はいいけど、どこでするつもりなのよ?」
「うっ・・・」
アスナの言葉に詰まったキリトにシオンは呆れた声と視線で、
「おいおい、キリト・・・」
「し、しょうがないだろ!」
「どうせ君の部屋にはろくな道具もないんでしょ?今回だけ、食材に免じてわたしの部屋を提供してあげなくもないけど」
「いいのかよ?」
「いいわよ。別になにかやましいことしないでしょ?」
「あはは。まぁそうだわな」
アスナは振り返ると後ろの護衛のギルドメンバーに声をかけた。
「今日はもういいわ。お疲れ様」
「アスナ様!こんな素性の知れぬ奴らを家に招くなど」
すると、アスナはため息をついた。見てわかるほどのうんざりした顔だ。
「この人たちは、素性はともかく腕は確かだわ。だぶんあなたより十はレベルが上よ、クラディール」
「な、何!こんな奴らに私が劣るなどと」
しかしクラディールはすぐに気がついた。そしてさらにすごい剣幕で言った。
「そうか、貴様ら“ビーター"の・・・」
「ああ、そうだ」
「まあな」
キリトとシオンは無表情で肯定した。
「アスナ様、こいつら自分さえ良きゃいい連中ですよ!こんな奴らと関わるとろくなことがない!」
するとアスナも堪忍袋の尾が切れたのか、少し怖いかおで
「とにかく今日は帰りなさい。副団長として命令します」
それだけ言うとアスナはキリトのことをつかんで、そのまま引き摺りながら歩いていく。
「お、おいおい、いいのか?」
「いいんです!」
「ちょっ!おい待てよ!」
シオンもそのあとを追っていきちらりと後ろを見ると、いまだにこちらを睨むクラディールの姿がそこにあった。
後書き
はい!ということで始まりました!
序盤から結構キャラを出していきました。
原作主人公キリト。その将来のお嫁さんアスナ。壁のエギル。噛ませ犬クラディール。
そしてなぜか台詞が少なかったシオン・・・。
これからもできたらオリキャラも出そうかなと思いますので、応援の方よろしくお願いします!
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