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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第五十六話 終局

                第五十六話 終局
 ロンド=ベルはだ。何とか生き残った。
「やれやれだな」
「全く」
「死んだ奴はいるか?」
 このチェックもされる。
「洒落にならない激しい戦いだったけれどな」
「誰かいるか?」
「大丈夫?」
「撃墜された機体はなし」
 まずはこのことが確かめられる。
「それにパイロットの戦死者もなし」
「クルーも」
「重傷者もなし」
「奇跡ね」
「そうだな」
 皆本当にそう思うのだった。
「あの状況でそれはな」
「ガルラ帝国との決戦並に激しい戦いだったな」
「全くだぜ」
 戦いを思い出しての言葉である。
「それでだけれどな」
「ああ」
「それで?」
「わかったよな」
 問うのはいきなりであった。
「第一一七調査船団のことは」
「ああ、わかった」
 カナリアが答えてきた。モンスターからの通信だ。
「今ここにキャサリンがいる」
「そう。それでキャサリンさん」
「どうなんですか?それで」
「バジュラは」
「ええ、まずはね」
 ここでだった。キャサリンは話すのだった。
「バジュラは独自の。思念をお互いに送って意志を疎通しているわ」
「やっぱりそうなんですか」
「それもはっきりしたんですね」
「それが」
「そうよ。それでね」
 キャサリンはさらに話す。
「バジュラの生態は蜂に似ているわね」
「蜂ですか」
「それなんですか」
「そうよ、それよ」
 こう一同に話す。
「つまり女王がいるわ」
「女王のバジュラ」
「クイーンバジュラですか」
「つまりは」
「そうよ。クーンバジュラね」
 まさにそれであるというのである。
「それがいるわね」
「それがバジュラの母星にですね」
「いるんですね」
「つまりは」
「そうよ、いるわ」
 また話されるのだった。
「そしてその星はね」
「それはこちらでわかった」
 キリコだった。
「我々が今から向かう星だ」
「そこがバジュラの星」
「そここそが」
「それじゃあ」
「決戦となるな」 
 キリコは簡潔に言った。
「そこでバジュラとだ」
「いえ、それがなのよ」
 ところがだ。今度はリツコが一同に話してきた。
「どうやらね」
「どうやら?」
「どうしたんですか、リツコさん」
「バジュラは元々それ程攻撃的な生物ではないみたいなのよ」
「えっ、あれで?」
「あれでなんですか?」
「まさか」
「いや、その通りだ」
 サコンも言ってきた。
「バジュラは本当にだ」
「好戦的じゃないんですか」
「好戦的な存在じゃない」
「証拠は」
「ある。データにだ」
 それもあるというのだ。
「間違ってもこれまでの様なことはしない種族らしい」
「しかしそれでも今まではどうして」
「物凄く攻撃的だったんですけれど」
「それはどうしてなんですか?」
「つまり。あれです」
 猿丸であった。
「操っている存在がいるんです」
「グレイス=オコナー」
「あいつか」
「やはり」
「彼女はバジュラの習性に気付きそれを利用しようとしています」
 猿丸はまた話した。
「そしてそのうえで」
「何をするつもりなんだ?」
「それで」
「自分がバジュラを支配し銀河の支配者になろうとしています」
 そうだというのだ。
「それがわかりました」
「胡散臭い奴だと思っていたがな」
 ロウがここで言った。
「そういうことだったか」
「そうだな。しかしそれがわかればだ」
 イライジャも言う。
「何をするかもな」
「はっきりしたな」
「あいつを倒す」
「ここは」
「その通りよ。皆いいわね」
 ミサトが確かな顔で一同に話す。
「私達の敵はバジュラではないわ」
「グレイス=オコナー」
「あいつがですね」
「そうよ。それじゃあね」
 ミサトは話をさらに続ける。
「これからの方針は」
「まず母星に言ってだな」
 加持も言う。
「そしてそのうえで」
「そこに来るグレイス=オコナーを倒す」
「そうするか」
「よし、作戦決定だ」
 グローバルが言った。
「それでいいな」
「はい、それじゃあ」
「今から」
 こうしてであった。彼等はその星に向かうのだった。そうしてであった。
 バジュラの大軍と対峙した。そしてそこに。
「来たな」
「ええ」
「フロンティアも」
 そのフロンティアも来た。役者は揃った。
 その中でだ。シェリルは言っていた。
「来たのね」
「ああ」
 アルトだった。彼はシェリルの楽屋に来たのである。
「もう出撃の時間じゃないの?」
「それでもいいか?」
「我儘ね」
 アルトに対してすっと笑って返した。
「意外と」
「今まで我儘って言われたことはないんだがな」
「あら、そうだったの」
「そうだ。それでな」
「一つ言っておくわ」
 シェリルの方からだった。
「もうこれで終わりにしましょう」
「終わり?」
「そうよ。恋人ごっこはね」
 笑顔でアルトに話す。
「もうこれでね」
「ごっこだったのかよ」
「そうよ。それでね」
「今度は何だ?」
「生き残ったら、お互いに」
 こう話してであった。
「その時は」
「ああ、その時は」
 ここで、であった。シェリルは自分の顔を前に出してだ。アルトの唇と己の唇を重ね合わせたのだった。
 それが終わってからだ。またアルトに告げた。
「それじゃあね」
「ああ、それじゃあな」
「ランカちゃんを御願い」
 笑顔で彼女の名前も出した。
「絶対に助け出してね」
「絶対にか」
「助け出さないと許さないから」
「そうしろっていうんだな」
「そうよ、絶対によ」
 またこの言葉を出してみせる。
「絶対によ。わかったわね」
「ああ、わかった」
 アルトも頷く。そうしてだった。
「じゃあな」
「ランカちゃんみたいないい娘はいないわよ」
 また微笑んでランカのことを話すシェリルだった。
「それにね」
「ああ」
「こんないい娘もいないから」
 微笑んで自分のことも言う。そうしてだった。
 アルトの出撃を己の場で見届けてそのうえで、だった。
「あたしの歌を聴けーーーーーーーーーーーーっ!!」
 ステージにダイブしてガウンを脱いで軍服の衣装になってだ。そうしてそのうえで歌うのであった。
 その時だ。慎吾は神名とスサノオの中で話をしていた。
 神名がだ。彼に言うのだ。
「あのね、慎吾君」
「はい」
「隠していたことだけれど」
 こう前置きしての話だった。
「真名は私に告げていたの」
「何てですか?」
「若し自分がオニクスに取り込まれて」
「はい」
「悪いことをしたその時は」
 その時はというのだ。
「自分を殺してくれってね」
「そう頼んでたんですね」
「私は暗殺やそうしたことも学んできたわ」
 神名は自分のことも話した。
「そう、慎吾君を守る為に」
「僕を守る為に」
「身に着けてきたわ。けれど」
 顔が曇る。そのうえでの言葉だった。
「私にはできないわ」
「そうなのですか」
「ええ、できないわ」
 また言う神名だった。
「真名は私の妹、それに真人君も知っているから」
「だから。それで」
「私には真名の命を奪えない」
 神名のその声が震えている。
「どうしても、それは」
「それじゃあ」
「それじゃあ?」
「助け出しましょう」
 これが慎吾の考えだった。
「真名さんを。そして真人さんを」
「救い出すのね」
「オニクスに捉われていても」
 それでもだというのだ。
「助け出しましょう」
「そうするのね」
「はい、そうします」
 確かな言葉だった。
「だって。ギガンティックは誰かを守る為の力ですから」
「慎吾君・・・・・・」
「そうよ」
 ここで華都美が二人に言ってきた。
「その通りよ、慎吾君」
「華都美さん・・・・・・」
「二人共オニクスからあの二人を救い出して」
 慎吾だけでなく神名にも告げる。
「いいわね、絶対によ」
「はい」
「わかりました」
 華都美の言葉に二人で頷く。
「それなら今から」
「行きます」
「オニクスはフロンティアにいるわ」
 そこにだというのだ。
「フロンティアの軍がいるけれど」
「フロンティアの軍に手を出す必要はない」
 今言ったのはジェフリーである。
「味方だ。向こうはどう思ってるかわからんがな」
「けれどですよ」
 ここで反論するのは柿崎だった。
「向こうは攻撃して来ますよ」
「そうです。それはどうしますか?」
 マックスもこのことを問う。
「こちらは攻撃しないんじゃあまりにも無茶です」
「心配無用!」
 だがここで大河が言う。
「既にその備えもある」
「その備えとは」
「一体」
「それを今から言おう」
 こう言ってであった。彼はすぐにだ。
 命とスワンに対して告げた。
「二人共、いいな」
「はい」
「あれデスね」
「そうだ、時は来た!」
 確かな声で叫ぶ。
「あのデータをフロンティアの全てのパソコンに転送するのだ!」
「了解!」
「送信です!」
 そうしてであった。あのデータがフロンティアの全てに伝えられた。
 するとだ。彼等の動きが止まった。
「なっ、何!?」
「グラス大統領はバジュラに殺されたのじゃない!?」
「今の大統領にだって!?」
「それにこの資料は」
「データも」
 レオンの直接の関与を示すあらゆる証拠も送られていた。
「こんなに正確だと」
「ああ」
「間違いないよな」
「そうだよな」
「じゃあやっぱり」
「あれは」
 特にだ。軍の間で動揺が走っていた。
 そしてだ。レオンの周りでもだ。
「大統領、これは」
「一体どういうことですか!?」
「これは真実なのですか!?」
「まさか」
「馬鹿を言い給え」
 何とか落ち着きを保って言う彼だった。
「これはロンド=ベルの工作だ」
「いえ、しかしです」
「ここまで確かな資料はです」
「そうはありません」
 こう言う彼等だった。
「ですからこれは」
「やはり」
「そうとかしか」
「くっ・・・・・・」
 レオンは取り繕うことができなくなり歯噛みした。そしてであった。
 同じく関与を暴かれた美知島はだ。部下達に静かに告げていた。
「オニクスもだ」
「はい」
「オニクスは」
「稼動を停止させる」
 そうするというのである。
「パイロットの二人は自由にしてあげるのだ」
「では彼等の戦いは」
「もう」
「そう、終わりだ」
 穏やかな声で話す。
「君達もだ。君達を更迭する」
「更迭!?」
「ですが」
「君達は何も知らなかった」
 これは事実である。彼の部下達は彼とレオンの企みのことを何も知らなかった。彼はこのことを今はっきりと言ったのである。
「私の独断でしたことだ」
「しかし閣下」
「それでも」
「君達は既に更迭、今の役職から解任した」
 まだ言う美知島だった。
「では。さようなら」
「閣下・・・・・・」
「それでは」
「別れを言うのは一度だけだ」 
 美知島はこれ以上言おうとしなかった。
「それでは。いいな」
「はい・・・・・・」
「では閣下」
 部下達は一斉に立ち上がって彼に対して敬礼した。そうしてだった。
「さようなら」
「これで」
「うむ」
 美知島も返礼した。そうしてであった。
 部下達が部屋を後にするとだ。部屋の中から銃声が聞こえた。それで終わりであった。
 そしてこのことがレオンに伝えられるとだ。彼はさらに窮地に陥っていた。
「くっ、私はだ」
「詳しいことはです」
「後でじっくりと御聞きします」
 腹心達も全員捕らえられている。そのうえで兵士達に銃を向けられている。そうして告げられるのだった。
 これでレオン達は終わった。するとだ。
「こちらフロンティア」
「宜しいでしょうか」
「うむ」
 ギャラクシーの大統領が彼等の言葉に応える。
「何だろうか」
「これより我が軍はです」
「ロンド=ベル及びギャラクシーの軍と合流させて頂きます」
「宜しいでしょうか」
「よし、それではだ」
 大統領は彼等の言葉を受けた。そうしてであった。
「これから共に戦おう」
「はい、それでは」
「今より」
 こうしてであった。彼等の問題は終わった。そして。 
 オズマは三人とクランのところに来てだ。声をかけた。
「スカル1より各機に!」
「は、はい!」
「それじゃあ」
「俺達の敵はバジュラではない!」
 まずはこう彼等に言うのだった。
「それを言っておく」
「えっ、バジュラじゃない!?」
「まさか」
 それに驚いたのはアルトとルカだった。
「そんなことは」
「有り得ません」
「いや、そうだ」
 だがまだ言うオズマだった。
「すぐに話す。まずはだ」
「まずは」
「一体」
「あの戦いだ」
 見ればだ。フロンティアにいるオニクスの周りにだ。無数の無人機が展開していた。フロンティアの予備のバルキリーやモビルスーツ達だ。
「ええと、数は?」
「千か」
「何だ、少ないわね」
 ロンド=ベルの面々はその無人機の軍を見てそれぞれ言う。
「それ位なら一気に」
「バジュラの攻撃はあしらって」
「それであのオニクスをだよな」
「そうね」
 皆こう話してだった。
 そのうえでだ。慎吾と神名に対して言う。
「いいな」
「あの二人をね」
「絶対に助け出せよ」
「何があってもね」
「はい、わかりました」
「それなら」
 慎吾と神名も頷いてだ。そのうえでオニクスに向かう。
 そうしてオニクスはだ。スサノオを待っていた。
「来たね」
「ええ」
 真名は真人の言葉に頷いた。
「今からはじまるわ」
「僕達の戦いがね」
「いや、待て」
「もういいのよ」
 しかしだ。その二人にフロンティアの司令部から通信が入った。
「君達の戦いは終わったんだ」
「もうフロンティアを守らなくていいから」
「早くそこから降りるんだ」
「そして戦争からも」
「いやです」
「それは聞けません」
 しかしだった。ここで二人は言うのだった。
「僕達はこのオニクスに残ります」
「そして戦い続けます」
 そうするというのである。
「それが僕達の使命ですから」
「ですから」
「何っ、馬鹿な」
「もう戦いはしなくていいのに」
 フロンティアの司令部もこのことに驚きを隠せない。
「それで何故」
「まだ戦うというの?」
「これはです」
 ここで言ったのは卯兎美であった。
「御二人がオニクスに囚われているのです」
「オニクスに!?」
「まさか」
「オニクスはギガンティックの中でも特殊です」
 そうだというのである。
「その力は絶大ですが」
「ですが」
「しかし何かがあると」
「そうです。パイロット達を取り込んでしまうのです」
 こう話すのだった。
「そして戦いに駆り立てます」
「そんな、ギガンティックの中でもオニクスはパイロットの気力体力を特に消耗させるマシンだ」
「それに乗り続けていれば」
「そうです、やがて死んでしまいます」
 そうなるというのである。
「ですからここは」
「だから行きます!」
「私達が!」
 慎吾と神名が前に出る。当然スサノオに乗っている。
 そしてだ。オニクスの前に来てだ。
「真人さん」
「真名」
 それぞれ二人の名前を呼ぶ。
「もう戦う必要はありません」
「そうよ、だから」
「オニクスから降りて下さい」
「もうこれで」
「まさか。何を言ってるんだよ」
「私達は戦わないといけないのよ」
 あくまでこう言う真人と真名だった。
「そう、絶対に」
「だからまだ」
「くっ、これなら」
「このままだと」
 二人はそれを聞いてだ。いよいよ覚悟を決めた。
 そうしてであった。意を決してだ。
「神名さん」
「ええ」
 二人で息を合わせてだった。そして。
「オニクスを行動不能にして」
「それからね」
「はい、二人を助け出しましょう」
「それから」
「いい?二人共」
 華都美も話す。
「ここはね」
「はい、まずはオニクスをですね」
「行動不能にして」
「それからよ」
 また話すのだった。
「二人を助け出して」
「助け出すのは任せろ!」
 名乗りを挙げたのは宙だった。
「俺ならそれができる!」
「宙さんがですか」
「してくれるんですね」
「ああ、鋼鉄ジーグならだ」
 それができるというのである。
「だからだ。任せてくれ」
「はい、それならです」
「御願いします」
「しかし。その前にだ」
 ここで宙は言うのだった。
「頼んだぞ」
「はい」
「やります」
 二人は意を決してだった。オニクスに向かう。そうしてだった。
 オニクスがまずは剣を出して来た。
「くっ!」
「早い!」
「やらせないよ」
「絶対に」
 攻撃を繰り出した真人と真名の言葉である。
「戦ってそして」
「フロンティアを守るから」
「違う!」
「真名、それは違うの!」
 二人は剣を受け止めたうえで二人に訴える。
「戦うことは必要なんだ」
「けれどそれでも」
 それでもだというのである。
「これ以上オニクスに乗って戦っても」
「それは」
 こう言ってであった。そのうえでだ。
 再びスサノオの剣を繰り出す。しかしそれもまた受け止められる。
 それでもだ。慎吾と神名はまだ言った。
「二人共そこから降りるんだ!」
「早く!」
「いや、僕達はフロンティアを守るから」
「だから」
「くっ、やっぱり二人共」
「ええ、間違いないわ」
 慎吾と神名はここであらためてわかった。
「オニクスに意識を奪われている」
「それなら」
「足だ!」
 今叫んだのはだ。
「足を狙うんだ!」
「えっ、セルゲイ」
「足?」
「そうだ、足なんだ!」
 セルゲイはまた叫んだ。
「足を狙え!」
「そうだな、ここはだ」
「それがいい」
 雲儀とザイオンもセルゲイの言葉に頷く。
「それで動きを遅くするんだ」
「まずはな」
「は、はい」
「それなら足を」
 二人は彼等のその言葉に頷いた。そしてだった。
 一旦飛び退いてだ。間合いを開けた。それから。
 下に向かって突き進む。そしてだった。
「これで!」
「どう!?」
 剣を下に思いきり払う。横薙ぎにだ。
「これなら!」
「きっと!」
「くっ!」
「間に合わない!?」
 その攻撃にはだ。真人と真名も対処しきれなかった。かろうじて両足を断ち切られることだけを避けるのが精一杯の状況だった。
 右足の足首が断ち切られた。足首が吹き飛ぶ。
「しまった!」
「足が!?」
「よし、後は!」
「一気に!」
 これでスサノオは勢いづいた。それでだった。
 慎吾は本能的にだ。そうした。
「神名さん」
「ええ、慎吾君」
「これで決めます」
 こう言ってだった。体勢を崩したオニクスに対してだ。
 剣を一閃させた。頭から一気に両断する。
「何っ、馬鹿な!」
「コクピットに達するぞ!」
「死ぬぞ!」
 これにはロンド=ベルの面々も驚いた。
「慎吾、何を考えてるんだ!」
「神名も!」
「いえ、大丈夫です」
「いけます」
 しかし二人はこう言うのだった。
「これで!」
「止めます!」
 そしてであった。そのコクピットの手前で剣を止めたのだった。
 オニクスは動けなくなった。その時だった。
 宙が前に出た。無論鋼鉄ジーグになっている。
「宙さん!」
「ああ、ミッチー!」
 美和に対しても応える。
「ここは任せろ!」
「ええ、見事果たして」
 これが美和の言葉だった。
「そうしてね」
「安心しろ、俺はサイボーグだ」
 宙は己のこのことを言った。
「戦う為に生きている。しかしだ」
「しかし?」
「それは人を助け世界を守る為の戦いだ!」
 この言葉と共にであった。一気に突っ込んでだ。
 オニクスのそのコクピットのところに来てだ。一気にこじ開けた。
「よし!」
 パイロットスーツの二人を救い出す。そうしてであった。
「これでいい」
「あっ、まさか・・・・・・」
「私達を」
「ああ、そうだ」
 その通りだと返すのだった。
「見た通りだ」
「けれど僕達は」
「オニクスに操られて」
「それがどうしたんだ」
 鋼鉄ジーグの姿での言葉だった。
「もう御前達はオニクスから離れたんだ」
「ですがそれでも」
「私達は」
「いえ、違います」
「そうよ。違うのよ」
 二人にだ。慎吾と神名が言う。
「過ちを犯してもこれからです」
「これから償えばいいから」
「そう、なんだ」
「姉さん、これからなのね」
「そうよ」
 姉は妹に対して優しく微笑んで述べた。
「その通りよ。だから」
「そうなの」
「話は後だ」
 宙が二人に告げた。
「二人共今は下がるぞ」
「私も行くわ」
 美和もついてであった。そのうえで二人を安全な場所までやる。オニクスのことはこれで終わった。後はその姿がフロンティアにあるだけだ。
「さて、これで」
「そうだな」
 しかしだった。戦いはまだ行われていた。
「あいつだな」
「そろそろ出て来るよな」
「あいつ?」
 アルトは仲間達の言葉に怪訝な顔をした。
「あいつって誰だ?」
「すぐにわかる」
 オズマがいぶかしむ彼に答える。
「御前も知っている奴だ」
「まさか」
 ここで言ったのはミシェルだった。
「あいつかよ」
「そうだな」
 クランも彼のその言葉に頷く。
「予想通りならな」
「ああ、間違いない」
 また言うミシェルだった。
「やっぱりそうなったな」
「うむ」
「あの」
 ルカは二人の話がわからず思わず問い返した。
「さっきから一体何を」
「おい、アルト」
「いいか」
 二人はルカに答える前にアルトに言っていた。
「敵はあの娘じゃない」
「別にいる」
「あの娘じゃない。まさか」
「ああ、そうだ」
「それはわかっておけ」
「そしてだ」
 オズマも彼に言ってきた。
「バジュラでもない」
「えっ、そんな」
 ルカはオズマの今の言葉に驚きの声をあげた。
「そんな筈がありません」
「説明が必要だな」
「はい、御願いします」
「まずだ」
 オズマは一呼吸置いてから述べはじめた。
「グレイス=オコーナーだ」
「あの人が」
「今からそっちのバルキリーのコンピューターにデータを送る」
 その方が話が早いからだった。
「それを見るんだ」
「は、はい」
「アルト、御前にもだ」
 彼にもであった。
「今から送るぞ」
「わかりました」
「ミシェル、クラン」
 二人にも声をかけた。
「御前達はもうわかっていたようだな」
「はい、ある程度はですけれど」
「調べていました」
 こう返す二人だった。
「けれどそのデータを」
「見せてくれますか」
「わかった」
 オズマは二人に対しても答えた。既にバジュラの大軍は彼等の前に展開している。
 それを見据えながらだ。彼等はまずは送られたそのデータを見た。そこには。
「人類を一つに」
「それが目的だったんですか」
「そう、聞こえのいい言葉だな」
 オズマはデータを見て驚愕するアルトとルカに答えた。
「しかし実際はだ」
「そうよ。例えばね」
 ここで話すのはボビーだった。
「いけてる相手を見て素敵って思うわよね」
「まあ大尉の場合はな」
「男性ですけれどね」
「そうよ。あたしの場合はね」
 ボビーはくねっとした動作でその通りだと答える。
「その通りよ。けれどね」
「ええ、けれど」
「そこに、ですよね」
「それを他人にわかられるのよ。それって嫌でしょ」
「バジュラの習性を利用して」
「そうしてですからね」
 二人もその顔を曇らせて話す。
「それは即ちだ」
「一人の人間の思うがままになるってことですよね」
「そうよ」
 キャサリンも言う。
「彼女が目指しているものはそれよ」
「グレイス=オコーナー」
「そんなことを考えていたんですか」
「バジュラは彼女に利用されているだけだ」
 ジェフリーも言ってきた。
「全てはだ」
「あの女の思惑だったのか」
「人類を支配する為の」
「そうだ。だからだ」
 巨大なランカの幻影が彼等の前に出て来た。
「あのランカもだ」
「俺達の敵じゃない」
「そうなんですね」
「何度も言うぞ」
 オズマの言葉は強い。
「バジュラは本当の敵じゃない」
「ええ」
「むしろそれは」
「バジュラの女王と融合し全人類を己の手中に収めようとする女」
 その女こそがだった。
「グレイス=オコーナーだ」
「あの女、許せねえ」
「そうですね」
 アルトもルカも明らかな怒りを見せていた。
「出て来い、そしてだ!」
「ここで倒してしまいましょう」
「いや、待て」
 だがここで彼等に声をかける男がいた。
「倒さなければならないのは確かだ」
「あんたは誰なんだ?」
 アルトはその男に問うた。
「ギャラクシーの人間だよな」
「そうだ。俺はキリコ=キューピー」
 こう名乗る彼だった。
「スコープドッグのパイロットだ」
「あの伝説の異能力者か」
「まだ生きていたのか」
 ミシェルとクランは彼の姿を見て声をあげた。
「あんたも加わったんだな」
「ロンド=ベルに」
「いや、俺はギャラクシーに留まったままだ」
 そうだというのである。
「まだロンド=ベルにはいない」
「そうなのか」
「しかし私達の仲間だな」
「そうだ」
 その質問には頷いたのだった。
「それは確かだ」
「それでキリコさん」
「貴官は何か知っているのか」
「グレイス=オコーナーは本体を持っている」
 彼が言うのはこのことだった。
「今戦場に出るのは仮の身体なのだ」
「何っ、仮だと!?」
「仮なんですか!?」
「そうだ、仮だ」
 こうアルトとルカに話すのだった。
「仮の身体なのだ」
「じゃあその本体は」
「一体何処に」
「ギャラクシーの何処かにある」
 そうだというのである。
「今俺が探している」
「そうだったのか」
「キリコさんがですか」
「本体を倒さない限りは同じだ」
 キリコは言った。
「あの女は何度でも復活する」
「何度でもか」
「同じになるんですね」
「そうだ、しかしだ」
 オズマがここでまた二人に話す。
「俺達はここでだ」
「グレイス=オコーナーを倒す」
「そうですね」
「あの女はバジュラと融合する」
 そうなるというのである。
「バジュラの女王とだ」
「そして人類の女王になるってことか」
「全てを支配する女王か」
 ミシェルとクランも遂に全てがわかったのだった。
「ぞっとしない話だね」
「全くだ」
「人類の未来の為だ」
 オズマの言葉はここでも強い。
「いいな、行くぞ」
「ええ、それじゃあ」
「今から」
「ランカは敵ではない!」
 オズマはその巨大なランカを見ていた。
「いや、むしろだ」
「そうだ、むしろな!」
「ランカちゃんはな!」
「アルト、あんたが助け出しなさい!」
 ロンド=ベルの仲間達が彼に告げる。
「それが御前のここでの務めだ!」
「わかってるでしょうね!」
「ああ、わかった!」
 アルトも確かな顔で応える。
「それならな!」
「よし、それならだ!」
「僕達も行きます!」
 ミシェルとルカの機体が彼の機体に続く。
「アルト、援護するぜ!」
「それでいいですよね!」
「済まない!」
 アルトも二人のその言葉を受ける。
「それならだ!」
「さて、囚われのお姫様の救出だ」
「今からですよね」
「そういうことだ。いいかアルト」
 オズマも彼に続いていた。
「ランカは御前に任せた」
「少佐・・・・・・」
「あいつはもう俺の手を離れた」
 微笑んでいた。そのコクピットの中で。
「御前の手の中にあるんだ」
「そうだな。それじゃあな」
「もう一度ランカさんを」
「やってやる!」
 また叫ぶアルトだった。
「ランカ、行くぞ!」
「よしっ!俺も行くぜ!」
 バサラもいた。
「俺の歌はな!」
「まさかと思うけれどバジュラにも!?」
「ああ、そうだ!」
 こうミレーヌに言うのである。
「俺の歌は特別だからな」
「一体どんな歌なのよ」
「俺の歌は常識じゃねえ!」
 バサラはまた言った。
「シェリルと一緒にな。あいつ等に俺の歌を聴かせてやるぜ!」
「全く、いつもこうなんだから」
「ああ。しかしだ」
 そのミレーヌにレイが言う。ビヒータも一緒である。
「わかるな」
「どういう訳かね」
「ここはだ。バサラの思うようにだ」
「やるべきよね」
「そして俺達もだ」
 彼等もだというのだ。
「いいな、ミレーヌ」
「ええ、わかったわ」
 何だかんだで笑って返す彼女だった。
「今からね」
「ファイアーボンバーのライブだ!」
 二人で言う。
「いいな、バサラ!」
「あたしも行くわよ!」
「ああ、来い!」
 バサラもその二人に告げる。
「バジュラにもランカにもだ!」
「ええ!」
「俺達の歌をな!」
「聴かせてやるぜ!!」
「さて、あの女はだ」
 ここでレイが言う。
「バジュラのクイーンと融合するな」
「そうですね」
 エキセドルが彼の言葉に応える。
「バジュラはクイーンを中枢としています」
「つまりクイーンと融合すればか」
「バジュラを操れます。そして」
 さらにであった。
「人間もまた。全ての人間を」
「ふざけた話だ」
 オズマがここまで聞いて顔を顰めさせた。
「全くな」
「その通りです。ですが」
「ああ、それは俺達が止める」
 こういうことだった。
「あいつを倒してだ」
「本体は俺が探し出す」
 キリコも言ってきた。
「皆少し待っていてくれ」
「いや、待ってくれ」
 だがここでアルトがキリコに言った。
「それぞれが別々に倒すよりもだ」
「それよりもか」
「そうだ、本体とクイーンと融合している身体を同時に倒すんだ」
 そうするというのである。
「そうすればどうだ」
「そうだな。あの女のことだ。融合体だけになってもまだ蘇る可能性がある」
「だからだ。ここは同時にだ」
「わかった」
 キリコが頷いた。
「それではだ」
「そうしてくれるんだな」
「そうする」
 無口だが確かな言葉だった。
「これからな」
「よし、それじゃあだ」
「間も無くあの女が出て来る」
 キリコはまた言った。
「頼んだぞ、アルト」
「ああ、任せてくれ!」
「よし、行くぜ!」
「今から!」
 ミシェルとルカが彼に続く。そうしてであった。
 一直線に進みだ。まずはランカに向かう。
「ランカ!見ていろ!」
「あんたはアルトが救い出してくれるからな」
「絶対にですよ」
「だがその前にだ」
「ああ、あいつだな」
「あの女を」
 こう言って探そうとする。しかしであった。
 三人の前にだ。ブレラが出て来た。
「行かせはしない」
「くっ、御前かよ!」
「そうだ、俺はランカと共にいる」
 こう言ってであった。アルト達の前に来る。
「何があろうともだ」
「それがランカを苦しめることになってもか!」
「ランカは苦しむことはない」
 ブレラはそのこと自体を否定すうr。
「決してだ」
「そんな筈があるか!」
 アルトはそのブレラに言い返す。
「俺は!俺はランカを!」
「そうだ!」
 ここでオズマが追いついてきた。
「他の敵は俺達に任せろ!」
「そうだ!俺達がいるからな!」
「主役はヒロインを助けに行け!」
「ヒーローらしくね!」
 他の仲間達も言ってだった。そしてだ。
 アルトは見た。全てをだ。
「あれは」
「あれは?」
「あれはランカじゃない!」
 そのランカの幻影を見てのアルトの言葉である。
「だからだ。撃ってくれ!」
「よし、それならだ!」
「行きますか!」
 ボビーがジェフリーに対して問う。
「あれを!」
「そうだ。主砲発射用意!」
 それであった。そうしてだ。
 マクロスクウォーターが変形した。そして。
 その主砲をランカの幻影に放つ。するとだ。
 ランカの姿が消えてだった。そこにだ。
「あれは」
「あれはギャラクシーの!?」
「そうだ、かつて廃棄した一部だ」
「それがまだ」
「そうか、そこか」
 それを見てだ。キリコもわかったのだった。
「奴はそこにいるのか」
「キリコさん、じゃあ」
「そっちは御願いします!」
「任せろ」
 こうしてだ。キリコはその中に飛び込んだのだった。
 グレイスもだ。それを見てだった。
「ここで全てを決めるわ」
 身体の至る場所から無数の触手を出してであった。
 それで融合したのだった。
「はじめるわよ」
 何かが出ようとしていた。遂にバジュラとの因果が終わるのであった。


第五十六話   完


                         2010・9・10
 
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