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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜

作者:カエサル
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閑話ー始まりと完全魔法の双激
  42.槍剣

 
前書き
第42話投稿!!!

槍と片手剣を操るシュウ。

このお話は、シュウの始まりの話。 

 


二〇二二年、約一万人のプレーヤーを閉じ込めたデスゲームSAO事件の半年前......まだSAOが正式販売されておらずβテストを行っていた時だ。

このお話は、《槍剣使い》の始まりの話だ。




二〇二五年春頃

「今日も疲れたな」

「そうですね、集也さん」

家へと適当に駄弁りながら帰路へつく。同じ剣道部で一個下の少女、桐ヶ谷直葉と一緒に自宅へと帰宅。
直葉の家は、俺の真向かいなため部活帰り、どちらにも用事がない時は、一緒に帰っている。

「それじゃあ、また明日」

「お疲れ様です」

自宅に着き、直葉は俺に一礼して家へと入っていく。そして、自宅の鍵を開け、誰もいないであろう自宅へと入る。

「ただいま」

そういうも返事が帰ってくるわけもない。俺の親はどちらも仕事で出張していることが多いため基本家は無人のことが多い。
昨日までは、母親がいたが昼頃にまた出張に行ったようだ。

玄関で靴を脱ぎ、いつものようにリビングにいくとリビングに置かれている机の上に見慣れないダンボール箱が置いてある。

「何だこれ?」

宛先
【如月集也】

俺は、その宛先を見た瞬間、心臓の高鳴りが抑えられないほどになっているのを感じる。

(まさか当たるなんて思ってもいなかった!!)

興奮のあまりダンボールをうまく開けることが出来ない。

「ふぅ〜......落ち着け俺.......」

自分で自分に言い聞かせ、一旦落ち着きダンボールを開ける。ダンボールの中には、名称のよくわからないが透明のプチプチに包まれた長方形の薄い箱と紙が一枚入っている。紙を見、少しにやけた後にプチプチを長方形の薄い箱から取る。そしてプチプチを取ると箱が姿を現す。

その箱の表面には、鉄の浮遊城と大きな字で、【Sword Art Online β版】の文字が。

「おっしゃぁぁ!!」

俺は、大急ぎで二階まで駆け上がり、部屋の片隅に置かれていたヘルメット状の仮想現実を作り出す機械、ナーヴギアを手に取り、ベットの上まで運ぶ。

そして、【Sword Art Online β版】を開け、ディスクを取り出し、入れ、LANコンセントにケーブルを差し込みナーヴギアの電源を入れる。

そして、仮想世界へ潜り込む魔法の呪文を唱える。

「リンクスタート!」




βテストが始まって一ヶ月の月日が経つ。

俺は未だに操作にあまりなれず、この世界に酔ったりする。

現在の階層は第二層。
第一層のボス........コボルなんたらの攻略には俺も参加した。

ボス攻略で大活躍した二人の楯なし片手用直剣使いに憧れて俺は、元々大剣を使っていたが楯なしの片手用直剣に武器を替えたが全く合わない。

現在の俺の装備は、初期の服装に初期装備の片手用直剣。

「はぁ〜、元の大剣に戻そっかな」

第二層の迷宮区に一人で挑んでいる俺の前に曲刀を持った二人のプレーヤーが現れる。

「なんだよ、あんたら」

「名乗るようなものじゃねぇよ。死んでくお前には関係ないしな」

(今なんて......?)

二人のプレーヤーは急に曲刀を担ぎ出す。そして曲刀が光ったと思うと俺にその刃を向けて突進してくる。
背中の片手剣を抜刀し防御体制に入るが間に合わず、二人の曲刀が俺の体に突き刺さる。

「痛ぇ!!」

反射的に声を漏らす。でもこの世界では、ペインなんたらが働いてるおかげで痛覚はほとんど存在しない.....らしい。

今の攻撃で俺のHPはイエローゾーンに突入した。もう一回同じ攻撃を受ければ俺のHPは0になる。

「クッソ......」

体を起き上がらせ、片手剣を構える。

「ほう〜、俺たちと殺り合う気か。いい覚悟だな」

「いい覚悟じゃねぇだろ、ムーン。........こいつは無謀なだけだ。逃げればいいものを」

「まぁ、逃げても追ってPKするけどな」

二人は合わせて笑い出す。
そして再び曲刀を二人が担ぐ。

(クッソ!何とかしないと)

考えている暇もなく二人のプレーヤーは、俺に突進してくる。

(クッソ!!もうヤケクソだ!!)

俺は右手で片手剣を持ち、右の方から突っ込んでくる相手の曲刀を片手剣の刀身を使って流す。そして左の方から突っ込んでくる相手の曲刀を右手に持っている片手剣を左手の方向に投げ、左手で掴み左方向の敵の曲刀を弾く。

「「なに!!」」

そして隙が出来た一方に向かって片手剣を両手で持ち、剣道の面を放つ。

「うわぁぁぁ!!」

声をあげて、プレーヤーはダメージを受ける。続けて右手のみに持ち替え、シングルハンドで喉めがけて突きを放つ。

突きで吹き飛ばされたプレイヤーは壁に木に激突し、光の欠片となり姿を消す。

だが、突きを打ったあとの隙にもう一方のプレーヤーが俺に曲刀を向ける。

「テメェ!よくも!!」

(ヤバイ!殺られる!)

そう思ったその時だった。俺に刃先を向けたプレーヤーの動きが止まり、次の瞬間、光の欠片となり姿を消滅する。

「えっ?」

消滅したプレーヤーの後ろに人影がいるのがわかった。

「大丈夫か、あんた?」

そのプレーヤーは俺に手を差し伸べてくる。それを掴み俺は立ち上がる。

そのプレーヤーは、白をベースとしたコートを身に纏い、装飾の一切ない全てが真っ白な片手剣を手に持っている。

そしてそのプレーヤーの顔を見て俺は驚いた。キリットした顔立ちに白髪短髪の少年........第一層で活躍した剣士の一人だ。

「あ、あなたは!!」

「ん?どこかで会ったけ?」

白髪の少年は首をかしげ、少し上を見上げる。そして何か思い出したような表情になる。

「あっ!第一層の攻略で一緒だったプレーヤーか」

「はい!」

俺が憧れていたプレーヤーが俺のことを覚えててくれたことが嬉しすぎる。白髪の少年は、俺に手を伸ばしてくる。

「俺は、イナバ。よろしくな」

「よ、よろしくお願いします!ぼ、僕は、シュウです」

白髪の少年.....イナバさんの両手で強く握りしめ、上下に大きく振った。

「そ、それで、イナバさんがどうしてここにいるんですか?」

「敬語じゃなくていいよ。俺は、迷宮区の攻略をしてたらシュウがプレーヤーに襲われてるのが見えて助けに来たってわけ」

「あっ!ありがとうございました!」

「ど、どうしたんだよ!急に?」

イナバさんが驚いたように慌てる。

「いえ、助けてもらったお礼をまだ言っていなかったので」

「そ、そういうことか.......。それよりも.....」

イナバさんが急に俺の手を握りしめ、口を開く。

「それよりもシュウがさっき二人のプレーヤーの《リーパー》を回避した時、一瞬の内に剣を右手から左手に移動させたよね?」

「り、りーぱー?」

「ああ、ゴメン。《リーパー》っていうのは、曲刀のソードスキルだよ」

(あの突進してきた技のことか?)

「はい。確かに僕は、持ち替えはしましたけど」

「お前なら......」

イナバさんは小さな声で何かをつぶやき少し考え込んだあと口を開く。

「シュウ、俺と一緒にちょっと来てくれないか?」

「は、はい!」

イナバさんに連れて行かれたのは、第二層・ウルバスの武器屋。そこでイナバさんは、何かを買っている。

「よし!シュウ、これ」

アイテムウインドウを開き、イナバさんから武器を受け取る。

「この武器って?」

イナバさんからもらった武器は.......片手用槍(初期武器)だった。片手用槍といえば、その長所は、基本的に軽いのとその長さにある。短所は、両手用突撃槍に比べて攻撃力が低い点だ。しかも片手用槍と言っても、もう一方に楯を装備することが出来るが両手用突撃槍も装備出来るので片手用の意味がわからない。

(SAOの上位層に進むと二刀流のスキルでも使えるようになるのか?)

「それで、イナバさん......これでどうしろと?」

イナバさんは無言でフィールドまで出ると急に俺の方に振り返る。

「これからシュウには、俺が出来なかったことをやってもらいたい」

「イナバさんが出来なかったこと?」

イナバさんは頷く。

「今からシュウに片手剣の使い方と片手槍の使い方を教える。そして二つの武器をある程度使いこなせるようになったら、今度は片手剣と片手槍を同時に使ってもらう」

「同時って......それじゃあ.....」

俺が言いたいことを察するイナバさん。

「そう、同時二つの武器を使えばエラーが発生し、ソードスキルは使用できなくなる。だから、シュウには高速で武器を入れ替える方法を伝授する。これは俺が辿り着けなかった領域だ。成功するかどうかもわからないが......お前には成功する可能性を秘めている」

イナバさんの真剣な眼差しに俺は否定することも肯定することも、何もできなかった。

「どうする?やるか?やらないか?」

「........やります。やらせてください!!」

イナバさんが少し笑う。

「よしっ!それじゃあ特訓始めるぞ!!」

「はい!!」




これが《槍剣使い》シュウの始まりの物語である。

このあと槍剣使いは、背中を預ける一人の剣士に出会うが.......

それはまた別のお話で...... 
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