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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
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一章 王宮の女戦士
  1-07古井戸

 などと思いつつ、夫婦の再会を見守っていたライアンであったが、ふたりがなにやら怪しげな動きをし始めたところで、牢番が咳払いをして引き剥がした。
 ふたりは慌てて身なりを整える。

 もう少しくらいは待つつもりであったが、こうなっては改めて待つことも無かろう。急ぐ身ではある。

 子供返りしていた『アレクス』が、子供たちの友人として聞いていた秘密の遊び場、東の森の、()れた古井戸の情報を得る。

 夫婦には再会の祝福と情報の礼、牢番には協力の礼を、それぞれ笑顔で伝え、牢屋を出る。
 三人とも顔が赤かったが、色々あった夫婦はもちろんのこと、扱いかねていた囚人の先行きが見えた牢番としても、思うことがあったのだろう。
 背後の牢屋から、夫婦の言い争うような声が聞こえてくるが、会えたとなれば喧嘩もするのが夫婦というものかも知れない。

 さらに、別の男の叫び声が聞こえた。

「せめて!せめて、見せて欲しかった……ッッ!!」

 そういえば、捕らえられているはずの、昨日の下手人の姿が見えなかった。
 障壁のように物が積まれた一角があったから、そこにいたのかも知れない。

 あのような不埒者(ふらちもの)に『フレア』を見せる訳にはいかぬから、牢番の配慮には感謝しきりである。
 全く、有能な男であった。

 機会があれば改めて礼を言うとして、今は東の森に急ぐことにした。


 『アレクス』の情報通り、立ち入り禁止の立て札、そこから続く獣道をたどれば、苦も無く古井戸は見つかった。
 近付くと、井戸の中から声がする。

『こっちへおいでよ……。』

 元よりそのつもりで来たのだから当然、井戸の中に入り、底に下りる。
 下りてからも、

『そっちじゃないよ、こっちだよ……。』
『そっちへいくと、かえっちゃうよ……。』

などと、指示とも忠告ともつかぬ声が、ことあるごとに聞こえてくる。

 声がなんと言おうと、ここが行方知れずの子供たちの遊び場であった以上、どこかに子供が取り残されている可能性がある。
 ひと通り調べ終えるまでは、ひとまず声は無視して良かろう。

 邪魔な声は聞き流し、洞窟のように入り組んだ古井戸の底を(しらみ)潰しに調べ、手掛かりを求めて宝箱を開けては薬草や面妖な木の実などを回収し、奥へと進む。


 いくらか進んだところで、奇妙な魔物を見つける。
 ここ古井戸の底で何度か遭遇した、ホイミスライムである。
 しかし邪悪な気配が感じられず、悪意や敵意といったものを持たないように見受けられる。 
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