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魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵

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後日談
  ④~家族旅行…衛宮家

 
前書き
リクエスト話その1です(*´ω`*)

 

 
side なのは


「もうすぐクリスマスだね」
「そうだな」
「それでね、当日は三人でどこかに行かない?」


と、言っても行くところは既に決まっているのだけれど。


「それはいいな。どこへ行くかは決まっているのか?」
「もちろん!」


……………………………………………………



「で、翠屋に来たわけか」
「お母さんがケーキ位なら作るって言うから……」
「ケーキ!?やったー!!」


と、翠屋に来たのだが……入りづらい。前来た時はなのはとの関係は単なる同僚だったから簡単に入れたが、今はまあ、所謂恋人同士であるわけで。
両親に会うのにわずかに抵抗がある。


「こんにちはー!!」


だがしかし、子供にはそんな葛藤は関係ないわけで。
ヴィヴィオはなのはを引っ張って入って行ってしまう。


「いらっしゃいませ」


そんな私達三人を出迎えたのは、端正な顔立ちをしたエプロン姿の男性。
彼はどこか士郎氏に似ている所があった。


「お兄ちゃん、ただいま」
「……なのは、その子は?」
「私と彼の娘だよ」
「……彼とはその後ろに居る男か?」
「うん。私の……大事な人だよ」


なのは、見事なまでに誤解を生む台詞を言う。


「おい、君、今のは本当か?」


物凄く睨みを効かせながら聞いてきた。


「いろいろ語弊はあるが、概ねその通りだ」
「……なのはが欲しければ俺と闘え!責任取れ!」



…………………………………………………………


そんなことがあり、現在高町家の道場にてなのはの兄?と木刀を両手に向かい合っている。


「覚悟はいいか?」
「いつでも」
「大層な自信家だな。その自信、砕かせてもらう!!」


そして闘いがはじまる。



side 恭也


なのはの連れてきた男。構えからそこそこのやり手であると判断し、小手調べとばかりに手に持つ二刀で斬りかかる。が、


「今のを防いだか。中々出来るようだな」
「賛辞は素直に受け取っておこう」
「だが、これでどうだ?」


連撃を叩き込んでいく。彼もいなしているが、二十合ほど打ち合った所で隙が出来た。


(もらった!)


決まった、と確信する。
が、彼は笑っている。
その理由は直ぐにわかった。
必勝を確信した俺の一撃は彼には届かず、紙一重で防がれ、カウンターが俺を襲った。
咄嗟にバックステップで避けられはしたが、今のは……


(わざと隙を作り、こちらの攻撃を誘導した)


なんて危険性の高い戦い方だ。失敗すれば敗北は確定だったはず。


「まさか今のを見切るとはな」
「……どうやら俺は君を見誤っていたようだ。全力で相手をさせてもらう」


俺は御神流の奥義『神速』を使い、斬りかかる。常人には反応出来る筈のない速度。
確実に取った……はずだった。


「成る程、それが『神速』か」


避けられた。あり得ない。


「ではこちらも本気を見せよう」


そう言った彼は一足で俺の眼前に迫り、一閃。俺の手にあった木刀はその一閃を受け、後方へと飛んでいった。
その軌道は…ほぼ見えなかった。
彼は俺の首筋に木刀を当て、


「まだやるかね?」


と、いい放った。


「……参ったよ」




side 士郎


現在、私と恭也氏は四人の女性の前で正座をしている。
ちなみにヴィヴィオは士郎氏と遊んでいる。


「恭也」
「な、何でございますか?」
「どうして衛宮さんを攻撃したの?」
「そ、それは……」
「シスコンだから、でしょ?」
「なっ!?」
「安心して。私は旦那がシスコンでも許すわよ」


と、桃子さん、美由紀さん、月村忍さんの三人に迫られる恭也氏。本来ならば私が正座させられる理由はないはず……なのだが。


「どうして勝負を受けたの?」
「ま、待て。どうして怒っているのだ?」


何故かなのはに説教されてる私がいた。


「怒ってないよ」
「……いや、誰がどうみても怒っているだろう」
「違うよ……心配なだけだもん」
「心配?」
「士郎君、いっつも危ないことばっかりするから……今回だって、たまたま怪我しなかっただけで……」
「……見せたかったんだ」
「え?」
「私がなのはを守る事が出来る、と言うことを彼にわからせたかったんだよ……」


これは偽らざる本心だ。少し子供っぽい感じは否めないのだが。


「あ、ありがとう……」


顔を真っ赤にして微笑んでいるなのは。
何だろう。凄く、いい……。


「あの……」
「あらあら、アツアツね♪」


いつの間にかこちらに来ていた美由紀さんと桃子さんに話しかけられる。


「わ、わわわ!!!おか、お母さん!!お姉ちゃん!!そそそそ、そんなこと!!」
「なのは、落ち着け……」


慌てているなのはが可愛いと思ってしまった私は悪くないと思う。




side ヴィヴィオ


わたしはママのおとうさん……わたしにとってはおじいちゃんっていうらしい。
たかまちしろうさんとあそんでいます。


「ヴィヴィオはママのことは好きかい?」
「うん!だいすき!!」
「そっか。パパのこともかい?」
「うん!パパはね、ママとヴィヴィオの“せいぎのみかた”なんだって!」


わたしははやておねえさんにおしえてもらったパパのことをおしえた。


「そうか……ヴィヴィオは幸せだね」
「うん!」


ふたりがびょういんにおむかえにきてくれたとき、とってもうれしかった。
だから、


「ママとパパとヴィヴィオはずっーとなかよしでいるやくそくをしたの!」
「どんな約束だい?」
「ゆびきり!おじいちゃん、しってる?」
「ああ。知っているよ」
「じゃあおじいちゃんもゆびきりしよう!ずっーとなかよしでいるために!」
「そうだね。指切りしようか」


これでみんななかよし!!





side 士郎


それから8人でクリスマスパーティーをした。
ヴィヴィオはこういったパーティーは初めてだったので終始はしゃいでいた。
大人達は酒を開けた(主に恭也氏と忍さん、美由紀さんが飲んでいた)ので、私もいくらか頂いた。なのはは頑なに飲もうとしなかった。美由紀さんが言うには過去に何かがあったらしい……。
時刻が夜の8時を回ろうとしたときには恭也氏が泥酔し、忍さんに膝枕をされていた。
……羨ましくなんてない。


…………………………………………………………


なのはとヴィヴィオが風呂に入っている間、私は道場に一人でいた。


(家族、か)


ふと、冬木の家のことを思い出した。おぼろげな記憶だが、凛、桜、イリヤ、藤ねえ、セイバー……皆と過ごしたあの時間。とても楽しかった。なのはとヴィヴィオ。二人のために私は何ができる?
本当に俺で彼女達を幸せに出来るのか?
悩んでいた私は後ろから近付く人物に気が付かなかった。




side 士郎(高町)


クリスマスパーティーを終え、士郎君を探していたら、道場に一人でいた。


「おや、こんなところにいたのか」
「……士郎さん」
「ふふ、お義父さん、でいいよ」
「………」


以外に冗談が通じないみたいだ。


「大丈夫、皆反対などしないさ。なのはだって、きっと待っているよ」
「本当に、私などでいいのですか?」


疑いが混じった声。彼は自分を過小評価する癖があるから、ここは後押ししてあげよう。


「なのはが君を選んだんだ。それに、僕個人としても君のことは気に入っているしね」
「私にはなにもありません。人に誇れることはなにも……」
「いや、あるよ。君はなのはを誰よりも大切に思っている。もちろん、ヴィヴィオちゃんのこともね。それ以上に誇れることなんてない」


前回来たときとなのはに向ける目が決定的に違っていたのにはすぐに気づいた。もちろんなのはも彼に向ける目が変わっていた。


「頑固で無鉄砲な所がある子だけど、よろしくお願いします」
「……はい。必ず、幸せにします」


なのはにも彼のような人が見つかってよかった。
きっと、幸せになってくれる。




side なのは


私達が今日泊まるのは私がこの家にいたときに使っていた部屋。
ベッドでは三人も寝られないので布団を床に敷いている。


「士郎君、お父さんとなに話してたの?」
「なのは……聞いて、いたのか?」


何だろう。凄く焦っているのがわかる。


「ううん。お母さんがね、“男の会話だから聞いちゃ駄目”って言うから」
「ならいいんだ……」
「おとこのかいわ?」


ヴィヴィオも興味を持ったようだ。


「ヴィヴィオも気になる?」
「うん!」
「教えて…くれる?」


実際のところ、私もとても気になっている。


「……その内わかる」
「えー、いまききたいー!」
「ヴィヴィオ、楽しみは後にとっておいたほうが喜びが大きくなるんだぞ」
「うー……わかった。がまんする」


結局なんだったんだろう……?


「それよりごほんよんで!」
「本か……確かあの辺に……あった!」
「ほう、桃太郎とはまた懐かしい物を」


小さい頃の物を捨てないでとっておいたのがこんなところで役にたった。


「それじゃ、はじまりはじまり。昔々、あるところに……」




…………………………………………………………………


「……寝ちゃったみたい」
「ああ。あんなにはしゃいでいたんだ。疲れたんだろう」
「そうだね……」


と、士郎君は鞄から小さな包みを2つ出した。
その内の1つをヴィヴィオの枕元に置いた。


「それは……?」
「クリスマスプレゼントだよ。なのは、君にはこれを」
「ありがとう。いま開けてもいい?」
「ああ」


包みを開けると出てきたのはネックレス。宝石がついているが、私はそういうことには疎いので、何の石かわからない。


「これはアクアマリン。3月の誕生石で幸福の象徴とされる」
「私達三人にぴったりだね……」


しかし、困ったことに私はプレゼントなんて用意していない。
お返しがない……と悩んだが、あることを思い付いた。


「ね、士郎君。私からもプレゼントがあるんだ。出すから少し目を瞑って」
「……よくわからんが、目を瞑ればいいんだな?」


私は士郎君の目の前に行き、目を瞑る。そして、唇を触れ合わせた。


「………!?」


どれくらい時間がたっただろうか。よくわからない。息苦しくなったところで唇を離した。


「ぷはっ……」
「な、なのは……?」
「えへへ…メリークリスマス!おやすみなさい、士郎君!」


その夜は、中々寝付けなかった。




……………………………………………………


翌日、士郎君が中々目を合わせてくれないのがとっても可愛いと思ってしまった。
ヴィヴィオもプレゼントの髪飾りを喜んでいたし、とっても楽しいクリスマスになった。
来年は、もっと楽しいクリスマスになるといいな……。
 
 

 
後書き
と、言うわけでリクエスト一話目です。

なんか後半なのはと士郎のイチャイチャに路線がずれた気がする……

そこは暖かい目で見ていただけると嬉しいです。


最後にお知らせです。

現在リアルで予定が立て込んでいるため、5月中盤辺りまで更新が出来なくなると思います。

ですが、少しずつ書き溜めをしているので再開後はいいペースで更新が出来ると思います。

長くなりましたがこの辺で(゜Д゜)ゝ

 
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