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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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無印編 破壊者、魔法と出会う
  3話:『空我』

 
前書き
 
第三話です
  

 
 



「そんな…バカな話はねぇだろ……」

こちらに近づいてくるグロンギの一体。名前は確か、『ズ・グムン・バ』。クモ種のグロンギだ。

「ユーノ君、あれって…」
「…僕にもわからない。あんなモノ、見たことない」
「…お前らは下がってろ」

俺はそう言って前に出る。ゆっくり一歩ずつ歩み寄る。

「ビガラグ ザバ ディケイド!ジョボゲ ゾ ジュエルシード(貴様がディケイドだな!ジュエルシードを寄越せ!)」

「グロンギ語…。ゴレバ ロデデバギ ゾ ジュエルシード!(俺はジュエルシードを持ってない!)」

「バサマ…ヂバサグブゼ グダグ ラゼザ(ならば…力ずくで奪うまでだ!)」


グムンはそう言って俺に向かって走ってきた。俺はライドブッカーから一枚のカードを取り出す。

「相手がグロンギなら、こっちも相応の相手で勝負してやる!」

そしてそのカードを入れる。

〈 KAMEN RIDE・KUUGA! 〉

その音声と共に、ディケイドの姿が変わる。最初に胴。さらにそこから腕、足、最後に顔の仮面が変わる。

それと同時に放たれたグムンの右ストレート。だがそれをかわし右拳をボディーに当てる。グムンはその一撃によろめきながら後退する。

「ビガラ、ゼザババダダボバ ディケイド!?(貴様、ディケイドではなかったのか!?)」

「ゴグザ。ザガ、ギラバ ゼロガスベゾバ クウガ(そうだ。だが、今はクウガでもあるけどな)」

そう言って俺は走りだす。グムンも腕にある爪を構え、迎え撃とうとする。

「は、はぁ!」
「グッ、ガアァ!」

俺が左右のパンチを出す。それを防ぎ、爪で切り裂こうと右腕を振り下ろすが、俺は紙一重でそれをかわす。

「ふっ、は!」
「グゥ!?」

さらにそのかわした右腕を掴み、引っぱりながら右膝蹴りをくわえる。それによりグムンは少し後退。俺は好機と見て、さらに攻撃をくわえる。

「ふっ、はっ、はぁあ!」
「ガァアア!?」

右パンチ、左パンチ、そして右蹴りを与える。そして怯むグムンの体を掴み、投げ飛ばす。

「でぇりゃぁああ!!」
「グガァアア!?」

投げ飛ばされたグムンは転がっていき、俺は身構える。グムンはむくりと起き上がり、周りを見る。すると何かに気づいたのか、ある方向を見て走り出す。

その方向には………

「へ?ふぇぇぇぇ!?」
「なっ!まずい!」

なのはがいた。俺もそいで走り出す。だが、やはりグムンの方が近く、一足先になのはの元につく。そしてグムンは爪をなのはに向け、叫ぶ。

「ドラセ!(止まれ!)」
「ひ…」
「っ……」

「グゴベダ ボボルグレグ ゾグバスバ…パバスバ?(動けばこの娘がどうなるか…わかるな?)」

「くっ……」

グムンはそう言ってさらに爪をなのはの首に突き立てる。

「クックック、ガァ!」
「っ、く!」

俺が命令通り動かないでいると、グムンの口から糸を吐き出してきた。その糸は俺の右手首に絡まり、グムンはそれを操り俺を投げ飛ばす。

「うわっ、ぐわっ!」
「か、仮面ライダーさん!?」

投げ飛ばされた先に、工場によくある角材の積まれた場所があり、俺は見事そこにダイブされた。












[…ユーノ君、この変な人に私の魔法効くかな?]
[え?それは…僕でも…]

私はユーノ君に念話で相談した。でもユーノ君でもわからないようで、言いよどんでいた。

[…なら、試してみる価値はあるみたいだね]
[え?]

私のせいで、人に迷惑がかかるなら……

[レイジングハート]

そのことを聞いて、私はレイジングハートを掴む。

そして………














〈 Protction 〉

「っ!?」
「グォ!?」

俺が角材のがれきからぬけだしたその時、機械的な音声と共にグムンとなのはの間にピンクのバリアが現れる。そしてなのはの手には一本の杖が収まっていた。
それにより、グムンの爪はなのはから離れ、なのはへの攻撃が通らなくなった。

〈マスター、今です!〉
「あぁ!」

俺は手首に付いた糸を引きちぎり、立ち上がりながらライドブッカーから一枚のカードを抜きとる。
その間にも、グムンの爪はなのはのバリアにめり込み、突き破ろうとしていた。
そして俺は抜きっ取ったカードをディケイドライバーに挿入する。

〈 FORM RIDE・KUUGA PEGASUS! 〉

音声と共に、クウガの姿が変わる。胸や腕、足の装甲の色が緑へと変わり、肩の装甲が変わる。そして右手に現れた緑のクウガの専用武器『ペガサスボウガン』を握る。

クウガのフォームチェンジの一つ、『ペガサスフォーム』。
人の何倍もの感覚を持つ、緑のクウガだ。

俺は変化を終え、なのは達を見る。グムンの爪は、なのはのバリアを今にも突き抜けようとしていた。
俺は右手に持ったペガサスボウガンを構え、叫ぶ。


「伏せろ、なのはぁぁ!!」


「っ!」

俺の声に反応してか、なのはは体を縮めた。刹那、俺は引き金を引く。
ボウガンから放たれた一撃は、精確にグムンの顔に命中する。

「グォォ!?」
「こんの……やろう!」

さらにボウガンを構え攻撃を放つ。それはグムンの体に命中し、グムンは倒れる。
なのははその隙にこちらに逃げてくる。

「無事か、怪我は」
「う、うん。大丈夫です…」

それを聞いて、俺はうなずきながらさらにカードを抜き取る。

「てめぇ…関係ねぇ奴を巻き込みやがって…!」
〈 FORM RIDE・KUUGA DRAGON! 〉
「ぜってぇ許さねぇ!!」

抜き取ったカードを使い、クウガの体はさらに変化する。装甲の色は青く、厚さは少し薄めになった。青のクウガ、『ドラゴンフォーム』だ。
変化を終え、右手を突き出すと、その手の中に青色の棍棒、『ドラゴンロッド』が収められる。

倒れていたグムンはゆっくりと立ち上がる。俺はドラゴンロッドを構え、グムンに向かって走り出す。

「ググ…」
「でぇりゃああ!」

俺は軽くジャンプし、ドラゴンロッドを振り下ろす。それをくらい怯むグムン。すかさずロッドを操り、繰り返し打撃を加える。

「バゼ ベサグ ゾ ジュエルシード!?(何故ジュエルシードを狙う!?)」
「バガラビ ギグバヂパ バギ!(貴様に言う価値はない!)」
「なら、倒すのみ!」
「グガァ!?」
「はぁっ!」

最後に渾身の突きを与える。グムンはその衝撃に吹っ飛ぶ。

「次、行くぜ!」
〈 KAMEN RIDE・KUUGA TITAN! 〉

さらにカードを使用し、体の装甲を通常より分厚くする。装甲は主に銀色で、紫色のラインが走る。紫のクウガ、『タイタンフォーム』。

「グオォォ!」

グムンは変化中に起き上がり、腕に付いている爪を立てながらこちらに突っ込んでくる。そしてその爪で、俺を引き裂こうと腕を振るう。

「あ、危ない!」

なのはは叫ぶが、俺は動かない。そして振り下ろされたグムンの爪は………

ガギィィン!
「ガッ…」

装甲に当たったまま、先には進まず止まってしまった。

「残念。そんな攻撃じゃ、俺の装甲はビクとも……」

俺はそう言いながら、右手に紫の大剣、『タイタンソード』を掴み………

「しねぇんだよ!」
「ガァア!?」

振り上げる。そしてそのままの体勢から、タイタンソードを振り下ろす。

「ガァアア!?」

グムンは再び体から離れ、切られた場所を抑えるように手を添える。だがそれもすぐに止め、再び爪で斬りつける。

「ガァ、ガァ!」
「きかねぇって言ってるだろ!」

斬りつけてきた右腕を掴み、さらに一撃を加える。

「ガァア!?グゥ……」
「さぁ、フィナーレと行こうか」
〈 FORM RIDE・KUUGA MIGHTY! 〉

そして俺の姿は元の赤色のクウガ、「マイティフォーム」に戻る。
元のクウガに戻って、ライドブッカーからさらにカードを抜き取る。そのカードには、金色のクウガのマークが施されていた。

「行くぜ……」
〈 FINAL ATACK RIDE・ku ku ku KUUGA! 〉
〈 Mighty kick 〉

音声と共に構え、俺の右足に封印エネルギーを収束させる。
そして立ち上がるグムンに向かって走り、ジャンプして空中回転蹴りを決める。

「せぇりやぁぁぁぁ!!」
「グォオオ!!」

それを食らったグムンは吹き飛び、地面に落ちると同時に爆発した。

「はぁ、はぁ、はぁ……少し…疲れた、か…」

着地し、ゆっくり立ち上がる。その間に俺の体はクウガからディケイドに戻る。

「仮面ライダーさん!大丈夫ですか?」
「あぁ…まぁな…」

するとまたあの灰色のオーロラが現れ、俺達を通過する。そこは先程の工場ではなく、ジュエルシードを封印した神社だった。

「戻って…きたんだよね…」
「そうみたいだね」
「…………」

戻ってきたことを確認した俺は、無言で神社の奥の森の方へ歩き出す。

「あ、あの!仮面ライダーさん!」

だが、そこに俺を呼び止めるように声が響く。声の主は、なのはだ。

「あの…私、聞きたいことが「あのさ…」…ふぇ?」
「その、『仮面ライダーさん』ってのは…止めてくれないか?」

なのはの質問を遮って、俺は顔だけを向けながらそう言う。なのはは少し首を傾げる。頭の上に「?」のマークが見えるようだ。

「じゃあ…なんて呼べば……」
「…ディケイドで、いい」

そう言って俺は森の中に入っていく。












「ディケイド…さん……」
「なのは、もう時間が」
「あ、そうだね!」

私がそうつぶやくと、ユーノ君が忠告してきた。私はその言葉で我に返り、神社の石段を降りていく。

(ディケイド。一体何者なんだろう。あんな魔導士、見たこと…)
「ユーノ君?どうしたの?」
「え?あぁ、なんでもないよ」

私の呼びかけに、心ここにあらずな感じで答えるユーノ君。そこで私はあることを思い出す。

(あ…忘れてた。ディケイドさんに…聞こうとしたこと…)

私は夕焼けに染まった空を見上げながら思う。


『伏せろ、なのはぁぁ!!』


(なんで…なんで私の名前、知ってるのって……)



  
 

 
後書き
 
(4/11修正)
  
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