スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第二十九話 銀河へはじめての笑顔を
第二十九話 銀河へはじめての笑顔を
敵軍はそこにいた目の前にだ。
「数は?」
「五十万です」
マヤはすぐにミサトに報告した。
「それだけです」
「数はそれ程じゃないわね」
「そうですね」
「さっきは合わせて百万は優に超えていたけれど」
ミサトはここで考える顔になった。
「あれが主力だったのね」
「その主力を全てぶつけても尚それでも」
カワッセがここで言った。
「それでも勝利を得られるものがあるというのですね」
「そうですね。その切り札は」
「あの男ですか」
「そう考えていいと思います」
前のその敵軍を見ながらの言葉だった。
「ズール自身がです」
「そういうことですね」
「それにしても」
今言ったのはシーラだった。
「ズールという男は部下を平気で捨て駒にできるのですね」
「そうですね」
ミサトもシーラもだ。その顔を曇らせていた。
「それは間違いありませんね」
「そういう男ですか」
「やはりこのままにしてはいけないでしょう」
ミサトは彼女にしては珍しく敵の性格を問題にしていた。
「さらに大きな権力を握ればそれだけ」
「罪もない人々が」
「彼によって死んでいきます」
だからだというのである。
「ですから」
「はい、だからこそ」
「倒さなければなりません」
「それならです。ただ」
「ただ?」
「先程からよからぬ気配を感じます」
ここでこう言うのだった。
「何かしらの」
「そうですね」
ここでエレもモニターに出て来て言う。
「これは一体」
「わかりません。ただ」
「はい、幾つかありますね」
「そうですね。幾つか」
「幾つか?」
「幾つか感じます」
こう言うのだった。二人共だ。
「これは一体」
「何か。これは」
シーラも言うのだった。
「ゴッドマーズが邪なものになったような」
「はい、そんな感じです」
「えっ、ゴッドマーズが」
「邪になっただと!?」
そのゴッドマーズに乗るタケルとマーグも驚きの声をあげる。
「それは一体」
「どういったものなのだ?」
「わかりません。しかしです」
「複数感じるのは確かです」
エレとシーラはここでも二人に言うのだった。
「何故かはわかりませんが」
「ズールと同じものを」
「兄さん、これは一体」
「宇宙に出る時少しそうした話が出たが」
マーグはこのことを弟に話す。
「それはまさか」
「何だというのだろうか」
「少なくとも今ここでわかる話じゃないみたいだね」
いぶかしむ二人に万丈が言ってきた。
「まずはその前にね」
「戦うしかないか」
「そういうことか」
「そういうことさ。戦いを進めていけばズールは出て来るよ」
こう話すのである。
「その時にね」
「よし、それならだ」
「今は行くか」
こうしてだった。二人を含めてロンド=ベルの戦士達は戦いに向かう。そしてだった。
敵軍が来た。数はやはり五十万だった。
「数としては多くないか」
「そうね」
セシリーがシーブックに対して答えた。
「けれど今回は」
「うん、ズールが出て来る」
「決戦よ」
このことを言うのだった。
「だからね。余計にね」
「うん、気が抜けないよ」
「おい、シーブック」
ビルギットもここで声をかけてきた。
「敵が早速来たぜ」
「向こうから来たか」
「いるわよ」
今度はアンナマリーが言う。
「ズールがね」
「ズールがいるか」
「やっぱり」
「そうですね。ここはです」
カラスは乗艦からその敵軍を見て述べた。
「正面から一気に突破するべきですね」
「正面突破か」
「ここはか」
「はい、機動力を活かしてです」
こうザビーネとドレルにも話す。
「まずは正面突破をしてです」
「それからだな」
「さらに仕掛けるか」
「そうです、仕掛けます」
こう話すのだった。
「敵陣を混乱させそのうえで」
「幾度も突撃し突破する」
「今回はそれか」
「はい、それで如何でしょうか」
ここまで話したうえで二人に問う。
「今回の作戦は」
「そうだな。敵は数が多く手強いマシンが多い」
「それに指揮官も気になる」
「では。それでは」
「よし」
「それで行こう」
二人もそれに賛成した。これで決まりだった。
ロンド=ベルは正面から攻める。そしてそのまま。
「全軍攻撃開始!」
「今からだ!」
こう言ってそのまま突撃する。そしてだ。
カラスの指示のまま敵陣の突破にかかる。一点を集中的に狙う。
「主砲、一斉発射です」
「小隊単位で吹き飛ばすか」
「それによってか」
「そうです。敵の数も同時に減らします」
こう言ってまた指示を出すのだった。
それに伴い主砲を放ってだ。敵の小隊をそれで薙ぎ倒した。
それで勢いが得られた。そのままだった。
敵を一気に攻めてだ。まさにだ。
「よし!」
「これでだ!」
このまま攻める。それで正面突破を果たした。
ズールはそれを見てもだ。何ら動じたところはなかった。
「そうか。そうするか」
「陛下、ここはです」
「どうされますか?」
「よい」
返答は一言だった。
「これでいい」
「これでいいとは」
「それは一体」
「精々暴れさせるのだ」
余裕に満ちた言葉だった。
「今はな」
「精々ですか」
「そうされるのですね」
「そうだ、好きなだけ暴れさせろ」
こう言ってありのままさせる。ロンド=ベルは何度も突撃を行い敵の数も減らしていく。そして敵は何時の間にかズールと側近達だけになっていた。
「やいズール!」
「これで終わりね!」
「これで!」
「終わりだというのか」
ロンド=ベルの者達の言葉も受けてもだ。ズールは平然としたままだった。そのうえでの言葉だった。
「貴様等がだな」
「何っ!?」
「何寝言言ってるんだこいつは」
「狂ったってのかよ」
ロンド=ベルの面々はそれを聞いて思わず言った。しかしだった。
「狂ってはいない」
「じゃあ何だってんだ!?」
「それじゃあ」
「これからはじまるのだ」
こう言うのだった。
「これから。私の支配する宇宙がだ」
「私達を倒してだというのか」
「そうだ」
マーグにも言葉を返す。
「その通りだ」
「果たしてそうできるかな」
それを聞いてもだった。マーグも負けていなかった。
それでだ。全身に力を込めて言うのであった。
「さて」
「マーズ、いいな」
「うん、兄さん」
真剣そのものの顔で兄の言葉に頷くのだった。
「それじゃあ」
「来るか、ズールよ」
「ロンド=ベルの戦士達よ、見るがいい」
ズールがこう言った。するとだった。140
「これが私の力だ」
「なっ、何!?」
「これは!?」
誰もがそれを見て驚いた。何とだ。
ここでズールが何人も出て来たのだ。その数はだ。
「六人のズールだと」
「出て来たというのか!?」
「ここで」
「さて、ロンド=ベルの戦士達よ」
六人のズールが同時に話す。
「覚悟はいいな」
「まさかこれがか」
バーンがその六人のズールを見て呟く。
「女王達の見たものか」
「いえ、違います」
「どうやら」
しかしであった。シーラもエレもバーンの今の言葉に首を横に振った。
そしてである。こう言うのだった。
「より邪悪なものです」
「その力です」
「邪悪な力だと!?」
「これよりもってのかよ」
それを聞いてだ。ショウとトッドは言うのだった。
「この六人のズールよりも」
「まだ何かあるってのかよ」
「どうやら答えはだ」
「戦ってか」
最初に身構えたのは二人のゴッドマーズだった。
そしてだ。それぞれズールに向かう。
「いいな、マーグよ」
「うん、兄さん」
お互いを見ながら言葉を交えさせる。そしてだった。
まずは二人がそれぞれズールに向かう。そして」
「おい、健一!」
「そうだな、豹馬」
豹馬と健一がお互いに言葉を交えさせた。
「俺達もな」
「倒すか」
こうしてだった。コンバトラーとダイモスもそれぞれズールに向かうのだった。
最後は万丈だった。ザンボットの三人に声をかける。
「いいね、君達もだよ」
「ああ、あの糞むかつく野郎をだよな」
「ここで一体ずつ受け持って」
「それで倒すんですね」
「それでどうかな」
こう三人に言うのだった。
「君達さえよければね」
「答えはもう出てるぜ!」
勝平が最初に応えた。
「こんな奴よ!さっさと倒しておしまいにしようぜ!」
「そうだな、それが答えだな」
「誰でもそう思うわね」
宇宙太と恵子も彼の言葉に続く。
「よし、それならだ」
「ザンボットも行きます」
「ワン!」
最後に千代錦が吠えた。これで決定だった。
こうして六体のマシンがそれぞれズールに向かう。その中でタケルは自分の前にいるズールに対して問うのだった。彼を見据えてだ。
「ズール!」
「マーズか」
「そうだ、貴様は何を考えている」
こう彼に問うのだ。
「貴様のせいで多くの血が流れた!それで何を考えている!」
「知れたことだ」
ズールはゴッドマーズの剣をかわしながら言葉を返す。
「最早な」
「知れたこと!?」
「そうだ、知れたことだ」
こう言ってからであった。
「言った筈だ。宇宙を私のものにするとな」
「その為に他の人達を犠牲にするというのか!」
「その通りだ」
平然と返した返答であった。
「他の者なぞだ。私の糧でしかない」
「貴様!」
「何故怒る」
「何っ!?」
「何故怒る必要がある」
こうタケルに言うのだった。
「怒る必要があるのか」
「何が言いたい!」
「力こそが正義だ」
ズールはここでこう言うのである。
「力があるものが全てを手に入れるものだ」
「ではズールよ」
今度はマーグが彼に問うた。
「一つ聞こう」
「何をだというのだ?」
「貴様には力があるというのか」
「そうだ」
平然とした返答だった。
「その通りだ」
「そうか、力があるのだな」
「そうだ、ある」
また言うズールだった。
「この宇宙を治めるに相応しい力がだ」
「貴様の言葉はわかった」
こう返すマーグだった。
「確かにな」
「ではどうするというのだ?」
「貴様の言葉確かめさせてもらう」
言いながら彼のゴッドマーズも攻撃を続ける。そうしてだった。
「いいな」
「何をするつもりだ、今度は」
「知れたこと。戦うまでだ」
そうするというのである。
「それだけだ」
「そして私を倒すか」
「貴様自身が今言ったことをそのまま証明してやろう」
「ああ、そうだな」
「今ここでだ!」
豹馬と健一がここで叫ぶ。
「健一、あれを見せてやりな!」
「豹馬もだ!」
お互いに言い合いだ。そうしてだった。
「いいな!皆!」
「ええ、いいわ!」
「何時でもな!」
「やってやるたい!」
「行きましょう!」
豹馬の言葉にだ。ちずると十三、大作、小介が応える。
そしてだ。ボルテスでもだった。
「健一、今だ」
「あの技を使いましょう」
「今ここで、でごわす!」
「兄ちゃん!」
「ああ、わかっている!」
健一が一平、めぐみ、大次郎、日吉の言葉に応える。そしてだ。
「超電磁タ・ツ・マ・キーーーーーーーーーーッ!」
「天空剣!」
お互いに技を出してだった。まずはそれでそれぞれの敵の動きを止める。
そうしてだった。そのうえで。
「行くぜ皆!」
「超電磁ボオオオオオオオオオルッ!」
コンバトラーの形が変わりボルテスが剣からボールを放った。そして。
「超電磁スピーーーーーーン!!」
「天空剣ブイの字斬りーーーーーーーーーーっ!!」
攻撃を放つ。ドリルの様になったコンバトラーが突っ込みボルテスが天高く飛ぶ。
そしてだ。ズールを貫き叩き斬る。これで、であった。
「よし!」
「まずは二人だな」
それぞれ目の前のズールを倒したうえでの言葉だった。
「後はだ」
「皆、頼んだぞ」
「よし、それじゃあ」
「次は俺達だ!」
万丈と勝平がここで言う。
ダイターンとザンボットが動いてであった。
「君達、今度はね」
「ああ、わかってるさ」
「俺達の前の奴を倒す」
「それぞれで」
「タッグで戦うのもいいけれどね」
ここでこうも言う万丈だった。
「けれどね、今回はそっちの方がいいからね」
「ワン!」
千代錦が応えてであった。そうしてだ。
「さてと、それじゃあ」
「万丈様」
ここでギャリソンから通信が入った。
「宜しいでしょうか」
「何だい、ギャリソン」
「この後ですが」
「戦いの後だね」
「はい、既にお食事の用意ができております」
ここでもいつものスタイルを崩さないギャリソンだった。
「ですからお楽しみにして下さい」
「メニューは何だい?」
「舌平目のムニエルです」
それだというのである。
「万丈様の好物の」
「うん、それはいいね」
「それに羊のスネ肉を焼いていますので」
「さらにいいね」
「サラダはシーフード、スープはコンソメです」
「最高だね」
ここまで聞いてさらに御満悦な様子だった。
しかしだ。ここで兵左衛門が言うのであった。
「しめ鯖は駄目かのう」
「ちょ、ちょっとそれはね」
万丈はしめ鯖にはぎくりとした顔で言うのだった。
「遠慮しておくよ」
「鯖は嫌いなのかのう」
「この前当たったから」
だからだというのである。
「ええと、結構前だったかな」
「あれ、そんなことあったの」
「覚えてないわよね」
ビューティーとレイカがここで言う。
「そういうこともね」
「あったのかしら」
「あったよ。それでね」
「私が代役を務めさせてもらいました」
ギャリソンがまた言ってきた。
「そういうこともありました」
「だから鯖はちょっとね」
また言う万丈だった。
「悪いけれどね」
「そうなのか。残念じゃのう」
「ま、まあとにかくね」
万丈は何とかここで話を戻してだった。
そうしてであった。
「それじゃあギャリソン」
「はい」
「今から決めるよ」
こう言ってである。そして。
「日輪の力を借りて!今!必殺の!」
そしてだった。
「サンアタアアアアアアアアアアック!」
ダイターンの額からそのサンアタックを放ってだった。
それがズールを撃った。それで動きを止めて。
「ダイターーーーーンクラァーーーーーーーッシュ!!」
これで一撃で両足で蹴り抜く。これで決めた。
そしてだ。ザンボットもだ。
「おい勝平」
「ここはね」
「ああ、あれだな」
「そうだ、あれだ」
「あれで決めるわよ」
宇宙太と恵子がそれぞれ彼に言う。
「イオン砲でもいいけれどな」
「ここはね」
「ああ、あの技で決める」
こう言ってであった。そうしてだ。
「こんな奴には盛大にあの技だ!」
「ガイゾックにも頭にきたけれどな」
「こいつにもね」
「こういう奴にも頭にくるぜ」
三人はズールに対して明らかに怒りを感じていた。
「自分だけがいいってのかよ!」
「力があればか」
「そういう考えが戦争を起こすのよ!」
こう言って否定するのだった。
「それも手前勝手な戦争をな!」
「貴様みたいな奴だけは!」
「許さないから!」
そしてであった。ザンボットのその額の三日月がだ。
「ザンボットムーーーーーンアタアアアアアック!」
その三日月に両手からのエネルギーが宿ってだ。そして。
三日月から光が放たれ螺旋状に動いてだ。ズールを直撃した。
ズールの後ろに三日月が浮かんだ。それで決まりだった。
「よし!」
「決まりだ!」
「やったわ!」
三人の声があがる。そのズールもまた爆発し消えていく。
これで、であった。
「さて、後はね」
「ああ、後はな」
「タケルさんとマーグさんだな」
「御二人だけね」
三人は万丈に対して応える。
「しかし。何かな」
「ああ、手応えがないよね」
「どうしてかしら」
「まさか」
ここで万丈も言う。
「ズールは何か切り札を持っているのかな」
「切り札ですか」
「そうじゃないとおかしいね」
こうギャリソンにも返す。
「この手応えのなさは」
「といいますとそれは一体」
「さてね。けれどそれがわかるのももうすぐだよ」
こう言うのであった。
「それもね」
万丈は明らかに何かを察していた。そうしてだった。
タケルとマーグもだ。それぞれの目の前のズールと対峙してだった。
マーグがその中でタケルに対して言う。
「いいか、マーズ」
「うん、兄さん」
「ここで決める」
弟に告げる言葉はこれだった。
「いいな、ここでだ」
「決めるんだね」
「わかっているな」
ゴッドマーズのその剣が煌いた。
そのうえでだ。まずは光を放った。
「マーズフラッシュ!」
「マーズフラッシュ!」
それぞれのゴッドマーズから光を放つ。
それによってズールの動きを止めてだった。剣を一閃させる。
「ファイナルゴッドマーズ!」
「ファイナルゴッドマーズ!」
動きが合っていた。そのうえでズールを斬るのだった。
最後の二人のズールもこれで倒れた。他の敵もいなくなっていた。
しかしだ。クェスがここで言った。
「!?来た!」
「クェス、どうした!」
「アムロ、来るわ!」
こうアムロに言うのだった。
「敵が!」
「敵!?」
「ええ、来るわ!」
また言うのだった。
「それも幾つも」
「まさか・・・・・・!?」
しかしだった。ここでアムロもだった。
感じ取ったのだ。それを。
「これは・・・・・・確かに」
「ええ、これは」
「来たのかよ!」
カミーユとジュドーもだった。
「凄まじいプレッシャーが」
「まさか、これは」
「いや、間違いない」
「そうだな」
クワトロとハマーンもだった。
「出て来るな」
「あの男が再び」
「まさかそれは」
「ズール!?」
「ここで!?」
誰もが驚きの声をあげたその時だった。不意にだ。
「そうだ、ここでだ!」
「今ここにその真の姿を見せよう!」
「このわしのだ!」
「ズール!」
マーグがその声を聞いて言い返した。
「これは一体どういうことだ!」
「ふふふ、それを見せてやろう」
ズールの声だった。紛れもなくだ。
「わしのその真の姿をだ」
「真の姿!?」
「まさかそれは」
マーグだけでなくタケルも声をあげた。彼等は同時に察したのである。
「私達と同じ」
「言われているそれか」
「そうだ」
こう言ってであった。宇宙に。
六体のマシンが出て来た。そうしてだ。
「ゲシュタルト1、メタール!」
まずは一人だった。
「ズールの頭を形作る!」
「ゲシュタルト2、ボーテ!ズールの胴を!」
「ゲシュタルト3、スナッパー!ズールの右手を!」
「ゲシュタルト4、ナッカー!ズールの左手を!」
「ゲシュタルト5、ボーテ!ズールの右足を!」
「ゲシュタルト6、ボーテ!ズールの左足を形作る!」
彼等はそれぞれ名乗った。そしてそれがだ。
一つのズールとなた。ここに彼がまた姿を現したのである。
「我等六体が揃い!」
「ズールとなるのだ!」
「やはりか」
マーグはその復活したズールを見て呟いた。
「ズール、それが貴様か」
「そうだ」
紛れもないズールの声だった。最早聞き間違えようがなかった。
「そしてだ。言っておこう」
「何をだ」
「わしの支配する宇宙がここからはじまるのだ」
こう言うのである。
「今ここからだ」
「はじまるというのか」
「貴様等は決してわしには勝てん」
戦いはまだである。しかしズールは既に勝ち誇っていた。
「何があろうともだ」
「勝てないというのか」
「そうだ」
このことをまた言ってみせるのだった。
「それを言っておこう。そしてだ」
「そして?」
「今度は何だ!」
マーグだけでなくタケルもズールに対して返す。
「何だというんだ!」
「貴様等は決して許しはしない」
今度は殲滅宣言だった。
「そう、何があろうともだ」
「何があろうともか」
「俺達を」
「一人残らず倒してくれよう」
このことを言って引かなかった。
「今ここでだ」
「おう!そんな言葉はな!」
ズールの言葉に甲児が激昂した声で返す。
「もう飽きる程聞いてるぜ!」
「そうよ、そんな言葉今更ね!」
さやかも彼に続く。
「何ともないってことを見せてやるわよ!」
「いや、待ってくれ」
「皆、ここはだ」
だがここでタケルとマーグが一同に言う。
「俺達に任せてくれ」
「やらせてくれ」
「ああ、そうか」
「二人で決着をつけるのね」
甲児とさやかが二人の言葉を聞いて述べる。
「それならな」
「任せたわよ」
「ああ、済まない」
「この男だけは私達が」
「マーグ様!」
ここでロゼがマーグに対して言ってきた。
「ここは私も」
「いや、ロゼ」
自分を気遣うロゼにだ。優しい声で返すマーグだった。
「任せてくれ」
「どうしてもですか」
「そう、どうしてもだ」
微笑んでさえいる言葉だった。
「ここは任せてくれ」
「左様ですか。それでは」
「そこで見ておいてくれ」
こうロゼに注げる。
「どうか」
「はい、それでは」
ロゼもマーグの言葉を受けた。そして心もだ。
それならばだ。もう答えは出ていた。
彼女も動かなかった。そうしてである。
マーグは今度はだ。タケルに声をかけるのだった。
「マーズよ」
「うん、兄さん」
「行くぞ」
こう弟に言うのだった。
「ここで命が尽きようともだ」
「ズールだけは」
「倒す!」
タケルもまた言う。
「何があろうとも!」
「よし、それなら!」
「行くぞ!」
「ああ、兄さん!」
二機のゴッドマーズが動いた。そこにズールの攻撃がかかる。
光線を次々と出す。それは。
「!?何だありゃ!」
「あの光線は!」
威力だけではなかった。数もだ。
「嵐かよ、あれは」
「あんなのを受けたら」
「幾らゴッドマーズでも」
「いや、動くな」
ケンジがここで一同に言う。
「これはタケルとマーグの戦いだ」
「だから」
「ここは何があっても」
「そうだ、動いてはならない」
まさにそうだというのである。
「何があろうともだ。いいな」
「あ、ああ」
「それなら」
アキラとナオトがまず頷いた。
「今はここで」
「動かずに」
「見守りましょう」
ミカもだった。腹を括った。
「何があろうとも」
「そうだね、大丈夫だね」
ナミダも息を飲みながらだ。こう言うのだった。
「タケル兄ちゃんとマーグさんなら」
「ええ、そうね」
ロゼは心から心配する顔だった。それでもだった。
「マーグ様と。タケルさんなら」
「ロゼ」
その彼女にだ。ミカが優しい声をかけてきた。
「この戦いが終わったら」
「えっ!?」
「一番先に行くといいわ」
こう彼女に言うのである。
「最初にね」
「最初に」
「そう、最初にね」
こう言うのである。
「行くといいわ」
「あの、それは」
「おいおい、ここまで来て」
「最後まで言わせないでよね」
「そうそう」
皆戸惑いロゼに微笑んで言う。
「皆わかってるんだから」
「だからね」
「私は」
「嫌って言っても背中押してあげるわよ!」
アスカの言葉だ。
「こっちはマーグさんとタケルさんの話の余韻がまだ残ってるんだからね!」
「愛はこの世で最も尊いものです」
ルリの言葉だ。
「私もそれがよくわかりました」
「だからですか」
「はい、愛はどんな困難も貫くものです」
これがルリがわかったことだった。
「一矢さんもタケルさんも見せてくれました」
「タケル、見ていたな!」
ダイゴウジがタケルに対してここで言う。
「一矢の奴のそれをな!」
「うん、そして」
「御前もだ。御前も俺達に見せてくれた!」
「まさか本当になるとは思わなかったからな」
サブロウタはシニカルな微笑みだったが目は温かかった。
「いや、いいもの見せてもらったよ」
「だからですよ」
「また。見せてもらいたい」
ジュンとナガレも言う。
「いえ、見られますね」
「今からな」
「貫き通せ!」
今叫んだのは一矢だった。
「その想いをだ!」
「は、はい」
ロゼは一矢のその言葉に頷いた。そうしてだった。
「それなら。私も」
「ずっと見てたんだからな」
「ロゼさんの心は」
「だったら」
「あとは成就させるだけです」
ユリカの言葉も温かい。
「ですから。いいですね」
「わかりました」
目が潤んでいた。そのうえでの言葉だった。
「それでは私も」
「何か応援せずにいられない奴っているんだよ」
「見ているとどうしてもね」
「そうせずにはいられない」
リョーコにヒカル、イズミも言うのだった。
「一矢の奴にタケルの奴にな」
「それにロゼさんもですよ」
「純粋過ぎるから」
三人もロゼの純粋さがわかっていた。そうしてである。
誰もが戦いを見守った。二人の闘いをだ。
確かに攻撃は受ける。だが、だ。
それでも立っていた。満身創痍となろうともだ。
そしてである。ズールに近付いてだ。
「兄さん!」
「行くぞ!」
動きが完全に合さった。一つになった。
そのうえでだ。二人同時に仕掛ける。最早ズールの攻撃はどうでもよかった。
「マーズフラッシュ!」
「マーズフラッシュ!」
二人同時に放つ。それでズールの動きを完全に止めた。
「むっ!?わしの身体が」
「これだけではない!」
「まだだ!」
そしてだ。二人同時に剣を抜いてだ。
そのうえでだ。言うのであった。
「いいな、これでだ」
「うん、これで」
タケルがマーグの言葉に応える。そうしてだ。
「行くぞ!」
「ダブルファイナル!」
その最後の剣がだ。同時に一閃された。
「ゴッドマーーーーーーーーズ!!」
それでズールを左右から切り裂いた。これで決まりだった。
「うう・・・・・・」
「勝負ありだな」
「これで・・・・・・!」
「何故だ」
最早死を待つばかりだった。そのうえで言うのだった。
「何故わしが。こうも簡単に」
「志があるからだ」
「だから俺達は勝てた」
二人はこうそのズールに返す。
「そういうことだ」
「ズール、貴様よりも遥かに重く大きな心があるからだ」
「何だ、それは」
それが何か。ズールは断末魔の中で問う。既にその巨体のあちこちから火を噴いている。
「何だというのだ」
「この世の人々を、そして平和を」
「守ろうという心だ!」
それだと返すのである。
「それがあるから私達は勝てたのだ」
「だからこそだ」
「戯言を言うものだ」
ズールはこの期に及んでもだった。それを認めようとしなかった。
そしてだ。こう言うのだった。
「人が何だ、平和が何だというのだ」
「しかし貴様は敗れた」
「それが答えだ」
こう返す二人だった。勝者がどちらかは言うまでもなかった。
そしてだ。遂にズールは炎に包まれた。その中でだ。
「無念・・・・・・」
この言葉を最期にして消え去った。ギシン星での戦いは完全に終わった。
そしてマーグのところにだ。すぐにロゼが来て。そのうえで。
「マーグ様!よくぞ!」
「ロゼ・・・・・・」
「はい、マーグさん」
「あとは二人きりにしてあげるから」
「それじゃあね」
皆あえてだった。微笑んで二人だけにするのだった。
「じゃあ戦いも終わったし」
「パーティーにするか」
「コンサート開くぜ!」
バサラがここで言う。
「いいな、皆俺の歌を聴けーーーーーーーっ!」
「あたしも歌うわよ!」
ミレーヌも名乗りを挙げる。
「もう今最高にご機嫌なんだから!」
「ああ、今日は派手に騒ごうぜ!」
「それならね!」
こうしてだった。全員で賑やかなパーティーに繰り出す。今一つの闘いが終わった。
そしてだ。そのパーティーの中でだ。
「ねえマーグさん」
「ロゼさんも」
「こっちに来て、こっちに」
「さあさあ」
「何だ?」
「一体何が」
二人は引き立てられるように案内されながら言うのだった。
「何があるのだ?」
「あの、いきなり」
「いきなりも何もね」
「今回の主役じゃない」
「そうそう」
そしてだ。ルリが言うのであった。
「お二人のこれからの為に」
「これからというと」
「何が」
「将来のことです」
ルリのぽつりとした言葉が続く。
「そう、将来です」
「将来だと!?」
「あの、それは」
「何時にされますか」
ルリはまたぽつりとした口調で問うてきた。
「それで」
「待て、何をだ」
「一体何ですか?」
二人は話がさっぱりわからずこう問い返した。
「話がわからないのだが」
「ですから何時とは」
「結婚です」
まさに単刀直入だった。
「結婚は何時にされますか」
「結婚!?」
「そ、それは」
マーグは驚いた顔になりロゼは耳まで真っ赤になった。
「話がわからないが」
「あ、あの。私はですね」
そしてだ。ロゼはしどろもどろで言うのだった。
「まだ十七ですけれど」
「それは知っています」
「それなら。そんな話はまだ」
「それはいいのです」
ルリはここではいささか強引だった。
「気にしてはいけません」
「いけないって」
「ですから何時にされますか」
ルリはあくまでこう問うのだった。
「一体何時に」
「そう言われましても」
ロゼは真っ赤になったままで返す。何とかという調子で。
「私にしても。それは」
「それは?」
「戦いが終われば」
何気に爆弾発言であった。
「考えてますけれど」
「全ての戦争が終わってからですね」
「はい、そうです」
見事な誘導尋問であった。
「ですから。今はとても」
「では戦いが終われば」
「その時は私から言わせてもらいます」
爆弾発言は続く。ただし本人に自覚はない。
「何があっても。それで」
「結婚されますね」
「絶対に離れませんっ」
こうまで言い切った。
「それこそです。何があろうとも」
「わかりました」
ここまで聞いてだった。ルリはこくりと頷いたのであった。
それからだ。また言うのだった。
「では。その御心受け取りました」
「頑張ってね、ロゼさん」
「何があっても幸せになってね」
「マーグさんと」
「あの、何でそうなるんですか?」
ロゼはまだ自覚がなかった。
「私は。そんな」
「今はっきりと仰いました」
見ればだった。ルリは微笑んでさえいた。
「ロゼさん御自身が」
「わ、私が」
「私達何も言わなかったし」
「なあ」
秋水兄妹が言う。
「もうロゼさんから自然に」
「言いまくってたし」
「うう、それは」
「皆何を言っているんだ?」
ただしであった。まだマーグはわかっていなこあった。
「一体全体」
「あっ、マーグさんはわからなくていいです」
「別に」
「ロゼさんのお話ですから」
「そうか」
しかもそれで納得するマーグだった。
「ならいいが」
「まあロゼさんを好きなのは事実だからいいか」
「そうよね。それはね」
「しっかりしてる人だし」
マーグが信頼されている理由であった。
「ちゃんとしてるから」
「それはまあね」
「何とかね」
こう話してであった。とりあえず納得する一同だった。
しかしである。皆ここでまた話をすうrのだった。
「じゃあ戦争が終わったら」
「一矢さんとエリカさんのこともあるし」
「幸せ満載ね」
「そうね」
「幸せは掴むものだからな」
一矢も微笑んでいる。
「思えばタケルがマーグを救い出して」
「マーグがロゼを導いたな」
「そうね。それでロゼさんはその手で幸せを、なのね」
京四郎とナナも温かい目になっていた。
「そうだな、そうなる」
「いい話よね」
「そうだな。愛は絶対に勝つんだ」
その勝利者の言葉だ。
「何があっても」
「ああ、俺もそれがわかった」
「私もよ」
京四郎とナナはまた一矢の言葉に応えた。
「ロンド=ベルに入ってな」
「そうよね」
「ギシン星もこれから大変だろうがな」
大文字はふとこう言った。
「だが。必ずやり遂げる」
「そうですね。それは」
ロゼが彼のその言葉に応える。元の顔に戻ってだ。
「必ず」
「ロゼ君も信じているな」
「はい、妹達がいます」
だからだというのだ。
「ですから必ず」
「よし、ならここはだ」
また言う大文字だった。
「すぐに別の場所に向かおう」
「別の惑星ですか」
レオンがその言葉に応えた。
「そこを目指せと」
「はい、ここはギシン星の方々のものです」
この辺り全てがだというのだ・
「ですから」
「そうですか。それでなのですね」
「ここに留まるべきだと思われますか」
「いえ」
大文字の言葉には首を横に振ってみせたのだった。
「私のこの辺りはです」
「そう思われますね」
「はい、ですから」
「はい、それではです」
「新たな惑星を目指しましょう」
レオンからの言葉だった。
「我々に相応しいその惑星を」
「では諸君」
ジェフリーも全軍に告げる。
「パーティーの後で新たな場所に向かおう」
「楽しんだ後で」
「新天地を探しにですか」
「そうだ、敵はまた出て来るだろうが」
「今度は何が出て来るでしょう」
ふと慎悟が述べた。
「一体どの勢力が」
「そうね。ハザル=ゴッツォの軍かムゲ帝国軍は絶対に出て来ると思うわ」
神代はこう見ていた。
「彼等はね」
「そうですか、彼等はですか」
「私はそう思うわ」
こう話すのだった。
「他にも色々といるけれど」
「プロトデビルンにバジュラもだよな」
今言ったのは勝平である。
「そういう奴は何時出て来るかわからねえからな」
「そうだな。四つのうち一つは絶対にな」
「出て来るわよね」
宇宙太と恵子もこう話す。
「最悪全てもな」
「その可能性もね」
「乱戦か」
一太郎がそれを聞いて述べた。
「その可能性も高いか」
「うむ、残念じゃがその通りじゃ」
兵左衛門はその通りだと答えた。
「何が出て来てもおかしくはないのが宇宙じゃしな」
「じゃあどいつもこいつも叩き潰してやるわよ」
アスカの言葉は単純明快ですらあった。
「出て来た奴を片っ端からね」
「アスカ、随分熱いね」
「マーグさんとロゼさんのハッピーエンド見たからね」
だからだというのである。
「だからね」
「それでなんだ」
「そうよ、だからよ」
こうシンジにも言うアスカだった。
「あんなの見たら何かこっちだってね」
「やる気になったんだ」
「いつもよりさらにね」
血の気の多い彼女らしい言葉だった。
「さあ、私も誰かいい人見つけようかしら」
「ああ、そうするといい」
タケルがそのアスカに声をかけた。
「アスカもな。戦争が終わったらな」
「そうですよね」
アスカも彼の言葉には素直に微笑んだ。
「タケルさんみたいに」
「やっぱりタケルさんには優しいんやな」
「あんなの見せられたら応援しないではいられないわよ」
だからだとトウジにも返した。
「タケルさんも一矢さんも」
「真心っちゅうわけやな」
「タケルさんも一矢さんもそれが凄過ぎるのよ」
そうだというのである。
「本当にね」
「そやな。それは事実やな」
「凄すぎるわよ、本当に」
こうまで言うのだった。
「タケルさん達は」
「そういう人を好きになればいい」
レイの言葉だ。
「そして愛すればいい」
「こんな人達滅多にいないのに?」
「それでも。愛すればいい」
レイはこう言うのだった。
「そうすればいい」
「見つけろってことね」
「そう」
「それ自体が難しいけれど」
「私の場合は」
ここでレイの言葉が変わった。そうしてだった。
「マスターアジア様が」
「あんたも相変わらずね、それは」
「素敵過ぎるから」
レイの目には今爽やかに笑うマスターアジアがいた。
「あの方は」
「これって純愛っていうの?」
アスカの今の言葉には疑問符があった。
「やっぱり」
「そうじゃないのかな」
「今度は捻り褌に胸に極小ブラにタキシードの究極変態になったのに」
「おい、何だそりゃ」
「想像することを頭が拒んでるんだけれど」
「どういう格好なんだよ」
皆アスカの今の話に首を捻ることになった。
「そういえばアレンさんも」
「そうよね」
「何か辮髪でビキニのオカマさんみたいに思えてきたし」
「おい、待て」
流石にこう言われるとだった。アレンも穏やかではいられなかった。それですぐに言うのだった。
「何だその変態は」
「何か最近そう思えるんですよ」
「気のせいですか?」
「どっかの学校で校長先生やっていた記憶は」
「忍者ならある」
こっちの方を答えるのだった。
「そこにはマーグや豹馬がいたな」
「むっ、そうだな」
「確かデブの忍者だったよな」
マーグと豹馬もそこには頷けるものがあった。
「神風の術だったか」
「何か懐かしいよな」
「私もいたわね」
「そうだね」
フォウとミンが自分から言ってきた。
「あの学校に」
「何か懐かしい話だけれどね」
「しかしオカマはない」
これは断言するアレンだった。
「そこまで変なオカマはだ」
「そういえば俺もだ」
今度はシローが言い出してきた。
「医者王だったか」
「ええ、それですね」
「未完で終わったな」
アズラエルと凱も出て来た。
「いや、あの世界はどうも」
「嫌な記憶があるな」
「その嫌な記憶の双璧っていえば」
ユンがそのアレンとここにはいないマスターアジアを見て述べた。
「やっぱり。アレンさんと」
「何か言ったか、影が薄い女」
アレンも負けじとユンに言い返す。
「御前もあの世界ではだな」
「はい、何かそうなんですよね」
「白馬だけだったな」
「殆どネタなんですよ。困ったことに」
「しかしどういう世界なんだ?」
シローがそこを指摘する。
「あっちの世界も滅茶苦茶みたいだな」
「その様だな」
ヒイロもここで出て来た。
「俺はあの世界では悪役だったか」
「俺名前違ってたよな」
何故かムウも登場した。
「けれど皆わかるんだよな」
「あれは不思議だな」
「そうですよね」
ミリアルドとガムリンも出て来て言う。
「誰でもわかるからな」
「本当に」
「だって声でわかりますから」
今突っ込みを入れたのはリリーナだった。
「ほら、スワンさんも違う名前で」
「貴女もデス」
スワンはそのリリーナにこう返す。
「私だけではありまセン」
「うっ、わかってたんですか」
「わかりマス。声で」
「もうこれ位にしません?」
「そうだよな」
今度はダコスタとディアッカが出て来た。
「僕も結構気になるお話ですし」
「俺もな。やばい感じだしな」
「皆そうした世界にも縁があるからね」
今言ったのはミオだった。
「私なんか実は忍者になっててさ」
「モロバレっていうか」
「素の名前はないでしょ」
「そうなのよね。あっちの世界では失敗しちゃった」
「その世界のことわかるわ」
アイナの言葉だ。
「私は月の女神だったかしら」
「もう何が何だか」
「カオス過ぎるし」
こんな話をしているうちに次の戦いに向かうことになった。また旅立つ彼等だった。
第二十九話 完
2010・5・20
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