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もう一人のアルフィミィちゃん

作者:メア
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キョウスケの受難

 
前書き
後半、かなりchaosです 

 

ラトゥーニ



 私達は現在、ペレグリンに乗って、ヒリュウとハガネと合流するために地球を目指している。そんな中、私はガラス越しに宇宙を見詰めている。

「ふぅ…………」

お姉ちゃんと離れての任務はこれが初めて。ちゃんとできるかな?

「ラト、こんな所で何をしているんだ?」

「レティ…………バンシィの調整は良いの?」

「もちろん、A.S.R.S.(アスレス)も問題なく機能している」

そう、私達は月へ行った時と同じくA.S.R.S.(アスレス)というシステムを二機で発動させてペレグリンを隠匿して進んでいる。お姉ちゃんから、外部に漏らさないようにと言われている危険なシステム。他にもシステムXNとか短距離転移が出来る物まで搭載されているバンシィとラミエルは現時点で最高戦力であると同時に最重要機密。機動も私達の生体認証がいたり、解析させないための防衛システムまで組み込まれているみたい。それになんだか生きている感じもする。

「隊長と離れて不安なのか?」

「うん。でも、何時までも頼ってられない。私には私の目的が有るから」

「スクールか」

「そう、皆を助ける。お姉ちゃんから貰ったラミエルで」

ゼオラ、アラド、オウカ姉さま。みんな必ず助ける。

「助けるのは構わないが、力がいる時は何時でも言え。私達はチームなんだからな。それに私はそういう連中が嫌いだし、助けたいなら協力者は多い方が良いだろう」

「わかった。その時はお願いする」

「ああ、任せろ。私とバンシィは守る為の力だからな」

「うん」

『ナンブ軍曹、ドライグ小尉、ヒリュウとハガネの作戦開始時間に間に合わないみたいので、バンシィとラミエルだけで先行してください』

「了解した。行くぞ、ラト」

「ええ」

私達は格納庫へ移動し、機体に搭乗する。

『ラト、大丈夫か?』

「準備完了。ラミエルを高機動モードに変形完了。レティ、乗って」

『ああ』

レティのバンシィが戦闘機のようになったラミエルに乗り、固定される。

『設置完了』

「それじゃあ、発進します。出撃準備完了しました」

オペレーターへと連絡して、ハッチを開けて貰う。

『ハッチ開放。発進準備完了。発進どうぞ』

「了解。スターズ2、ラミエル。ラトゥーニ・ナンブ、出ます」

『同じくスターズ3、レティシア・ドライグ、バンシィ出る』

機体のスラスターを上げて発進する。

「レティ、一気に加速するよ」

『了解』

グラビィティーフィールドを展開して、スラスターやブースターの出力を全開にして音速を超えて進む。

『レーダーを振り切ったな。アスレスを展開』

「了解。こちらは機体制御に集中する」

時速3000kmの速度での行動は流石にキツイ。ラプラスの未来予測とグラビティフィールドによる重力変化を起こし、速さと衝撃を緩和していないと不可能に思える。そして、私達は見誤った。ラミエルの速度を。




コロニー統合軍・旗艦マハト




 降下作戦開始時刻。 

「ヒリュウ改とハガネ、レンジ7に侵入…………っ!? 馬鹿な、ありえんっ!!」

「どうした?」

マイヤー・V・ブランシュタインが慌てたオペレーターに声をかける。

「ちっ、地球側にパーソナルトルーパーの反応は2機有りますっ!!」

「馬鹿な、レーダー班は何をしていたっ!!」

「突然現れたとしか言えませんっ!!」

「識別は!?」

「現在照会中…………映像出します!!」

出された映像には、今、鳥から変形して人型になった機体と黒いツノ付きが写っていた。

「マオ・インダストーリーのロゴが確認できます」

「敵か」

「未確認機より通信です」

「開け」

そして、画面に映し出されたのは長い金色の髪の毛に真紅の瞳を持つ少女。

『こちら、地球連邦宇宙軍コルムナ所属スターズ隊のレティシア・ドライグ少尉だ。我々は今から一度砲撃を行い、降伏勧告を出す』

「なんだと!? たった二機が舐めやがって…………」

「ふむ」

「前方のパーソナルトルーパー2機より三つの高エネルギー反応っ!! 来ますっ!!」

黒い2つの巨大な奔流が旗艦の横を通り過ぎた。それは遥か遠くまで届いて行く。

『返答を聞こうか』

「今の攻撃…………推定エネルギー量、ハガネのトロニウムバスターキャノンとほぼ同じですっ!!」

「なんだと…………」

『こちらは先程の物を9発連射出来る。大人しく投稿し、対エアロゲイター戦の戦力となるならばよし、ならぬのならばここで死んでもらう事になる』

「よかろう。ただし、全てはお前達がビアン・ゾルダーク率いるDCに勝利すればだ。それでよいな?」

『問題無い。では、ハガネが何かする前に撤退してくれ。我々でハガネを止めてくる』

「了解した。全軍、撤退だ」

「よろしいのですか?」

「かまわぬ」

「了解しました。全軍、撤退っ!!」

降下作戦部隊は一切傷つく事無く、撤退した。




キョウスケ



 俺達はヒリュウに乗り込み、コロニー統合軍の降下作戦を止める為、今まさにテスラドライブでブレイクフィールドを展開して進んでいる。

『こっ、コロニー統合軍が…………撤退を開始しました』

「「「なんだとっ!!」」」

機体で待機していたパイロット全員から同じ言葉が出た。

『こちらに向かって来ている地球連邦宇宙軍の機体が何かしたようです…………ハガネに着艦するとの事なので、念のため、外で部隊を展開してください』

「了解した。移動するぞ」

『少尉、何事なんですか…………?』

「わからんが、降下作戦は終了した。別の敵かもしれん」

俺達が外へと出ると、そこには見たこともない機体が存在していた。

「なんだアレは…………」

『変な感じがアレからするわねん』

「エクセレンもか…………俺もだ」

『こっちはなんともありませんが…………』

俺とエクセレン以外はなんとも無いようだ。俺とエクセレンのみで関連するのは例のシャトル事故だけなのだが…………アレが何か関わっているのか?

『どうやら、一機がハガネに行くみたいねん』

ツノ付きがハガネへと入って行く。もう一機残った機体はこちらを見ている。

『ねえ、ねえ、貴方、お名前わん? 私はエクセレンっていうのよん。エクセ姉さまって呼んでね』

「おい、エクセレン…………」

『私は…………ラトゥーニ・ナンブ』

画面に映ったフリルが着いたドレスを着た可愛い部類に入るだろう女の子。

「『『『ぶっ!?』』』」

俺と同じ名字か。いや、名字だけなのだから、俺の親戚でもなんでもないな。

『なになに、キョウスケの知り合いなのん?』

「知らん」

『私も知らない。この名字はお姉ちゃんに与えられたから』

「そうか。その機体はなんだ?」

『これは真央インダーストーリーでお姉ちゃんが制作した機体。名前はラミエル。スペックは極秘事項に抵触する。調べられると殺すよう命令されている』

『怖いわねん』

そこまでの機密がラミエルには詰まっているという事か。

『全機、各所定の艦に帰還してください』

「了解した」

全員が戻る。ラミエルと呼ばれた機体はハガネへと入って行く。






レティシア




 私はダイテツ・ミナセ艦長に説明している。

「では、機体に関しては一切の公開をしないというのだな」

「はい。アレは私達の隊長が持ち込んだ民間機です。本人曰く、接収とかして技術奪うなら敵になりますの。との事ですので、オススメしません。敵に技術公開とか平気でしそうな人なので」

「それは大丈夫なのか?」

「軍人としては大丈夫でしょう。それに彼女の目的はほとんど遂げられていますし、むしろ知り合いを守る為に軍に入っているだけですので」

「我々が何かしない限りは安全か。今は異星人やDCと戦ってくれるならそれでいいか。それで、補給部隊はいつとどく?」

「もう間もなくかと。積荷がマオ・インダストリーで開発された最新のパーソナルトルーパーですので、取りに向かった方がよろしいかと」

「ふむ。君達はこれからどうするのだね?」

「隊長からはDCと戦って来いと命令を受けています。元々隊長が本作戦に参加するはずだったのですが、あちらの防衛戦力が欲しいとの事で、残られています。いつ、エアロゲイターが来るかもわかりませんからね」

「了解した。では、君達と二機をハガネ預かりとしておこう」

「ありがとうございます」

「では、私が案内しましょう」

「頼む」

私は紫の髪の毛をした人に連れられて外へと出た。

「私はギリアム・イェーガー少佐だ」

「レティシア・ドライグ大尉です」

「早速だが、あの機体の開発者は誰だ?」

「アルフィミィ・ナンブ中佐です。それ以上はお答えできません」

知っているのか、顔色が変わったな。

「ギリアム少佐」

「キョウスケか。どうした?」

「ラトゥーニ・ナンブをお連れしました」

キョウスケと呼ばれていた人と女の人の後ろからラトが現れてこっちへ来る。

「大丈夫だった?」

「うん…………大丈夫」

「ご苦労。君達の隊長と通信はできるかね?」

「出来る」

ラトゥーニが答えて、腕時計の通信装置を機動すると、程なくして立体映像が現れた。その服装は女性用の軍服を着ているが、ブカブカのようだ。

『呼ばれて飛び出て、じゃじゃじゃ~ん! ですの』

「「「…………」」」

「あはははは、面白いわこの子」

皆、呆れているな。いや、一人以外。

「やはり、お前かアルフィミィ」

『おやおや、ヘリオス・オリンパスでは無いですの。お久しぶりですの』

「そうだな。なぜ、お前がここに居る」

『そりゃもちろん、システムXNを使ったですの。あちらは結構大変な事になってしまって泣く泣く…………いえ、嬉々として逃げましたの』

この二人は知り合いみたいだな。

「では、お前の機体は…………」

『そうですの。お父様…………キョウスケ・ナンブから貰いましたの』

「なんですってっ!! キョウスケ、誰の子よっ! 誰の子なのっ!!」

金髪の女性がキョウスケと呼ばれた男性に詰め寄って行く。

「落ち着け、エクセレン。俺にあんな大きな子供はいない」

「そりゃそうよ…………『非道いですの…………アルフィミィはお父様(のデータ)から産まれましたのに…………ぐすっ…………あんなに激しく身体(ルシフェリオン)を弄り回されたりされながら熱い夜(吸収戦闘)をしましたのに…………忘れるなんてあんまりですの!!』きょ~~~う~~~す~~~け~~~~~」

「待て、俺は知らんっ!! 無実だっ!!」

女の方が拳銃を持ち出して来たな。

「お前達、いい加減にせんか」

「少佐っ、助けてくれっ!!」

『まあ、お母様も落ち着いてくださいですの』

「おっ、お母様…………それなら良いかな…………うん。私はお母様よ」

『…………ちょろ甘ですの…………』

黒いぞ、隊長。

『まあ、アルフィミィの出自を有る程度バラしますと、アルフィミィはキョウスケ・ナンブのあらゆるデータとちょこっとのエクセレン・ブロウニングを元にして、色々ゴチャ混ぜ(アインストやチート?)制作されたクローンですの。ですから、アルフィミィはお父様とお母様の子供で間違いは有りませんの。ちにみに、この世界にはあと一体、アルフィミィがいますのでそっちもよろしくですの』

「おい…………」

「じゃあ、本当に私とキョウスケの子供なのねん。これはもう、結婚するしかないわよん。ほら、できちゃった婚ってヤツ~~?」

「いや、待て。勝手に作られた子供を認知しろと言われてもだな…………」

『ぐすっ…………お父様…………』

「あっ、キョウスケ、ちなみにこの会話、艦内に流れてるみたいよ」

「わかった。その事は後で相談だ。それより、クローンを作った連中は?」

『アルフィミィがきっちりと取り込んで滅ぼしましたの。でも、別のアルフィミィを作った方はまだですの。それはいずれ現れて来ますので、助けて上げてくださいですの』

「ああ」

「もちろんよ」

『さて、ヘリオス、アルフィミィは現在最強の戦艦を作っておりますの。ですから、二人を預けますので大切に扱ってくださいですの。戦力としては申し分無いと思いますので、実戦経験を積ませてやってくださいですの』

「構わんが…………お前は何を作っているのだ」

『エアロゲイターを単艦で叩き潰せる戦艦を鋭利製作中ですの。アルフィミィは今や、この世界の誰よりも兵器に精通していますの。ですから、目指せ、戦艦一隻でグランゾンと戦い、勝利する程度の戦闘能力を持った戦艦!! ですの』

「「「「「ちょっと待てこらっ!?」」」」」

『待ちませんの。これが科学者…………マッドサイエンティストたるアルフィミィの夢ですの。既にデウス・エクス・マキナクラスのは作ったですの。ならば、それの登載艦を作るのは必定ですの。うふふふ。というわけで、ラトとレティをよろしくお願いしますですの』

言いたいことだけ言って、切りやがったな隊長。グランゾンってあれだよな。一機で無双してた奴。というか、デウス・エクス・マキナ作ってるとかどんな代物なんだ?

「やられた…………あの小娘め…………私の技術を…………アイツが一番危険ではないか…………」

「私達の娘は凄い子みたいねん、キョウスケ」

「みたい、だな」

「キョウスケ・ナンブ、エクセレン・ブロウニング。お前達はあの小娘を絶対に矯正させろ。奴が持ってるだろう戦力は単騎で世界を滅ぼせるだろう代物だ。良いな、両親として世界の為に責任を果たせ。これは命令だ!」

「りょっ、了解」

「って事は、結婚ね。やったわん」

ふむ。まあ、なんだかんだ言って、隊長は暴走しないだろう。

「…………」

「どうした、ラト?」

「お姉ちゃんの両親なら、私の両親?」

「そうなるな」

「あらん。こんな可愛い女の子が私の娘なんて…………嬉しいわ」

「わぷっ」

エクセレンと呼ばれた女性に抱きつかれて驚いているラト。

「自重しろ、エクセレン」

頭を痛そうにしているキョウスケ。苦労するようだが、頑張れとしか私には言え無い。






 
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