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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第六十九話 真の名前

              第六十九話 真の名前
「そうか、今はか」
「はい」
「奴等はペンタゴナにいます」
 キャリコとスペクトラがハザルに報告していた。
「そしてそのうえで」
「ポセイダル軍と戦闘中です」
「そうか、わかった」
 ハザルはそれを聞いてまずは納得したのだった。
「それではだ」
「どうされますか、今は」
「ペンタゴナに向いますか」
「いや、それはまだだ」
 ハザルはこう二人に答えたのだった。
「まだ動きはしない」
「では傍観ですか」
「今は」
「そうだ、傍観だ」
 まさにそうだというのである。
「ペンタゴナには介入しない」
「左様ですか」
「今はなのですね」
「ポセイダルについても気になるところがある」
 ハザルはここでいぶかしむ顔になって述べた。
「少しな」
「気になることがですか」
「あるのですか」
「ポセイダルは女だな」
 言うのはここからだった。
「そうだな」
「はい」
「その通りですが」
「女なのか」
 彼はいぶかしむ顔のままこう述べた。
「本当にだ」
「といいますと」
「ポセイダルに何かあるのですか」
「あの統治は男のものではないのか?」
 ハザルが指摘するのはこのことだった。
「どうもそう思うのだが」
「男のものですか」
「そう思われますか」
「そうだ、俺にはそう思える時がある」
 奇しくも彼もそう見ているのだった。
「どうなのだ、それは」
「ははは、面白い見方だね」
 ここで孫が出て来た。
「それはまた」
「貴様、また急に出て来たな」
「僕は神出鬼没が取り柄でね」
 飄々とした感じで言う彼だった。
「それでここでもね」
「出て来たというのか」
「そういうことだよ。それでね」
「それで。何だ」
「とにかくペンタゴナには介入しないんだね」
「好きなようにやらせる」
 ここでもこう言うハザルだった。そしてだ。
 そのうえでこう言うのだった。
「それでだが」
「はい」
「では」
「問題はそれからだ」
 こう述べるのだった。
「奴等とポセイダル軍の戦いが終わってからだ」
「それからどうされますか」
「一体」
「まずポセイダル軍が勝てば」
 彼はその場合から話す。
「奴等はおそらく鍵を手に入れる」
「鍵を」
「あの少女を」
「そして逃げているあの我儘な姫もだ」
 この言葉も出すのだった。
「そこにだ」
「一気に攻めて」
「そしてですか」
「元々怪しい動きの多い奴等だ」
 ハザルはポセイダルについてこうも言うのだった。
「謀反の意志ありと言って攻め滅ぼす」
「では今は」
「用意をですね」
「そうだ、そうする」
 この場合におけるハザルの考えだった。
「その場合はだ」
「成程ね」
 孫は彼の言葉をまずは聞いた。そうしてだった。
 そのうえでだ。またハザルに対して問うのだった。
「それじゃあだけれど」
「ロンド=ベルが勝った場合か」
「そう。その場合はどうするのかな」
「同じだ」
 孫にすぐにこう返すハザルだった。
「同じなのだ」
「じゃあロンド=ベルを倒すんだね」
「無論だ。そしてまた手に入れる」
 こう言うのだった。
「あの連中をだ」
「確かにどちらにしても同じだね」
「お互いに潰し合わせるに限る」
 ハザルは気取った感じで述べた。
「虎が二匹いればその時はな」
「いや、お見事」
 孫はハザルの話をここまで聞いたうえで手を叩いてみせた。
「それこそが戦略だね」
「皮肉か?」
「いやいや、事実だよ」
 笑顔でこうも言ってみせる彼だった。
「本当にね」
「そう言えるのだな」
「うん、それでね」
「それでか」
「その時は勿論僕も出させてもらえるよね」
 ハザルに対して問うのだった。
「そうだよね」
「当然のことだ」
 ハザルはその孫に対して傲然とした態度で返した。
「貴様は何だ」
「真龍王機の操者だよ」
「そしてどの軍にいる」
「ゼ=バルマリィ帝国軍外銀河方面軍」
「そうだな。ではだ」
 孫自身にここまで確認させてからだった。また言うハザルだった。
「俺の命令に従うのだ」
「そういうことなんだね」
「そうだ。ではいいな」
 また孫に言うのだった。
「俺の命令に従え」
「それじゃあ次の戦いにね」
「出ろ、いいな」
 これがハザルの言葉だった。
「わかったな」
「うん、いいよ」
「ふん、それにしてもだ」
「今度は何だい?」
「調子に乗るなよ」
 不意にだ。ハザルのその目が鋭いものになった。そうしての言葉だった。
「いいな」
「おや、厳しいね」
「俺はマーグとは違う」
 彼の名前もここで出すハザルだった。忌々しげにだ。
「あの様に甘くはないぞ」
「甘いね」
「そうだ、あの様な裏切り者とだ」
 違うというのである。
「違うとだけ言っておく」
「また念入りだね」
「ではだ。次だ」
 ハザルはこのことを念押ししてきた。
「それまでは戦力を整えるぞ」
「予備戦力もですね」
「用意しておくのですね」
「そうだ、金は幾らでもある」
 資金は潤沢だというのだ。
「傭兵をどんどん雇え。いいな」
「傭兵か」
 不意にバランも出て来た。
「どうもな、それはな」
「ハザル、何が言いたい」
「正規軍がいるのにか」
「それだけで足りるものか」
 バランに対してもだ。傲慢な調子だった。
「兵は多ければ多い程いいのだ」
「我が帝国軍に相応しい質を尊ぶべきだがな」
「司令官は俺だ」
「ではその権限で決めるのだな」
「そういうことだ。黙っていてもらう」
 ここでも傲慢なままのハザルだった。
「例え貴様でもだ」
「ではいい。好きなようにするのだ」
「ふん、ではエイスよ」
「・・・・・・・・・」
 エイスは喋らない。ただハザルの後ろに控えているだけである。だがそれでも確かにその場にいてだ。ハザルに応えるのだった。
「貴様は奴等を見張っておけ」
「・・・・・・・・・」
「ポセイダルもロンド=ベルも両方だ」
 こう言い加えもした。
「わかったな」
「・・・・・・・・・」
「さて、後は高みの見物だ」
 これ以上にないまでに高みに立っての言葉だった。
「どちらが潰れるかだな」
「そうだね。ここは」
 孫は彼とは全く違い楽しげな笑みで言うのであった。
「多分」
「多分。何だ」
「いやいや、何でもないよ」
 孫は飄々とした笑みで彼に返した。
「それじゃあね」
「ふん、ここでもか」
「では僕もまた」
 孫は一人その場から姿を消す。そしてだった。
「休ませてもらおうかな」
「戦力の調達及び募兵はお任せ下さい」
「そちらは」
 キャリコとスペクトラの言葉である。
「次の作戦行動までには」
「必ずや」
「しておけ。そしてだ」
 ハザルの言葉は強い。
「若し失敗すればだ」
「は、はい」
「その時は」
「覚悟しておけ」
 二人を見下ろしてだ。ハザルは言う。
「俺は失敗に関して寛容ではないことはわかっているな」
「無論です」
「それは」
 二人もだ。ハザルの今の言葉には明らかな怯えを見せていた。実際にだ。ハザルは失敗した部下を容赦なく打つことでも知られているのだ。
 その彼が動くように言うのだった。しかしだった。
 孫はその彼を何処か冷ややかに、笑って見ているのだった。
 ロンド=ベルの動きは素早かった。基地の前まで迫っていた。
 そしてである。ダバはこう言うのだった。
「いよいよだな」
「そうね」
 リリスはダバのその言葉に頷いた。
「これでこのヤーマンもね」
「いや、リリス」
 ダバの言葉はここで強いものになった。
「ヤーマンじゃないだろ」
「ヤーマンじゃない?あっ」
「そうだ、コムなんだ」
 そこだというのだ。
「コムなんだ、この星は」
「そうだったね。ここってコムだったね」
「この星はコムなんだ」
 また言うダバだった。
「そうなんだ」
「そしてだな」
 キャオもここでダバに言ってきた。
「ダバ、御前もな」
「俺も」
「ダバ=マイロードじゃなくてな」
 こうダバに話すのだった。
「そうだよな」
「いや、キャオそれは」
「まあいいじゃねえか。クワサンも戻ってきたしな」
 彼女の名前も出しての言葉だった。
「そうだよな」
「クワサンも」
「ああ。だからいいだろ?コムに来たんだ」
 彼もだ。もうヤーマンとは言わないのだった。そしてこの名前で呼ぶのだった。
「コムだからな」
「だからっていうんだな」
「ああ、カモン=マイロード」
 その名前で呼ぶのだった。
「その名前はどうだい?」
「いや、俺は」
「いいっていうのかよ」
「ああ、いい」
 これがダバの言葉だった。
「俺はカモン=マイロードというよりも」
「ダバ=マイロードか」
「今はその名前で生きたい」
 こう言うのだった。
「それは駄目かな」
「それで戦うんだな」
「銀河の戦いはポセイダルとの戦いで終わりじゃない」
 そうだとも話すダバだった。
「だから。俺はまだ」
「それでダバ=マイロードなんだな」
「そうだ」
 まさにそうだというのである。
「それでなんだ」
「わかったぜ。じゃあダバ」
 キャオは彼はこの名前で呼んでみせた。
「行こうぜ」
「コムを解放する戦いに」
「ああ、行こうぜ」
 キャオはこう自分が今いるゴラオンから話すのだった。
「今からな」
「敵の艦隊は」
 ここでだった。ふとギャブレーが話すのだった。
「三個だな」
「いや、残念だが違う」
 レッシィがそのギャブレーに言ってきた。
「もう一個艦隊だ」
「上か」
 ギャブレーはすぐにわかった。
「上にいるのだな」
「そうだ、上にもう来ている」
 こう話すレッシィだった。
「上にだ。来ている」
「では降下か」
「そうさ。その時はどうするかはもう」
「無論わかっている」
「それならいいがな」
「敵も馬鹿ではない」
 このことが前提にあった。ジュデッカ=ゴッツォの者達との戦いも数多く経てきた。だからこそわかってきていることなのである。
 それでだ。ギャブレーは言うのだった。
「その程度はしてくる」
「そうだな。それではだ」
「おそらく横か後ろだ」
 ギャブレーは今度は方角を述べた。
「そこから来るな」
「ではだ」
「警戒しながらね」
 アムも言ってきた。
「そういうことね」
「そうだな」
 エイブがダバ達のその言葉に応えた。そうしてだった。
 エレに身体を向けてだ。こう言うのであった。
「それではここは」
「慎重に、ですね」
「迂闊に攻めては後ろや横から攻められます」
 だからだというのである。
「ですからここは」
「わかりました。それでは」
「はい」
「全軍進撃を開始します」
 それはだというのである。
「しかしです」
「慎重にか」
「いつもみたいに激しく攻めるんじゃなくて」
「後ろから攻められたら厄介だしね」
 ガラリアの言葉だ。
「背中から撃たれたら誰だって終わりさ」
「その通りだな」
 ロジャーがガラリアのその言葉に頷いた。
「それをされると思うだけで影響が出る」
「それが今なのね」
 ドロシーがロジャーのその言葉に問うた。
「つまりは」
「そういうことだ。それではだ」
「ええ」
「普段より穏やかに行くとしよう」
 ロジャーは言いながら僅かに出ただけだった。他の者達もだ。
 そうしてである。進むとだ。
 早速前方のバルマー軍もだ。迎撃態勢に入るのだった。
 まずラオデキアが言った。
「来たな」
「うむ」
「そうだな」
 ヒラデルヒアとエペソが応える。
「では我々はだ」
「ここを守りだな」
「まずは守るだけでいい」
 ラオデキアはまた言った。彼等は今はヘルモーズにはいない。それぞれの指揮官用の地上戦艦に乗っている。そうしているのだ。
「そしてやがてだ」
「サルデスの艦隊が降下する」
「あの者達の側面及び後方に」
「そうすれば勝機が見える」
 こう言うラオデキアであった。
「ではだ。その時までだ」
「守るとしよう」
「ここはな」
 こう話してだった。彼等も積極的には攻めず守りを固めるだけであった。そうしているのだった。
 両軍の戦いは静かであった。ロンド=ベルはいつもの様に派手に攻めない。
 それでだ。モンシアがたまりかねてこんなことを言った。
「ちっ、何か面白くねえな」
「いつもと違うからだな」
「だからですね」
「ああ、そうだ」
 その通りだとだ。ヘイトとアデルにも答える。答えながらディジェの拡散ミサイルを放っている。だが積極的に斬り込むことはしない。
「確かにモビルスーツはある程度距離を置いて戦うものだがよう」
「まあ仕方ないな」
「何時後ろから来るかわかりませんから」
 二人もこう言って今は遠距離攻撃に徹している。
「今は我慢するんだな」
「じっくりといきましょう」
「仕方ねえな」
「これも戦いだ」
 バニングもだった。やはり遠距離攻撃に徹している。
 GPー01を鮮やかに動かす。しかし斬り込まずだ。ビーム攻撃に徹するのだった。
 そのうえでだ。こう言うのだった。
「モンシア、ヘイト、アデル」
「ええ」
「はい」
「何でしょうか」
 三人に声をかけたのだ。彼等もすぐに応えてきた。
「今は迂闊に動かずにだ」
「こうしてですね」
「距離を置いて」
「それで戦うんですね」
「それだけではない」
 彼はさらに言うのだった。
「警戒を怠るな」
「何時降下してくるかわからない」
「だからですか」
「それで」
「そういうことだ。そして来ればそこをだ」
 バニングのその言葉が強いものになった。そうして言うのであった。
「狙い撃て。いいな」
「敵が動く前にってことですね」
 キースがこうバニングに問うてきた。当然彼も突っ込んではいない。距離を置いて戦っている。
「そういうことですよね」
「そうだ、これはモビルスーツだけではない」
「他のマシンもですか」
「そうだ」
 またキースに対して答えるのだった。
「絶対にだ。陣を崩すな」
「崩したら負けですね」
 コウも言葉は強いものだった。
「その時は」
「そういうことだ。僅かな乱れが敗北につながる」
 バニングの言葉は短いが確かなものである。
「そのことはわかっておくことだ」
「そうですね。この戦いは」
「乱れたらそこをやられますよね」
 クリスとバーニィもそれがわかっていた。やはり彼等も突っ込まない。
「それならここは」
「本当にじっくりと」
「そうすることだ。いいな」
 バニングの指揮は的確だった。彼は部下達をあえて突っ込ませない。そのうえで遠距離攻撃に徹するのだった。 
 だがそれでも前面では接近戦が得意なマシンが暴れ回っている。
 バーンがだ。敵をまとめて両断しながら言うのだった。
「これでいいな」
「上出来だな」
 その彼にニーが言ってきた。
「だがそこから突き進まないのか」
「わかっているからだ」
 だからだとだ。ニーに返すバーンだった。
「この戦いは迂闊に前には進めぬ」
「何かバーンらしくないけれど」
 キーンはそんなバーンに少し驚いていた。
「けれどその通りね」
「今は来る敵だけを倒す」
 やはりわかっているバーンだった。
「そうするだけだ」
「そうだな。それがいいな」
「ここはそれが一番だな」
 アレンとフェイもだった。
「じっくりとだな」
「来た奴等だけを斬っていくか」
「まあ俺はそっちの方がいいかな」
 トカマクは少し遠慮したような言葉を出していた。
「ダンバインって遠距離攻撃もできるけれどさ」
「しかしよ、やっぱり接近戦メインだぜ」
 トッドがそのトカマクに言う。
「サーバインなんかは特にな」
「いや、サーバインはそもそも遠距離攻撃用の武器はない」
 そのサーバインに乗るシオンの言葉だ。
「だから元から無理だ」
「まあ仕方ないわよね」
 彼と共にいるシルキーもそれはだというのだ。
「これはね」
「オーラバトラーにはオーラバトラーの戦い方があるのよ」
 マーベルの今の言葉こそ正論だった。やはり彼女もダンバインに乗っている。三機のダンバインがそれぞれ戦場にいるのである。
「接近戦をするものなのよ」
「その通りだな」
 ショウはマーベルの言う通りだと返した。
「だから今は」
「けれどショウ」
 それでもだった。マーベルはこうも言うのだった。
「あまり前に出たら」
「ああ、わかってる」
 ショウもこのことはわかっていた。それでだった。
 前に出ずだ。そうしてだった。来る敵だけを倒すのだった。
「こうしていく、今は」
「ショウ、そういえば」
 リムルもいた。
「もうすぐね」
「ああ、そうだな」
 また言うショウだった。
「上から来る頃だな」
「時間的にはね」
 タイミングを見てのやり取りだった。
「来る頃ね」
「来たらその時は」
「その時もだ」
 カワッセがショウ達に言ってきた。
「迂闊に前に出るな」
「わかりました」
「それなら」
 こう話してだった。彼等は戦い続ける。その時にだった。
 衛星軌道上にいるサルデスがだ。己の部下達に話した。
「いいな」
「はい」
「それではですね」
「そうだ、降下する」
 まさにそうするというのだった。
「今からだ」
「わかりました」
「それでは」
「全軍降下だ」
 また言う彼だった。そうしてだ。
 バルマー軍は降下した。そしてであった。
 ロンド=ベルの側面や後方に降りる。それはだ。
「来ましたね」
「はい」
 カワッセは今度はシーラに応えていた。
「それではですね」
「はい、彼等には遠距離攻撃ですね」
「わかりました。それでは」
「今から」
 こう話してだった。彼等はサルデスの艦隊には遠距離攻撃を出すのだった。そうしてそのうえで彼等を次々と倒していく。
 それを見てもだ。サルデスは己の戦力をさらに降下させていくのだった。
「怯むことはない」
「このままですね」
「降下していくのですね」
「そうだ、降下していく」
 また言う彼だった。
「いいな、そして余もだ」
「司令もですか」
「降下されるのですか」
「ここは」
「ヘルモーズは使えないがだ」
 それでもだというのだ。
「それでもだ」
「はい、ヘルモーズは今全てポセイダル様の下に集結させています」
「ですから今は」
「使えませんが」
 こうした事情故でだった。
「しかし戦艦があります」
「それで、ですね」
「降下ですね」
「その通りだ。では行くぞ」
 こう話してだった。サルデスも降下した。彼はロンド=ベルの後方に出た。 
 そしてそこからだ。己の部下達に命じるのだった。
「それぞれロンド=ベルに向かえ」
「はい、わかりました」
「ではそうしてですね」
「攻撃を」
「そうする」
 そしてだった。彼はここでエペソ達とも連絡を取った。
 モニターを通じてだ。彼等と話すのだった。
「来たぞ」
「うむ、それではだ」
「時が来たな」
「今だな」
「余の艦隊が側面と後方から攻める」
 こう三人に話すのだった。
「汝達はだ」
「護る。このままな」
「いいな」
「それでだな」
「そうだ、護っていればいい」
 彼等はだというのだ。その基地に展開している戦力はだ。
 そしてサルデスはだ。自ら攻めるというのだった。
「では戦うとしよう」
「うむ、それではだ」
「ここでロンド=ベルを抑えてだ」
「我がバルマーの脅威を取り除くとしよう」
 彼等はあくまでバルマーの臣であった。ポセイダルの臣ではなかった。
 そうしてだった。さらに戦うのだった。
 その中でだ。ロンド=ベルは戦っていた。だが彼等も攻めない。
 迫る敵だけを倒してだ。そうしていくのだった。ダバもその中で言う。
「敵も考えたな」
「そうよね」
 リリスもダバのその言葉に頷くのだった。
「ここはね」
「とりあえず迫って来る敵だけを倒そう」
 これがダバの考えだった。
「そうしていこう」
「少しずつなのね」
「そう、少しずつだ」
 少なくとも一気にというのではないのだった。
「普段とは違うけれどな」
「そうよね。普段は一気に攻めるけれど」
「今は倒すんだ」
 また言うダバだった。
「今はな」
「ううん、何かこういう戦いって私達あまりしないわよね」
「そうなんだよな。だからもどかしい気持ちはあるな」
「そうよね」
「けれどここはじっくりと戦わないとな」
「敵の数、減ってるよね」
 リリスはこのことが気になったのだった。
「少しずつだけれど」
「そうだな。減ってるよな」
「そうなの」
「そう思うけれどな」
 こう話すのだった。
「けれど」
「けれど?」
「まずはここは」
 ダバは敵の動きを見た。それも全体をだ。
「側面や後方の敵は攻めてきて」
「そうよね」
「けれど前の敵は来ない」
「前を攻めたいのにね」
「それをどうするかだよな」
 考える顔になっていた。
「ここは」
「なあダバ」
 ここでもキャオがダバに言ってきた。
「ここはな」
「ここは?」
「攻めるべきじゃねえのか?」
 こんなことを言う彼だった。
「敵の数は普段より少ないけれどな」
「ああ」
「それでもこうちまちま戦ってても敵の戦力は補充されてるぜ」
「補充、そういえば」
「基地にあれだぜ。敵の予備戦力があるぜ」
 そうだというのだった。
「パイロットがいる限りな。どんどん出て来るぜ」
「じゃあどうすれば」
「だから攻めるべきなんだよ」
 またこう言うキャオだった。
「そっちの方が俺達向きだしな」
「話はわかるけれど」 
 だが、だった。ダバの顔は暗かった。言葉もだ。
「それでも今は」
「横や後ろから来る敵はな」
「そっちはどうするの?」
「それには抑えを置くんだよ」
 キャオはリリスにも答えた。
「それで他の奴等でな」
「基地を攻めるのね」
「そうするんだな」
「ああ、これでどうだよ」 
 リリスだけでなくダバにも話した。
「それならな」
「ううん、それなら」
「残す人間は」
 リリスとダバはだ。さらに話すのだった。
「精鋭よね」
「とっておきのメンバーを置くか」
「まあ大体決まってるけれどな」
 キャオはそれはだというのだった。
「腕の立つのから四分の一置いてな」
「四分の一か」
「ああ、それで残る四分の三、いや」
「いや?」
「一気に倒すんなら五分の四か?」
 キャオは数字は変えてきた。
「それだけ向けるか」
「そうするのか」
「ああ、それで基地を一気に陥落させるんだよ」
 まさにロンド=ベルの戦いだった。それこそがだ。
「それでどうだよ」
「そうだな」
 大河がだ。キャオのその言葉に応えた。そうしてであった。
「ここはそうするか」
「俺の考えでいいんですか」
「やはりここはだ」
 大河は強い言葉であった。その言葉で話す。
「積極的にいくべきだな」
「はい、ですから」
「よし、諸君!」
 大河はキャオに話してから一気に全員に告げた。
「五分の一を抑えに置く」
「はい!」
「それで、ですね」
「残りで敵の基地を陥落させる」
 そうするというのだった。
「基地にはマシンが多くある。敵機は次々に補充されていく」
「けれどそれを一気に攻めて」
「そうして」
「そうだ、陥落させる!」
 まさに勢いで攻めるというのである。
「それでいいな」
「了解です!」
「それなら!」
「攻撃開始!」
 大河の言葉が告げられてであった。そうしてだった。
 ロンド=ベルは精鋭だけをサルデスの艦隊の抑えに残してだ。主力を基地に向けた。そしてそこにいる三個艦隊と戦うのだった。
 その攻撃を見てだ。まずはヒラデルヒアが言う。
「まさかと思ったが」
「奴等が来たことか」
「それか」
「数では我等が上だ」
 こうエペソとラオデキアに返すのである。
「だがそれでもだ」
「攻めてくるか」
「囲まれていても」
「その勇気は認める」
 それはだというのだ。
「だが、だ」
「予備戦力はある」
「そうだな」
「それを使いだな」
「戦うとしよう」
「今はな」
 こうしてだった。彼等は次から次に撃墜されるとパイロットを乗り換えさせてそのうえでだ。しぶとく戦い続けロンド=ベルを迎え撃つのだった。
 だがそれでもだ。少しずつではあったが。
 ロンド=ベルが押してきた。そうしてだった。
「よし、もっとだ!」
「もっと撃て!」
「撃墜しろ!」
 ロンド=ベルの面々はさらに勢いに乗っていた。その中にはダバもいた。
「よし、これなら」
「そうね」
 リリスも彼に言う。
「いけるわよね」
「ああ、いける」
 その通りだとだ。リリスに返すダバだった。
「敵が予備戦力を出してきてもだ」
「ええ」
「それ以上倒せばいいだけだ」
 いつものロンド=ベルのやり方であった。
「そうすればいいだけなんだからな」
「そうよね、やっぱり」
「積極的にいく時はいかないと駄目なんだ」
 そしてこうも言うダバだった。
「今も。だから」
「うん、じゃあダバ」
 ここでもバスターランチャーを出して。そして。
 一気に撃つ。ヘビーメタル達だけでなく戦艦も貫くのだった。
「よし!」
「これでいいわね」
「ああ、それでいいんだ」
 まさにそうだというのだった。
「こうして倒していって」
「それで敵を最後まで倒して」
「コムの戦いにも勝つ!」
「うん、そうしようダバ!」
 二人が話しているその先では。あの三人が暴れていた。
「おらおら!」
「やっぱり戦いは派手にやらないとね!」
「面白くない」
 オルガ、クロト、シャニはまさに水を得た魚だった。縦横無尽に暴れ回る。
「出て来るなら出て来やがれ!」
「片っ端から抹殺してやる!」
「死ね」
 こんな調子だった。そしてである。
 アルフレドもだ。大体同じだった。
 前にいるアトールをだ。ビームで撃墜して言うのだった。
「よし、この程度ならな」
「何でもないんですね」
「つまりは」
「そうだ」
 こうキーエンスことキースとボーマン=オルセンに答える。
「何ということはない」
「そうですか。ヘビーメタルでも」
「ビームコートがあってもですか」
「急所を撃ち抜けばそれで終わりだ」
 そうだというのである。
「それでだ」
「まあ幾ら守っても」
「それ以上のダメージを受ければ」
 二人もこのことはわかっていた。実際にそれぞれビーム攻撃でヘビーメタルを数え切れないだけ撃墜してきているからだ。それで、である。
「どうしようもありませんしね」
「そういうことですね」
「そういうことだ。それじゃあ」
「ええ、俺達も」
「やります」
 二人も敵にビームで攻撃を仕掛けて急所を貫く。彼等の攻撃も激しいものだった。
 スティングはだ。オールレンジ攻撃を仕掛けていた。その中で言うのだった。
「それぞれ合う攻撃していけばいいよな」
「まあそうだな」
 その彼にアウルが答える。彼は変形させていない。
「結局のところはな」
「カオスガンダムは変形した方がいい場合多いんだよな」
「アビスは水じゃないとそれやっても駄目だからな」
「そうだな。それはな」
「そうしたところは羨ましいな」
 言いながらその戟で敵を真っ二つにする彼だった。
 そしてだ。ステラもだった。
 ガイアガンダムを獣の形にしてだ。そのうえで攻撃して言うのだった。
「ステラはこうする」
「ああ、それでいいぜ」
「地上だとそれでいいからな」
「うん。ただ」
「ただ?」
「どうしたんだよ、今度は」
「シンには負ける」
 彼の名前をここで出すのだった。
「どうしても」
「シンは。まあな」
「ありゃまた違うからな」
 二人もシンについてはこうだった。
「あのガンダムはな」
「攻撃力が違うからな」
「じゃあステラもあのインパルスデスティニーに乗れば」
 ステラはこんなことも言ってきた。
「あんな活躍が」
「いや、流石に無理だろ」
「だからシンはパイロットとしても違うんだよ」
「そうなの」
「そうだよ、あれは天性だからな」
「コーディネイター云々抜きにしてもな」
「そうだな」
 イライジャが三人の話を聞きながら頷いた。
「あいつの強さはな。もう何かが違う」
「本当に天才なんだろうな」
 ロウもシンはそう見ていた。
「あれはな」
「そうだな。あそこまで戦えるのはだ」
「パイロット能力ではキラよりも上だろうな」
 そこまでいっているというのである。実際に今もシンは先頭に立ってだ。まさに鬼神の如き凄まじい戦いぶりを見せているところだった。
「本能的なものだろうな」
「ああ。今思えばな」
「何だ?」
「あいつだからだな」
 こう言うイライジャだった。
「あいつだからステラをな」
「助け出せたか」
「あいつだけじゃないがな」
 キラも見る。彼もまた戦っている。
「それでも。あいつのあの激しさがな」
「ステラを救い出せんだな」
「そう思うだろ」
「ああ、確かにな」
 ロウもだった。同じ意見だった。
「そう思う。俺もな」
「やっぱりそうか」
「あいつはステラに相応しい奴だ」
 そこまで言うロウだった。
「っていうかあいつ以外にはな」
「やれないっていうんだな」
「ステラ達はな」
「弟や妹か」
「もうそうなっているからな」
 だからだというのであった。
「ちょっとやそっとの奴にはな。やれないな」
「そういうことだな」
 こう話しながらだ。彼等も戦っていく。そしてであった。
 遂にだった。基地でだ。
「くっ、まさかな」
「あれだけの予備戦力をか」
「全て撃墜してしまったか」
 三人のジュデッカ=ゴッツォ達がそれぞれ歯噛みしていた。
「今残っている戦力だけか」
「そうだ、これだけだ」
「それで終わりだ」
 エペソとラオデキアがヒラデルヒアに答える。
「もうありはしない」
「この星の戦力はもうだ」
「そうか、わかった」
 ヒラデルヒアはここまで聞いて頷いた。そうしてだった。
 そのうえでだ。二人に対して言う。
「それでなのだが」
「これからのことか」
「どうするか、か」
「ここから半数の戦力を失えばだ」
 その時はというのだ。
「考えるべきだと思うが。どうだ」
「そうだな。それはな」
「最早。それ以上の戦闘はな」
 エペソとラオデキアもそれぞれ考える顔になって述べる。
「意味がなくなる」
「無駄な損害を増やすだけだ」
「サルデスの艦隊のダメージも大きい」
 足止めを受けている彼等もだ。派手にやられているのだ。足止めをしているロン=ベルの精鋭達の強さは尋常なものではなかった。
「ここで四個艦隊全てを失えば」
「今後の戦略に支障をきたす」
「十三人衆の者達の動きも気になる」
 三人はそれぞれモニターから話す。
「ではだ、頃合を見てだ」
「うむ、撤退だな」
「そうするとしよう」
 こう決めてだった。サルデスにも連絡を取るのだった。その時にだった。
「よし!」
「これなら!」
 洸のライディーンと綾人のラーゼフォンが背中合わせになってだ。それぞれ弓を放った。
 その弓達がだ。ラオデキアの周りのバルマー軍のマシンを全て撃墜したのだった。168
「くっ、汝等もうここまでか」
「そうだ、来たんだ!」
「覚悟しろ!」
「最早戦力も」
 ここで周りを見るラオデキアだった。するとだ。
 明らかにだ。半数を切っていた。それを見てだった。
「第七艦隊、ここで撤退する」
「そうか」
「わかった」
 エペソとヒラデルヒアは彼のその言葉を受けた。そうしてだった。
「我等もだ」
「これでだ」
「撤退する」
「コムから一時撤収する」
 こうしてだった。彼等も撤退するのだった。
 三個艦隊の撤退を見てだ。サルデスもだった。まずは己の部下達に話す。
「よいな」
「はい、既に損害は六割に達しています」
「これ以上の戦闘は無意味です」
「無駄な損害を増やすだけかと」
 口々にこう述べる部下達だった。
「では閣下」
「我等も今は」
「このコムから」
「退く」
 まさにそうするというラオデキアだった。そうしてだった。
 彼等の艦隊も撤退した。これで決まりだった。
 コムは解放された。基地はロンド=ベルが入りだ。レジスタンス達と握手をするのだった。
 そしてだ。ダバがまず言った。
「これでまずはです」
「コムの解放か」
「まずは一つだよな」
「そうよね」
「はい、そうです」
 ダバはまた仲間達に答えた。
「コムは解放されました」
「そうだ、これでだ」
「コムが我々の手に戻ったんだ」
「遂にな」
 レジスタンスの者達の声は明るいものだった。
「ダバ、あんたとあんたの仲間達のお陰だ」
「あんたがいたから解放できたんだ」
「ああ、そうだ」
「その通りだ」
「いや、俺は」
 しかしだった。ダバはここで謙遜を見せた。そのうえでの言葉だった。
「特に何も」
「そうそう、そこでそう言うのがな」
「ダバなんだよ」
「そうだよな」
 だがレジスタンスの面々はダバのその謙遜に笑顔になって言うのだった。
「そこで俺がやったって言うのはキャオだよな」
「おい、キャオいるか?」
「それで」
「ああ、いるさ」
 苦笑いと共に答えてきたキャオだった。
「ちゃんとな」
「何だ、そうなのか」
「じゃあ聞いたか?今の言葉」
「やっぱり」
「聞いたさ。全くな」
 苦笑いはそのままのキャオだった。
「俺っていつもそう言われるんだよな」
「ある意味人徳じゃないのか?」 
 こう突っ込みを入れたのはヤザンだった。
「それってな」
「これって人徳なのかよ」
「少なくとも嫌われてないみたいだぜ」
 ヤザンはこのことも指摘してみせた。
「それはわかるだろ」
「そりゃそうだけれどな」
「俺もそうだと嬉しいしな」
 何故かそんな顔も見せるキャオだった。
「御前が人気あるとな」
「ああ、それはわかる」
 キャオはヤザンの今の言葉に納得した顔で頷いた。
「俺もヤザンさんが人気あると嬉しいしな」
「自分のことみたいにな」
「そうだよな」
「というよりかね」 
 ライラがここでその二人に突っ込みを入れた。
「あんた達の会話って一人で二役やってるようにしか聞こえないんだがね」
「いや、そうじゃないのか?」
「なあ」
「この人達の場合は」
 皆もその二人を見て言う。
「俺もなあ」
「人のこと言えませんけれどね」
 ミシェルとルカだった。
「けれどさっきのはな」
「本当に一人で会話しているように聞こえましたし」
「ではこれもか」
「どう?」
 レッシィとリリスだった。
「私達もだ」
「一人二役に聞こえる?」
「聞こえるな」
 ユングが二人に対して答えた。
「どう聞いてもな」
「うん、私もそう思う」
 次はクェスだった。
「というか区別つかないし」
「そういうことは止めた方がいいな」
「そうよね」
 ヒギンズとチャムである。
「それをやると混乱してしまう」
「だから止めた方がね」
「いや、あんた達もだろ」
 甲児がそのユング達に突っ込みを入れた。
「誰が誰なのか本当にわからなかったぜ、今のは」
「まあとにかくあれよ」
 アスカだった。
「戦いは終わって基地占領したし」
「あっ、そうだ」
「今思い出したけれど」
「そうだよな」
「基地占領したんだ」
 皆声のことで混乱していてこのことをすっかり忘れてしまっていた。
 そのうえでだ。それを思い出してだ。
「じゃあこれからは」
「この星を拠点にして」
「いよいよポセイダル?」
「あいつとの直接対決に向かうのね」
「そうするべきですね」
 レフィーナが言った。
「ここは」
「そうですね。既に四個艦隊にダメージを与えています」
 ショーンも考える顔になっている。
「それならです。ここは」
「ポセイダルの本拠地に向けて進撃ですね」
 また言うレフィーナだった。
「これからは」
「さて、問題はだ」
 ブレスフィールドはポセイダル以外の存在も見ていた。
「そのギワザ達十三人衆だな」
「あの連中がどう動くか」
「そうだよな」
「それが問題だよな」
「どう来るんだろうな」
「まあいつか絶対に来るだろ」
 今言ったのはアラドだった。
「俺達がポセイダルを倒すか」
「ポセイダルの戦力が決定的に弱まった時ね」
 ゼオラはその時のことを仮定して述べた。
「そういう時よね」
「だよな。まあ絶対に出て来るよな」
「ええ、絶対にね」
 ラトゥーニもそこを言う。
「頃合いを見計らってね」
「じゃあその時に倒せばいいんじゃないのか?」
 アラドの言葉は実に簡潔だった。
「あまり難しく考えることは」
「それはどうかしら」
 そのアラドに今言ったのはオウカだった。
「そう簡単にはいかないかも知れないわよ」
「どうしてなんですか、それは」 
 ゼオラはそのことをオウカに尋ねた。
「簡単にっていいますと」
「ポセイダルではなく私達を狙ってくる可能性もあるわ」
 そのケースを考えてだったのである。
「その場合はどうするかよ」
「つまり私達が弱まった時」
「その時に十三人衆が私達を襲う」
「そういうこと?」
「この場合は」
「ええ、そうよ」
 そうだと。オウカは今度は皆に話した。
「その場合はどうするかも考えないとね」
「ううん、その場合か」
「私達が弱まったその時に」
「どうするのか」
 アラドだけでなくゼオラとラトゥーニも考える顔になった。
 そのうえでだ。三人はそれぞれ話す。
「それだよな」
「そうした時に襲われたら確かに危ないわね」
「エネルギーや弾薬がない場合にも」
「そうしたことにならない為にはね」
 ここでだ。オウカはまた言った。
「私達ではなくね」
「奴等を戦わせる?」
「そうするってこと?」
「それがベストね」
 これがオウカの考えだった。
「ポセイダル軍と十三人衆をね」
「そうして戦わせて」
「そこを狙う?」
「そうするってこと?」
「つまりは」
「それでどうかしら」
 また言うオウカだった。
「問題は十三人衆が何処に隠れているかだけれど」
「あの連中が隠れている場所?」
「そこ?」
「そこなの」
「ええと、そこって」
「何処なのか」
 皆ここであらためて考えることになった。
「それが問題だけれど」
「レッシィさん、ギャブレーさん」
 ここで白羽の矢が立ったのは元十三人衆のこの二人だった。
「知ってます?そうした場所」
「ペンタゴナにありますか?」
「そう言われてもだ」
「少しな」
 だが、だった。二人はここで困った顔になるのだった。
「ギワザは狡賢い男だ」
「隠れ家なぞどれだけあるかな」
「わからないんですか」
「そうなんですね」
「とにかくあいつは狡賢い奴だからね」
 レッシィはこのことを強く話すのだった。
「本当に何処に隠れているかわからないよ」
「けれど」
 だが、だった。オウカがここでまた言う。
「ギワザの軍は大軍ね」
「はい、そうです」
 今答えたのはダバだった。
「一個艦隊程は普通にいます」
「一個艦隊ね」
「そうです」
「それなら隠すのにも限度があるわね」
 オウカはこう考えるのだった。
「そうね、一個艦隊になると簡単には隠れられないわ」
「それではです」
 オウカの今の言葉にだ。ラトゥーニが言ってきた。
「作戦を変更するべきですね」
「作戦を?」
「オウカ姉さんは今ポセイダル軍と十三人衆を戦わせようと考えておられますね」
「ええ、そうよ」
 その通りだとだ。オウカははっきりと答えた。
「そうしてそのうえで私達が残った方をね」
「それでお互い戦うとは限りません」
「ううん、様子見をする可能性も高いわね」
「そのギワザの性格では充分に考えられます」
 また言うラトゥーニだった。そしてだ。
「ですからここは」
「ここは」
「私達の方から十三人衆の基地を見つけ出し」
 こう言うのだった。
「そしてそこで十三人衆を倒すべきです」
「やられる前にやれっていうんだな」
「ええ」
 アラドの言葉にも答えた。
「その通りよ」
「そうか、わかった」
 ここで頷いたアラドだった。
「それならだ」
「それでいいわね」
「ああ、いい」
 実際にそうだと答えたアラドだった。
「じゃあそうするか」
「下手に策を仕掛けるより攻める」
 クォヴレーも言った。
「その方がいいな」
「そうね。言われてみればね」
 オウカも柔軟に考えて述べたのだった。
「その方がいいわね」
「それじゃあですね」
 ゼオラはそのオウカに笑顔で話す。
「ここは十三人衆の基地を探して」
「少なくとも一個艦隊規模の戦力が駐留する場所となると」
「限られてくるな」
「そうだな」
 レジスタンスの面々がここで話す。
「とりあえずその基地は全て割り出してみる」
「少し時間がかかるがいいか」
「ええ、御願いします」
 シャインが彼等の申し出に答えた。
「では私達はその間は」
「まあ休んでいてくれ」
「プールにでも行ってな」
「そこでな」
「プールか。いいな」
 今言ったのはアラドだった。
「最近泳いでないしな。丁度いいな」
「泳ぎも大事よ」
 その彼にゼオラが告げる。
「何があるからわからないから」
「海に不時着とかか」
「惑星での戦いだってあるし」
 今の戦いが実際にそうだった。
「そういう時はね」
「だよなあ。じゃあ」
「水泳も頑張らないと」
「わかったよ。ただ」
「ただ?」
「ゼオラってな」
 その大きな胸を見ての言葉になっていた。
「泳ぎ、得意か?」
「また何でそんなこと急に言うのよ」
「いや、その胸がな」
「胸が?」
「邪魔にならないかって思ってさ」
 アラドが言うのはこのことだった。
「それは大丈夫なのかよ」
「なっ、何言ってんのよ!」
 そう言われて顔を一気に真っ赤にさせたゼオラだった。
「そんなのね。ある訳が」
「ないか」
「ないわよ。そりゃバタフライの時とかは」
 それでも自覚はあった。
「気になるけれど」
「そうなのよねえ」
 エクセレンが出て来た。
「おっぱいって結構ね。邪魔になっちゃうのよねえ」
「そ、そうなのか?」
 その言葉に焦るのはアイビスだった。
「私にはわからない話だ」
「まあそれはいいです」
 ラトゥーニはかなり苦しそうである。
「というかそれ言ったら戦争になりますから」
「まあそれは置いておいて」
「とりあえず宇宙に出るか」
「そうしようぜ」
 何はともあれロンド=ベルはレジスタンスの面々と別れて宇宙に出た。そうして今度はギワザ達十三人衆の本拠地を探すのだった。


第六十九話   完


                                       2010・10・25
 
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