DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
第19話:頭ばっかりでも、体ばっかりでも、ダメよね!って言うCMがあった事を思い出す。
(サントハイム - エンドール)
リュカSIDE
やっぱりお城で振る舞われる料理は美味しいよね。
お城暮らしの長所はそれだけだと思う…
あとはめんどくさい事ばかりで、自由を愛する俺には向かない。
そしてここにも自由を愛する少女が一人…
俺の為に買い揃えたセクシーおパンツを惜しげもなく披露するアリーナ。
黒のパンストってセクシーだね。
「はぁはぁはぁ…ど、どうして私の攻撃は当たらないの…?」
膝を支えに肩で息をしながら苦しそうに呟くアリーナ。
先程から俺に、攻撃という名目でパンチラと爽やかな風をプレゼントしてくれている。
「はぁはぁ…私の素早さが足りないのかしら?」
俺としては素早さより、オッパイの大きさを足してほしいです。
背中の肉を掻き寄せて、ブラの中にセクシー収納。
「ねぇ! 何でなのよ!?」
「オッパイが小さいからじゃね?」
「か、関係ないでしょ! もう、真面目に答えてよ! 私の師匠でしょ!」
師弟の関係ってこんなだっけ?
何で弟子に怒られてるんだろう?
嫌なら弟子を辞めれば良いのに……
「………でも本当の事を言ったら怒るし…どうせ怒られるなら巫山戯てた方がマシだし…」
「お、怒らないわよ。強くなる為に指摘されるのなら、怒る訳がないでしょ!」
何か既に怒ってる感じがするけど、言質を取ったし言ってみるか。
「多分…アリーナは………馬鹿なんだよ」
「……………」
お、本当に怒らない。ちょっとはそんな気がしてたのかな?
「ば、馬鹿とは何よ失礼ね!!」
何だ…タメてただけか…
結局何時も以上に怒っちゃってる。
「だから言いたくなかったんだよ…もう二度と言わない…今後は自分で気付いて下さい…僕に頼らないで下さい…」
俺は大袈裟にしょぼくれて、座り込み拗ねるフリをする。
「ご、ごめんなさい…だって馬鹿とか言うから…ごめんなさい…」
アリーナはあまり言い訳をしない娘だ。
そこがアルルと大きな違い。俺の義娘は言い訳がましくヒステリック。
「うん。じゃぁ改めて説明するね」
「はい、よろしくお願いします!」
機嫌を直し笑顔を向けると、チョコンと俺の前に座り上目遣いで教わろうと身構える。
う~ん…可愛いなぁ…
「アリーナはね戦闘馬鹿なんだ。戦闘馬鹿ってのはね戦術馬鹿の事で、戦術馬鹿ってのはね目の前の戦いの事しか考えてないんだ。気持ちを一歩引いて、戦闘以外の事にも気持ちを向けて、全体の事を把握する必要があるんだよ」
「ぜ、全体の事?」
「うん。さっき攻撃が当たらないって言ってたけど、それって自分目線での考え方だよね。攻撃を避ける方の事を考えてないよね」
「避ける方の事って…どういう事!? 全然解らないわ」
「誰だって殴られそうになったら避けるよ…ただ黙って殴られる奴なんて希だ。そう言う趣味の奴ぐらいだと思うよ。だから相手の事を考えて、避けられなくしてやるんだ!」
「避けられなく……一体どうやって?」
「それは僕に聞かないでよ。それぞれ考える事が重要だ! …まぁ例えば、魔法で眠らせてから攻撃するのも、手段の一つだね」
「でも私、魔法使えないわよ! どうすれば良いのよ!」
「だから例えだって! アリーナはアリーナなりの方法を見つけるんだよ!」
本当馬鹿だ…何でも俺に聞くなよな。
「いいかい、アリーナなりの方法を見つける為に、さっき程言った『一歩引いて、戦闘以外の事にも気持ちを向ける』って事なんだ」
「でも、一歩敵から引いたら、攻撃がとどかなくなるじゃないの!」
「だから違うって! 本当に引かなくても良いんだよ…気持ちを一歩引く事が感じなの!」
「おいリュカ…姫様には、もっと具体的に言わんと伝わらんぞ」
俺の後ろでブライが欠伸をしながら忠告する。
「はぁ…つまりね、さっきまでの戦いでアリーナは、僕のフェイントに引っかかり攻撃をハズしまくってたんだよ。僕が右に動く様に見せかけると、それに騙され右へ攻撃を繰り出す。勿論それはウソだから、アリーナの攻撃は当たりはしない!」
「何よ、私の事を騙してたのね!? 狡い…卑怯じゃないのよ!」
「………どうしよう、イライラしてきたよ。あぁハツキは素直な良い子だった…色々教えてて楽しかったなぁ…」
「うっ…わ、悪かったわね…誰よそれ!?」
「僕の元愛人……って、彼女の事はいいんだよ! 兎も角、相手の動きを読み気配を感じながら戦う事が重要なの! “目”にだけ頼ってたんじゃ、何れは何も出来無くなっちゃうよ」
「気配を感じるって何? どうやんの?」
何でも直ぐ人に聞く…ちょっとは自分で考えて欲しいなぁ。
やっぱりお姫様として甘やかされてきたんだなぁ…俺の娘は皆しっかりしてて感じなかったけど、お姫様ってこうなんだなぁ。
「はぁ…簡単に言うと五感をフル稼働させる事だよ」
「ごはん?」
イラッ…結構真面目に教えているのに、ふざけられると苛つく。
「え、ギャグ? ワザとだよね、今の!?」
絶対ワザとだと思ったから、ちょっと怒りながら指摘した。
すると俺の後ろでブライが、顔を押さえ落ち込む気配が…マヂなの?
「ほ、本当に五感が分からないの?」
「分からないわよ! 誰も教えてくれなかったもん! 私に解る言葉で喋ってよ…」
俺は振り返りブライを睨む…アイツ、アリーナの教育係って言ってた。
使えないジジイだ!“ペッ”と唾を吐き、奴を見下し向き直る。
「はぁ…あのね『五感』ってのは、『視覚』『聴覚』『味覚』『嗅覚』『触覚』の事。目で見る『視覚』・耳で聞く『聴覚』・舌で感じる『味覚』・鼻で嗅ぐ『嗅覚』・肌で感じる『触覚』と五つの感覚の総称だ」
「へー…ゴカンって言うんだ! ………で、具体的にはどうフル稼働するの?」
「うん。まず一番使いやすいのは『聴覚』だね。次に『嗅覚』と『触覚』が使い勝手が良い! この3つを使いこなせれば、『視覚』が失われても日常生活は問題なくなる!」
「え!? それは言い過ぎでしょう? 幾ら何でも『視覚』を補えるとは思えないけど…」
「そんな事はない。むしろ『視覚』より色々な事が見えてくる」
「ウソだぁ~! 『視覚』が無かったら何も見える訳ないじゃない!」
「ホントだよ! 例えば…いま、僕の真後ろでブライが髭を触り感心し頷いている!」
一瞬でアリーナの顔に驚きが広がった。
そう、俺の言った通りブライは髭を触り感心し頷いていたのだ。
「どう? 『視覚』が無くても、真後ろの事が分かっただろ」
俺からは完全にブライは死角な為、目では見る事が出来ない。
しかし俺の前に座るアリーナからは、ブライの姿はハッキリ見えている…
そして彼女の綺麗な瞳には、驚き顔のブライの姿が映っている。
はい。とんだハッタリです!
でも今必要なのは、そう思い込ませて嬢ちゃんにも考えながら戦いをさせる事なのです!
体ばかりを鍛えても、頭がカラッポじゃダメなんだよね。
リューラも剣術を始めた頃は力押しばかりでアレだったけど、頭を使いながら戦う事を教えたら格段に強くなったからね。
目の前のお嬢ちゃんも、先程のハッタリに大変関心を寄せている…
これで少しは考えながら戦ってくれるだろう。
まぁ成長すれば、このハッタリにも気付くだろうし…
素直な奴は強くなったってフェイントに引っかかるもんだし…
真実は打ち明けなくても大丈夫だろう。
リュカSIDE END
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