ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第八十八話 進展
闇慈の借り物競争が終わり、今度は一誠とアーシアが出場する『二人三脚』だった。二人は絶対に一位を取るために練習を欠かさない日は無かった。初めはドタバタしていたみたいだったが二人の信頼し合う心がそれを崩して行った。
「じゃあイッセー、アーシア。頑張ってね!!」
「おう!!お前が小猫ちゃんと一緒に一位を取ったみたいに俺達も絶対一位を取って見せるぜ!!」
「みなさんのご期待に答えるために全力でイッセーさんと頑張ります!!」
一誠とアーシアは意気込みを語ると、入場門の方へ駆けて行った。しかし闇慈は少し不安を抱えていた。
「大丈夫かな?あの二人」
「大丈夫よ、アンジ。あの二人には強い『絆』の力があるわ。あの二人を信じて応援しましょう?」
「うふふ。二人の仲の良さは少し妬いてしまいますわ」
リアスと朱乃の言葉に闇慈はコクッと頷いた。
闇慈も心の中でもあの二人の絆は柔じゃないと感じていた。そしてそれは大きな力の源でもあった。
そして二人三脚がスタートして、次は一誠とアーシアのペアがスタートラインに立った。そして・・・
「位置について・・・よ~い・・・」
スターターが声をかけ、ピストルを上空に掲げた。そしてそれに伴って一誠とアーシアも体勢を整え構える。
パンッ!!
ピストルの音と共にペアが一斉にスタートを切った。初めはどのペアも良い走り出しだったが・・・
「いくぜ!!アーシア!!」
「はい!!イッセーさん!!」
二人は体勢を低くし、同じ位置に合わせるとそのまま阿吽の呼吸を思わせるようにスピードを上げ始めた。そしてトップに躍り出た。
「「「「行っけぇぇぇぇ!!!!」」」」
部員達の掛け声と共に一誠とアーシアはそのままスピードを落とすことなくゴールテープを切った。
「やった!!」
「流石ね。私も鼻が高いわ」
~~~~~~~~~~~~
二人三脚も終わり、一誠とアーシアは退場したが、一誠が途中で倒れ掛かってしまいアーシアがそれを受け止める。恐らく前のジャガーノート・ドライブの影響が完全に消えていなかったのだろう。
「イッセーさん!?」
「あはは。体はまだ万全じゃなかったみたいだぜ・・・悪ぃな、アーシア」
それを見ていたリアスが二人に話しかける。
「アーシア。貴女が回復して上げなさい。体育館裏なら人気もないと思うわ」
「はい」
そしてアーシアが一誠を連れて体育館裏に行こうとすると一誠に聞こえないようにリアスがアーシアに呼びかける。
「アーシア。頑張りなさい」
「っ!!」
その事にアーシアは顔を真っ赤にしながら移動し、回復を開始した。そして数分後、完治とまでは至らなかったが残りのプログラムをこなせるまで回復がすむと一誠は勢い良く立ち上がった。
「良し!!これでまだ頑張れるぜ!!」
一誠が張り切っているとアーシアが一誠に呼びかける。
「あの・・・イッセーさん」
「ん?何だ?アーシ・・・」
一誠が振り返り、言葉を発する前にアーシアは背伸びをして一誠の唇に自分の唇を当てた。ようするにキスをした。一誠も何をされたのか呆然としていた。そしてアーシアはゆっくりと離れ、顔を真っ赤にしながら笑顔を見せる。
「イッセーさん。大好きです!!ずっとおそばにいますから」
それを聞いた一誠は我に返り、幸せそうな笑顔を浮べていた。
~~~~~~~~~~~~
「一誠とアーシアがいないと思ったら、少し無粋だったかな?」
闇慈は二人の姿を探していて、見つけるとちょうどキスをしている場面だったので、慌てて身を隠した。しかしその二人の姿は本当に微笑ましい程だった。
「良かったね、イッセー。そしておめでとう、アーシア」
「・・・何をやってるんですか?闇慈先輩」
二人を祝福していると小猫が闇慈を探しに来たのか、近寄る。闇慈は人差し指を自分の口に当て、静かにするようにと言うポーズを取った。
「少し声を落とそうか?小猫ちゃん。二人に気付かれてしまうよ?」
小猫は少し首を傾げ、原因を確認すると、なるほどと首を上下に振る。
「・・・先輩。ここは二人だけにしてあげるべきだと思います」
「そうだね。知らなかったとはいえ、僕も空気を読め無さ過ぎたよ。行こうか?小猫ちゃん。もうすぐお昼だしね」
「・・・闇慈先輩とお母さんの手作り料理。楽しみです(私も先輩達に負けないくらい、闇慈先輩と・・・そのためにはもっと)」
小猫は一誠とアーシアの仲の良さに少し嫉妬したのか心で決意を固めていた。
そして午後の競技も終了し、結果は闇慈達のクラスが居る団体の優勝で終わった。こうして体育祭も無事に終了し、一誠とアーシアの進展も深まった。
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