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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第六十七話 リトル=セイ

                第六十七話 リトル=セイ
 ヤーマンに向かうロンド=ベル。その彼等を見てだった。
「よく動いてくれるな」
「はい」
「その通りですね」
 ギワザにだ。ネイとマクトミンが答える。
「ポセイダルの艦隊を一個潰してくれました」
「その艦隊の七割を」
「いいことだ」
 二人の報告を受けてだった。ギワザはさらに喜んで。
 そのうえでだ。彼は言った。
「今はだ。様子見だ」
「はい、そうしてですね」
「時を見て」
「ポセイダルを倒す」
 そうするというのだった。
「そうするぞ。いいな」
「はい、それでは」
「今は兵を養いましょう」
「その他にもやることがあるがな」
 ギワザはこんなことも口にした。
「フル=フラットとも話をしておこうか」
「あの女ともですか」
「話を」
「そうだ、しておくとしよう」
 こう言ってだった。ギワザも動くのだった。ペンタゴナは今複数の勢力が複雑に絡み合い戦い合う、そうした場所になってしまっていた。
 ヤーマンに辿り着いたロンド=ベルはだ。まずは星の周りを探索した。
「敵はいないな」
「はい」
「一兵も」
 大文字にミドリとサコンが答えた。
「宇宙怪獣やプロトデビルンも今は」
「いません」
「そうか、それは何よりだ」
 それを聞いて安心した言葉を出した大文字だった。
 そのうえでだ。彼は言った。
「では諸君」
「降下ですね」
「いよいよ」
「そうだ、全軍降下しよう」
 ロンド=ベルはすぐに降下用意に入る。しかしここで、だった。
「敵が誰か出て来るかな」
「どうだろうな。これまでこういう時はな」
「大抵来たけれどな」
「そうそう」
 彼等もかなり慣れていた。ある意味において。
「惑星に降りる時と宇宙に出る時な」
「そういう時は毎度だし」
「じゃあ今度も」
「来る?」
「ここぞとばかりに」
「そうだな。用意はしておこう」
 ブライトがここで言った。
「何しろ毎回のことだからな」
「総員出撃用意だな」
 アムロもそのブライトに話した。
「ここは」
「そうする。ではいいな」
「ああ、わかった」
 アムロはブライトに頷いた。そうしてだった。
 全軍何時でも出撃できる態勢になった。だがその時はだった。
 結局敵は来ずにだ。普通に惑星に降り立つことができた。
「あれっ、これだけ?」
「意外とあっさり?」
「そうよね」
「何、これ」
「こんなので終わり?」
「ひょっとしたら」
 ここで言ったのはだ。ラトゥーニだった。
「降りたその場所にいるとか」
「来る?」
「まさかここで」
「待っていて」
「それで」
「それはあるかも」
 また言うラトゥーニだった。
「やっぱり」
「有り得るわね」
 オウカが彼女の言葉に頷いた。
「いつもそればかりだと芸がないから」
「そうか。それじゃあ」
「用心はしておくか」
「念の為に」
 皆も彼女の言葉に頷きそうしてだった。出撃態勢はそのままにしていた。そして案の定だった。惑星に降り立つとそこにだった。
「おい、いたぜ!」
「何だよ。完全に包囲されてるじゃねえかよ!」
「まさに悪い予感は当たる」
 ケーンにタップ、それにライトが軽く言った。
「ったくよお、ある意味でお約束だよな」
「こういう時にこそ出るっていうんだな」
「そしてここは」
「お約束だけれどね」
 ミサトが言ってきた。
「総員出撃よ」
「あっ、やっぱり」
「ここはそれですよね」
「敵がいるとなると」
「御名答。勿論君達も出てね」
 ミサトはにこりと笑ってドラグナーの三人に話した。
「そういうことだから」
「ちぇっ、ヘルモーズはいないみたいだけれどな」
「それでも敵はうじゃうじゃいるしな」
「ううむ、大小合わせてどれ位かな」
 そのドラグナーの三人が言うとだった。ルリが言ってきた。
「敵の一個艦隊規模です」
「一個艦隊か」
「それにヘルモーズがいないとなると」
「戦力としては前より低いよな」
「そうよね」
 皆ここでこう話すのだった。
「じゃあ敵としては」
「普通通り戦えばいいかな」
「ここは」
「問題は」
 ここで言ったのはエリスだった。
「この敵だけじゃないよね」
「そうだな。それは間違いない」
 ダバがそのエリスに話す。
「まだ来るな」
「ヤーマンが戦場になるんだな」
 キャオも言った。
「メインの」
「そう考えてもいいだろうな」
 ダバはキャオにも話した。
「ここで。バルマー軍を何個艦隊規模で倒すと思う」
「そうしてヤーマンを解放して」
「あらためてポセイダルの本軍って訳だな」
「ああ、そうなる」
 ダバはエリスとキャオに対して答えたのだった。
「それじゃあここは」
「ダバ、行こう」
「頑張ってくれよ」
 エリスはダバと共にいた。キャオはメカニックなので出撃はしない。
 まずはそれぞれの戦艦の周りに出撃する。それからだった。
「よし、それではだ」
「はい」
「これからですね」
「方陣を組む」
 ダイテツの命だった。そうしてだった。
 戦艦はすぐに集結そする。その周りにだ。
 マシンが集まってだ。方陣を組んでポセイダル軍を迎え撃つ。
 ヘビーメタルもいればバルマーのマシンもある。完全な混成軍だった。
「そっちを先に狙います?」
「ここは」
「そうね、ここはね」
 ミサトが問いに答える。
「まずはバルマーのマシンね」
「そっちですか」
「ここは」
「ええ、そうしましょう」
 こう言うのだった。
「ポセイダルのマシンは後でいいわ」
「戦いに慣れてビームの狙いがよくなってからね」
 リツコがそれが何故かを言った。
「そういうことよね」
「ええ、そうよ」
 ミサトはその通りだと答えた。
「それでいきましょう」
「わかったわ。それじゃあね」
「そういうことでね」
 こうしてまずはバルマーのマシンを撃墜していった。そうしてだった。
 次にヘビーメタルだった。だがその彼等もだ。
「へっ、こうなったらな!」
「全然気にならないわよ!」
「ビームコートでもオーラバリアでもな!」
「狙いさえ定めれば!」
 こう言ってだった。ヘビーメタルも次々に撃墜していく。その中でだった。
 ふとだ。カチーナが言った。
「おかしいな」
「気付いたか」
「ああ、敵の司令官がいねえな」
 こうカイに言うのだった。
「どうもな」
「そうだな。今の敵には司令官がいない」
 カイも言った。
「指揮官はいるようだが将官クラスの者がいないな」
「どういうことだ、こりゃ」
 また言うカチーナだった。
「これだけの規模の軍なのに将官クラスがいねえなんてよ」
「あのシリーズはいねえのかよ」
 エイジの言葉だ。
「声も顔も全部同じのあの連中はよ」
「ああ、ジュデッカ=ゴッツォの連中か」
「そうだよ、あいつ等な」
 こうシンにも返す。
「いねえのかよ、ここには」
「どういう訳かいないみたいだな」
 こう答えたシンだった。
「ここにはな」
「おかしな話だな」
 エイジはいぶかしみながら呟いた。
「あの連中がいないなんてな」
「そうよね」
 ルナも首を傾げさせる。
「普通はわんさと出て来るのに」
「策があるのかも」
 今言ったのはリィナだった。
「ここは」
「有り得るな」
「そうね」
 エイジとルナもそれは否定できなかった。
「それかどっか別の相手と戦ってるとかな」
「その可能性もあるわね」
「あっ、これは」
 そしてだった。ここでだった。
 テセラがグラヴィゴラスから言ってきた。
「ここから北に少しいった場所で戦闘が行われているようです」
「戦闘?」
「それがなの」
「はい、そうです」
 こうエイジとルナに答える。
「そのせいでしょうか」
「そうね」
 ミヅキがテセラのその言葉に頷いた。
「多分主力は私達に向けて司令官はね」
「そちらにですね」
「惑星の中だから多分ヘルモーズではないわね」
 それはないというミヅキだった。
「大気の多い惑星だし」
「そう考えるとあれですね」
 エイナが言ってきた。
「ヘルモーズも不便なところがある戦艦ですね」
「そうだな。地球の様な星では使えない」
 レイヴンもこのことを話す。
「それを考えると不便だな」
「そうですよね、やっぱり」
「だがこれはかえって好都合だ」
 レイヴンはここでこうも話した。
「この周囲の敵を一気に殲滅するとしよう」
「はい、それじゃあ」
「すぐに」
「いいか、諸君」
 サンドマンも全ての者に声をかける。
「ここはだ」
「はい、ここは」
「このままですね」
「敵を倒す。そして北に向かおう」
 こう言ってだった。グラヴィゴラスの主砲を放たたせる。戦いはロンド=ベル有利に進んでいた。
 一時間程戦うとだ。敵はあらかた倒されていた。そしてである。
 残った敵は戦線を離脱していく。サンドマンはそれを見てまた言った。
「それではだ」
「ここは追撃でしょうか」
「やはり」
「そうだ」
 その通りだとだ。チュクルとクーキーに答える。
「ではだ」
「敵をこれから追い」
「そのうえで」
「北に向かう」
 サンドマンはまた言った。
「いいな、北だ」
「おい、ちょっと待ってくれよ」
 アレックスがそのサンドマンに言ってきた。
「北って言ったよな、今」
「その通りだ」
「敵を追撃するのに北かよ」
「そうだよな。これは」
「ちょっとわからないけれど」
「いいのかな」
 ジュゼとイワン、ハンスも微妙な顔になる。
「敵が何処に逃げるかわからないのに」
「北に行くって断言するのは」
「無謀なんじゃ」
「いや、北だ」
 今言ったのはシンルーだった。
「敵は北に逃げる。間違いなくだ」
「あっ、そうね」
 ここでわかったのはだ。エルフィだった。
「敵の司令官がいるから」
「その通りだ」
 また答えたサンドマンだった。
「だからだ。我々は北に向かえばいい」
「そういうことですか」
「それなら今から」
「北に」
「そして敵を」
「倒すか」
 皆こう言ってだ。動きはじめたのだった。
 敵は一目散に撤退をはじめた。その方角はやはり。
「うわ、ドンピシャ」
「本当に北にだし」
「嘘みたい」
「けれどこれって」
「そうよね」
 彼等はこの状況にだ。笑顔になって話した。
「これは楽だよな」
「元々進撃方向だし」
「それならこのまま進んで」
「敵を倒していくか」
「そういうことだね」
 キャシーが先陣を切った。
「このままね。行くよ」
「わかった。それならだ」
「我々もだ」
 彼女にだ。ドニーとジャンが続いた。
「敵の数を次々と減らしだ」
「北に向かおう」
「じゃあ綾人君」
 八雲はマクロスの艦橋にいた。そこから彼に声をかける。
「一緒にね」
「はい、行きましょう」
「その意気だよ。今戦うとそれだけ後に影響するからね」
 こう言うのであった。
「頑張ろう」
「わかりました」
「それにしても。ポセイダルかあ」
 八雲は彼女について少し考える顔になった。そのうえでこう言うのだった。
「どうもね」
「何かありますか」
「いや、その統治だけれど」
 傍らにいるキムにこう返すのだった。
「あまりにもね」
「あまりにもとは?」
「男性的じゃないかなって思うんだよ」
「男性的ですか」
「非常に強権的で独裁体制を敷いているね」
「はい」
 キムも彼のその言葉に頷く。
「そうですね。それは」
「ポセイダルは女性だと聞くけれど」
「しかしその統治は」
「非常に男性的だね」
 八雲はまた言った。
「女性のそれに思えないよ」
「エカテリーナ女帝と比べればどうでしょうか」
 キムはここでこの名前を出した。ロシアの有名な女帝である。
「戦争もしましたし圧政も敷きましたが」
「けれどあの女帝もね」
「彼女もですか」
「あれで非常に文化を愛したけれど」
 このことでも有名な女帝であった。名君と言われているのは事実だ。
「それでも。ポセイダルは」
「そういえば」
 ダバもここで気付いた。
「機械的な圧政です、ポセイダルのそれは」
「文化はないよね」
「はい、全く」
 それはないというのだった。
「そうしたことには興味すらないようです」
「そこが気になるね」
 八雲は考える顔になって述べた。
「若しかしたらポセイダルはって」
「まさか、そんなことが」
「まあ考え過ぎだろうね」
 八雲もこう言うことだった。
「幾ら何でもね」
「そうですよね、ちょっと」
「ただ」
 だが、だった。八雲はここでこうも言うのだった。
「可能性としては有り得るかもね」
「有り得ますか」
「それも」
「零じゃない程度だけれどね」
 それでもだというのである。
「それはね」
「ううん、どうなんでしょうか」
「それは」
「本当に有り得ることには」
「だから僕も普通に考えてないと思うよ」
 八雲自身もその可能性は殆ど考えていなかった。
「まあそれよりもね。今は」
「はい、北に」
「北に行きましょう」
 こうしてだった。彼等は北に向かいながら追撃を仕掛ける。そしてだった。
 敵に追いつくとだ。そこにだった。
「くっ、来たか」
「はい、ヒラデルヒア閣下」
「奴等が来ました」
「こんな時にか」
 ヒラデルヒアは明らかに歯噛みしていた。
「レジスタンスの掃討も終わっていないというのに」
「ここでロンド=ベルの相手もとは」
「ついていませんね」
「仕方がない」
 ヒラデルヒアは苦い顔で部下達の言葉に頷いた。見れば彼は今は普通のバルマーのマシンに乗っている。そこから全体の指揮を執っていたのだ。
「こうした時にな」
「外銀河方面軍や近衛軍の装備があれば」
「一機でレジスタンスを殲滅できたのですが」
「我等には」
「ないものを言っても仕方がない」
 また言ったヒラデルヒアだった。そしてだだった。
「ここはだ」
「はい、どうするかですね」
「それがですね」
「今は」
「そうだ、それが問題だ」
 こう言うのだった。
「わかったな。それではだ」
「今戦力はこれだけです」
「撤退してきた戦力を合わせても」
「そうか」
 ここでその戦力を見る。するとであった。
 残っている戦力は。ヒラデルヒアの顔をさらに苦いものにさせるものだった。
「二割もいないな」
「随分やらましたな」
「確かに」
「致し方ない」 
 彼は決断を下した。
「ここはだ」
「はい、ここは」
「どうされますか」
「撤退だ」
 彼もこの指示を出すしかなかった。
「この場所から撤退する」
「わかりました。それでは」
「ここは」
「そしてエペソ=ジュデッカ=ゴッツォの艦隊と合流する」
 そうするというのだった。
「それでいいな」
「わかりました、そしてですね」
「戦力の建て直しを」
「それもする。いいな」
 こう命じてだった。彼等はロンド=ベルが来る前に撤退した。そうしてだった。
 そこに来たロンド=ベルが見たものは。彼等だった。
「この人達も健在で何よりね」
「そうだな」
 アムとレッシィが笑顔で話す。
「リトル=セイ」
「生き残っていたか」
「お久し振りです」
 ダバが彼等に挨拶をした。
「僕です、ダバ=マイロードです」
「何っ、ダバか」
「生きていたのか!?」
「まさか」
「はい、話せば長くなりますが」
 ダバはこう前置きしてから話をはじめた。
「僕は無事です」
「俺もな」
 キャオも出た。
「無事だぜ」
「御前等、本当に」
「生きていたのか」
 レジスタンスの方から驚きの声があがる。
「まさかと思ったがな」
「いや、全くだ」
「生きていて何よりだ」
「本当に久し振りだな」
「全くだな」
 ギャブレーも出る。
「懐かしいな、この惑星も」
「何で御前が一緒にいるんだ?」
「そうだ、どうしてだ」
「それはだ」
 ここでギャブレーは言った。
「色々あってだ。仲間になった」
「仲間!?」
「ダバ達とか」
「そうだ」
 まさにその通りだと返すのだった。
「紆余曲折の末だ」
「本当か?」
「いや、ギャブレーだぞ」
「嘘を吐ける程頭がいい訳でもないしな」
「そうだな」
「というとだ」
 ギャブレーにとっては不本意なところから彼等はわかったのだった。そのうえでだった。納得した顔であらためて言ってきたのだった。
「やはりそうなのか」
「今はダバ達と共にか」
「信じられんな」
「あの食い逃げ男が」
「随分と古い話を知ってるな、おい」
 これに突っ込みを入れたのはコウだった。
「もうそんなの皆忘れてたぞ」
「そうだよな。何時の話だよってな」
 キースも言う。
「そんな話だよな」
「全くだよ」
「本当にそうだな」
 ギャブレーも当然ながら不愉快そうな顔であった。
「よくもそんな昔のことを」
「その気持ちわかる」
「私もだ」
「わいもやで」
 バーンにサンドマン、ロドニーも頷く。
「そんな話しはな」
「今更と思うが」
「人間しつこいと嫌われるで」
「全くですね」
 マックスも三人のその言葉に頷く。
「僕もそう思いますよ」
「おい、待て」
「何だあんた達は」
「一体何者なんだ?」
 レジスタンスの面々は今度は彼等に尋ねた。
「ギャブレーのそっくりさんなのか?」
「本当に別人か?」
「顔は違うが同一人物ではないのか?」
「似ているどころではないぞ」
「ああ、それ禁句だからな」
 彼等に言ったのはムウだった。
「俺も心当たり多い話だしな」
「というか一体何人が心当たりあるのかしら」
 ミリアリアにもわからない話だった。
「かくいう私もだし」
「そうだな」
 クランがミリアリアのその言葉に頷く。
「よくわかるぞ、その気持ち」
「そうですよね」
「まあとにかくです」
 ダバがレジスタンス達に話す。
「僕達はです」
「ああ」
「それで共闘してるんだな」
「数もえらく増えたな」
「お話すればとても長くなります」
 ダバも言うことだった。
「何しろ色々な世界、色々な惑星を巡って数えきれないだけの戦いを繰り広げてきましたから」
「どれ位だい?」
「百回や二百回じゃないな」
「その倍はです」
 こう答えるダバだった。
「戦ってきました」
「じゃあ四百はか」
「それだけ戦ってきたのか」
「はい」
 その通りだというのだった。
「それだけは」
「またそりゃ多いな」
「そういえばエルガイムマークツーも何か凄くなってるな」
「ああ、数えきれないだけの戦いを潜り抜けてきた」
「そんなものがあるよな」
「他のマシンもだ」
 彼等はヘビーメタルだけを見てはいなかった。他のマシンもだった。
 そのうえでだ。こう言うのだった。
「その言葉信じるぜ」
「ダバの言葉だしな」
「やっぱりな」
「有り難うございます」
 ダバは彼等のその言葉に笑顔になった。
「じゃあこれからは」
「一緒に戦ってくれるか?」
「よかったら」
「こちらこそ御願いします」
 ダバからも言うのだった。
「それなら」
「ああ、それじゃあな」
「この惑星の、そしてペンタゴナの解放の為に」
「一緒に戦おう」
 こうしてだった。ロンド=ベルはレジスタンスの協力をとりつけたのであった。そしてその後でだ。ギャブレーは酒を飲みながらぼやいていた。
「何故今頃あの話がだ」
「皆忘れていたよね」
「なあ」
 エリスとキャオが話す。
「そんな昔のこと」
「完全にな」
「っていうかそんなことがあったんですか」
 今言ったのは沙慈だった。
「僕初耳ですよ」
「俺も」
「僕も」
 大島と高須もだった。
「ロンド=ベルに入ってから結構経つけれどな」
「そうだよね」
「っていうかそんなことがあったのね」
「ギャブレーさんって三の線の素質あるって思ってたけれど」
 ユミとカオリも知らないことだった。
「それにしても食い逃げって」
「ちょっと」
「まあそれは言わないでおこう」
 サンドマンはここでもギャブレーを庇う。
「彼には彼の事情があったのだ」
「自己弁護じゃないですよね」
 紅龍にはそうとしか聞こえなかった。
「あの、本当に」
「それは違う」
 サンドマンは一応否定はした。
「私はあくまで彼の名誉を考えてだ」
「嘘だよなあ」
「なあ」
「どう見ても」
 だが殆どの面子はその言葉が信じられなかった。
「だってな。サンドマンさんとギャブレーさんって」
「そっくりだからな」
「何もかもがな」
「バーンさんもだし」
「ロドニーさんとかマックスさんも」
「こう言われたことがある」
 ギャブレーの不本意な言葉は続く。
「私が何処かの総帥に似ているとな」
「あっ、そういえばレーサーにも似てるよな」
「あの日本人なのにイギリス人って言い張る」
「あの人に」
「そうだよな」
「そっくり」
 こんな話にもなった。
「そういえばギャブレーさんに似てる人もな」
「あちこちにいるし」
「そうそう」
「どれだけいるんだって感じで」
「しかし食い逃げはなあ」
 またこの話になった。
「久し振りに聞いたっていうか」
「知らない人も殆どだったし」
「ちょっとなあ」
「まあそれはいいとしてな」
 今話したのは盾人だった。
「レジスタンスの人達と協力関係になれたのはよかったよな」
「そうだな」
 弾児もその言葉に頷く。
「それはな」
「ああ、よかったよ」
 また言う盾人だった。
「これってかなり大きいぜ」
「この惑星を解放する為だけではないな」
 ガスコンも話す。
「このペンタゴナ全体においてだ」
「はい、その通りです」
 ダバはガスコンのその言葉に頷いたうえで話す。
「ペンタゴナはポセイダルの圧政の下にあります」
「そこに大きな楔を打ち込める」
「だからこそか」
「それで」
「この協力関係は大きいのね」
「その通り。まずはこの惑星ヤーマンを解放して」
 ダバはまた話した。
「そうしてそのうえで」
「ペンタゴナをか」
「本当に」
「そうしよう、これから」
 こう話すダバだった。皆酒を飲みながら陽気かつ真剣に話していた。
 そしてだ。その中でだった。ブライトが言うのだった。
「先程レジスタンスのリーダー達と話してきたがだ」
「はい」
「作戦が決まったんですか?」
「そうだ、決まった」
 その通りであった。
「まずはここから北西に向かいだ」
「そこですか」
 ダバはブライトのその言葉にすぐに反応を見せた。
「そこにです」
「そうね、この惑星でのポセイダルの最大の基地があるわね」
「まさに心臓のだ」
 アムとレッシィも言った。
「あそこを攻略したらね」
「最早この惑星に敵はない」
「そこを攻略することになった」
 その通りだと話すブライトだった。
「これからだ」
「それで道案内はですか」
「レジスタンスの人達が」
「それも決まった」
「そうですか。じゃあ」
「今からですね」
「総員明日から出発する」
 ブライトはまた話した。
「いいな、それではだ」
「はい、それじゃあ今はですね」
「ゆっくり休んで」
「食べて飲んで」
「英気を養って」
 彼等が実際に今していることであった。
「そうしてそのうえで」
「出発ですね」
「よし、それならだ」
 早速ワインを飲みはじめるギャブレーだった。ボトルごとラッパ飲みである。
「早速そうさせてもらおう」
「おい、ちょっと待て」
「あの、ギャブレーさん」
 タスクとレオナがその彼に突っ込みを入れた。
「あんた確か貴族だったんだよな」
「そうですよね」
「その通りだ」
 平然と答えるギャブレーだった。
「それがどうかしたのか」
「それでその飲み方って」
「ちょっと」
「本当に貴族なのか?この人」
 アルトは真剣に疑っていた。
「その飲み方で」
「れっきとした家系図もあるが」
「いや、そういう問題じゃなくてな」
「ちょっと品性が」
「そう見えないんですけれど」
 ミシェルとルカもこのことを真剣に疑っていた。
「その食い逃げといい」
「かなり」
「気にするな」
 しかしだった。ギャブレーは居直ったのだった。
「些細なことだ」
「いや、違うだろ」
 今度はダイゴウジが突っ込んだ。
「俺でもそんな飲み方は滅多にしないぞ」
「全くだ。幾ら旦那でもな」
 サブロウタは彼の側についた。
「そんなことはな」
「滅多にしないぞ」
「幾ら何でもそれはないだろ」
 サブロウタはまた言った。
「あんた本当に貴族なのかよ」
「だから家系図はだ」
「それってどうとでもなりますよ」
 メグミが突っ込みを入れた。
「実は」
「そうよね。ちょいちょいと書き換えればいいからね」
 ハルカもだった。
「もうそれだけでね」
「では私の家系が偽りだというのか」
「嘘でなくても相当変な貴族じゃないのか?」
「そうよね。ワインラッパ飲みは」
「普通しない」
 リョーコ、ヒカル、イズミの連続攻撃だった。
「どんな貴族なんだよ」
「帝国騎士とかじゃなさそうだし」
「貴人じゃなくて奇人」
 こんなことまで言われる始末であった。
「そういえばだけれど」
「どうしたんですか、アキトさん」
 ジュンはアキトに問い返した。
「ギャブレーさんに何かありました?」
「確かアマデウスっていう映画で」
 アキトは古典的名作映画を話に出した。
「あれでモーツァルトがワインをそういう感じで飲んでたけれど」
「モーツァルトが?」
「そうだったんだ」
「あの人が」
 一同はモーツァルトと聞いて態度を少し変えた。
「じゃああれ?」
「結構礼儀正しい?」
「そうなる?」
「モーツァルトか」
 ギャブレーもその名前に得意な顔になった。
「いいことだ。彼は天才だ」
「あんたモーツァルト知ってるのね」
「ギャブレー殿に紹介してもらった」
 不敵な顔でアムに返す彼だった。
「あれは・・・・・・いいものだ」
「それは私の言葉だが」
 すかさずそのギャブレーが突っ込みを入れた。
「別の存在だが私の言葉なのだが」
「うむ、済まない」
「こらこら、人の台詞を取るな」
「それはよくないぞ」
 カットナルとケルナグールもそのギャブレーに言う。
「違反行為だ、違反だ」
「それはするべきことではない」
「済まない」
 これにはギャブレーも反省した。申し訳ない顔になる。
「確かにな。それは許されないことだ」
「わかればいいのだ」
 今度彼を擁護したのはバーンだった。
「そういうことだな」
「本当にこの人達って連携いいよな」
 エイジはある意味感心していた。
「俺もそうだけれどな」
「ああ、そうだな」
 シンがエイジのその言葉に頷く。
「何となくわかるぜ、それはな」
「あんた達も中身は同じなんじゃないの?」 
 ルナマリアが二人に突っ込みを入れた。
「実際のところは」
「いや、違うからな」
「中身の話はするなよ」
 エイジとシンはそれは言うなとした。
「絶対にな」
「御前だってそれ言ったらまずい節があるだろ」
「まあそうだけれどね」
 ルナマリアもそれは否定しなかった。
「メイリンってそういえば」
「ええ、そうね」
「わかります」
 メイリンだけでなくクスハも頷くことだった。
「私達も」
「他人とは思えません」
「こういうことってあるからねえ」
 ルナマリアは自分の頭に右手を置いて考える顔になっていた。
「私達の間じゃ普通に」
「だから言うなよ」
「っていっても皆普通に話すがな」
 エイジとシンがまた言う。
「それでだけれど」
「うん、アマデウスだね」
 ビリーがアキトの言葉に応える。
「それだね」
「それでモーツァルトがそうやって飲んでたけれど」
 また話すアキトだった。
「モーツァルトってね。人格はね」
「滅茶苦茶だったわね」
 リンダが話した。
「破綻してると言っていい位に」
「何っ、ではモーツァルトの飲み方は」
「普通しねえっての」
 トッドが言った。
「あんた軍の将校がそんな飲み方したらまずいだろ」
「ううむ、そうだったのか」
「だから駄目だって言ってるじゃない」
 エリスがギャブレーを注意した。
「そうした飲み方は」
「ううむ、駄目なのか」
 ギャブレーは腕を組んで考えながら述べた。
「私のこれは下品だったのか」
「残念ですがそうですね」
 これはジョルジュの言葉だ。
「ムッシュギャブレー、ここはエレガントにです」
「あんたが言うと説得力あるな」
「そうだよな」
 イサムとフィリオが彼に話す。
「その面持ちでだとな」
「余計にな」
「とにかく最低限の品性は守るようにな」
 今度はマシュマーだった。
「私とエチケットを学ぼうか」
「貴殿とか」
「うむ、それはどうだ」
 こう彼に言うのだった。
「私と共にだ」
「御願いします」
 今言ったのはハッシャだった。
「うちのかしらを最低限の紳士に」
「こら、ハッシャ」
 ギャブレーはかつての手下に注意する。
「何を言うのだ、一体」
「ですから言ってるじゃないですか」
「何時言った、それは」
「さっきですよ」
 ハッシャは悪びれずに話す。
「言ったじゃないですか」
「それは今さっきという意味か」
「その通りですよ。とにかく普通にコップかグラスで飲みましょうよ」
「わかった」
 ギャブレーは憮然としながらも答えた。
「そうだな。そうするか」
「はい、飲んで飲んで」
「それじゃあ」
 大ジョッキにワインが注がれていく。それを持たされてだ。
 ギャブレーはワインを飲んでいく。飲み方はともかく飲む量はだ。それはいいというロンド=ベルだった。そんな彼等であった。


第六十七話   完


                     2010・10・17  
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