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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第八十五話 看病


闇慈は幽ヶ子に案内されて、妖夢の部屋に連れて行き、布団を敷くと横に寝かせた。妖夢の状態はただの風邪のようだが高熱のせいなのか息が荒い。

「幽ヶ子さん。薬はあるのですか?」

「今は切らしているのよね。アンジ君だったわね?私が薬を貰いに行って来るから妖夢の看病をお願いできるかしら?」

「はい!!それと幽ヶ子さん、台所を使わせてもらって良いですか?」

「ええ、構わないわ。じゃあお願いね?アンジくん」

そう言うと幽ヶ子は白玉楼から出て行ってしまった。闇慈はとりあえず知恵を振り絞り、対処法を導き出す。
まずは水を温め、湯気が出る位に高温にした。そしてそれを大きな桶に移し、部屋の隅に置いた。この処置は部屋の湿度を保ち、汗と咳きと痰を出やすくするためである。そして濡らした手ぬぐいでデコの上に置く。

(原始的なやり方だけど、今はこれしか方法がない。後は頻繁に脇の下を冷やし、汗が出たら拭き取り、衣を変えるだけだ)

「う・・・うん・・・」

闇慈が手順を思い返していると妖夢が意識を取り戻す。

「あ!妖夢さん。気が付きましたか?」

「あ、アンジさん?私は?」

「高熱が出て、階段の途中で倒れてしまったんですよ。そしてここは貴女の部屋です」

「すみません。ご迷惑をお掛けしました」

闇慈は妖夢の謝罪を首を横に振り、気にしていないと言う表情を浮べた。

「気にしないで下さい。今日は僕が白玉楼の世話をしますから、妖夢さんは休んでてください」

「で、でも・・・」

「風邪は早く直した方が良いですよ?何をすれば良いか・・・それだけを僕に伝えてくれればいいですから」

妖夢は自分の状況を見て、動ける状態ではない事が分かると闇慈に仕事の手順を教えていく。

~~~~~~~~~~~~

「ふう。これだけの量を一人で・・・しかも毎日やっているなんて、妖夢さんって凄いかも」

その後、妖夢から仕事を言われ一つ一つやって行ったが、その量は一人でやっていくには凄い量だった。
そして妖夢は帰ってきた幽ヶ子に薬を貰い、落ち着いたのか今は安眠している。そして時間は過ぎて行き夕刻となった。夕食は闇慈が作る事になったが妖夢からこんなことを言われた。

「何時もアンジさんが作っている量より多めに作って下さい」

と言われた。闇慈は頭に?マークを浮かべながら、和風の食事を作り始めた。

ーー夕食時ーー

「う~ん、美味しい♪妖夢には劣るけど良い味が出てるわ~」

闇慈は妖夢から言われた事の意味を理解することが出来た。幽ヶ子は外見に似合わずに食べる量が半端なかった。現に闇慈が多めに作った料理を平らげているのだから。しかし闇慈は驚愕よりも嬉しさがあった。

「僕の料理を笑顔でたくさん食べてくれるのは嬉しいですよ、幽ヶ子さん」

「貴方らしい優しい味がするわ。でも貴方は私が怖くないのかしら?」

「へっ?それってどう言う意味ですか?」

幽ヶ子は一旦箸を止めると闇慈に面と向き合った。

「私には死を操る程度の能力があるの」

「死を操る・・・ですか。それなら僕の貴女と似たようなものですよ」

「どう言う意味かしら?」

「僕は一見、人間に見えますけど・・・」

闇慈は少し離れると死神の姿になった。そのことは幽ヶ子も驚いているようだった。

「僕も死を操る・・・と言うより『死』そのものですよ?ある意味、貴女より恐ろしい存在ですよ、僕は」

「その姿・・・貴方は『死神』なのかしら?」

「はい。でも僕は無闇に命を奪ったりしません。そして僕は『守る』ために死神であるのですから」

闇慈の笑顔の返答に幽ヶ子も笑顔になるとこう答えた。

「貴方って死神なのに、らしくないのね。でも・・・そんな死神も嫌いじゃないわ」

「ありがとうございます、幽ヶ子さん」

闇慈は元の服装に戻り、再び食事の一時を楽しんだ。
そして食事が終わると妖夢のためにお粥を作り、部屋に持って行った。

「妖夢さん。気分はどうですか?」

「大分良くなりました。アンジさんの看病と幽ヶ子様が持って来て下さった薬のお陰です」

「なら良かったです。お粥を持ってきました、少しずつで良いので食べてください」

闇慈がゆっくり妖夢を起き上がらせると彼女の膝の上にお膳を置いた。

「お腹も少しすいていたので、頂きます」

「無理はしないで良いですからね?」

妖夢は少しずつお粥を口にしていって、時間は掛かったがどうやら全部食べることが出来たようだ。
そしてお膳を片付けると、それ程熱くないお湯を入れた桶と手ぬぐいを持ってきた。

「これで体から出た汗を拭いてください。汗は出すの良いけど、そのままにしておくと体を再び冷やしてしまう恐れがあるので、終わったらまた呼んでください」

「はい」

桶と手ぬぐいを置くと闇慈は扉を閉めて、外で待っていた。そして数分後・・・

「ア、アンジさん・・・」

と闇慈を呼ぶ声が聞こえ、終わったのかと思ったが終わるには少し早いみたいだった。

「妖夢さん?」

「あの・・・入ってきてください」

闇慈は首を傾げると部屋の中に入った。そしてそこには・・・

「なっ・・・!?」

上半身裸で闇慈に背を向けている妖夢がいた。流石に闇慈はこれは驚き、顔を赤くして行った。

「妖夢さん!?何を」

「背中を拭こうと思ったのですが・・・届かなくて、だからアンジさんにお願いしたいんです」

妖夢も顔を真っ赤にしながら闇慈に頼み込んだ。闇慈は覚悟を決し、手ぬぐいを持つと手を震わせながら妖夢の背中に手ぬぐいを当てる。

「ひゃっ!!」

「わあ!!ゴメンなさい!!」

「いえ・・・少しビックリしただけですので・・・続けてください」

闇慈は頷き、手ぬぐいを走らせる。しかし闇慈は彼女の白い肌に見とれてしまう。

(なんて白くて綺麗な肌なんだ・・・って何を考えているんだ!僕は!!早く終わらせてしまおう!!)

闇慈は煩悩を打ち破り、せっせと妖夢の汗を拭き取った。そしてそれを終えると直ぐに退出しようとした。

「じゃ、じゃあ僕はこれで・・・」

しかし慌てたのか後ろに置いてあった桶に後ろ足を引っ掛けてしまう。それを見た妖夢は・・・

「うわっとととと!?」

「あ、危ない!!」

闇慈の片手を持つと自分の元に引き寄せた。しかし勢いがあり過ぎたのか、闇慈はそのまま妖夢に覆いかぶさってしまう。

「「っ!!」」

突然の事に二人とも呆然とし見つめ合っていたが、ここで第三者の声が響く。

「あらあら」

その声の主は幽ヶ子だった。それを聞いた闇慈はハッと我に返り、飛び退く。そして幽ヶ子はうふふと笑っていた。

「妖夢ったら彼とそこまで進展していたのね?明日は御赤飯かしら?」

「「誤解ですーーー!!!」」

~~人間界~~

「・・・ん?何だか闇慈先輩の危機感を感じたような?」
 
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