問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡
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第8話 虎に挑戦数秒前ですよ?
前書き
やはりキスはやりすぎか…?
予想どうりの感想が来た
朱里様、感想ありがとうございます
修也はノーネーム本拠地の屋根の上に座って荒野を見ていた
「よっ修也」
ひょこっと十六夜が屋上に上がってくる
その隣で目を回しているジンがいるがおそらく十六夜に抱えられて来たのだろう
「どうした」
「お前に話しときたいことがあってな」
「話したいこと?」
「詳しい事はこいつが説明する」
そう言って十六夜はジンを持ち上げる
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「へえ、そいつは面白いな。『魔王にお困りの方、ジン=ラッセルまでご連絡ください』か確かにそれなら多くの魔王やその関係者がこぞって喧嘩吹っかけてきそうなもんだが。それも悪くない」
「だろ?」
十六夜そう言って眉を上げる
「まあ、手始めに明日のゲームに勝てばいいんだろ?」
「はい」
「任せとけ。前いたところでは【召喚剣士】なんて呼ばれてたんだ。そう簡単に負けはしないさ」
そう言って修也はジンを拳で軽く小突く
「あれ?十六夜くんは?」
「修也さんもジン坊ちゃんもいらっしゃいませんね」
下から飛鳥、黒ウサギの声が聞こえる
「ん、なんか話があるっぽいな。行くか」
そう言って修也は屋根から飛び降り開け放ってあった窓から入った
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翌日
「飛鳥…お前凄い格好だな」
修也達はギフトゲームの会場へと歩いていた
「あら、そうかしら?せっかくこんな素敵な世界に来たのだもの。相応の衣装を普段着に使っても問題はないでしょう?」
そう言う飛鳥の格好は、真紅のドレススカート。
間違っても戦いに行く格好ではない。
「まあ、似合うが、戦闘には不向きじゃないか?」
「心配は無用よ。元々この服は白夜叉が黒ウサギに贈ったもので、身を守る加護があるそうよ。それより貴方もそんな腕輪、昨日までつけて無かったわよね」
「まあ、それはこの後のお楽しみってことで」
「ねえ、前から気になってるんだけど修也のいた世界ってどんなのだったの?」
耀が修也に聞く
「えーと、その前にこの距離は何でしょうか? 春日部さん」
修也の言うとおり、耀と修也との距離は半径1メートルほどある
修也が耀に近づこうとするが耀はその距離を保つようにして離れる
「またいつ襲われるか分からない人には近づきたくない」
耀はそう言って大股で歩く
修也のいた世界の話はうやむやになった
「ついたぞ」
十六夜に言われ修也が視線を前に向けるとそこには森が広がっていた
「なんだこれ? まともな木じゃなさそうだけど」
「やっぱり―――鬼化している?いや、まさか」
「ジン。一人で納得してないで説明してくれないか?」
「ニャア、ニャアー(なんじゃこりゃー)」
修也に説明を求められるジン
その時、三毛猫が気に縛られ悲鳴を上げる
「三毛猫!」
「春日部!そこをどけ!」
三毛猫を助けようと耀が近づくが修也に止められる
「はあああ!」
修也は耀の前に飛び出し、木を召喚した剣で切る
「にゃ、にゃー(助かったわー、ありがとな)」
「なに、友達を助けるのは当たり前だろ」
「ジン君。ここにギアスロールが貼ってあるわよ」
飛鳥がギアスロールを見つけジンを呼ぶ
一同は門柱に張られた羊皮紙に記されている今回のゲームの内容を読む。
ギフトゲーム名:ハンティング
・プレイヤー一覧 久遠 飛鳥
春日部 耀
源 修也
ジン =ラッセル
・クリア条件 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。
・クリア方法 ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約”によって ガルド=ガスパーを傷つける事は不可能。
・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・指定武具 ゲームテリトリーにて配置。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、ノーネームはギフトゲームに参加します。
フォレス・ガロ 印
「ガルドの身をクリア条件に……指定武具で打倒!?」
「こ、これはまずいです!」
ジンと黒ウサギが悲鳴のような声を上げる。
それを理解していない修也が黒ウサギに問う。
「何かまずいのか?」
「このルールが問題なんです。指定武具でしか討伐できない以上、傷つけることも出来ない事になります……!」
「へえ、ってことはお嬢様方のギフトも修也の召喚で出した剣も、ガルドには通じないってことか。ルールもその場で決めときゃ良かったな、おちび様」
十六夜の言葉にうつむくジン
「指定武具ってことは何らかの形で指定されている。と言う事でいいのかしら」
「yes、その通りです」
「だったら大丈夫だな、あの外道野郎にとってはちょうどいいハンデだ」
修也はそう言って門の前へと歩く
「ええ、コレくらいでちょうど良いわ」
飛鳥も修也に続いて門の前に歩く
「でっでも」
「大丈夫。私もがんばる」
耀もほかの2人と同じように門の前へと歩く
「さあ、行きましょう」
飛鳥の言葉を合図にジン、飛鳥、耀、修也の4人は門の中へと進む
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門の内は木が複雑に絡み合っていて薄暗い。
「まずいな。何ともガルド好みの状況じゃねえか」
虎は鬱蒼とした木々を隠れ蓑に、獲物に奇襲をかける。
いきなり奇襲をかけてくることはない、とは否定できない
すると
「大丈夫。近くには誰もいない。匂いで分かる」
耀が目をつぶりながら言う
「犬にも友達が?」
「うん、20匹くらい」
耀のギフトは獣の友人を作れば作るほど強くなる
嗅覚や聴覚などの五感では十六夜を越えるだろう
「そうだな。春日部、ガルドの位置、分かるか?」
この場にいる全員の中で一番策的能力が高いのは耀である
今は耀の人間離れした嗅覚、聴覚に頼るほか無い
「もう見つけてる」
耀は目の前の洋館を指差す
「館までが木に飲み込まれてるのか」
修也の言うとおりだった
虎の紋様を施した扉は無残に取り払われ、窓ガラスは砕かれるなど、豪奢な外観は塗装もろともツタに蝕まれて剥ぎ取られていた。
「中の位置も分かるか?」
修也の質問に耀は首をふって答える
「そうか。じゃあこいつの出番だな。行くぞヴォルザ。サーチャー5つ、館の中に」
《了解、マスター》
修也の右手首に付けている金属性の腕輪が喋り、修也の周りに青色の球体が5つ出現し、屋敷の方へと向かっていった
「ヤツは2階にいる」
「本当?」
「本当だ。行くぞ」
耀が訊き、それに修也は断言し、先行した
本館の内装はいっそう酷い有様だった。
四人は舞台への疑問を強める。
「本当に、このゲームはガルドによるもの?」
「わかりません。舞台の設置は代理を頼むこともできますから」
「代理といっても、ここまで罠の一つもなかったわよ?」
飛鳥の言葉に修也は口を開く
「おそらく、これが目的だろう」
「どう言う事」
「さっきみたいに警戒をさせておいて俺たちの精神力を削るのが目的だろう」
「ってことは私達はガルドの思惑通りに動いてたってこと?」
耀が訊き、修也はそのとおりだと頷く
「ここだ」
修也たちの目の前にはひときわ大きい扉の前に着いた
「一つだけ言っておく。奴は…」
バタン
と言う音と共に扉が開いた
後書き
デバイス登場、ヴォルザ
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