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ドラゴンクエストⅢ 勇者ではないアーベルの冒険

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第17話 そして、一時帰郷へ・・・

修行を終えた俺たちは、久しぶりに、アリアハンに戻った。
明日、再出発ということでパーティを解散し一日ゆっくり過ごすことにした。
俺は自宅に帰ると、今後の方針を考えることにした。
ちなみに俺たちのステータスシートはこんな状況だ。

テルル
商人
ぬけめがない
せいべつ:おんな
LV:15
ちから:32
すばやさ:31
たいりょく:45
かしこさ:28
うんのよさ:21
最大HP:89
最大MP:57
攻撃力:58
防御力:61
EX:8,853
チェーンクロス、みかわしの服、うろこの盾、毛皮のフード

セレン
僧侶
ふつう
せいべつ:おんな
LV:14
ちから:32
すばやさ:26
たいりょく:41
かしこさ:30
うんのよさ:43
最大HP:80
最大MP:59
攻撃力:58
防御力:50
EX:8,853
鉄の槍、みかわしの服、うろこの盾、皮の帽子

アーベル
魔法使い
きれもの
せいべつ:おとこ
LV:14
ちから:14
すばやさ:26
たいりょく:26
かしこさ:54
うんのよさ:46
最大HP:51
最大MP:108
攻撃力:22
防御力:40
EX:8,853
ブロンズナイフ、みかわしの服、おなべのフタ、皮の帽子

ちなみにテルルの武器はグループ攻撃用の装備であり、1匹を相手にする場合は鉄の斧を使用する。

「やはり、4人目が必要か」
俺はひとりつぶやく。
このパーティは物理攻撃役、回復役、攻撃魔法役がそろっている。
バランスとしては問題ないこのパーティが抱えている弱点は、俺のHPの少なさにある。

俺は、敵からの連続攻撃を受ければ、すぐに死んでしまう。
そして、全体攻撃を持たないパーティは全滅するだろう。
たとえ、俺抜きでモンスターを倒せたとしても、洞窟の中で俺が死亡していたら、迷宮脱出呪文リレミトが使えないため、全滅する可能性が高くなる。

回避するための手段は、単純に強くなることか、集中攻撃を無くすようにすることぐらいしかない。
俺が強くなるために、経験を稼ぐのは問題ないが、時間をかけすぎるわけにはいかない。
俺たちが旅立った表向きの理由はロマリア、ポルトガとの交渉だ。
遅くとも、勇者の出発までには解決する必要がある。

集中攻撃を回避するための手段として、4人目の仲間を加える方法がある。
こちらの問題点として、誰を加えるかという問題点がある。
正直、新たな仲間は盾役程度しか期待はしていないので、HPの高い戦士がいればいい。

しかし、アリアハンには必要な人材もいなかった。
すでに、王国の兵士として就職しているか、他の仲間と組んで冒険を始めているのだ。
結局いままでどおり3人で旅をして、よい人材がいればスカウトしよう。
いろいろと考え事をしているうちに、両親が城から帰ってきた。


我が家での夕食での会話はいつも、ソフィアが俺に質問する形で行われていた。
俺が冒険に出発してからは、ソフィアの最初の質問はいつも、パーティの所持金や装備品の価格についてのことだった。
父親のロイズは黙々と食事を続けていた。

「ロマリアはどうだったの?」
「おじいさんは、亡くなっていたよ」
「そう」
俺の答えを予想していたのか、ソフィアは自分の父親の訃報にも表情を変えることはなかった。
「毎年のように、冒険者を通じて手紙が来ていたけど、5年前からいっさい送ってこなかったからね。覚悟はしていたわ」
それでも、昔の事を思い出したのかどこか遠くを見るような目をしていた。

俺は話題を変えるため、勇者の事を質問する。
「呪文の効果はどうだった」
「ばっちりよ」
「それはよかった」
俺はソフィアにある呪文の作成を依頼していた。
「おもいだす」に「おおごえ」の呪文を組み合わせた内容である。
とりあえず「しゃべりだす」という呪文名(仮称)を俺と母親はつけていた。

これにより、勇者が深く心に刻んだ言葉をしゃべる事ができるようになった。
厳密に言えば、再生機のスピーカーのようなものだが。
これにより、「勇者はしゃべれない」ことを隠すことが可能となった。
当然、しゃべれる言葉の数は限られてしまうが、効果的に使うことができるだろう。

「アーベルにお願いがあるの」
「なに?」
「勇者があなたの声を使いたいそうよ」
「・・・、わかった」

今後、俺も交渉の場に出る予定だったのでどうかと思ったが、兄弟などは声が似ていることもある。
問題ないと判断し、勇者の出発までに何を覚えさせるか考えることにした。

「しゃべりだす」の呪文で覚える言葉は、なるべく少ない方がいいだろう。
32個まで覚えることができるが、父親であるオルテガの言葉を忘れさせる訳にはいかないだろう。


翌日、ルイーダの酒場で3人が集まった。
魔法の玉の量産化についてのキセノンへの話は、キセノンの娘であるテルルに任せている。
俺が直接キセノンにあっていたら、いろいろと頼まれごとをされそうで困ると判断したからだ。
借りていた10,000G(装備代を含む)を返すまでは、頼まれごとを断りにくい状況もあるからだ。
もともと俺は小心者なので、借りた金を返さないままというのは心情的によくないのだ。

俺たちはキメラの翼で、アッサラームへ移動する。
アッサラームの西にあるイシスの城下町を目指して。 
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