聖闘士星矢 アイオロスの弟子
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成果
地獄の訓練から1ヶ月が経過。ディアスは訓練のお陰か小宇宙の扱いを少しずつだが物にしていった。なぜか途中からアイオリアも巻き込まれた形で訓練に参加していたが。
朝。ディアスはいつもどうり聖域を走っていた。前は2周くらいで体力が尽きたが今は5周くらいはできる。普通の人は絶対にできない。
「・・・・・」
「・・・・・・なあディアス。」
「・・・・・」
「・・・おい」
「・・・・・・・ディアス!聞いてんのか?」
「怒鳴らなくても聞こえてるッスよ。ただちょっと考え事ッス。」
こんな時に考え事ができるってどうゆうことだよ。俺はもうバテバテだぞ!ディアスはなんか平常どうりの顔してるし。どんな体力してんだ!
とディアスの底なしの体力に脱帽しているアイオリアがいた。
しかし・・・・この訓練、まだとてもじゃないが慣れない。こんなのをもう1ヶ月もしてる。普通の訓練の百倍はキツいぞ。しかもこいつはこの後、なんか座学もあるらしいし、そのあとは兄さんと組手・・・・とてもじゃないがまともの訓練じゃない。
「お前はこんな訓練よくやるよな・・・・・・」
「・・・・」
「明らかに普通の訓練量じゃない。」
「他の人は違うんスか?」
「当たり前だろ。普通はこれの十分の一以下くらいしかやらん。」
「・・・・まぁ他所は他所、家は家って言うじゃないッスか。」
「そんなレベルじゃねえよ。」
半ばアイオリアは諦めていた。
そんなこんなで地獄のマラソンも終わりディアスはサガの座学の時間である。ディアスはいつも寝ては光速のチョークを喰らっている。
そう言う今も熟睡中のディアスにサガは容赦なくチョークを投げる。
しかしディアスはその瞬間、目を覚ましチョークを躱した。
「ほぉ・・・・・避けるのは上手くなったな。」
「流石に何度も喰らえば慣れるっスよサガさん」
「そうか、では今度からは黒板を投げるとしよう。」
「真面目に聞くんでそれだけはやめてくださいお願いします。」
すかさず土下座に走る。
せっかくチョークに慣れてきたのに黒板なんか投げられたら死んでしまうッス!
「・・・冗談だ。いちいち投げていたら黒板がなくなる。」
「・・・・それは本当に冗談なんスか」
「・・・・・・・・・・では続ける。」
あれーーー。冗談じゃないっぽいッス。これは今度から寝ないようにするのが得策っス。
ディアスは今度からは寝ないようにしようと心の底から誓った。
「ではディアス、質問だ。」
「はいッス。」
「地上を守る神とはなんだ?」
「それはもちろんアテナ様ッス」
「そうだ。・・・・・では海を守る神は何だ?」
「海?・・・・・アテナ様ではないんスか?」
「そうだ海の下には海界と言う言わば海の聖域が存在する。その世界にはアテナと言えど干渉することはできないのだ」
「それは・・・・・アテナ様以外の神様がいるからッスか?」
「そうだ・・海界にはポセイドンと呼ばれる神が存在する。神話の時代にアテナと地上をめぐって戦ったこともある。しかしそれは昔の話、ポセイドンは今封印されあと数百年は蘇ることはない。」
「そうなんスか・・・・てことはまだ神様はたくさんいるって事ッスか」
「ああ・・・・そうだ。大まかに話すと。天界、地上より遥か上の世界にゼウス。冥界、天界とは逆、地上より遥か下に存在する死者の国。そこにハーデス。そして先ほど話した海界、海の世界にポセイドン。この神々が地上以外に存在する。」
サガの話を聞きディアスは自分たち人間より上の存在というものを理解した。
ゼウス・ポセイドン・ハーデス・・・・・こんなに敵がいるんすかアテナ様は
「でも・・・・・神様なんてどうやって倒すんスか?」
「神はこの地上に生きる人間に宿り降臨する。その器となった体を倒すことができれば神と言えど数百年は地上に干渉はできない。」
「なるほど・・・・でも、それじゃまた攻めてくるんじゃ」
「神の魂は不滅。人間では神を完全に倒すことはできない・・・・それは仕方のない事なのだ」
「そうっスか・・・・」
神を完全には倒すことはできない。つまり倒してもまた攻めてくる。これじゃあ戦いは一生終わらないということなのか。
「きっと」
「ん・・・・?」
「きっといつか戦いが終わるといいっスね。」
「・・・・・そうだな、」
サガは争いが終わった世界を静かに思い浮かべた。
きっといつか・・・・・か。そのためにも我等がまずこの時代の聖戦を乗り切らねばならぬ。カノン、お前にもそれがわかる日が来るのか・・・
「・・・・・・・・・・・・」
「サガさん?」
「!・・・いやスマン考え事をしていた。もうこんな時間か、今日はここまでだ行っていいぞ。」
「はいっス・・・・ありがとうございました!」
一礼をしてディアスは双児宮を後にした。
しかし、ゼウス・ポセイドン・ハーデス・・・・・世界にはいろんな神がいるんスね・・・・あれ?アテナ様には聖闘士がいると言うことは他の神様にも自身を守る戦士ってのがいるんスかね・・・
まぁ・・・考えても仕方が無いことッスね。今度サガさんに聞けばいいことっス。
そう考えている内に人馬宮に着いた。これからアイオロスとの組手がある。
今日はどんな感じにボコボコにされんでしょうか・・・二日目の時なんて師匠一歩も動かずに戦ってたッスからね。
あれは訓練と言うよりリン・・・ゲフンゲフン・・考えないようにするッス。
人馬宮の裏手に出ると、そこにはアイオロスが仁王立ちをして待っていた。そしてアイオリアがボロボロの状態で横たわっていた。
「・・・・少し来るのが遅いな。」
「いやぁ・・・そんなことはないと・・・思いますよ」
言葉に詰まる! いやいやいやなんか今日はいつにもまして迫力があると言うか・・・・
と言うかなんでアイオリアは死んでるんスか!?
「・・・あの師匠」
「なんだ?」
「つかぬことを聞きますが・・・なんでアイオリアが」
「ああ・・・さっきまで組手をしていた、何分少したるんでいたのでな。」
あぁ・・・・・・・哀れアイオリア。とアイオリアの遺体にお辞儀をしておいた。これで成仏するはず・・・・
「って勝手に殺すな!」
アイオリアが鬼気迫る勢いで突っ込んできた。
「やだなぁ・・・・冗談スよ・・・・少し」
最後の方だけ小さく喋った。
「今少しって言わなかったか!?」
「・・・・・・・・気のせいッスよ」
「なんだ今の間!?」
「・・・・ディアスお喋りはそこまでだ。はじめるぞ。」
アイオロスが死刑宣告をするがごとく告げた。
「ははは・・・・はいッス。」
「では・・・・行くぞ!」
「!?」
訓練開始の合図はアイオロスの一撃で始まる。その速さはマッハ。普通の黄金聖闘士の拳は光速でとてもじゃないが見切れるものでもないのでアイオロスが手加減している。
・・・・見える。前まで全然見えなかった師匠の拳が見える。
「ここだ!」
「!?」
それを躱し、すかさずアイオロスに拳を入れる。アイオロスはそれを片手で受け止めた。
「ぐぅ・・・・やっぱりだめっスか」
「いや・・・まさか私に受け止めさせるほどの攻撃を放つとはな。・・・それに手加減しているとは言え私の拳を躱すとは・・・成長したな。」
マジっすか・・・・師匠から褒められてる。まぁ・・・あれだけ修行してこれくらい出来なかったらそれこそ殺されるッスね。
しかし・・・・これ以上攻撃のスキが見つからないッス。
アイオロス追撃の連続拳を放った。
「ぐ・・・・!」
そこから飛び退き・・・連続拳を躱すディアス。だが避けるので手一杯で攻撃につなげることができない。
「どうした!・・・・・逃げてるだけでは聖闘士になどなれないぞ!」
「くっ!」
どうする・・・・師匠の拳は速いだけど見えている。しかし手数が多すぎてとてもじゃないけど攻撃には転じれない。
「ディアス!・・・男なら・・・・少しぐらい耐えてみろ!」
「!?」
アイオリアの声が響き渡る。
避けても攻撃できないんなら仕方ない。
ディアスは途端に動きを止めた。
「!?」
そこに容赦なく連続拳がくる。
「ガフ・・・・グゥ・・・・」
それをディアスはまともに喰らう。しかしディアスは倒れず、拳を構えた。
この距離で・・・・拳を当てるには・・・・拳を・・・・伸ばす!
ディアスは右腕に小宇宙を貯める。
そして
一気に
振り抜く。
「なに!?」
ディアスの右腕からまるでレーザーの様な黄色い閃光が舞う。
「あれは・・・・俺と勝負したときの・・・・」
そうディアスはアイオリアと戦った時もこの一撃を最後に出している。しかしそれは偶然できただけであったが、今回初めて自分の意思で出せた一撃であった。
「くっ・・・・」
アイオロスは避けようとはせずその黄色い閃光に向き合った。
「・・・・・ディアス。いい攻撃だ、だが黄金聖闘士の一撃は光速。今からそれを見せてやる。」
そうアイオロスは言い放つとアイオロスは拳を放った。
その拳は一筋の光となりディアスの一撃を貫いた。
「今のが・・・・・光速の・・・黄金聖闘士の拳」
アイオリアは息を飲んだ。まるで見えなかった。実力は青銅聖闘士クラスである今のアイオリアでも見えなかった。
「・・・・・・いやぁ・・・流石師匠だ。・・・・でももう無理。」
そう言い終わるとディアスは気絶して倒れた。
「まさか・・・・もう光速の拳を使うことになるとは・・・予定だともっと後のつもりだったんだが、先が楽しみになってきたな。」
こうして今日の訓練は終わった。
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