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ヘタリア大帝国

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TURN59 大統領発狂その六

「もうね」
「ええ、あたしもミッちゃんから執拗に呼び出しを受けてるわ」
「ワシントンに戻って全軍の指揮を執れ、ね」
「ドロシーも探し出せって言われてるわよ」
「そうね。私もよ」
 ハンナもそうだった。
「携帯にひっきりなしよ」
「携帯の番号変えないの?」
「変えてもその都度よ」
「そう、あたしと同じ事情ね」
「自分が全権を握ったから従えって言ってきてるわ」
「あたしもよ。本当にこれまでと全然違うじゃない」
「財閥の産業も資産も全部ワシントンに集められてるわ」
 ハンナはこのことも話す。
「国家総動員体制に基いてね」
「ええ、ミッちゃん国家の権限を己に集中させてるわ」
「まさか瞬時にそこまでするなんて」
「あの人も本気になったら凄いのね」
「予想外だったわ。確かに経済手腕はあってもね」 
 それでもだと言うハンナだった。
「優柔不断で頼りないと思っていたけれど」
「人は切れたら豹変するのね」
「私もそのことは考慮に入れてなかったわ」
「けれど今は大変だぞ」
 アメリカが二人に言って来た。
「ミスターは国家の権限を全て握った、財閥も強権的に従えさせているし何もかもが彼の思うがままになっているぞ」
「非常大権を発動させたから」
 クーも言う。
「戦争中だから議会も認めるしかないのよ」
「これが普通のあの人ならまだよかったけれどね」
 アメリカ妹も難しい顔で言う。
「今のあの人は豹変してるから」
「困ったな。今のミスターだと危険過ぎるぞ」 
 アメリカは彼にしては珍しく真剣に悩んでいる。
「暴走している、何をしてもおかしくない」
「だからよ。私達も今の政権にはいられないわ」
 ハンナは唇を噛み締める様にして呟いた。
「恐ろしいことになるから」
「そうだ、だから僕達も君達を連れて逃げたんだ」
 国家だがそうしたというのだ。
「いいか、君達は僕が然るべきところに匿う」
「祖国ちゃんそうしてくれるの?」
「当たり前だ。僕は君達の祖国だぞ」
 キャロルにもこう言う。
「絶対にだ、君達を守る」
「この国のことなら全部知ってるからね」
 アメリカ妹も真剣な顔で四姉妹の残る三人に言う。
「隠れる場所は何処にでもあるわよ」
「すいません、本当に」
「ガメリカの敗北は決定的だからね」
 アメリカ妹もこのことを確信していた。
「だからことが済むまでね」
「私達を匿ってくれるんですね」
「任せて」
 アメリカ妹は微笑んでクーに答える。
「あたし達にね」
「すいません」
「お礼はいいわよ。じゃあ早速ね」
「僕達のアジトに行こう」
 アメリカも三人に対して言う。
「今ならまだ間に合うよ」
「あとわっしいだけれど」
 キャロルは不意に彼の名前を出した。
「太平洋艦隊司令官を解任されたのね」
「ええ、そうよ」
 ハンナがキャロルのその言葉に答える。
「それで今は何処にいるかわからないわ」
「祖国ちゃんはわかる?」
「少し調べればわかるぞ」
 祖国だけあって国民の誰が何処にいるかはわかるのだ。
「それはな」
「そう、じゃああの人もあたし達のアジトに呼びましょう」
「そしてだな」
「とにかく今はこの状況をやり過ごして」
 不本意だがキャロルもアメリカの提案に乗るしかないことはわかっていた、それで頷いて言うのだった。
 
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