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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第七十六話 突きつけられたもの

                第七十六話 突きつけられたもの
 三連惑星に向かうロンド=ベル。その中でだった。
 ギャブレーがだ。一同に話をしていた。
「グラドスは我々もよく知っていた」
「いい意味ではなくだが」
 マクトミンも言うのだった。
「非常に高慢で嫌な奴等だった」
「ペンタゴナにも応援で来ることがあったが」
「その中でだ。実に好き勝手やってくれた」
「忌々しいことにな」
 こう二人で話すのだった。ペンタゴナでの彼等のことをだ。
「捕虜は皆殺しにする」
「文化は破壊する」
「知っていると思うがな」
「とにかく酷いものだった」
「何処でも同じなんだな」
 神宮寺がそれを聞いて言った。
「あの連中は」
「そうだ」
 ギャブレーは神宮寺に対しても答えた。
「あのままだった」
「最低ですね」
 麗も悪感情を隠さない。
「まさに」
「そうよね。あの連中なら」
「容赦してはいけませんね」
 マリと猿丸がここで言った。
「捕虜にしようとしても油断して後ろから撃ってくるし」
「そうした人達ですから」
「あの連中程嫌な奴等はいないね」
 ネイも忌々しげな口調だった。
「だからポセイダルも奴等はあまり入れようとしなかったんだよ」
「ああ、バルマーの中でも嫌われてたんだ」
「その通りです」
 ロゼがコウに答えた。
「マーグ様にしても私にしてもです」
「使いたくなかった」
 実際にそうだとだ。マーグも話す。
「戦場以外の行動があまりにも酷かったからな」
「そうした相手ですから」
 ロゼもその顔に嫌悪を見せていた。
「正直嫌な戦いになりますね」
「いや、話は簡単だ」
 フォッカーは全てを決めた顔だった。
「もう腹をくくるんだな」
「腹をってことは」
「つまりは」
「今回も」
「皆殺しにするしかないからな」
 これがフォッカーの考えだった。
「まあそれでもだ」
「嫌じゃないですしね」
「あの連中の相手は」
「もうあっさりと殺しちゃって」
「あんまりな奴等だからな」
 フォッカーも彼等を嫌悪していた。それならばであった。
「正直。何をしても良心に呵責を感じないな」
「最低な奴等ですからね」
「本当にね」
 フィリスとエルフィも言う。
「むしろ放っておいたらそれだけで」
「彼等に殺される人達が出ますから」
「あの連中って確か」
 ジャックが忌々しげな顔で話した。
「占領した星の人口の三割を殺したりしたんだっけ」
「えっ、三割!?」
「そこまで殺したって」
「そうだったんだ」
 皆このことにはだ。唖然となった。
「とんでもない奴等だな」
「バルマー軍の中でもそこまでって」
「ちょっと」
「ないよな」
「だが事実だ」
 ヴィレッタがここで話す。
「そしてその星の文化を徹底的に破壊した」
「それは忘れないんだ」
「本当に戦争以外のことで最悪な連中だよな」
「全くな」
「最低ね」
「だからこそですね」
 ラクスがここでも話した。
「彼等は。何があっても」
「殺すしかないわね」
 タリアの今の言葉には悲しみはなかった。むしろ悪を憎むものがあった。
 そしてその声でだ。彼女はこう言うのであった。
「一人残らずね」
「よし、それではだ」
 ここでだった。グローバルが言った。
「戦いになればだ」
「はい」
「どうしますか」
「その時は」
「核を使う」
 それをだというのだった。
「いいな、それでまとめて倒すのだ」
「そうですね。それがいいですね」
 輝もグローバルの言葉に頷く。
「相手が相手ですから」
「それではだ。全軍に核兵器を渡す」
 グローバルは言い切った。
「いいな、それではだ」
「はい、それでは」
「行きますね」
 こうしてだった。彼等は核まで装備してだった。そのうえで向かうのだった。
 するとだ。前方に出て来たのであった。
「早速出て来た?」
「グラドス軍かよ」
「じゃあ一気に潰すか」
「皆殺しにしてやりましょう」
 こう話してだった。彼等はそのまま進もうとする。しかしだった。
「あれっ、これって」
「この反応って」
「グラドスと違う?」
「これは」
 見ればだった。彼等はだ。
「プロトデビルンです」
「指揮官はどうやら」
「あれみたいですけれど」
 ここで話したのはヒカリとケイスケ、それにマヤだった。
「いつも美って言ってる」
「でかいのもいますよ」
「二人一緒に」
「ははははは、久し振りだなロンド=ベル!」
 そのガビルからも言ってきたのだった。
「ここで巡り会ったのも運命美!」
「ああ、そうだな!」
 バサラがガビルのその言葉に応える。
「あんたと会うのも何かの縁だぜ!」
「熱気バサラか!久しいな!」
「元気そうで何よりだぜ!」
「それでは御前の美を見せてもらおう!」
 実に楽しそうに話す二人だった。
「その情熱美をな!」
「ああ、見せてやるぜ!」
 バサラが真っ先に出撃した。そしてだった。 
 ギターを手にしてだ。歌いはじめた。
「俺の歌を聴けーーーーーーーーーーーっ!」
「ちょっとバサラ」
 ミレーヌが次に出て来てだ。バサラに言うのだった。
「いつものことだけれど」
「んっ、どうしたんだ?」
「あんた何考えてるのよ」
 こう呆れて言うのだった。
「そもそもどうしてここにプロトデビルンがいるか考えないの?」
「そりゃスピリチアが欲しいからだろ」
 何といった顔で返すバサラだった。
「だからだろ?」
「それはそうだけれど」
「じゃあ話は簡単だろ。この連中にはな」
「歌うっていうの?」
「ああ、そうだ!」
 まさにその通りだとだ。楽しげに笑って言うバサラだった。
「この連中に俺の歌を聴かせてやるぜ!」
「あっきれた」
 実際にこう言ってしまうミレーヌだった。
「全くあんたは」
「じゃあ御前は行かないのかよ」
「そういう訳にいかないでしょ」
 ミレーヌも何だかんだであった。
「行くわよ、それで歌うわよ」
「そうだな」
 ここでレイも来た。
「無鉄砲だが今はそれが一番だ」
「何かいつもこうなのよね」
 ミレーヌは今度はぼやくのだった。
「バサラって」
「しかしだ」
「しかしなのね」
「バサラはそれだからいい」
 そうだというのだった。
「バサラらしい」
「そうなるのね」
「では聞くがだ」
「ええ」
「バサラが大人しかったらどうだ」
「そんなの想像もできないわよ」
 これは誰もがだった。考えもできないことだった。
「ちょっと。そんなのは」
「そういうことだ」
「つまりは。だから」
「俺達はそのバサラをフォローする」
「・・・・・・・・・」
 ビヒーダが無言で頷く。
「それで行くぞ」
「全く。破天荒なんだから」
「行くぜ!」
 しかしバサラは人の話を聞かない。全く、でった。
「美を見せてもらうぜ!」
「敵同士であってもだ」
 ガビルも実に楽しそうである。
「その心、美しい」
「そう言ってくれるか」
「これこそまさに」
 その彼の言葉を受けてだ。全員で言うのだった。
「はい、こっからだよな」
「いつものあれだな」
「ああ、それじゃあな」
「今度の美は」
「宿敵美!」
 これであった。
「敵であろうとも美はあるものだ!」
「随分と変わった美だな」
 アルトもそれを聞いて言う。
「宿敵も美しいのか」
「そうだよな。本当にな」
「何でも美ですよね」
 ミシェルとルカも言う。
「聞いていて慣れたけれどな」
「それでも今回は随分ユニークですね」
「変わっているのもまたいい」
 しかもガビルは彼等の話を聞いていた。
「異形美!これだ!」
「今度はまだわかるな」
「そうね」
 オズマとキャサリンのやり取りだ。
「今の言葉はな」
「まだ何とかね」
「ではグラビルよ」
「ガオオオオオオン!」
 グラビルがガビルの言葉に応える。
「そしてバルゴもだな」
「行かせてもらおう」
「生きていて何よりだ」
 ガビルは微笑みバルゴに対して話す。
「死んだと思ったがな」
「どういうことか生きている」
 こう言うバルゴだった。
「それは何よりだ」
「全くだな。それではだ」
「うむ、今度はロンド=ベルだ」
 こうしてだった。彼等の方からロンド=ベルに向かうのだった。
 両軍の戦いがはじまる。その中でだった。
 バサラがギターをかき鳴らす。愛機の中でだ。
「よし、歌うぜ!」
「ええ、バサラ!」
 ミレーヌも彼の横に来ている。
「こうなったら乗るわよ!」
「よし、俺について来い!」
「何言ってるのよ。ついて来るのはね」
「何だってんだよ」
「あんたよ!」
 今はミレーヌもハイテンションになっていた。
「いいわね、それは!」
「言うな、それはまた」
「ええ、言うわよ」
 実際にそうだというのであった。
「今はね」
「そうかよ、それじゃあな!」
「それじゃあ。何だっていうのよ」
「競争だ!」
 これがバサラの言葉だった。
「どっちが凄いかな!」
「何かこの二人って」
「そうだよな」
「結局似た者同士?」
「やっぱり」
 皆そんな二人を見て言うのだった。
「どっちも人の話聞かないしね」
「それも全然」
「そうだな」
 黄金もここで言う。
「ミレーヌもあれでな」
「人の話聞かないのよね」
 ファーラは困った顔で話した。
「耳に入らないっていうか」
「本当にバサラさんそっくりですよね」
 ロゼがファーラに応える。
「考えてみたら」
「結局は似た者同士ということかな」
 タケルもそう考えているのだった。
「やっぱり」
「けれどだよな」
「そうだな」
 リョーコとノインがここで話す。
「ミレーヌの声はな」
「他に似ている者がいないな」
「あっ、そういえば」
「そうですね」
 ファーラとロゼもそれに気付いたのだった。
「私達は何か」
「他人に思えませんけれど」
「あたし達もなんだよな」
「そうだな」
 それはリョーコとノインもだった。
「他人には思えないからな」
「はじめて会った時からそう思っていた」
「まあとにかくな」
「戦うか」
「そうだ、戦うのだ!」
 ガビルからの言葉だった。
「正々堂々と。これこそ!」
「おいおい、またかよ」
「また言うのね」
「ここで」
「騎士美!」
 今度はこれだった。
「騎士道精神で戦おう!」
「ガオオオオオン!」
「そうだな。それではな」
 グラビルとバルゴもそれに続いてだった。
 彼等は派手に戦う。正面から激しい戦いを繰り広げる。
 一進一退の戦いだった。しかしだった。
 エイジのレイズナーマークツーがだ。発動した。
「よし、やってやる!」
「エイジ、いけるか」
「ああ、いける!」
 こう黄金にも返す。
「これならだ!」
「そうか、それなら見せてもらうぜ」
「この速さなら」
 その本来の強さが発揮された。それでだった。
 レーダーにも捉えられないその動きで敵機をい次々と撃墜していく。その速さはもうプロトデビルン達ですらかわせないものだった。
 彼等の数は次第に減っていく。それを見てだった。
「今だよな」
「ああ」
「ここで一気に仕掛けて」
「それなら」
 こうしてだった。ロンド=ベルも一気に攻勢に移った。
 その攻勢により敵軍を突き崩した。バルゴがそれを見てガビルに言う。
「どうする」
「戦局のことか」
「そうだ、かなりまずいのではないおか」
「確かにな」
 ガビルもそのブイ=マックスを発動させているレイズナーマークツーを見て言う。
「ここはな」
「撤退か」
「そうするしかあるまい」
 ガビルもここで決断を下した。
「最早な」
「ではだ。一時退きだ」
「アニマスピリチアを補給してだ」
「またロンド=ベルと戦うとしよう」
「そうだな」
 こうしてだった。彼等はすぐに撤退した。戦いはこれで終わりだった。
 ロンド=ベルは周辺を警戒しながら集結しまた航海を続けようとする。しかしここで、だった。
「気になるな」
「んっ、エイジどうしたんだ?」
「何かあったの?」
「いや、グラドス軍が来なかった」
 彼が今言うのはこのことだった。
「一機も」
「ああ、そうだよな」
「そういえば」
「一機も来なかったな」
「奴等は」
「あれじゃないでしょうか」
 ここで言うのは洸だった。
「他の場所に出ているとか」
「いや、それにしてはだ」
「そうですね」
 その彼には神宮寺と麗が告げた。
「ここはグラドスの本拠地だ」
「主力が置かれている筈です」
「はい、グラドスも本拠地を護らないといけませんから」
 猿丸も話すのだった。
「ここにいる数が最も多い筈です」
「それでいないのって?」
 マリも怪訝な顔になっている。
「何かあるわよね、やっぱり」
「まさか」
 ここでまた言うエイジだった。
「グラドス軍は先程のプロトデビルン達に」
「やられた?」
「まさか」
「あの連中に」
「だから彼等はいた」
 エイジも考える顔になっている。
「そうじゃないかな」
「それはいいことだな」
 それを聞いて笑ったのはだ。ジャーダだけではなかった;。
 ほぼ全員がだった。それを聞いて笑顔になっていた。そのうえで言うのだった。
「グラドスの連中がそうなったのならな」
「いいことだよな」
「全く」
「それはね」
「そのまま滅んでろ」
「そうそう」
 誰もがグラドスを憎んでいた。これは当然だった。特にだった。
 カガリはだ。怒りを思い出して言っていた。
「あの連中だけは一人残らず消し去ってやる」
「労力を惜しんでは駄目だね」
 ユウナも珍しく彼女に同意する。
「核もあるしね」
「ユウナさんがそう言うって」
「ちょっとないよなあ」
「っていうかユウナさんも怒ってる?」
「やっぱり」
「うん、怒ってるよ」
 実際にそうだと。本人も言うのだった。
「正直に言うとね」
「そうですよね。じゃあ私達も」
「奴等が滅んだのならいいか」
「そうだよな」
「ただ」
 しかしだった。エイジはここでまた言うのだった。
「確信はまだできないから」
「じゃあ調べるか」
「敵の基地とかそういうの」
「特に本星な」
「そこを」
「最初から調べるつもりだったし」
 敵を知れば、ということだった。偵察も調査も基本である。
 それであらためて話は決まった。それでだった。
「じゃあ各部隊に分かれて」
「偵察を出していって」
「グラドスの本拠地全体を調べるか」
「よし、じゃあな」
 こうしてすぐに偵察や調査が開始された。そしてであった。
 すぐにだ。このことがわかったのだった。
「基地は大抵破壊されているな」
「しかも徹底的に」
「兵士一人いないぜ、何処もな」
 まずは基地だった。
「死骸一つねえ」
「マシンも全部破壊されてるし」
「何もかもが」
「こっちもだ」
 そして他の基地もだった。
「随分やられてるな」
「こりゃかなりだな」
「もう使えないぜ、この基地」
「ここまでやる?」
 そうした報告が相次ぐのだった。
 そしてだった。それはだ。
「あれ?この星も」
「ああ、この星も」
「ここもだ」
「あれっ、何処も?」
 何とだった。惑星もスペースコロニーもだ。何処にも誰もいなかったのだ。
「プロトデビルンがやったのか?」
「じゃあ今までのあの戦力は」
「殆どグラドスから補充していた?」
「つまりは」
「そうみたいだね」
 エイジもここで言った。
「それで今まで」
「そうだったんだ」
「あれだけの戦力を維持していた」
「ここから主にか」
「それでか」
「けれど」 
 しかしだった。ここでこのことがわかるのだった。
「もう人いないからプロトデビルンも戦力の補充はできないよな」
「だよなあ。もうな」
「これで」
「バルマーの他の勢力圏とかは守りも固いし」
「ゲストとかインスペクターも」
「だから」
 こう話していくのだった。
「だからもう連中も」
「戦力の供給源がなくなれば」
「それで」
「しかしな」
 だが、だった。ここで豹馬が言うのだった。
「何でここなんだろうな」
「ああ、それはやっぱり」
「グラドスだから」
「それに尽きるよな」
「だよなあ」
「それしか」
 ないというのであった。誰もがだ。
「ああいう連中だし」
「それならな」
「やっぱりプロトデビルンだってな」
「攻めるよな」
「頭にくるし」
「そういうことだな」
 皆ここで納得したのだった。そしてであった。
 偵察を終えてだ。その結果は。
「全滅だよ」
「何処もかしこも」
「誰一人して残ってないし」
「マシンも一機も」
 ないというのであった。しかしだった。
 ここでエイジが話してきた。
「いえ、それでもです」
「まだ残ってるんだ」
「連中もしぶとく」
「っていうと」
「それは何処なんだ?」
 皆あらためてだった。エイジに尋ねた。
「やっぱりグラドスの本星?」
「そこ?」
「そこにいるんだ」
「はい、そこしかありません」
 その通りだと答えるエイジだった。
「元々グラドス人は本星に集まっています」
「じゃあ基地とか他の惑星は」
「ただの出先機関とか殖民先?」
「それだけだったんだ」
「やっぱり」
「はい、そうです」
 エイジはまた答えた。
「ですからグラドスの損害はこれでも軽微です」
「じゃああれだな」
 それを聞いたタケルの言葉だ。
「ここはそのグラドスの本星を攻めて」
「それで一気にケリをつけるか」
「だよな。じゃあ」
「ここは」
 こう話してだった。彼等の方針がまた決まった。
 そしてであった。エイジの案内の下そのグラドス本星に向かうのであった。
 その中でだ。ジェリドが不機嫌そのものの顔で言うのだった。
「まああれだな」
「そういうことか」
「ああ、正直あの連中はな」
 その顔でカクリコンに話すのであった。
「好きにはなれないな」
「俺もだ」
「そうか。やっぱり御前もか」
「俺は軍人だ」
「俺もだ」
 二人のこの認識は強かった。
「元々ジャマイカン少佐達のやり方もな」
「俺達は反対だったからな」
「だからグラドスはな」
「そういうことだな」
「好きになれる筈がないんだよ」
 これがジェリドの結論だった。
「絶対にな」
「そのグラドス軍だが」
「エイジの話じゃ連中の母星に集結していたな」
「元々あそこにだったね」
 ライラも話に加わってきた。
「奴等が移住したんだね」
「そうらしいな」
「バルマーの本星からな」
 ジェリドとカクリコンはこうライラに答えた。
「何かグラドス家も十二支族らしくてな」
「それでだ」
 こう話すのであった。
「バルマーの中でもかなりの力を持っている」
「そうなる」
「だからなんだね」
 ライラはここまで聞いてわかったのだった。
「連中があそこまで偉そうなのは」
「中身は全然ねえがな」
 ヤザンは辛辣だった。
「結局のところはな」
「そうですね。それは」
「確かに」
 ラムサスとダンケルもこのことは強く感じていた。
「彼等は戦闘力は高くありません」
「決してです」
「あれね。口で言う程のことはないわね」
 マウアーもそう感じているのだった。
「マシンの性能も活かしきれていないわ」
「はい。ただ」 
 サラはあることを警戒していた。それは。
「彼等は一般市民でも誰でもです」
「酷いことするからね」
 カツも今はその顔に嫌悪感を見せている。
「それが問題だよね」
「だよなあ、それは」
「本当にね」
「毎回毎回そうだし」
「だからこっちも徹底的にやってるし」
 そうする理由があるということだった。
「あの連中だけは放っておいたら何するかわからないから」
「ああ、降伏した傍方から攻撃してきたしな」
「そういうこともしてきたからな」
 そんな彼等だった。何はともあれその本星に向かう。
 しかしその中でだ。騒ぎが起こるのであった。
「痛っ」
「むっ、済まない」
 シティ7の中でだ。トウマが誰かとぶつかったのだ。
 すぐに謝罪の言葉が返って来た。女の声だった。
「怪我はないか」
「あ、ああ」
 それはないというのだった。
「軽く当たっただけだしな」
「そうか」
「ああ。だから気にしないでくれ」
 こう返すトウマだった。
「別にな」
「そうか。ならいいがな」
「ああ。しかしあんた」
「何だ?」
 見ればだ。緑の澄んだ目に浅黒い肌とはっきりとした顔立ち、紫の髪という姿だった。白い服と赤紫の帽子が印象的である。
 中性的な趣の女だった。トウマはその彼女を見て言うのだった。
「はじめて見る顔だな」
「そうか」
「しかし。何か違うんだよな」
 彼は本質的にこのことを察していた。
「何処かな」
「何処かとは」
「いや、それはわからないけれどな」
 トウマはいぶかしむ顔になっている。
「ここで会ったのも何かの縁だ。名前聞かせてくれないか」
「私の名前か」
「ああ、何でいうんだ?」
 こう彼女に問うのだった。
「それで。何て名前なんだ?」
「ルリアだ」
 まずはこう名乗る彼女だった。
「私の名前はルリア=カイツという」」
「ルリアさんか」
「そうだ」
 あらためて名乗る彼女だった。
「覚えておきたければそうするといい」
「ああ。じゃあ今度は俺の番だな」
 今度はこう言うトウマだった。
「俺の名前はな」
「何というのだ?」
「トウマっていうんだ」
 まずはこう名乗る彼だった。
「トウマ=カノウっていうんだ」
「そうか、トウマか」
「よかったら覚えておいてくれよな」
 笑顔で話す彼だった。
「そういうことでな」
「うむ。ではまたな」
「縁があればな」
 これでお互い別れようとした。しかしであった。
 今度はだ。ヴィレッタが来たのだった。彼女はまずトウマに声をかけた。
「ここにいたのか」
「あっ、ヴィレッタさん」
「急に姿が見えなくなったから探したがな」
「ちょっと人と話をしてまして」
「人とか」
「はい、この人とですけれど」
「むっ!?」
 ヴィレッタもルリアを見た。するとだった。
 その顔を強張らせてだ。こう言うのであった。
「まさか。貴様は」
「くっ、こんなところで会うとはな」
 お互いに言うのだった。ヴィレッタもルリアも。
「ルリア=カイツ。何故ここに」
「ヴィレッタ=パゾム。いるのはわかっていたが」
「んっ。何だ?」
 トウマも二人のやり取りをみてまた察したのだった。
「妙な感じだな」
「あっ、トウマここにいたのね」
 今度はミナキが来た。
「何処に行ったのかしらって思ったけれど」
「ああ、ちょっとな」
「ちょっと?」
「俺のことはいいとして」
「いいって。そういう訳にはいかないじゃない」
「いや、ちょっとな」
 口ごもるような調子になっていた。
「あれなんだよ。今な」
「あれっ、ヴィレッタさんもここに」
「何か知り合いらしいんだよ」
 トウマはヴィレッタとルリアを見ながら放すのだった。
「どうやらな」
「知り合いって?」
「それがどうもな」
「どうもって」
「まさかと思うけれどな」
「そのまさかだ」
 ヴィレッタもここでトウマに話してきた。
「それだ」
「ってことは」
「そうだ、この女はバルマーの者だ」
 このことを言うのだった。
「それも十二支族の者だ」
「えっ、十二支族って」
「あの!?」
 それを聞いてだ。トウマだけでなくミナキも驚きを隠せなかった。
「まさかと思いましたけれど」
「バルマーのあの支配者層の」
「そうだ。何故ここにいる」
「それは」
「そしてだ」
 ヴィレッタはルリアにさらに問う。
「御前がそこにいるということはだ」
「何だというのだ」
「まだいるな」
 こう問うのだった。
「アルマナも」
「それは・・・・・・」
「逃がしはしない」
 隙は見せなかった。
「背を向ければその時はだ」
「わかっている」
 忌々しげだがそれでも答えるルリアだった。
「それはだ。私も背を向けるつもりはない」
「ではいいな」
「仕方あるまい。だが」
「アルマナの安全はか」
「それは守ってもらおう」
 こうヴィレッタに言うのだった。
「約束できるか」
「安心しろ。ロンド=ベルはだ」
 他ならぬ彼等のことだ。
「私と同じくバルマーの者も多い」
「それでだというのか」
「捕虜にすることはあっても捕らえることはない」
 また言うヴィレッタだった。
「安心することだ」
「その言葉信じさせてもらう」
 ルリアもここで話した。
「それではな」
「ではアルマナと共にだ」
 来いというのだった。これで話は決まった。
 かくしてルリアはそのアルマナと共にロンド=ベルの面々の前に出ることになった。それを聞いてであった。
 トウマとミナキはだ。二人で話すのだった。
「何か大変なことになってきたな」
「そうね。まさかシティ7にバルマーの人が潜り込んでたなんて」
「しかもな」
 トウマは首を傾げながら話す。
「十二支族か」
「マーグさんもそうだけれど」
「今回は潜り込んでたからな」
「事情が違うわよね」
「ああ、だからな」
 それでだというのであった。
「どうなるんだ、これは」
「別に命を取ったりはされないみたいだけれどね」
「それでも。これはな」
「まずいわよね」
「ああ、本当にどうなるんだろうな」
 それがわからないからこそ困る彼等だった。グラドスでの戦いは思わぬイレギュラーをも抱え込んでしまうことになったのであった。


第七十六話   完


                      2010・11・21
 
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