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IS クロス Zero ~赤き英雄の英雄伝~

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Mission 5  鈴の音が戦いを告げる

Side --- <セシリア>

「こんな……感じか?」

「そうそう、お上手ですわ!」

空中で旋回し、わたくしの撃ちだした弾を横から相殺するなんて本当吸収が早いですわね。
まだ、教え始めて一週間経っていませんのに……成長が早いとでも言いますの?
一回一時間下手をすると三十分にも満たない訓練時間ですのに。
感情は会ったときからなかなか成長いたしませんのに、戦闘に関しては天性の才能がありますわ。
それにしても……

「セシリア、次は何がある?」

この慕われ方はグッと来るものがありますわね。箒さんや布仏さんが骨抜きにされるのも無理ありませんわ。
純粋に尊敬のまなざしを向けて慕ってきますし、きっとわたくしがなにを言っても鵜呑みにするのでしょうね。

「セシリア?今日はもう終わりか?」

「あっ!え、えぇそうですわね。旋回撃ちも高速移動中のロックオン技術も粗方出来ていますし、今日はこの辺で切り上げましょうか」

「なら、晩御飯を食べに行こう。ホーキが待っているんだ」

「そ、そうですわね」

そ、即答ですか……。
ゼロさんは本当に箒さんの事を慕っておられるのですね。
恋愛感情では無い様ですが。面白くは感じませんわ。
まぁ安心できるのはどう見ても箒さんのゼロさんへの接し方が母親ということですわね。

「はやくはやく」

「ちょ、ちょっとゼロさん!?そちらは女子更衣室で、ゼロさんは向こうに特設のがっ!?」

「遅れるとホーキに怒られてしまう。ホーキに拒絶されるのだけは避けたいんだ」

それは、分かりますわ。
ゼロさんの箒さんへの依存度は異常と言っても過言ではないくらいですから。
多分同室で無くなったりしたらしばらく心を閉ざすのではないかと危ぶまれるくらいに。

「ですが、そこに入るのはダメですわぁぁぁ!!!」



---食堂---

「む、遅かったなゼロ。私と同じものを取ってしまったが構わないか?」

「全然大丈夫だ」

「はぁーっ……はぁーっ……」

「やけに疲れているな。大丈夫かセシリア?」

「箒さん、心配はいりませんわ。少々ゼロさんの行動で振りまわされただけですし」

大変でしたわ。本気で食堂に近い女子更衣室で着替えようとするんですもの。
中で着替えている同級生また上級生の方々はウェルカムな体制でしたし。
恥ずかしくないのでしょうか?

「セシリアはパスタを取っておいたが食べられるか?」

「えぇ、むしろ好物なぐらいですわ」

「早く食べよう。そういえばホンネは?」

「布仏は部屋で食べるそうだ。想像以上にお前の怒られた事を引きずっているようだな」

「さすがにやり過ぎたか?」

「後でちゃんとフォローしておくんだぞ?」

「分かった」

なんて言いますか、軽く疎外感?
この二人の世界に割って入れる気がしませんのですけど。
席も自然に箒さんの隣にゼロさんが座っていますし、わたくしだけ反対側の席?

「じゃあ、頂きます」

「いただきます」

「?い、いただきます?」

日本のマナーでしたっけ?食べる前のあいさつ。
全ての食材に感謝するらしいですわね。
あら、このパスタ意外と美味しいですわ。

「フォーキ、これはなんて言うんだ?」

「これはサバの味噌煮だ。あと口に物を入れて喋るんじゃない」

「すまない」

「これを取った時に予想はしていたが、どうやったらそんなに汁が口元につくんだ。子供か」

「?」

「ほら、拭いてやるから、動くな」

なんと言うか、箒さん本当に母親ですわ。
布巾でゼロさんの口元を拭う姿など様になり過ぎでしょう。やけに手慣れていますし。
こんな事をしていて同室であればそれは慕われますわね。
こんな環境で、もし箒さんの感情が恋愛感情になりでもしたら勝ち目がありませんわ。

「そういえば今日はなにか新しく覚えたのか?」

「ん、旋回撃ちとロックオンを覚えた」

「二つか、よくやったな。よく頑張った」

何故そんなに自然に頭を撫でているんですの。
あまりにも自然だったので一瞬見過ごしそうになりましたわ。
まぁ、言葉では何も言えないんですけどね。

「ほんとゼロさんの成長の速さには驚かされましたわ」

「私も一度間近で見てみたいな」

「ホーキが来てくれるならもっと頑張るぞ」

「馬鹿、普段から全力を出せ」

「その通りだな。すまない」

のほほんとしていますわ。気が抜けすぎです。
もう対抗戦まで四日を切っているんですのよ?
他のクラスはもっと緊迫した状況ですわよ、特に三組はクラス総出で戦略を練っているらしいのにこんな所で呑気に食事していていいのでしょうか。
一部のクラスメイトにそう聞いてみた所、

「私たちが何を言ってもねえ?」
「あの二人の結束力が強すぎて」
「今あの二人に割り込める可能性があるのはオルコットさんか布仏さんだけだよ」

と、帰ってきましたので誰に聞いても同じ反応が帰ってくるでしょう。
そういえばあまり接近戦を訓練していませんがあの二組の代表はどんなISなのでしょうか。



Side --- <ゼロ>
---時間経過 場所移動---

クラス対抗戦、当日。
ガレージで武装のメンテナンス等を済ませてヤマダ、からファンの機体について解説を受けていた。

「鈴音さんのISはゼロ君と同じ近接型です。オルコットさんとの時とは勝手が違うので注意してくださいね」

相手も近接型……前回の戦闘では如何にして相手の裏をかくかが一番の課題だったが、今回は反応速度の方が重要になってくるな。
しかし、相手は代表候補生、集団を背負い『代表』として皆を導く者の『候補生』そして、個人の『専用機』を貰い受けるほどにはISの扱いを鍛錬してきたのだろう。
となると、こと『反応速度』の一点においては俺がディスアドバンテージを負う事になるだろう。
ISはパワードスーツの中でも『搭乗』するタイプではなく、『装着』するタイプだ。
となると『良い反応速度』と『良い駆動機関』は必ずしもイコールにはならない。
この場合『良い反応速度』は着用者の神経伝達の速さ、反射神経そして、それらを伝える速さが要になる。
この神経伝達の速さはどれだけ『それ』を扱ってきたかで変わる。ISにおいてどの要素でも経験の足りていない俺はこの一点では勝てないだろう。

「そんなに気負ってはいけませんわ。しかし、山田先生も言っていた通りわたくしの時とは勝手が違いましてよ?気を抜きすぎてもいけません」

「あぁ、分かっている」

念を押すセシリアに頷き返す。
この日までずっとセシリアの訓練を受けてきたのだ。
初戦敗退などという結果では申し訳が立たないし、何よりそんな結果でセシリアの顔に泥を塗るわけにはいかない。

≪両者、規定の位置まで移動してください≫

アナウンスの声がガレージ内に響く。

「わたくしも、箒さんも、布仏さんも、クラス全員がゼロさんの味方ですわ。決して諦めないでください」

「あぁ…………どんな敵が相手でも叩き斬るだけだ」

いつかの言葉を発し、迷いを切り捨てる。
思考回路を切り替え、ただ、目の前に現れる敵に集中する。
カタパルトが起動し、宙へと放り出される。
セシリアとの訓練中、最も繰り返したであろう空中姿勢制御術を冷静に用い、空中で静止する。

「今辞退すれば、痛い目に遭わなくて済むわよ?」

同じ高度まで上がってきたファンが顔を合わせるなりそう言い放つ。

「辞退など考えてもいない」

「一応言っておくけど、『絶対防御』も完璧じゃないのよ。シールドを突破できる攻撃力があれば相手を殺さない程度にいたぶる事も可能なの」

「わざわざ忠告してくれてありがたいな」

「いまさら怖気づいたぁ?」

「馬鹿を言うな。その殺さない程度とやらを…………受けてみるか?」



Side --- <鈴音>

「馬鹿を言うな。その殺さない程度とやらを…………受けてみるか?」

にやりと、口角を釣り上げながらそう言ったゼロ。
ぞくりと、背筋が震えた。
一瞬私が硬直して、なにも言わなくなったときにタイミングを見計らっていたのかアナウンスの声が響く。

≪それでは、試合を開始してください≫

「ふんっ!後悔したって知らないんだから!!」

セオリー通りに武装を展開する。背中に背負ってある大きな青龍刀、『双天牙月』を右手に構えた瞬間に、

「っ!?」

武装も持たずに全速力で突っ込んできたゼロの左掌底が私のお腹にヒットする。
え!なにも出さずにすぐ、素手で攻撃!?そんなことより、なんで、なんで、素手なのに絶対防御無視してるの!?

「その程度か、ファン・リンイン」

右手に握られたトンファーのような物が振るわれる。

「ぐっ!!」

ギリギリのところで双天牙月の腹を向けガードに成功する。
何この攻撃力!?いや、ISでは近接武器の攻撃力が高めなのは知ってるけどっ!私のだって近接型よ!?そこそこ装甲には自信があったのに、一撃で装甲が少し破損してるじゃない!!

「まだまだだっ!」

右を防いだら左、左をいなしたら右、両手を弾いたら蹴り。
嵐のような連撃が浴びせられる。こちらが攻撃をする隙などありはしない。
ちょっと、ヤバいかもね。こうなったら、仕方ない。
この距離じゃ私も被弾するけどこれ以上エネルギーを削られるのよりは遥かにマシだわ!

「いいかげんにっ!離れなさいよっ!!」

そう叫び、両肩に装備されている『龍咆』を起動し放つ。
大きな衝撃が走り、私とゼロ、それぞれ反対方向に吹き飛ぶ。
あちゃー、出力大きめにしすぎたかな。

「はぁぁぁぁあぁ!!」

叫び、気合いで普段よりも早く姿勢制御を完了させる。空いていた左手にもう一つの双天牙月を展開する。
相手が手数で来るなら、中距離から相手のリズムを崩すのが一番よね!
両手の双天牙月を連結させくるくると回す。
決して遊んでいるわけでも、格好付けているわけでもない。
ゼロの放った弾丸を撃ち消しているのだ。
なんで、あんな無理な体勢からここまで正確に狙い撃てるの!?



Side --- <ゼロ>

「っち!チャージなしではやはり攻撃力不足か!」

バスターショットの基本射撃、三点バーストを繰り返すが全てかき消される。
この体勢というのも狙いとタイミングを定められない一因になっている。
さすがに吹き飛ばされ、振り向きながら撃つのは疲れる。
そういえば先ほどの衝撃は何だ?
見た所何か射出できそうなものは無いし、弾丸なら何かしらの薬莢や弾丸自体が残るはずだ。

「でぇやぁぁ!!」

ファンが連結させ巨大化した青龍刀を投げてくる。
間に合うかっ!?
射撃を止め、チャージを開始する。
発射するラグも考えるとセミチャージが限界か?
いや、これは判断を誤った!ここはトリプルロッドかリコイルチェーンで軌道をずらすまたは、はじく等の行動のがふさわしかったか。
だが、今さら悔やんでももう遅いどころの騒ぎではないが。

キン…………

高く澄んだ音が頭の中に響く。
目標との距離…………目測三十メートル。
どう見積もってもフルチャージは不可能か。
いや、ならここはダメージ覚悟で突貫する!

メインウェポンをリコイルロッドに、
サブウェポンをゼットセイバーに変更。
サブウェポンチャージ開始、メインウェポンチャージ続行。

「っ!!!」

短く気合いを入れ、ファンの放り投げた大きな剣をリコイルロッドのフルチャージを上から叩きつけるように放ち、下へ吹き飛ばす。
反動で少し上に上がった体をスラスターで制御する。

「正面からっ!?馬鹿じゃないのっ!!」

ファンの肩についている二つの球体が回転し、小さい穴がこちらを向く。
もしかしてあれが?
考えていると衝撃が体を襲った。


やはりあれか。だが、砲弾も砲身も無い。電磁波を撃ち出すタイプのものでもない。
こんな武装は見た事は無いが、空気砲か?
一応、射出していると思わしきものはあの球体だろう。だが浮いている所を見ると射角は無制限か。
もっと早く動ければ、あれくらい避けるのも可能なのに。


「ほらほら、どうしたの!エネルギーが削られていくわよ!!」

もっと……

「動きは速くなったけどまだまだね!」

もっとだ……

「そんな直線的じゃ良い的よ!!」

はやく、早く、速く!!!


「えっ!?」

ギュンッ!と体が瞬間的に加速する。
瞬間加速のような感覚ではない。何せスラスターは使用していない。
ある一定距離進んだらそこで瞬間的に止まる。
ようやくISでも出来るようになったか…………

「残…像……?」

「『ダッシュ』だ」

ダッシュを繰り返し、ファンに接近する。
直線的に進めば当たってしまうから、左右に動きジグザグな進路を取る。
スラスターを使っても接近は出来るがここまでカクカクとした加速は不可能に近いからな。
だが、これは前のとは違いフットパーツに負担がかからない代わりにシールドエネルギーを使用するのか。だが、瞬間加速(イグニッション・ブースト)より燃費は遥かに良い。

「ちょこまかとぉ!!!」

「これで終わりだっ!!!!!」

十分に接近し、一時的にリコイルロッドを地面へ投げ捨て、ゼットセイバーを両手で持つ。
ホーキに放った大上段の縦一閃ではなく、ゼットセイバーのフルチャージ。
今所持している武器の中では最も使用したであろうチャージ攻撃。

「うおおぉぉぉぉぉおおぉぉぉ!!!!!」

シュピンッと音がして、今まで溜まっていた力を全て解き放つ。
この世界にきて初めてのフルチャージ。無論加減はする、生身の相手には危険だからな。
衝撃波のような物が出来るほどのエネルギーを一太刀に込め切り裂く。

「きゃあぁぁぁぁ!!!!」

ファンが甲高い悲鳴を上げる。
無理もないだろう、右肩のアーマーパーツ、腰のスカートのようなパーツ、左フットパーツを破壊したのだから。

≪試合終了!!≫

ファンのシールドエネルギーも尽きたか。

≪勝者、ゼロ・アンリッ…………≫

アナウンスが途切れた?
瞬間、赤いビームが飛来した。
まずい、何物かは知らないが、ファンが避けきれない!

「すまないっ!少し乱暴だが!!」

「えっ?きゃ!」

ファンを抱き上げ、一気に加速し、ビームを避ける。
ビームが地面に衝突し、爆風、衝撃、閃光を引き起こす。

≪システム破損!!何かがアリーナの遮断シールドを貫通した模様ですっ!!≫

あせっているヤマダの声が聞こえる。
こんなに焦っているという事は、ハプニングなのか?
緊急事態、シールドを破壊し、ここまでの兵器を放ってくる物が味方とは思えない。
味方で無いなら敵、単純ではあるがこれが今は正しいだろう。
だが、正体不明機の敵襲、ファンは闘えるほどエネルギーは残っていないし何よりアーマーの一部が破損している。

≪試合は終了している!!アンリエット!凰、ただちに退避しろ!!≫

チフユのアナウンスが響く。
ざわついていた生徒たちが悲鳴を上げ出す。
だが、その生徒たちの声は守るために張られたシェルターにより遮断される。

「アンタ聞こえた!?ただちに退避しろって指示よ!なに呑気に飛んでんの!!どっちのでもいいから早く戻りなさい!!」

「それは無理だな」

「なん……あっ!」

先ほどからモニターにポップアップしている赤色の警告文。

-----

ステージ中央に熱源
所属不明ISと断定されます。

-----

そして、この警告文に重なり表示される、黄色の警告。

--- LOCKED ---

「ファン、お前だけでも逃げろ」

一時的に、敵機の現れた、地上に着陸する。
ファンを地面に下ろし、そう告げる。

「そんな事出来る訳っ!」

「そんな状態では戦えないだろう?」

「こんな状態でもアンタに引けを取るなんて事は無いわよ!!」

「あの出力の兵器相手にはきっと、あの防護シェルターでは耐久力不足だろう。それにシェルターに攻撃を加えない所を見ると狙いはお前か俺のどちらかだ。そして、お前の残っているシールドエネルギーではあいつの攻撃は耐えきれないはずだ。ならここに俺が残り、囮として戦う」

これがベストな選択だろう。と俺は思う。

「囮ぐらい私にだって出来るわ!それになにもあの正体不明機を倒せなくったって先生たちが来るまでの時間稼ぎになれば……」

「っ!!!」

「きゃ!ちょっと急になにっ!!」

確かに、今、後ろから射撃武器の射出音がした。
ファンのひざ裏に手を入れ、背中を通し肩を掴み固定する。
先ほどまで立っていた地面に赤い閃光が走る。

「…………ちょ、ちょっと!離しなさい!!」

あっけにとられていたファンが覚醒したのでちゃんと着地できるように体勢を整え離す。
しかしここからでは逃げ切る前に狙い撃たれる可能性があるな。

「ファン、少しだけ、援護を頼めるか?」

「言われなくても!まぁ、でもアンタの言うとおりあいつの一撃も耐えられない状況だけどね」

「なら、お前がやられないように俺が守る」

「え?」

「もう、誰かが居なくなるのを見たくはないからな」

≪ダメです!!ただちに避難してください!!先生たちが制圧に向かいます!!≫

ヤマダの先ほどよりもさらに緊迫した声が聞こえる。
だが、ここで逃げてはもしかしたらファンがやられてしまうかもしれない。
ここで逃げたら、シェルターを突き破って同級生や上級生たちがやられるかも知らない。

「俺はここから逃げる訳にはいかない。奴の狙いは俺たちだ。なら逃げるよりもここで囮になった方が良いだろう……余計な犠牲を出さないためにも」

≪そ、それはそうですけど…………ダメです!!≫
≪ゼロさん戻ってくださいな!!≫

「時間を稼ぐだけだ。出来れば破壊したいがな」

セシリアも管制室に居るのか。
だが、止めた所で止められる状況じゃない。
欲を言うなら、あと一人か二人援護が欲しい所だ。
…………たしか、管制室にはアリーナ直通の通路があった気がする。

「セシリア、頼みがあるんだ…………」



---場所移動 アリーナ中心付近---

「今まで待ってくれていたのは妙だがこちらとしては好都合だったな」

「何で待っててくれたのか、アタシには分からないけどね」

そういえば、ファンは今近接武装を所有していないんだな。

「ファン、奴には近づきすぎるな。それと絶対に大丈夫と思う時だけ攻撃しろ、それ以外は危ないからな」

「でも、そんなに射撃の精度そんなに高くないわよ?それにもうシールドエネルギーだってそんなに残って無いし」

「なら、俺から離れるな。絶対にお前を守り抜いてやる」

「なっ!さっきといい、アンタはまたそういう……」

急に赤面するファン。
今の言葉にファンを辱める要素は無かったと思うのだが。
それに今は赤面していられる状況でも無い。

「そう悠長に構えてもいられないぞ。奴も臨戦態勢みたいだしな。行くぞファン」

「そのファンって言うの止めてくれる?いまは敵同士じゃなくて協力関係にあるんだから。リンって呼んで」

「了解した」

リンは肩の球体の兵装を起動する。
俺は消費エネルギー量も考えゼットセイバーのみ起動する。

「行くぞ」
「行くわよ」

「分かっている」
「分かってるわ」

言葉を掛け合い、所属不明機に向き合う。
絶対に、リンを、みんなを、守る。
もう二度と、俺の前で誰かを犠牲にはさせない。 
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