万華鏡
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第十九話 ビーチその十四
「ボトルで三本いけるから」
「焼酎は?」
「焼酎は何杯も飲んで」
それでだというのだ。
「気付いたら一升飲んでたわ」
「そうなのね」
「そう、一升ね」
飲んだことがあるというのだ。
「そうだったから。ただお酒によって飲める量が違うのよね」
「里香ちゃんはそうなのね」
「そうなの。私の場合は」
「ううん、一番飲めるお酒は?」
「サワーかしら」
里香は自分で言った。
「ライチサワーとかね」
「ああいうのね」
「二十本飲んだことがあるわ」
「二十本って」
「そう、三百五十をね」
それを二十本、つまり七リットルだ。
「一回お父さんがお中元で貰ったのが凄くあって」
「それを飲んでたの」
「そうなの。お正月に」
飲んだのはその時だったというのだ。
「いや、それで気付いたらね」
「五十は凄いわね」
「自分でもそう思うわ」
飲みに飲んだというのだ。
「夜の八時から十二時まで兄さん、姉さんと一緒に飲んだのよ」
「サワーって確かに飲みやすいけれど」
それは言う琴乃だった。
「ただね」
「二十本は無理よね、やっぱり」
「サワーだと十本かしら」
それが琴乃が飲めるサワーのマックスだというのだ。
「それ位ね」
「そうなの」
「大体ビールもそれ位ね」
琴乃もここで一本空けた、そしてだった。
また一本取ってそれで言うのだった。
「三リットル飲んだらね」
「充分よね」
「まあそうなるわね」
それだけ飲めばというのだ。
今度はキャベツを食べて言う琴乃だった。
「ただ。飲んでる時はね」
「その時は?」
「何か食べないとね」
こう里香に言いながらキャベツを食べる。
「さもないと身体によくないから」
「あっ、それはね」
「里香ちゃんも同意よね」
「お父さんとお母さんがいつも言ってるの」
医者の両親がだというのだ。
「飲むのはいいけれどね」
「それでもよね」
「そう、絶対に何かを食べながらでないと」
「身体によくないわよね」
「特にお腹が空いている時にね」
そうした時に酒だけ飲んではいけないというのだ。
「アルコールの酔いが早くて悪酔いするし」
「それによね」
「胃にもよくないから」
「絶対に何か食べてからでないと」
「身体によくないのよ」
「そうよね、やっぱり」
「食べながらでないと」
里香はこのことは何度もくどいまでに話した。
「お酒は飲んだらいけないって」
「お父さん達に言われたのね」
「そうなの。それでそのサワーを飲んだ時もね」
二十本飲んだその時もだというのだ。
「ちゃんと一緒に食べてたから」
「何食べての?」
「胡桃とかドライフルーツなの」
そうしたものを食べて飲んだというのだ。
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