ドラゴンクエストⅢ 勇者ではないアーベルの冒険
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第14話 そして、この世界での通貨及び経済の考察へ・・・
「これでよし」
俺のヒャドで「ぐんたいガニ」と呼ばれるカニ状のモンスターが倒れる。
俺たちは、カザーブ周辺で経験値稼ぎをしている。
目標は、俺が全体攻撃魔法「イオ」の習得LVであるLV11まで稼ぐつもりだ。
モンスターは倒されると、小さな金色の金属製の物体を落とす。
この物体は、モンスターを生成するために必要な触媒と考えられており、魔王の邪悪な力によって生命が与えられたと考えられている。
だが、一度モンスターが死ぬと、モンスターによる「ザオリク(僧侶が使う同名呪文とは異なる)」を使用しない限り、その場で復活することができない。
しかも、一度人の手に触れると、直接魔王が触れないかぎり、二度とモンスターには戻れない。
やがてこの物体の性質と希少性から、通貨「ゴールド」として流通するようになる。
ゴールドを回収しながら、俺は世界が平和になったら、現行の経済がどうなるのか考えていた。
基本的にモンスターがいるかぎり、ゴールドの流通量が増加する。
流通量が増加することで、相対的にゴールドの価値が下がる。
単純に考えれば、インフレ状態になるだろう。
現に、ゴールドの流通量が少ないアリアハンの宿屋より、ゴールドの流通量が多いカザーブの宿屋のほうが2倍ゴールドが必要になる。
世界が平和になり、モンスターがいなくなればどうだろうか。
平和になることで、人口が増え消費が増大することで必要となる通貨量が増える。
一方で、モンスターがいなくなり、通貨の全体量が変化しないため、相対的にゴールドの価値があがる。
その結果、デフレ状態になるだろう。
デフレ状態により、資産価値が下がると、・・・
「アーベル!」
テルルが思いっきり背中をたたく。
「いてっ!」
俺はテルルをにらみつける。
「また、考えごと?」
テルルはあきれたように答える。
「何度も呼んだのに反応がないから、たたいたのよ。こんなところで死にたくないでしょ」
思わず考えすぎたようだ。
「すまん。気をつけるよ」
「わかればいいのよ。わかれば」
テルルはため息をついた。
俺たちは、次の獲物を探していた。
イオを覚えた日の夜、俺たちはカザーブの宿屋で話をしていた。
「ところで、これからどうするの?」
「アッサラームに向かうつもりだ」
「そう、アッサラームね。って、どこ?」
テルルは問いかける。
「ロマリアの東がわにある町だ」
「そうなの」
「しらなかった」
テルルもセレンも知らないようだ。
そう。アッサラームの町の情報は、カザーブの北にあるノアニールで聞くことができる。
俺は、前の世界での知識をもとにして話しているのだ。
「どんな町なの」
「たしか」
俺は、あの町にいる商人達のことを思い出し、にやりと笑みを浮かべる。
「楽しそうな町のようね?」
「そうなの。早く行きたいな」
やばい。勘違いされた。
「べ、別にベリーダンスのことを考えたわけじゃないぞ」
俺はあわてて否定する。
「ベリーダンス?」
「なんのこと?」
セレンとテルルは質問してくる。
失敗した。墓穴をほったらしい。
「いや、俺もくわしくは知らないが、聞いた話ではおもしろいらしい。ただ、俺は興味がないが、説明するときの男のかおがおもしろかったので、つい」
「そうなの」
「なにか、あやしい~」
セレンは素直に納得してくれたが、テルルは怪しんでいる。
カンが鋭すぎるぞ、テルル。
「まあ、東方は手強いモンスターがいるらしいから、気をつけないとね」
「そうね」
「じゃあ、今日はこのあたりで寝ますか」
俺たちは、明日に備えて寝ることにした。
布団のなかで、数日前に考えたデフレについて頭の中で考えをまとめていた。
通貨の不足によるデフレは、通貨をさらに貯める事につながり、デフレを加速することになる。
この結果、消費が冷え込み、売り上げが伸び悩み、価格競争が始まる。
価格競争により犠牲になるのは、賃金がほとんどであることから、さらなる消費の落ち込みによるデフレスパイラルが発生することになる。
解決するための手段として、紙幣の発行を考えるか?
平和になり、人口が増加し消費が拡大することになることを前提にして、国が保証する紙幣を発行すればいい。
キセノン商会も、将来のことを考えれば納得するだろう。
逆に、キセノン商会に金融部門を創設させれば、キセノン商会も盤石になるだろう。
もしくは、俺が金融部門を設立してもいい。
そうなれば、ゴールド銀行の経営を調べる必要があるな。
今後、忙しくなるだろう。
「なに、ぶつくさ言ってるの。眠れないわよ」
「ああ、ごめん」
そういって、俺は目を閉じた。
後書き
私は経済学も詳しくありませんので、間違っていても、あたたかい目で見守ってください。
次回は、アッサラームの予定です。
アッサラームと言えば、あのイベントですね。
当然、入れる予定にしております。
とはいえ、R-18やR-15にならないよう、気をつけますが。
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