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魔法大戦リリカルクロウcross【Z】‐無印篇‐

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第4話『ユーノとの再会』



動物病院…


クロウはユーノの治療を優先と考えたが、如何せん彼の今の姿はフェレット。この世界では魔法文化は無いし、勿論フェレットは人間の病院に行っても無駄。しかも、消耗が激しく人間の姿に戻れないので必然的に動物病院に移送される。

(一応、人間だし…大丈夫なのか?)

もうこのことがクロウの頭を離れず、待合室の椅子に座るクロウも気が気で無かった。

【クロウさん!そちらの状況は?】

【ああ、寝床と三度の飯は確保してある。だが、ブラスタの通信機能がイかれちまって次元を越えて連絡を取るのは絶望的だ。】

【そうですか…】

現在、クロウとユーノは現状の確認をとるため念話で会話をしている。まあ、フェレットが普通に言葉を話して会話したらコレは如何にということとユーノが今、治療を受けていることもあるからだ。
【クロウさん…事態は最悪な方向になってます。ジュエルシードがどうやらこの世界に散らばってしまったようです。】

【何!?】

話が進むと例の襲撃の際、ジュエルシードは散らばってしまいこの世界のどこかに落ちてしまったことを知り驚くクロウ。

【回収は責任を持って僕が……】

【いや、待て。今のお前じゃ無理だろ。俺も手伝うぜ。】
ユーノはそれを1人で回収しようと考えていたがそれにはダメージを負っている彼には無理がある。ならば、護衛を務めていたクロウにも責任があるので当然、協力すべきだ。

【で、ですが…】

【言ったろ?三度の飯と寝床は確保してあるってな?ブラスタは確かに通信機能はイかれちまってるが武装は魔力で運用出来る。この世界で動くには持ってこいだろ?】

【………わかりました。】
ユーノはかなり渋っていたが自らの非力は認めざら得ないのでクロウの協力を了解。ここで、一時2人は念話を切った。

「ふう………さてと、だ…。」

チーフにバレない内に集めよう。クロウはそう心に誓った。

「……?…?」

「どうしたなのは?」

ふと横を見れば同じく動物病院に来たなのはが辺りをキョロキョロと見回している。

「あ、あのねクロウくん…何か声が聞こえなかった?」

「?……いや別に…(いや、待てよ…)」

声…ここにはなのはとクロウ以外はいない。会話をしていたと言えばクロウとユーノの念話での会話だけ…しかし、魔法の資質が無い人間が聞こえないのだ。

(まさか…な…)

クロウの脳裏にある考えが過ぎるがすぐ振り払う。それは魔法文化の無いこの世界では限りなく確率が低いからだ。

「う~ん…」

「まず、今日は家に帰ろうぜ。明日また見にこよう。」
かなり時間も経ったので帰宅をクロウは提案し、なのはも不安そうにしていたが帰りが遅くなっては士郎も心配する。

しばらくは渋っていた彼女だが、仕方なく一時、帰路に着いた。


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その夜…



『La♪』

魔法陣が出現したかと思うとそこから人型の機影が現れ、海鳴市の上空を舞う。

『La♪』

それは街の中を移動する何かを見つけるとそれを追うように降下していった…。







その頃…


高町家…
ソファの上…


(なんだ、この胸騒ぎは?)

就寝時間となりソファで寝ていたクロウは不吉な予感がしていた。

『Bi-Bi-!!』

「ちっ!ビンゴかよ!!」
同時にブラスタがアンノウンの警告を鳴らす。クロウは飛び起き、コートをひっつかむと玄関から飛び出していった…。



その後を追う影に気がつかず……




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町中…


『くうっ!』

ユーノは毛玉の異形から逃げていた。恐らく、コイツの正体はジュエルシードの暴走態。自分を狙ってきたのかは不明ではあるが今はまさにピンチにしてチャンス。自身の能力は低下してフェレットの形態であるがこれを耐えきりクロウに合流出来ればジュエルシードを封印出来る絶好の機会だ。
『クロウさん…早く!』

『ギャアア!!』

異形の触手を避け走るユーノ…。そして…



「ユーノ!」

『クロウさん!』


2人は見事、合流し安堵しかけたがクロウの後ろにある人物がいたことがその場を凍りつかせた。

「クロウくん!」

「な、なのは!?」

それはクロウのことを追いかけてきたなのはであった。目の前の状況に混乱しているようであり、このままでは危険だ。

「くそ!」

すかさず、Uターンしなのはの救出に向かうクロウ。しかし…

『La♪』

ズダダダダダ!!!!

「何!?」

クロウに向かい放たれる弾丸。見上げれば機械仕掛けの巨人。両腕、両脚が妙に肥大しているが解るのはただ1つ。

味方ではないこと。

『クロウ・ブルースト…コロス、コロス。』

「コイツは…確かゴーレム!?」

彼はコイツに見覚えがあった。確か、上司のトライアのライバルとも言える存在、束博士の作ったゴーレムとかいう機体だ。

「て…俺何か恨まれる覚え……」







あった……


確か前の任務で助けたのは束博士の妹である箒という少女。クロウが望んだ訳では無いとはいえキスをしてしまったのだ。それに、束博士は重度のシスコンと聞いたことがある…となれば…

(自業…自得か…)

そう自身の脳内で結論に至り、弾丸をかわしながらなのはをお姫様だっこするクロウ。

「ふぇぇぇぇぇ!?」

「騒ぐな!」

『クロウ・ブルースト…シネ。シネ。シネ。』

ズダダダダダ!!!!

そのままクロウは塀の影に隠れゴーレムの弾幕をやり過ごす。

「なのは…ここで、大人しくしてろよ?」

そして、なのはに隠れているよう指示すると待機状態のブラスタを握り締め飛び出すクロウ。

「あ、待っ…」
なのはは止めようとしたが…


次の瞬間には少年…クロウ・ブルーストの姿は無かった……。










「ゲットレディ、いくぜ!ブラスタ、GO!!」


そこにはクロウのもう1つの姿、ブラスタであった。

「しかし、な…1対2か…。」



だが、戦況は芳しく無い。数を見ればブラスタのほうが不利なのだ。だが、無理でもやるしかない。

「バンカー!!」

『ギャウ!?』

最初に異形をバンカーで一閃。
汚らしい体液を散らし異形は無様に地面に転がる。

「うおおおお!!」

ズダダダダダ!!

『La!?』

今度はゴーレムを銃撃。直撃コースに入ったためと実弾なため大きくバランスが崩れる。

「いくぜ!とっておきのコンバットパターンだ!」

そのままバンカーを射出しゴーレムに突き刺すとそれを軸に円を描くように飛び激しい銃撃を浴びせる。

「くらえ!!!!」

ザシュ!!

そのままバンカーを引き抜き、その勢いで回転をかけゴーレムを切り裂く!

ドガーーン!!

「コイツは俺の十八番なのさ。」

『グルグル…!!』

ゴーレムはそのまま爆発したが、異形のほうはまだ息があり、ブラスタに襲いかかる…

「ちっ!」

すかさず回避行動をとろうとしたブラスタだが…







「ドリルハリケェェーン!!」

ズドン!!

『ギャウ!?』

「!」

何かが異形を貫き、そのままジュエルシードを奪いとる。

「ヒュー!隼人、やるじゃねえか!」

「ふん、これくらい当然の結果だムサシ。」

それはブラスタより一回り大きくも白を基調としたイカのようなロボット。右手には金色のドリルがついており、その先端にはジュエルシードが輝いている。

「離脱するぞ、竜馬、ムサシ!!」

「待て!」

数秒後、ロボットは赤い華奢な脚を動かし飛び上がると背部に収納されていた二門のジェットを吹かし凄まじい速さで離脱する。ブラスタは追いかけようとしたがあまりの速さとブラスタの現在の状態では到底追いつけなかった…。
「くそ…!」

クロウは悪態をつきながらもブラスタを解除し、地上に降りる。そこにはユーノを抱いたなのはがいた。

「大丈夫か?怪我…ないか?」

「う…うん、大丈……あれ…?」

問題ないと答えようとした彼女だが、緊張の糸が切れたのかゆっくりとクロウに向かい倒れ込む…。

「おっと…大丈夫だ。家まで送ってやるよ。」

「あり…がとう………」

そして、クロウの声に安心したのかなのははゆったりと目を閉じた…。

『クロウさん…』

「ユーノ、お前も来い。軽い治癒魔法なら俺も使えるからな。」

クロウはなのはをおぶり、ユーノはそれについていく…。帰る場所に行くために……




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翌日…

なんとかユーノを『非常食』と誤魔化し、高町家に連れ込んだクロウ…。

そして、最近色々なことがあったので疲労が溜まっていたのかいつもより少し遅めに起きたクロウ。と言ってもいつもが通常の人より遥かに早いので高町家の住人は誰も起きていない。

「……」

頭をボリボリとかきながら昨日のことを思いかえすクロウ…。そして、現状が現実であると再認識する。

(色々と気になるが…借金どうなるんだろ?)

今、ゴーレムの残骸はブラスタの収納機能(愛称:四次元ポ○ット)により回収されブラスタが解析をしている。謎の離脱した機体は映像はとってあるがこれだけではどうしようもない。となれば借金と……

(なのはのことだよな…)

いずれ、彼女にも説明しないといけないだろう。そんなふうに思っていた時だった……

「…?魔力?」

クロウはここから少し離れているが魔力を感知した。1つはユーノ…もう1つは不明。感覚からして争っているようには思えない。

「…行ってみるか。」

どうせなら確かめてみよう。そう考えたクロウはコートを羽織ると高町家のドアを開けた…。


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同時刻…


どこかの竹藪…



「ロケット!バァァンチ!!」


ズドォン!!

黒い巨体が自らの腕を文字通り、ロケットが如く放っていた。


ボコッ!!

『クエ!?』

その腕は遥か上空の鷲に当たると主の巨体の下に何事もなかったかのように戻る。

「まだまだだな…。でも、きっとこの力を使いこなしてみせる!『神にも悪魔にもなれるこの力』を!!待っててね、おじいちゃん!!」





つづく……  
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