八条学園怪異譚
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第二十話 プールの妖怪その二
「他の趣味はね」
「あるの?他に」
「お酒なのよ」
他の趣味はこれだった。
「こっちは奥さんに完全にコントロールされてるけれどね」
「鉄道模型と違ってなの」
「そっちはかなり残念そうで」
「まあねえ。お酒はね」
「鉄道模型はいいけれどこっちは下手をしたら身体を壊すからって」
それでだというのだ。
「奥さんが管理してるのよ」
「じゃあ飲む量もなの」
「飲む量よりもお酒の種類なの」
これが管理されているというのだ。
「量自体はそんなにじゃないのよ」
「お酒の種類なのね」
「ワインとか焼酎ばかりらしいの」
「安いから?」
「健康のことを考えてみたい」
これだった。
「ワインとか焼酎は身体にいいじゃない」
「そうよね。うちでもね」
聖花も愛実に応えて自分の話をはじめた。
「お兄ちゃん達最近焼酎ばかり飲んでるのよ。おつまみはお店で買ってきた焼き鳥でね」
「何かローズみたいね」
近鉄、オリックスで活躍した助っ人だ。日本、そして大阪に心から馴染み愛していた野球人として知られている。
「その趣味って」
「お兄ちゃん達も自分でローズだって言ってるわ」
「それでなのね」
「そう、焼酎飲んでるのよ」
「ビールじゃないのね」
「焼酎にしてるの」
「その人と同じね」
その鉄道マニアの親戚とだというのだ。
「それじゃあ」
「そうよね。とにかくね」
「その人お酒は管理されてるのね、奥さんに」
「しっかりとね。だから趣味はね」
お小遣いを出すのが誰かということも考えるとこうなるのだった。
「奥さんに完全にコントロールされてるの」
「何か日本の旦那さんよね」
「昔ながらのね」
「けれどそれがいいのよね」
「そうなの。その人が言うには」
どうかというのだ、愛実は鉄道博物館の中で聖花に極めて家庭的なことを話した。
「奥さんの尻にはしかれろってね」
「かかあ天下がいいっていうのね」
「それが一番上手にいくらしいのよ」
「そういうものなのね」
「その人が言うにはね」
妻が強い方が家庭は上手にいくというのだ。愛実は聖花にこのことを話しながら新幹線の操縦席を見ていた。
そしてその操縦席を見ながら言うのだった。
「女の人の運転手さんが増えるのもね」
「いいことなのね」
「何でも女の人が増えるといいって言ってるわ」
「そうなの」
「そう、勿論少子化対策も必要だけれど」
「女の人が出るのはいいことなのね」
「変な人もいるけれどね」
何故か左がかった政治家にはそうした女性が多い様だ、まともな議論も出来ない知性も人間性も怪しい女性政治家や学者はテレビにもよく出る。
「それでも全般でね」
「いいっていうのね」
「その人が言うにはね」
「じゃあ私達もなのね」
「そう言ってるわ。ただね」
「ただって?」
「グラビアは女の子じゃないと駄目って言ってるわ」
愛実はその人のこうした話もした。
「絶対に譲れないって」
「まあそれは男の人だからね」
聖花もそれで納得する、この辺りはよくわかることだった。
「うちのクラスの男組も結構漫画雑誌のそういうページ読んでるし」
「こっそりとだけれどね」
流石にグラビア専門雑誌は持って来ない。
「まあそういうことをしても商業科は男子はもてるからね」
「凄いわよね。相当性格悪くない限りもてるから」
顔は二の次だというのだ。
「女の子の方が圧倒的に多いから」
「大体男子一人に女の子三人だからね」
つまり男子一人を女三人で取り合うのだ、男子にとっては夢の様な話だが女子にとっては修羅場である。
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