ハイスクールD×D 蒼き凶鳥
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原作前
第一章 大戦期
第五話
ブリティッシュ作戦開始から一週間が経ち天界の第二防衛ラインを突破することに成功した。
だが、天界竜の戦線投入によって作戦は停滞してしまった。
天界竜とはその名の通り天界にのみ生息する竜であり、強力な光のブレスを放つ、まさに悪魔の天敵といえるドラゴンである。
この天界竜が第三防衛ラインに多数いることで攻めきれずにいるのだ。
ガガガガガガガガガガッ!!
「うおおおぉぉぉーーーーーーー!!」
ガトリングシールドを放ちながら敵の密集地帯に突撃するが敵の反撃が激しくたどり着くことができない。
「グフカスタムでは突破は難しいか……」
「だが、ここを突破しなければどうにもならんぞ」
「わかっている!! しかし、この弾幕じゃあ近づくのも難しいぞ」
「確かに光の槍が絶え間なく放たれているからな」
「……遮蔽物を利用して砲撃をしかけてみる」
「やれるか?」
「やるしかないだろう、アジュカはこのまま敵の注意を引き付けておいてくれ」
「わかった。まかせろ」
近くの丘になっているところに行き、量産型ガンキャノンに換装し240mmキャノンが火を噴く。
ドンッ!ドンッ!!
砲弾は丘をこえ、山なりに天使たちの密集地帯に着弾する。
そのまま五、六発撃ち込むと敵からの攻撃が収まった。
「どうなった? アジュカ」
「砲撃のおかげで反撃はなくなった、だが見てみろ」
「おいおい、マジかよ」
空には十匹ちかくの天界竜が旋回している。
あれだけの天界竜を相手にするとなるとどれだけの被害がでるかわからない。
「どうする? 撤退を上申するか? さすがにあの数はこっちが全滅するぞ」
「その必要はなさそうだぞ」
後方の空に緑色の光が上がっている。
「撤退、信号……」
「これ以上の侵攻は無理と判断したみたいだな」
「命令通りさっさと撤退しますかね」
「ヒデェな」
「ああ、これは……」
司令部に戻るとそこは野戦病院を彷彿させるひどい有様だった。
奥に行くと本来ならば司令と副司令がいるはずなのだが今は副司令しかいない。
「副司令、司令はいったい?」
「うむ、司令であるバティン卿は戦死なされた。以降の指揮は私ザゼス・プールソンがとる」
「「了解しましたプールソン卿」」
「とはいっても私が行うのは撤退の指揮だけだがね。申し訳ないが君たち二人にはそれぞれ別の任務についてもらう」
「別の任務、ですか?」
アジュカと顔を見合わせながら疑問の声をあげる。
「一つはこの本隊が撤退するさいの護衛だ。そして二つ目は孤立してしまった友軍の救出任務だ」
「その孤立した友軍というのは……」
「うむ、いまから二十分ほどまえにここから西方に五キロはなれた地点にいた支援部隊から救援要請をうけた。天界竜がいる、と」
「天界竜ですか!?」
「最後の通信から判断すると天界竜は単体のようだ」
「しかし、支援部隊では天界竜相手では既に全滅してしまっているのでは?」
アジュカが疑問をくちにする。
天界竜の光のブレスは強力で並みの悪魔は一瞬で消滅してしまうため、支援部隊の全滅の確立は非常に高い。
「最後の通信された場所は神殿などが多くある地点でありその神殿内に彼らは立てこもっているらしい。天界竜は陸上戦を苦手とするから、彼らが生存している可能性は十分にある」
なるほど、天界竜の得意戦法は空中からのブレス攻撃であり地上戦では動きが遅くさほどの脅威にはならないからな。戦場に投入されている天界竜はすべて天使たちにしつけられているから、自分から神殿などを破壊しようとしないらしいし。
「俺が行こう」
「鏡夜!?」
「アジュカ、俺の能力は遊撃向きだ。それに、本隊の撤退支援はお前の能力のほうがむいている。互いに得意な任務のほうが生存率も高い」
「まったくお前は、無茶ばかりするな」
「無理、無茶、無謀はハルファス家の家訓でね。本隊のほうは頼んだぞ」
「ああ任せてくれ」
「ではこれより、天界からの撤退戦を開始する。撤退ルートはポイントβを経由しヒッコリー前線基地を目指す。ポイントβで他の部隊と合流する。合流できなかった部隊は独自にヒッコリー基地を目指せ」
「司令、俺は支援部隊救援後、そのままヒッコリー基地を目指します」
「ああ、くれぐれも命を無駄にするなよ」
「了解」
こうしてブリティッシュ作戦撤退戦が始まった。
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