スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第百三話 双子のプロトデビルン
第百三話 双子のプロトデビルン
「それではだ」
「はい、それではですか」
ガビルがだ。ゲペルニッチに応えていた。彼の他にはだ。
「あの者達を」
「出撃させるとしよう。そしてだ」
ここでだ。ゲペルニッチはもう一人を見た。彼こそは。
「バルゴよ」
「はい」
バルゴだった。彼は生きていたのだ。
「御前も出撃するのだ」
「はい、わかりました」
ゲペルニッチのその言葉に頷いて答えるバルゴだった。
「それでは。あの二人と共に」
「そうするのだ。そしてだ」
今度はだ。ガビルを見ての言葉だった。
「ガビルよ。それでだ」
「アニマスピリチュアのことですか」
「歌か」
「はい、あの地球の者が出すそれはです」
「御前にそれを与えたというのか」
「この上ないまでのものを」
まさにだ。そうだというのである。
「私に与えました」
「そうか。その地球の者の名前は」
「熱気バサラといいます」
「熱気バサラか」
「あのシビルやギギルにも影響を与えたあの男です」
「そうか。あの男か」
それを聞いてだ。ゲペルニッチの仮面の裏側の顔が変わった。
そのうえでだ。あらためて彼に言うのであった。
「ではガビルよ」
「はい」
「今は休め」
こうガビルに告げるのだった。
「グラビルと共にな」
「そして休息美の後は」
「また。働いてもらう」
ガビルに対してまた話す。
「わかったな」
「わかりました。それでは」
こう話してだった。彼等もまたこれからのことを決めるのだった。そしてだ。
ロンド=ベルもだ。バロータ本星にだ。着々と向かっていた。
その中でだ。彼等はだ。何時でも出撃できるようにしていた。
格納庫に集まってだ。そしてだった。
そこでだ。非常食を食べながらあれこれと話していた。
「何時来るかな」
「わからないからな」
「そうだよな。ここは敵の本拠地だしな」
「何が来るかだよな」
「プロトデビルンの誰か、だよな」
こう話しながらだ。警戒しつつ食事を食べていた。それはだ。
乾パンにだ。御握りだ。それにだ。
ソーセージやザワークラフト、そしてレトルト食品だ。そうしたものを食べながら話しているのだ。
その中でだ。ふとアレンがフェイに言った。
「ティターンズと共同作戦だった時もこうして食ってたな」
「ああ、あの頃もそうだったな」
フェイも彼のその言葉に頷く。
「ただあの頃はな」
「ジェリルもいたがな」
「あいつがおかしくなったのはあの頃からだったな」
フェイは少し寂しい顔になって述べた。
「それでな。遂にはな」
「ハイパー化してな」
「ああなっちまったからな」
「あれはな」
アレンもだ。寂しい顔になって話した。
「仕方なかったか?」
「そうだな。ああなるしかなかったからな」
「あそこまで暴走したらな」
「結果としてな」
「何か凄いことになってたんだな」
トカマクは乾パンをかじりながら二人の話を聞いて述べた。
「俺がいない間に」
「っていうかあんたいきなり出て来たし」
「いないっていうかな」
「何処にいたんだよ」
「バイストンウェルにいたんじゃなかったのか?」
「ああ、いたよ」
その通りだと答えるトカマクだった。
「そこで今も乗ってるダンバインが落ちて。気付いたらな」
「こっちの世界にいたのかよ」
「そうだったのかよ」
「それ前に話したけれど」
「実際にそうだったんだな」
「そうだよ。それで今ここにいるんだよ」
このロンド=ベルにだ。いるというのだ。
「本当に気付いたらな」
「俺もだ」
シオンもここで言ってきた。
「ラバーンとの戦いが終わった時にだ」
「その時にか」
「気付いたらか」
「ここにいたのかよ」
「こっちの世界に」
「そうだ。何度考えてもわからないけれどな」
シオンはだ。実際に考える顔になっていた。
そしてその顔でだ。彼はあらためて話すのだった。
「どうも。この世界を軸としてな」
「色々な世界が絡まり合ってるよね」
シルキーも話す。
「そうなってるよね」
「そうだな。本当にな」
ショウもここで言う。
「バイストンウェルだけじゃなくて」
「あたし達の世界もだしね」
「そうだね。僕達もこの世界に関わってる」
「これも」
ティスとラリアー、デスピニスも話す。
「修羅の人達だってそうだし」
「エリスさん達や。ラ=ギアスも」
「それに。エイジさんやアポロさんの世界も」
「色々な世界が複雑に絡まってないか?」
首を傾げさせて言ったのは甲児だった。
「何かよ。一つになっちまうみたいにな」
「多くの世界が一つに?」
「一つになっていってる?」
「そうなってるっていうのね」
「俺の考え過ぎかも知れないけれどな」
甲児は考える顔で述べた。
「ただ。そんな気がするんだよな」
「それは考え過ぎではないのかも知れない」
今言ったのはシリウスだ。
「私達の世界は。言うならば作り物の世界だった」
「そうだな。一万二千年ごとに作り変えられるな」
ロジャーがシリウスの言葉に応える。
「パラダイムシティと同じくな」
「アル=イー=クイスは管理する」
「若しかしたら」
ここでだ。ドロシーも言ってきた。
「あのアル=イー=クイスは」
「あの神達か」
「誰かに操られていたのかも知れないわ」
ここでこう言うのだった。
「そうなっていたのかも知れないわね」
「じゃあそれは一体」
「誰が?」
「誰が操っていたんだ?」
「あの連中を」
「それはわからないわ」
ドロシーはそのことには答えられなかった。
「けれど」
「けれど」
「ひょっとしたら」
こう仲間達に話すのだった。
「私達はかなりの相手と戦っているのかも知れないわね」
「かなりって何だよ」
そのドロシーに問うたのは豹馬だった。
「まさか神様だっていうのかよ」
「少なくともアル=イー=クイスはそう言えたが」
今言ったのは万丈だった。
「それより高位の神様かな」
「イルイちゃんみたいな?」
ちづるが考える顔で述べた。
「あの娘みたいな」
「そういえばバルマーにはもう一体のガンエデンがあるんだったな」
今言ったのはトウマだった。
「ハザルの奴が言ってたけれどな」
「もう一体のガンエデンか」
「まさかそれが?」
「その高位の神かな」
「それなのかしら」
「どうだろうな」
ロジャーは考える顔になって述べた。
「私はガンエデンのことはよくは知らない」
「世界が違いますからね」
「だからですね」
「そうだ。しかし聞いた限りではだ」
そうしたところからだ。彼は分析して話す。
「ガンエデンは世界を超える存在ではないな」
「そこまでの力はないですか」
「そうなんですか」
「力はあるかも知れない」
ロジャーはその可能性は否定しなかった。
「しかしだ。彼女だったな」
「はい、イルイちゃんです」
「イルイ=ガンエデンですから」
「彼女にそうした意志はない」
ロジャーはイルイの性格を読み取ったうえで話すのだった。
「あくまで地球とそこにいる人類のことだけを考えているのだから」
「他の世界への干渉はですか」
「それはない」
「そう考えられるんですね」
「私はそう見る」
こう話すロジャーだった。
「それが正しいかどうかはわからないが」
「いや、そうだな」
ロジャーの言葉に頷いたのはアムロだった。
「俺も考えてみたが」
「やっぱりイルイちゃんはですか」
「そうしたことはしない」
「そう思われるんですか、中佐も」
「ああ、そう思う」
実際にそうだと答えるアムロだった。
「イルイは他の世界への干渉はしないな」
「じゃあ一体?」
「アル=イー=クイスの後ろにいるとしたら」
「どんな奴なんだろうな」
「洒落にならない奴なのは間違いないな」
こう言ったのは勝平だった。
「世界を普通に何度もぶっ潰したりするんだからな」
「それを考えたらか」
「とんでもない力と考えの奴か」
「そうなるか」
「まあどんな奴でもな」
マサキが言う。
「世界を潰そうってんなら相手をするしかないけれどな」
「そうね。そんな奴ならね」
「倒すしかない」
リューネとヤンロンがマサキのその言葉に頷く。
「さもないとあらゆる世界がね」
「崩壊させられる」
「けれどそんな奴がいるかどうかはニャ」
「はっきりとは言えないニャぞ」
クロとシロはそれを言う。
「本当にいたら確かにとんでもない話ニャ」
「今は推定の段階ニャ」
「結局はそうね」
それはウェンディもその通りだという。
「けれど想定するのは悪くないわね」
「実際にいた時に対応できるからだね」
「はい、そうです」
テリウスにも答えるウェンディだった。
「ですからあらゆる事態を想定するといいです」
「成程ね。これまで色々あったしね」
テリウスは腕を組んで述べた。
「まあ何が起こってもね。何が出て来てもね」
「驚かないようにはしておくか」
「そうね」
「目の前の敵にしても」
プロトデビルンに対してもそうだというのだった。
「どんなとんでもないのが出て来ても」
「それで一々驚いてたらな」
「話にならないし」
「だから」
こんな話をしてだ。そのうえでだった。
彼等は先に進む。するとだ。
まずはだ。あの男が出て来たのだった。
「あっ、御前確か」
「惑星ラクスの時の奴か」
「生きていたのね、やっぱり」
「死んでなかったのかよ」
「そうだ。俺は生きている」
実際にそうだとだ。バルゴは彼等に言う。
「そしてだ。今こうしてだ」
「俺達と戦うってんだな」
「そうするのね」
「その通りだ。今度こそ貴様等を倒す」
月並みな台詞だがそれでも言うのだった。
「覚悟するんだな」
「覚悟なんてな!」
アルトがそのバルゴに言い返す。
「こういう時にするもんじゃないんだ!」
「ではどういう時にするものだ」
「もっとな。大事な時だ」
こうバルゴに言う。
「俺達はここで負けるか!」
「そうだな。まだ先があるからな」
「ここで負ける訳にはいかないですね」
ミシェルとルカも続く。
「じゃあアルト、今はか」
「覚悟はしないんですね」
「覚悟はしないが命は賭けるからな」
それはだというのだ。
「さもないとかえって死ぬからな」
「その通りだ。これは戦争だ」
オズマがアルトのその言葉に告げる。
「決して気を緩めるな」
「そうだ、いいなミシェル」
クランはミシェルに対して言うのだった。
「こんなところで死ぬな。いいな」
「わかってるさ。俺だってまだ色々とやりたいことがあるしな」
「やりたいこと?」
「とりあえず中尉とミリアリアの関係について知りたいな」
笑ってだ。こんなことを言うのだった。
「あとルカと斗牙の関係もな」
「僕もなんですか」
「ああ。どういう関係なんだ?」
ルカに対しても笑顔で問う。
「実際にな」
「僕達は別に」
「関係ないけれど」
ルカだけでなく斗牙もそれを言う。
「そうですよ。いた世界も違いますし」
「確かに似たものは感じるけれど」
「そう言う御前はどうなのだ」
クランはミシェルに対して問う。その彼にだ。
「ティエリアと間違えてしまったではないか」
「おっと、俺もか」
「そうだ。他人のことを言えるのか」
こうミシェルに言うのだった。
「言えないのではないのか」
「言われてみればそうか。俺もだったな」
「そうだな。それはな」
そのティエリアも加わる。
「僕達は。何故かわからないが」
「通じるものは感じるよな」
「確かにな」
「それを言うとだ」
金竜である。
「俺はヒューゴだけでなくあのプロトデビルンにも感じるのだがな」
「何かもう敵味方入り混じって」
「凄い話になるよな」
「そうよね」
そこまでだ。話は拡がっていた。
「確かにあのプロトデビルンとは」
「大尉は浅からぬ縁があるような」
「あとヒューゴも」
「また会うとは思っていた」
金竜はバルゴを見ながら話す。
「それならだ」
「よし、行くぞ」
バルゴもここで告げる。
「全軍攻撃だ」
「よし、俺達もな!」
「行くか!」
「一気にな!」
こう叫んでだった。そのうえでだ。
両軍は戦闘に入った。プロトデビルンは正面から大軍で攻める。それに対してだ。
ロンド=ベルは陣を整える。そのうえでだ。
先に敵を前に進ませてだ。そうして。
射程に入ったところでだ。総攻撃を浴びせた。
それで戦いの主導権を握る。そのうえでだ。
波状攻撃に移る。攻撃を仕掛けてだ。
すぐに次の攻撃を浴びせる。それでプロトデビルン達を押していた。
しかしだ。その中でも彼等は油断していなかった。
「来るよな」
「ああ、絶対にな」
「来ない筈がないよな」
「この状況で」
勘でだ。彼等は察していたのだ。
「残る二人か」
「プロトデビルンの最後の二人」
「一体どんな奴だ?」
「出て来るのは」
警戒しているとだ。そこで、だった。
「レーダーに反応です」
「二体です」
トーレスとサエグサが言った。
「七時の方向です」
「そこから来ます」
「そうか、来たか」
それを聞いてだ。ブライトは冷静に述べた。
「最後のプロトデビルン達だな」
「どうしますか、艦長」
「ここは」
「戦うしかない」
ブライトの解答は落ち着いたものだった。
「ここはな」
「わかりました。それじゃあ」
「奴等ともですね」
「どういった相手かだ」
ブライトが考えているのはこのことだった。
「それが問題だ」
「確かにそうだよな」
「その通りですね」
カイとハヤトがブライトのその言葉に頷く。
「レーダーの反応はどうなんだ?」
「大きさは」
「はい、かなり大きいです」
「相当なものです」
トーレスとサエグサは二人の問いにこう答えた。
「戦艦クラスはありますね」
「尋常なものじゃないです」
「それが来ます」
「二つです」
「どんな奴だ?」
リュウは二人の報告を聞いて首を捻った。
「一体。本当に」
「だからそれがプロトデビルンなんだろうな」
スレッガーはいささか割り切った調子である。
「そうした訳のわからないのがな」
「そうなるんですか?」
セーラはいぶかしむ顔でそのスレッガーに問うた。
「彼等は」
「極論だが連中はどうもわからないからな」
スレッガーは首を捻りながらセーラに話す。
「だから。幾らでかくてもな」
「有り得ますか」
「そもそも生身で宇宙空間にいるんだからな」
リュウはここでこのことを話した。
「考えてみればそれ自体がな」
「そうね。やっぱりね」
「あるよね」
ケーラとザズがリュウのその言葉に頷く。
「姿が巨大でも」
「それもね」
「とにかく。戦艦クラスの大きさよね」
マリューはその大きさについて述べた。
「となると」
「倒すのは容易じゃないわね」
ミサトは顔を曇らせてマリューに話した。
「ちょっちやばい相手かもね」
「そうね」
「しかしやるしかないからな」
スレッガーがここでいったのは正論だった。
「向こうもそのつもりだしな」
「じゃあ迎え撃ちましょう」
「そのプロトデビルンもね」
マリューとミサトが最後に言った。そしてだ。
そのプロトデビルンを待つ。するとだ。
彼等はだ。そこでだ。異様な二人のプロトデビルンを見るのだった。
「何だありゃ」
「でかいのはわかってたけど」
「あれ何?」
「一体」
巨大な彼等はだ。それぞれ。
金色、そして緑色の異様な姿のプロトデビルン達だった。その姿は。
「蜘蛛かよ」
「何かそんな感じだよな」
「足はないのか」
「じゃあ完全に宇宙とか空とか」
「それ用の奴等か」
「そうなんだ」
「ゴラムとゾムドだ」
ここで言ったのはバルゴだった。
「これがその者達の名だ」
「ゴラムとゾムドか」
「それがこの連中の名前かよ」
「それじゃあよ」
バサラがバルゴに問う。
「あれか?金色のがゴラムだってのか」
「そうだ。そしてだ」
「緑色がゾムドってんだな」
「その通りだ。そう覚えておくのだ」
「わかったぜ。どっちがどっちかはな」
「この二人が出たからにはだ」
どうだとだ。バルゴはさらに話す。
「貴様等もこれで終わりだ」
「そうなればいいわね!」
ミレーヌが強気の言葉でバルゴに言った。
「あたし達だってね!」
「その歌で戦うつもりか」
「そうよ、やってやるわよ!」
「僕も!」
ここで出て来たのは綾人だった。
「歌なら。僕も」
「そうね。綾人君」
遥はだ。その綾人に話す。
「貴方も。歌を力にできるから」
「プロトデビルン達にも」
「ええ、力を出して」
こう彼に告げた。
「御願いね」
「わかりました、それじゃあ」
綾人も言葉を受ける。そうしてだった。
彼等はだ。そのゴラムとゾムドにも向かう。しかしだ。
巨体は伊達ではなかった。幾ら攻撃を浴びせてもだ。
「くっ、、駄目だ!」
「幾ら攻撃を浴びせても」
「びくともしねえじゃねえか!」
「何だこいつは!?」
こう言ってだ。彼等も驚きを隠せない。
「巨体だけはあるよな」
「こりゃ尋常ややり方じゃ倒せないぜ」
「どうする?こりゃ」
「向こうの攻撃も激しいし」
彼等も攻撃を受けているだけではない。反撃もしてくる。それを何とかかわしながらだ。ロンド=ベルは攻撃を続けていく。
しかしだった。その中でだ。
バサラは己のバルキリーを突撃させ。そうしてだった。
「御前等もな!」
「何っ、まさか」
「ああ、どんな奴だってな!」
こうだ。バルゴに対して告げる。
「俺の歌を聴かせてやるぜ!」
「くっ、この男正気なのか」
「残念だがその通りだ!」
ガムリンがそのバルゴに言った。
「この男熱気バサラはだ」
「何だというのだ」
「一切の常識が通用しない男だ!」
確かにだ。それはまさにその通りだった。
「そして全てを突き破り成し遂げる男だ」
「だからだというのか」
「そうだ、この戦いもだ」
どうかというのである。
「成し遂げる!己の目指すものをだ!」
「くっ、ゴラム!ゾムド!」
バルゴは咄嗟に彼等に声をかける。しかしだ。
彼等はだ。バサラの歌を聴いてだ。
そのうえで身体が揺らいでいた。それを見てだ。
「まずい!」
バルゴが情勢を判断した。その判断は。
「撤退だ」
こう言ってだ。そうしてだった。
彼等と共にだ。戦場を退くのだった。そうしたのである。
それを見てだ。バサラが言った。
「何だよ、これって」
「これって?」
「歌はこれからだったのによ」
こうだ。残念そうに述べたのだった。
「それで急に帰るのはないだろ」
「全く。こいつは」
それを聞いてだ。誰もが呆れた。
「ここでもそう言えるのかよ」
「その根性というか周りに動じないというか」
「あくまで己の道を行けるのはな」
「やっぱり凄いわね」
「全く」
呆れながらもだ。バサラを認めるのだった。
「けれど。それでも」
「それだけのものがあるから」
「この戦いだってね」
「やっていける?」
「そうよね」
「そうだ、やれるぜ」
その通りだとだ。話すバサラだった。
「次もな」
「じゃあまあ」
「とりあえずは補給と整備を受けて」
「また進撃するか」
「そうするか」
こう話してだ。そのうえでだった。
とりあえずは戦いが終わってだ。彼等は再集結してだ。そのうえで整備と補給を受けた。それを行ってからだ。再びであった。
「進撃再開ですね」
「また」
「そうだ。再開させる」
その通りだと述べる大河だった。
「我々は立ち止まってはならないのだ」
「だからですね」
「また。進撃を開始して」
「そのうえで」
「敵の本拠地を目指し。攻略する」
既にだ。その戦略は決定していたのだ。
そうした話をしてだ。そのうえだった。
彼等はさらに進んでいく。それを見てだ。
ゲペルニッチはだ。バルゴ達を集めてだ。また話をしていた。
そこでだ。まずはバルゴを見て言うのだった。
「迎撃に失敗したな」
「申し訳ありません」
「いや、それはいい」
彼の失態を許す。それからまた話す。
「問題とすべきはだ」
「それは一体」
「あの熱気バサラという男」
彼のことをだ。ここで話すのだった。
「何者かのか」
「わかりません。ただ」
「あの歌というものを使ってだな」
「はい、我々を脅かします」
「そうか。脅かすか」
ゲペルニッチはそれで納得しかけた。しかしだ。
ここでだ。ガビルが彼に話した。
「いえ、ゲペルニッチ様」
「何だ、ガビルよ」
「あの歌というものはです」
「脅かすものではないというのか」
「はい、むしろです」
「むしろか」
「そうです。あれは」
彼が思ったことをだ。そのまま話す。
「我々に何かを与えています」
「与えるだと」
「そう思います」
こう話すのだった。
「あの歌というものはです」
「そういえばだ」
ここでゲペルニッチは考えてから述べた。
「シビルとギギルだが」
「あの者達ですか」
「あの者達もだな」
彼等の名前を出したうえでだった。
「あの男の歌に触れて変わったな」
「裏切りました」
バルゴが忌々しげに述べる。
「我等を」
「今どうしているかわからないがな」
「ですが裏切ったのは事実です」
「その裏切った理由も歌にあるのか」
こう考えるのであった。
「そうだというのだろうか」
「ではゲペルニッチ様、歌は」
「やはり何かあるな。それは間違いない」
彼等も気付きだしていた。その歌にあるものにだ。戦いが続く中でだ。ロンド=ベルもプロトデビルンもだ。互いに何かを感じだしていたのだった。
第百三話 完
2011・3・5
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