【完結】剣製の魔法少女戦記
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第二章 A's編
第五十二話 『聖夜』
前書き
夜天の魔導書と戦闘です。
なのは達は最初状況についていけません。
なのはの名台詞は都合上カットさせてもらいました。
「悪魔で…いいよ」よ、さようなら。
シホがシャマルにシホとグレアムが立てている計画を話し守護騎士とグレアムとの共同の作戦が進められていく中、最初は自分たちが目の前で犠牲になる光景をはやてに見せるという提案に当然守護騎士達は反対した。
だが歴代の闇の書はどのみち最終的には守護騎士達を強制的に取り込んで闇の書を完成させたという話をした途端、全員なにか思う節があるのかそれ以降は反対意見はなかった。
だがもっと穏便に事は運べないかと…というヴィータの言葉はあったがその役目は士郎が頼りだ。ということで終了した。
そして12月24日…クリスマス・イヴ。
この日は翠屋もクリスマスセールでイヴを過ごすカップルや家族達の為に深夜まで店が開かれているとのこと。
残念ながらシホとなのはは諸事情で手伝えなくなるがそれでも聖夜にふさわしく街は活気づくことだろう。
それでも計画は着々と進められていく。
闇の書の完成は今日と決められている。
イヴに一度闇に叩き落とすというのもアレだがしょうがないだろう。
プランとしては闇の書の完成から始まる管制人格の目覚め。
そして完全な暴走を起こすまでの短い時間の中でいかに速やかにはやてに闇の書の管理者権限を握らせるかが鍵になってくる。
士郎は未だにはやての中で事態を静観している。
いずれ起こるであろう暴走が起こるその時まで。
なのは達に関しては作戦が始まってから計画を知らせる手はずになっている。
そしてシホも士郎とパスを繋いでいるので士郎と一緒にはやてを起こす役割も担っている。
責任重大だという事をシホは肌で感じながらも今はまだ何も知らないなのは達によるサプライズプレゼントをあげる為にはやての病室に向かっているところだ。
シホはサプライズではやての病室にいく事を先にシャマルに伝えておいた。
これでいきなりの衝突は避けれるだろう。
すずかが最初にはやての病室の扉を叩く。
「はい、どうぞー!」
『こんにちわー』
そしてなのは達はシホも含めて病室の中に入る。
そこで遭遇する両陣営。
当然なのはとフェイトは驚きの顔をする。
だが全員揃っている守護騎士達は既に来ることは知っていたので驚かず平静を保っている。シホはそんな皆に話しかける。
「はやて、久しぶり」
「久しぶりやシホちゃん。今日は皆いるんよ」
「そうね。シャマルさん達もこんにちは」
「「こんにちはー」」
シホの言葉にすずかとアリサが続けて挨拶をする。
(ふ、フェイトちゃん…これってどういう事かな?)
(わからないよ…)
二人は慌てない一同にさらに困惑しているがそこでシホから小さく声が聞こえてくる。
(二人共。今は私達に口裏合わせて)
(う、うん。シホちゃん。でも…)
(ええ。事情は後で話すわ)
(約束だよ?)
シホが小声で落ち着かせた後、シホはすずか達の方へと向いて二人はそれに反応して隠していたプレゼントのケースをはやてに見せる。
それではやては喜びの顔をして嬉々としてプレゼントを受け取る。
そしてシャマルが全員のコートを受け取ると言って支度をしだす。
フェイトは小声で、
「念話が使えない…。通信妨害を…?」
「シャマルはバックアップのエキスパートだ。この距離は造作もない」
ヴィータはなのは達が来ることを知っていたにも関わらずなのはを睨んでいる。
例え演技としてもこうして向き合うのはダメなのだろう。
「ヴィータもどうしたの? そうなのはを睨まないの。もしかしてなにかあったのかしら?」
「う…シホ。だけどよ」
「そうやよヴィータ。なのはちゃんに謝り」
「う、ごめん」
「ううん。いいよ…」
それからしばらくお見舞いをして一旦シホ達は病院から出て行った。
◆◇―――――――――◇◆
Side シホ・E・シュバインオーグ
そして私達は場所を移動してあるビルの屋上に来ていた。
いるのは私となのはとフェイト。そして守護騎士全員という事情を知らなければいつ戦闘になってもおかしくない空間。
「シホ、事情を説明して…。どうしてシグナム達と普通に話しているの?」
「アーチャーさんが闇の書の主じゃないの? 本当ははやてちゃんが主なの?」
「どこから説明したほうがいいか…」
二人は事情を説明して欲しいという表情である。
「シュバインオーグ…テスタロッサ達に話してなかったのだな」
「そうよ。作戦当日までにうっかりミスを侵すわけにはいけなかったからそこら辺は徹底しておいたわ」
「どういうこと…?」
「今だから話せることだけどかなり前から私は守護騎士達と後、もう一つの陣営と同盟を結んでいた」
「えっ…」
「理由ははやてを救うために…。計画は順調に進んでいき後は守護騎士達のリンカーコアを闇の書に送れば闇の書は完成する」
「ど、どういうこと!?」
「つまりあたし達は闇の書に一旦だけど回収されちまうんだよ…」
「ヴィータちゃん…」
それでなのはは悲しそうな顔をする。
「私達はシュバインオーグの教えてくれた情報で闇の書が起こす破壊の力も全て知っている」
「だったらどうして…」
フェイトがそう聞く。
「闇の書の呪いを解き放つ為よ」
代わりに私がそれを言った。
「解き放つって…そんな事できるの?」
「確率は低いわ。でもアーチャー…いや、士郎のおかげでそれもうまく行きそうなところまで向かっている」
「士郎って…シホちゃん、アーチャーさんは記憶を取り戻してるの?」
「ええ。私が思い出させた。そして今ははやての精神に憑依して闇の書が覚醒するのを待っている」
「憑依って…どうやって?」
「士郎は今は私の世界の使い魔状態になっているの。私とも魔術のパスを繋いだ。
だからはやての精神に同調して覚醒した後、はやてを私と士郎が外と内から眠っているはやてを叩き起して管理者権限を握らせる事…それが今私達が計画している事よ。
うまくいけばはやては闇の書の…いえ、夜天の魔導書の主となって暴走を止められる可能性が出てくるのよ」
「そしてうまくいけば闇の書の闇である暴走プログラムも切り離すことができる。それを倒すのがテスタロッサ…お前達だ」
「私、達…?」
シグナムの言葉にフェイトは困惑する。
「そう…そして私と後に復活する守護騎士達もそれに携わることになる。…それが理想系の形とも言える。
だけど…そのためには一度はやてを闇に落とさなければいけない。その闇から助け出すのも私達の仕事よ」
と、そこに仮面の男が二人して現れる。
「仮面の男!?」
「それも二人も!」
なのはとフェイトはすぐにバリアジャケットを展開して構えるが、
「大丈夫よ二人共。彼らとももう話はついている」
「えっ!?」
「どうやって!?」
さらに混乱する二人を尻目に魔法陣が浮かび上がりそこからはやてが転送されてきた。
「あれ…? なのはちゃんにフェイトちゃんにシホちゃん。それにみんな…なにをしてるん…?」
「大丈夫ですよ、主はやて…。今詳しい事情は話せずしばしの別れとなってしまいますがあなたが真の夜天の魔導書の主になる事を祈っています」
「シグナム…?」
仮面の男がその手に闇の書をとって開き、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラの四人のリンカーコアを吸収し出す。
「はやて…! あたしは信じているからな!」
「なに…言ってるの? ヴィータ…?」
「はやてちゃん…どうか真の目覚めを…そしてまた一緒に暮らしましょう」
「シャマル…!」
「主…もしまた会えるのでしたらまた、手料理を作ってください。私達は主の料理で活力をもらえます」
「ザフィーラ…!」
そして次第にその姿が消えていく守護騎士達。
最後に言葉を振り絞って、
「シュバインオーグ!」
「シホ!」
「シホちゃん…!」
「シュバインオーグ!」
『我が主を(はやてを)(はやてちゃんを)…頼んだぞ(頼みます)!!』
四人の言葉をもらい私はそれに力強く頷く。
「まかせて…!」
そして完全に守護騎士達は姿を消して闇の書に吸収された。
それにより闇の書は完成した。
はやては消えてしまった守護騎士達を呆然と見つめていた。
「なんなん、これ? シグナム達が消えてもうた…そんな、そんなん嫌や…いや、いやああああああああああああああああああああーーーーーーーーー!!!!」
はやては心からの叫びを上げて次にはビルの屋上が爆発を起こした。
私達は一旦避難した。
仮面の男達もとどまっている。
「シホちゃん! どうしてこんな事に…!」
「そうだよシホ! これじゃはやてが…!」
「二人共落ち着いて。さっきの説明を聞いていたならもうわかるでしょ? ここからは―――…」
私は次第に姿を変化していき銀髪に赤い目、黒い衣装に体中にいくつも赤い線を走らせ黒い羽を生やした変化した姿のはやてを見る。
「彼女が完全に暴走を開始してしまう前にはやての管理者権限を握らせるため、その間の時間稼ぎをしなくちゃいけなくなるんだから」
私はバリアジャケットを展開してアンリミテッド・エア、ツヴィリングフォルムを構えて先を見据えながら、
「だから、ここからはなのはの言葉を借りるなら全力全開の話し合いをしなければいけなくなるのよ」
「話し合い…」
「そう。外からも呼びかけて説得するのよ。闇の書の中のはやてを起こすために…二人共、できる?」
「うん…!」
「やってみる!」
「よし! でもそれができなかった場合は―――」
「あたし達の出番っていうわけ」
そこにはまだ待機していたのかリーゼ姉妹が変身を解いて横にいた。
「リーゼさん!?」
「もしかして仮面の男の正体ってリーゼさん達だったんですか!?」
「そう。今まで隠していてごめんなさい」
「でもこれがあたし達の第一プラン失敗後の第二プランの切り札…」
そう言ってロッテさんはデュランダルを取り出す。
内容は完全凍結による永久封印。
「そんなプランがあったなんて…でも、そんな事したらはやてちゃんが!」
「それを起こさせない為の第一プランよ。ちょっと待ってね? 士郎と繋がるか試してみるわ」
そして私はパスを通して士郎と念話を開始した。
《士郎、そっちの調子はどう?》
《あまりいいとは言えん。だが排除もしくは排出されることはないようだ。今からはやての意識を探す。近くにいるだろうからな》
《わかったわ。見つけたらすぐに私に知らせるのよ》
《了解した》
それで一旦士郎との念話を切る。
「今現在士郎ははやての精神のどこかではやて本体の意識を探しているみたいよ」
「それじゃ今のところ計画は順調といったところだね」
「ええ。それじゃ戦いに巻き込まれないようにリーゼさん達は撤退して一応の準備をしておいてください」
「了解よ、シホ」
「任せたわよ、シホ」
そして二人は転移で姿を消した。
「それじゃ二人共準備はいいわね?」
「「うん!」」
見れば闇の書は巨大な球体のスフィアを展開している。
「…デアボリック・エミッション」
球体が膨れ上がりそれは私達に向かってくる。
それをなのはは咄嗟にラウンドシールドを使う。
私もなのはより早くロー・アイアスを出して防いでそのまま一時撤退をする。
「あの子、広域攻撃型だね。避けるのは難しいかな…」
「そうね。にしてもここまで強力なんてね。説得するのも骨が折れそうだわ」
と、そこに声が聞こえてきた。
「なのは!」
「フェイト!」
「お姉様!」
ユーノとフィア、アルフがやってきたようだ。
「フィア。二人に事情は説明してある?」
「大丈夫です!」
「ホントフィアには騙された気分だよ…」
「右に同じ。もう黒幕と話を結んでいたなんてね」
「それってやっぱりグレアム提督のことなの?」
「ええ、そうよ」
「そうなんだ…」
なのははそう言って少し表情を暗くする。
「ほら! 暗くなる時間があるなら全員で説得をすることを考えましょう」
「そうです!」
「それとクロノだけど先ほどリーゼさん達を捕らえたそうだよ」
「って、第二プランが速攻で消え失せたわけなの!?」
「そうなりますね…」
「これはもう是が非でも第一プランを成功に導かなきゃいけなくなったわね!」
そして私達はそれぞれ準備に入った。
「それでは私のデバイス『マグナ・スピア』のお披露目です! セットアップ!」
フィアはセットアップするとその手に機械式の穂先が二つに分かれている赤い槍を手に取りバリアジャケットはシグナムに似た緑の騎士甲冑を着ていた。
みんなの準備は整ったので私達は戦闘態勢に入った。
「まずは闇の書と戦いながら話しかけることを専念して! 士郎がはやての位置を掴んだら私も語りかけに専念するからフィアが護衛をお願いね」
「わかりました!」
「それじゃ皆、いくわよ!」
『おー!』
そしてまずフェイトとフィアが前に出て闇の書に向かった。
「はぁぁーーー!!」
「やぁぁーーー!!」
槍と鎌が接触するのではないかと思えるも交わらずに闇の書に斬りかかる。
私となのはが距離を離れて、
「ディバインバスター!!」
「I am the bone of my sword―――……偽・螺旋剣!」
フェイトとフィアが射線上から撤退したのを確認して二人して遠距離魔法を放つ。
「…眼前の敵を防げ。ロー・アイアス」
『なっ!?』
なんで!? 闇の書がロー・アイアスを使用して私のカラド・ボルグとなのはのディバインバスターを防いだ!?
「あ! お姉様の魔力も蒐集しています! だからもしかしたら闇の書は宝具すらも使用できるということですか!?」
「そんな…!」
「強敵だね…」
そんな事を言っている間に、
「刃を撃て、血に染めよ………穿て、ブラッディダガー」
血染めの刃が私たちめがけて飛来してくる。
それはまるでホーミングのように追跡してくる。
そしてモロにくらってしまい私達は吹っ飛ぶ。
「ッ! これじゃ説得がかなり難しいわね!」
「無駄だ。お前達の行動は騎士達を通して予測済みだ」
「なら! シグナム達が最後に希望を抱きながら消えていった事も知っているんでしょ!? あなたは主であるはやてを助けたくないの!?」
「助けたい。助けたいとも! だが我が主は自分の愛する者達が消えたことに対する深い悲しみで、これは悪い夢であって欲しいと願った。
同時に騎士達がいない世界を否定した。主には穏やかな夢の内で永久の眠りを…。そして故に私は主の願いを叶えるために世界を滅ぼす…」
「この…! 考えが極端なのよ! 少しはあなた自身の希望も考えなさい!」
「主の願いが我が願いだ」
「くっ…わからず屋め」
「どう思われようと構わない…。そしてお前達に同じ悪夢を見せる」
そして闇の書は手をかかげて、
「咎人達に、滅びの光を…」
すると桃色の光が集まりだした。
まさか…!
「星よ集え、すべてを撃ち抜く光となれ…」
「もしかして、スターライトブレイカー…?」
「総員全力で退避! できるだけ遠くに逃げるのよ!!」
『わかった!』
なのは以外がそれに強く反応して各自退避を始める。
ユーノはアルフが抱えて、なのははフェイトが抱えて、フィアは私が抱えて。
「貫け、閃光…」
「やばい! あんなものをくらったらひとたまりもないわ!」
「フェイトちゃん、こんなに離れなくても…」
「至近で喰らったら防御の上からでも落とされる! 回避距離を取らなきゃ…!」
「半年前の再現が広域攻撃にシフトしているなんて悪夢としか言えないわね! フェイト、フィア! できるだけ遠くまで離れたら一箇所に固まって…!」
「全力で防御…!」
「ですね…!」
満場一致でその意見に固まった。
なのはを除いて、
「…えっと、そんなにがっちりする必要あるの…?」
「なのはは一度自分で受けてみればわかると思うわよ!? 自分の魔法がいかに恐ろしいものか!」
「そうです!」
「その意見には一回撃たれた身としては頷けるよ…」
「フェイトちゃんまで…」
フェイトは思い出したのか体を震わせている。
するとバルディッシュが突然ある事を言い出す。
《左方向300ヤード、一般市民がいます》
『えっ!?』
それで慌てる私達。
取り込まれたのは私達だけじゃないの!?
それで私達はすぐにその方へと向かった。
◆◇―――――――――◇◆
Side 月村すずか
急に周りの人が私とアリサちゃん以外消えちゃった。
裏社会とまではいかないけど結構怖い目にはあった事はあるけどこんな事は初めてだ。
「やっぱり誰もいないみたい…」
「そうなんだ…」
アリサちゃんが周りを回って戻ってきた。
何かわからないけどなにか嫌な予感がするの。
こんな時にシホちゃんがいたら守ってくれるかな…?
いや、ダメだ。今は私とアリサちゃんしかいないんだから私がアリサちゃんを守らなきゃ…!
こんな時のためにシホちゃんに開いてもらった“魔術回路”が役に立つね。
吸血鬼の私がうまく力を運用できるようにシホちゃんの指導のもと隠れて訓練してきたんだから。
たとえアリサちゃんに『化物』だと思われてもいい。
私が守るよ…!
そんな事を思いながらアリサちゃんと避難していると背後から知っている声が聞こえてきた。
「あのー! すみません、危ないですからそこでじっとしててください!」
この声ってもしかして…。
振り向くとそこには四人の女の子。一人はわからないけど…、
「なのはちゃんにフェイトちゃん…?」
「それにシホ…?」
そこには私達の友達がいました。
服装はそれぞれ違うけど杖や剣を持っている。
なのはちゃんとフェイトちゃんはポカンといった表情をしている。
だけどシホちゃんが、
「ボーッとしていないで! 来るわよ!!」
シホちゃんの一喝で二人は動き出した。
「二人はそこでじっとしていて!」
フェイトちゃんがなにかの膜を展開させて私達を覆った。
すると遠くで光っていた光がこちらに向かって放たれてどんどん迫ってくる。
あれを防ぐというの…?
「なのは! フェイト! フィア! あなた達も一箇所に集まって! 私が全力で防御するから! きっとあれは二人じゃどうしようもないものだわ!」
「えっ…? でも…」
「いいから言う事聞きなさい!」
「は、はい!」
シホちゃんの鬼気迫る表情でシホちゃん以外の三人も私達の所にやってきてそれぞれなにかの魔法陣みたいなものを展開している。
その最前列にシホちゃんが立って、
「ロー・アイアスじゃダメだ。防げない…。なら、アレを使うしかない! 投影開始!」
私が知っているシホちゃんの呪文を唱えるとその手に黄金に輝く鞘が握られていた。
「来るわよ! 絶対に私の後ろから動かないように! “全て遠き理想郷”!!」
瞬間、鞘が百以上あるパーツへと分解して私達を覆うように展開した。
そして桃色の光と衝突した。
振動は一瞬だけど伝わってきたけどそれだけ。
しばらくして光はおさまったらしく、
「ふぅ…なんとかなってよかったわ…」
シホちゃんが防いでくれたらしくなんとかなったみたい。
シホちゃん…また守って貰っちゃったね。
◆◇―――――――――◇◆
Side シホ・E・シュバインオーグ
はっきりと叫びたいが今は心の中で言わせてもらおう。
本当に怖かった…!
今もアヴァロンを選択してよかったと心の底から思っている。
さて、なんとか防げてよかったけどすずか達にバレちゃったわね。
なのは達がエイミィさんと通信していたらしく、
「もう、大丈夫…」
「すぐに安全な場所に運んでもらうから、もう少しジッとしていてね」
すずか達が何か言いたげにしていたけどすぐに転移魔法陣が展開して二人は転移していった。
「見られちゃったね…」
「うん…」
「しょうがないわよ。それより二人が気がかりだわ。ここはユーノとアルフに守ってもらった方がいいんじゃないかしら?」
「うん。そうだね」
それでなのはとフェイトは念話で二人を守ってくれとお願いしてユーノとアルフはすずか達の方へと向かっていった。
「…にしても範囲攻撃になって恐ろしさが倍以上になっていたわね」
「そうだね…」
「アヴァロンを使ってよかったわ。あれはただの防御魔法だけじゃ軽く貫通しちゃうだろうから」
「そこまでかな…?」
「私が防御の最後の手段を使わせる選択に迫られた気持ちになってもらいたいわ。なのはのアレはもう人を軽く殺し得る威力よ」
「うんうん」
「そうです」
「そんなぁ…私を化け物みたいに言わないでよぉ~」
なのはが必死に抗議してくるがそろそろ休憩タイムは終わりのようだ。
私は必死に念話で闇の書に語りかける。
《こら! まだはやてを救える可能性があるのよ!? さっきも言ったけど守護騎士達はそれを信じて自ら犠牲になったのよ!?》
《無駄だ。止めることはできない…》
《諦めるな…! 夜天の魔導書!!》
《その名で、呼んでくれるのか…?》
《呼んで欲しくば何度でも呼んであげるわ! だからあなたも希望を持ちなさい。主を助けたいと思うなら…!》
そこになのはとフェイトとフィアも話に参加してきて、
《そうだよ! 夜天の魔導書さん!》
《まだ希望は残っています! だから…!》
《まだ絶望するには早いです!》
《だが、やはり無理だ。私は破壊しかできない。故に…》
すると突如として地面から生き物の触手が飛び出してきて私達を拘束した。
「私は主の願いを叶えるだけだ…」
念話ではなく近くまで来て生の言葉で夜天の魔導書はそう言った。
「願いを叶えるだけ…? そんな願いを叶えて、それではやてちゃんはホントに喜ぶの!?」
なのはが拘束されながらも叫ぶ。
「心を閉ざして何も考えずに主の願いを叶えるための道具でいて、あなたはそれでいいの!?」
「我は魔導書…ただの道具だ」
「ならなんで涙を流す必要がある。それはあなたにも心があるってことでしょ!? 道具ではなく人としての!」
私が叫ぶ。
「これは主の流す涙…私はどこまでいっても所詮道具だ。悲しみなどない…」
「くっ…! バリアジャケットパージ!」
フェイトがジャケットをパージして拘束を吹き飛ばす。
「悲しみなどない? そんな言葉を、そんな悲しい顔で言ったって…誰が信じるものか!」
「そうよ! あなたにもれっきとした心があるはずよ。それは自分を誤魔化すための嘘にしか聞こえないわ!」
「はいです!」
「あなたは、悲しいって言っていいんだよ? あなたのマスターは、はやてちゃんはきっとそれに答えてくれる優しい子だよ」
「だからはやてを開放して…! 武装を解いて! お願い!!」
私達の叫びは、夜天の魔導書は無言で通す。
しばらくしたら突然地面のあちこちから火柱が上がりだした。
これは、もう完全な暴走も近いってこと!?
士郎はなにをやっているの!?
「…早いな。もう崩壊が始まったか…。私も時期に意識を無くす…そうなればすぐに暴走も始まる。意識のあるうちに主の望みを叶える」
「それは私達の消去ということ…?」
「そうだ…」
「はやてはそんな事を願う子じゃない!」
「だが主は…」
「何度も言わせないで! はやてはそんな子じゃない! あなたが勝手に暴走しているだけよ」
「そう思いたければ思うがいい…。私は世界を滅ぼす…」
くっ! 聞く耳なしか!
「なら…なんとしてでも私はあなた自身も救ってみせる! 嫌だと言っても無駄よ? もう決定事項なんだから…! だから…!」
私は剣を握り駆けようとする。
それに追尾するようにフェイトが並んで、
「あの駄々っ子を一緒に止めよう、シホ!」
「ええ!」
そして私とフェイトで同時に夜天の魔導書に斬りかかる。
「お前達も我が内で眠るといい…」
夜天の魔導書は本を私達の方へと開いた。
何をしようというの…?
でももう止まることはできない…!
そして斬りかかった途端、魔法陣に防がれた。
瞬間、悪寒が襲う。
気づいた時には私とフェイトの体は発光しだした。力が抜けていく感じがする…!
「闇に、沈め…」
「あ、やばいかもしれない…。なのは! フィア! 後は頼ん―――…」
「シホちゃん! フェイトちゃん!」
「お姉様! フェイト!」
二人の声が聞こえてくるがそこまでで私の意識は途絶える。
後書き
吸収されてしまったシホとフェイト。
ですがシホが吸収されるのも予定のうちです。
それとこのままの予定だとフィアの本格的な見せ場はStrikerS編までお預けかな?
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