スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇
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第三次完結篇第二幕 ロゼ、その愛
第三次完結篇第二幕 ロゼ、その愛
「副司令、ですが」
「それは」
「いいのだ」
旗艦の艦橋でロゼが部下達に告げていた。
「御前達は撤退するのだ」
「そしてバラン様の指揮下に」
「そこに入れと」
「あの方なら無体なことはしない」
彼を完全に信頼している言葉だった。
「だからだ。いいな」
「では副司令も」
「御一緒に」
「私はいい」
しかしロゼはそれを拒んだ。
「私は残る」
「ですがそれは」
「副司令だけが」
「私がロンド=ベルを倒す」
そうすると言って聞かない。
「わかったな」
「ですがそれは」
「どうされるのですか?」
「この艦だけを残す」
ロゼはまた言った。
「わかったな。この艦と私だけがだ」
「まさか、この巨大ヘルモーズで」
「あれを」
「言う必要はない」
そこから先は言わせなかった。
「それではだ。命令だ」
「撤退ですか」
「全員」
「そうだ。撤退するのだ」
部下達にはこう告げていく。
「全員だ」
「はっ、それでは」
「おさらばです」
こうして部下達は下がるしかなかった。ロゼ一人だけが残った。そのうえで今決意を固めていた。
「私が殺してしまった」
ロゼは落胆した声で呟いた。
「ならば。私もまた司令の後を追って」
死ぬつもりだったのである。暗い決意の顔での言葉だった。
そしてロンド=ベルはだ。マーグについて話をしていた。
「そうか、今のところはか」
「助かったんだな」
「何とか」
「ああ、そうだ」
サコンが心配していた彼等に話していた。
「何とかな。一命は取り留めた」
「そうか、それはな」
「よかったわ」
「本当にね」
誰もがそれを聞いてまずは安堵した。
「けれど話を聞くと」
「何かどうも」
「傷は深かったんだな」
「生身でビームを受けたんだ」
サコンは今度はこのことを言ってきたのだった。
「それならわかるな」
「幾ら超能力者でも」
「そうなるとですか」
「命があること自体が奇跡だ」
そこまで言うのである。
「本当にな」
「そうか、それなら」
「もうマーグさんは」
「戦えないのかも」
「今シラカワ博士が治療をしているがな」
「ちょっと待って」
セニアはシュウの名前を聞いてすぐに言ってきた。
「クリストフの治療ね」
「そうだが」
「それなら大丈夫かも」
彼女は考える顔になって述べた。
「マーグの傷はね」
「大丈夫なのか」
「クリストフはね、医学だけじゃないのよ」
それに留まらないのがシュウである。
「錬金術や魔術にも詳しいから」
「そうだな。あいつの場合知らないことの方が少ない」
マサキも言ってきた。
「あのネオ=グランゾンだって全部あいつが設計、開発したからな」
「あの要塞みたいなロボットをだったな」
今言ったのはアルトである。
「それならか」
「ああ、まず大丈夫だ」
マサキはシュウのそうした能力については認めていた。
「タケルのお兄さんは戦線に復帰できる」
「そう、よかった」
「それなら」
「ただしだ」
だがここでまたサコンが言うのだった。
「無理はできない」
「流石にそれは」
「無理なのね」
「何度も言うが死んでいてもおかしくなかった」
またこのことを言ってみせるのである。
「その人間が今生きているのだからな。考えてくれ」
「そうだよな、やっぱり」
「本来なら絶対に安静だし」
「まず次の戦いは無理だ」
それはというのである。
「それはいいな」
「ああ、わかった」
ジェリドがその言葉に応えた。
「じゃあ今は生きていて復帰できるってことを喜ばせてもらうぜ」
「その通りですね」
エイジも言う。
「今はタケル君のお兄さんが助かって戻って来たことを祝いましょう」
「それはいいけれど」
「何か」
ふと一同が言い出した。
「ジェリドさんとエイジさんも何か」
「声が」
「この二人も」
「ああ、わかってたさ」
そのジェリドが軽く彼等に応えてきた。
「俺とエイジの声が似てるのはな」
「雰囲気もだし」
「何か」
「ははは、そうだね」
エイジも笑ってだった。彼等のその言葉に応える。
「あと黄金君やヤンロンさんともね」
「そっくりっていうか」
「クローンみたいに」
「容姿は全然違うけれどね」
「この人達も」
まさに彼等もであるのだ。
「そういえばさ、豹馬とマーグさんも」
「そういえば」
それに気付いたのはルナマリアとルナだった。
「似てるわよね」
「何でかわからないけれど一緒の人に見えたわよ」
「おい、俺もかよ」
豹馬は抗議するが何処か嬉しそうである。
「全然似てねえじゃねえかよ」
「御前かなり嬉しそうだな」
その彼に一平が突っ込みを入れた。
「何か兄弟に会ったみたいだな」
「そうだな、まさにそんな感じだな」
「気持ちはわかるけれどな」
隼人と十三も突っ込みを入れる。
「もっとも俺達もだ」
「心当たりあるけれどな」
「否定はしないな」
サコンも加わってきた。
「全くだ。こうして似た者同士集まるとだ」
「心が落ち着くもんやしな」
「孤独は感じないからな」
「だから。あんた達も同じじゃない」
「そうよ」
今度はちずるとめぐみだった。
「私達もまあ。少しはね」
「否定できないけれどね」
「まあそれは置いておいて」
「ちょっとね」
何故か後ろめたそうな二人であった。
「本当に似てるでごわすな」
「全くですね」
大作と小介は比較的冷静であった。
「おいどんはそういう人はいないでごわすが」
「けれど何か妙な縁を感じません?」
彼等も彼等で何かがあった。それで日吉に言ってきたのだった。
「そうですよね、日吉君」
「うん、確かに」
その通りだと答える日吉だった。
「前から思ってたけれどね」
「あれ、そういえば日吉の声ってよ」
その豹馬が突っ込みを入れてきた。
「何か居眠りばかりの男の子の声なんだよな」
「そういう豹馬さんは映画のロボットの」
「他にも一杯いないか?そういう人」
「ノインさん黄色いネコ型ロボットじゃなかったですか?」
「な、何故その話をするのだ!?」
不意を衝かれたノインは忽ちのうちに大混乱に陥った。
「私はその話はだな」
「カツ、そういえば御前は」
「まさか俺も!?」
カツはカミーユにいきなり言われてぎくりとした顔になった。
「魚座の次はそれ!?」
「やっぱりな。御前はキッドだったな」
「クリスもだよね」
「どら焼きに酢醤油とラー油はかけないから」
クリスは事前にバーニィに言ってきた。
「間違ってもね」
「そうなんだ」
「絶対にしないから」
それは強調していた。
「何処をどうやったらそんな食べ方ができるのよ」
「まあ確かにそうだけれどね」
「何か物凄い突っ込んではいけない世界に突っ込んでないか?」
健一が狼狽する彼等を見て言ってきた。
「この世界は」
「そ、そうですよね」
フェアリも何故か目が泳いでいる。
「私もまあ。最近入浴シーンがどうとかで」
「俺は間違ってもだ」
今度は一矢だった。
「どら焼きにカマンベールなんてしないからな」
「だから言うな、一矢」
京四郎が彼を止めた。
「それ以上言ったら本当にどうしようもなくなるからな」
「だからか」
「そうだ。とにかくな」
その京四郎が話を先に進めにかかる。
「これからだが」
「ああ」
「バルマーとの最終決戦だな」
「銀下辺境方面軍との」
「さしあたってこれで敵はいなくなる」
グローバルも言ってきた。
「当面はな」
「まだバルマーは健在だし宇宙怪獣もいるがな」
火麻は一応このことは言ってきた。
「しかしあの連中を潰せばだ」
「とりあえず俺達の敵はいなくなる」
「地球圏の中の」
「それは大きいことですね」
八雲も頷いて述べた。
「それじゃあ本当に」
「決着をつけて」
キムが言った。
「残ったバルマー軍と」
「敵の戦力はもう殆ど残っていない」
今言ったのはレイヴンだった。
「実質あの巨大戦艦だけだ」
「巨大ヘルモーズ」
「あれを撃沈さえすれば」
「じゃあ話は簡単だな」
闘志也はあえて明朗に言ってみせた。
「あのデカブツを沈めるぜ、それでな」
「敵として残っているのはあの副司令官かな」
綾人は敵を見ていた。
「確か。ロゼだったかな」
「そうね。あの超能力者・・・・・・だったわね」
遥はこちらの世界の住人ではないので今一つはっきりしない言葉になっていた。
「確か」
「ええ、そうよ」
その彼女にエマが答える。
「ロゼ。超能力者としても指揮官としても手強い相手よ」
「あいつともいよいよ決着か」
「そうですね」
サンシローと洸が言ってきた。
「遂にここでな」
「本当に長い戦いでしたけれど」
「じゃあ行くか」
竜馬が言った。
「彼等との最後の戦いに」
「さて、それではです」
シュウもであった。
「私も参りましょう」
「御前もかよ」
「見たいものがありますので」
こうマサキに言うのだった。
「ですから」
「見たいものだと?」
「はい、人間をです」
それをだというのである。
「今から」
「人間だというのか?」
シローは今の彼の言葉にいぶかしむ顔になった。
「それは一体どういう意味なんだ?」
「すぐにおわかりになられます」
シュウらしくここでは全てを言わなかった。
「戦いがはじまれば」
「とにかく出ないとはじまらないということだな」
ジノはこう述べた。
「それではだな」
「そうね、それじゃあ」
ロザリーが応える。こうしたやり取りのうえで全員バルマーとの最後の戦いの場に赴いた。巨大ヘルモーズの他は殆ど何もいなかった。
「あの無人機だけか」
「それも数はそれ程多くないし」
「これは楽勝か?」
こうも思われる程であった。
「これは」
「いや、待て」
だがその見方は大文字によって制止された。
「油断は禁物だ」
「そうだな。これは明らかにおかしい」
サンドマンも言う。
「最後の戦いだというのにあの戦艦一隻だけだというのはだ」
「じゃあ一体」
「何を」
「まだそれはわかりはしない」
サンドマンも今ははっきりとはわからなかった。142
「しかしだ」
「油断はですか」
「ならないと」
「あの巨大戦艦にしてもその力は侮れない」
巨大戦艦自身を見ての言葉でもあった。
「だからだ」
「ここは侮らずに」
「そのうえで」
「向かわなければならない」
まさにそうだというのである。
「では諸君」
「ええ、じゃあ」
「ここは」
巨大戦艦を囲むようにして向かうのだった。すぐに無人機を倒していって巨大戦艦を取り囲む。その巨大な姿の中にいたのは。
ロゼだけだった。彼女は艦橋で迫り来るロンド=ベルの軍勢を見ながら呟いていた。
「もうすぐ、もうすぐだ」
彼等が迫って来ても逃げようともしない。
「そして私は」
何かを決意している顔であった。その顔で待ち、であった。
「司令のお傍に」
明らかに死を決意していた。その顔で今彼等を待ち受けていた。
そしてであった。マクロス7の病室で。突如マーグが目を開いたのだった。
「ここは」
「ああ、気付かれましたね」
ドクター千葉がその彼を見てほっとした顔で言ってきた。
「よかったですよ、御無事で」
「私はあの時ロゼに」
「はい、ですが助かったのです」
穏やかな笑顔と共に彼に告げてきた。
「我々の治療で」
「そうだったのか」
「今もう少し安静の時が必要ですが」
それはだというのだ。
「ですがもう命にはです」
「有り難う」
ここまで聞いて礼を述べるマーグだった。
「敵だった私の命まで助けてもらって」
「いえ、それはいいのですよ」
「いいというのか」
「この部隊ではかつて敵であっても共に戦っている人達が多いですし」
ロンド=ベルの特色である。
「ですからそのことはです」
「そうなのか」
「それに貴方はタケル君のお兄さんですよね」
「そうだ」
このことには素直に答えた。
「私は長い間そのことを忘れさせられていたが」
「ですが今は思い出されましたね」
「うむ、確かにな」
このことも認めることができた。
「今は」
「それでいいじゃないですか。今丁度バルマー軍とも最後の戦いですよ」
「バルマーとか」
「残るは巨大戦艦一隻です」
千葉はマーグにそのことも話した。
「投降すればいいのですが」
「私のいない今指揮官はロゼ」
マーグは彼の話を聞きながら呟いた。
「ロゼの性格からすると」
「どうされました?」
「!?」
そしてであった。今確かに何かを感じ取った。
マーグの表情が一変した。そうしてであった。
今まで寝ていたベッドから飛び出て。何処かに向かおうとする。
「いけない、このままだと!」
「!?どちらに行かれるんですか!?」
「このままだとロゼも我々も死ぬことになる!」
危機を察した顔で千葉に言うのだった。
「ここは行かせてくれ!」
「馬鹿な、少し前に死に掛けていたんですよ!」
千葉は医師として彼を止めに入った。
「それでどうして」
「それでもここは行かせてくれ!」
前に立ちふさがる千葉に対して必死に言う。
「さもないと本当にだ」
「駄目です、今は絶対に安静です!」
千葉も彼を必死に止める。
「さもないと本当に」
「いや、行かなくてはならない!」
マーグはそれでも行こうとする。
「私が行かなくては」
「行ったら本当に」
「それでもだ」
マーグは言う。
「さもないと私は」
「行くというのですか」
「そうだ、行く」
どうしてもというのである。
「何があろうともだ」
「私が倒されてもです」
千葉は腕力はない。それでも言った。
「ここは通しません」
「貴方にも意地があるのですね」
「そうです」
まさにそうだというのだった。
「超能力を使ってもです」
「それは安心していい」
「えっ!?」
「私は武器を持たない、超能力等を持っていない相手に力を使うことはない」
それはないのだという。
「決してだ」
「ではどうされるというのですか?」
「私の力は衝撃波等だけではない」
「といいますと」
「他にもある」
こう言うのだった。
「だからだ。貴方に力を振るうことはない」
「そうですか」
千葉はそれを聞いてまずはほっとしたのだった。
「それは何よりです」
「だが」
「だが?」
「それでも私は力を使わせてもらう」
「今使わないと仰ったではないですか」
「言った筈だ。力は一つではない」
ここでは言葉は矛盾していた。一聴するとだ。
そしてであった。彼は言ってきたのだ。
「この力で」
「なっ、それは」
「そうだ。私はこうした力も使えるのだ」
言いながらであった。その姿を消しにかかってきたのである。
「テレポーテーションだ」
「その力をか」
「そうだ、これでだ」
力を使ってであった。その場から消えた。そうして。
出たのは宙だった。冥王星のである。
その瞬間に叫んだのだ。こう。
「来るのだ、ガイアー!」
「その声は!」
タケルはその声を聞き逃さなかった。
「兄さん!?まさか」
「六神合体!」
彼と同じ叫びであった。そしてもう一体のゴッドマーズが姿を現わしたのである。
「何っ!?」
「あのゴッドマーズは」
「まさか」
「そのまさかだ」
タケルが驚く仲間達に告げた。
「ゴッドマーズだ、兄さんの」
「そうだよな、あれは」
「マーグのゴッドマーズ」
「というと」
「そうだ、私だ」
マーグからも声がしてきたのだった。
「私も共に戦おう」
「馬鹿な、そんなことをしたら」
「マーグさんの身体も」
「無事じゃないどころか」
「いや、大丈夫だ」
しかしだった。そのマーグが言うのである。
「私のことはだ」
「大丈夫っていっても」
「今そうしてゴッドマーズに乗っているのさえ」
「信じられないのに」
「それよりもだ」
マーグはもう自身のことを省みてはいなかった。
「早くあの巨大ヘルモーズを止めるのだ」
「えっ!?」
「あの戦艦をですか」
「今倒すんですけれど」
「ただ倒すだけでは駄目だ」
マーグの言葉が強いものになった。
「それではだ。倒せばだ」
「倒せばって」
「どうなるんですか?」
「倒さないとそれこそ」
「あの巨大ヘルモーズの中には巨大なブラックホール爆弾が搭載されている」
マーグはここではじめて言ったのだ。
「下手に撃沈すればそれが爆発する」
「ブラックホール爆弾って」
「そんなものが」
「この冥王星自体が吹き飛んでしまうぞ」
ここで言ったのはタシロである。
「無論我々もだ」
「そうよね、そんなのが爆発したら」
「俺達もそれこそ」
「洒落にならないことに」
「だからだ」
また言うマーグだった。
「下手に撃沈はできない」
「じゃあどうすれば」
「あの巨大戦艦を」
「一体」
「何ならです」
名乗り出てきたのはシュウだった。
「私のネオ=グランゾンの力を使いましょうか」
「ああ、そうだったわね」
「ネオ=グランゾンの力はそれだったな」
今のシュウの言葉にリューネとヤンロンが応える。
「ネオ=グランゾンの力は重力だから」
「ブラックホールもコントロールできたな」
「それを使いましょうか」
マーグに願い出たのである。
「それで如何でしょうか」
「重力の力か」
「そうです」
マーグに対しても答えた。
「それを如何でしょうか」
「わかった」
それを聞いて頷いたマーグだった。
「それでは。頼む」
「では貴方はそのままお休み下さい」
シュウも彼に休養を薦めた。
「さもなければ本当に」
「いや、まだだ」
しかしだった。マーグは彼の言葉も退けるのだった。
「私はまだやるべきことがある」
「やるべきことですか」
「そうだ」
はっきりとした声で答えるのだった。
「私にはまだ。それが」
「そうですか」
シュウはそこまで聞いてまず応えるのだった。
「それでは私から言うことはありません」
「えっ、けれど」
「ここでマーグさんを止めないと」
テュッティとミオが真剣な顔でシュウに言ってきた。
「さもないと本当に」
「危ないのに」
「その時はです」
だがシュウは二人に対しても言うのである。
「私がマーグさんを助けてみせましょう」
「私もよ」
リツコもそうするというのだった。
「その時はね」
「リツコ、腹をくくったのね」
「そんなのは最初からよ」
ミサトにも言葉を返した。
「伊達にロンド=ベルにいるんじゃないわよ」
「そう言うのね」
「ええ、言うわ」
また言う彼女だった。
「何があってもね」
「わかったわ」
そしてミサトも彼の言葉を受けたのだった。
「それじゃあ。私もね」
「マーグ君はいいのね」
「絶対に死なせない」
ミサトはここで確かな声で告げた。
「それさえ守ってくれたらね」
「私は約束は破らないわ」
これがリツコの返答だった。
「わかったわね」
「よし、わかったわ」
「有り難う」
こう言い合ってであった。お互いに頷き合い。そのうえでマーグを見守るのだった。
マーグはタケルのゴッドマーズの横に来た。そうして言うのであった。
「行くぞ、マーグ」
「兄さん、それでどうするんだい?」
「あの巨大戦艦を沈める」
それはするというのだ。
「ブラックホール爆弾はこれで気にする必要はなかった」
「お任せ下さい」
シュウも言うのだった。
「それは私が」
「だからだ。私達はだ」
「あの巨大戦艦を」
「沈める。そして」
「そして?」
「ロゼを」
彼女の名前を出すのだった。
「ロゼに伝えたい、私のことを」
「そうなのか」
それを聞いて頷くタケルだった。
「それなら。俺も」
「やってくれるか」
「俺は兄さんと何時でも一緒だ」
これがタケルの返答だった。
「それならだ」
「済まない。それではだ」
二機のゴッドマーズが前に出た。そうしてだった。
艦橋にいるロゼはだ。彼等の二機のゴッドマーズを見て唖然となっていた。それは彼女が想像だにしなかったことだった。
そしてであった。艦橋で身体を震わせていた。
「どうして、何故」
そのゴッドマーズを見ての言葉である。
「何故司令のゴッドマーズが」
「ロゼ!」
ここでマーグの声が届いた。
「いるのか、いるな!」
「!?司令」
「そうだ、私だ!」
こうロゼに言ってきたのである。
「私だ、私は生きている!」
「そんな、司令は私が」
殺してしまった、そう言おうとした時だった。
マーグはまた彼女に言ってきたのである。
「私は生きている、絶対にだ」
「どうして、そんなことが」
「私は助けられた」
また話す彼だった。
「ロンド=ベルにだ」
「ロンド=ベルに」
「そして思い出したのだ」
続いてこのことも話すのだった。
「レツィーラ=トーラーに、帝国に洗脳され操られていたことを」
「まさか・・・・・・それまで」
「ロゼ」
マーグの声が強くなった。
「君はだ」
「私が」
「君は知っていたな」
問い詰める声だった。
「そのことを」
「それは・・・・・・」
「私はバルマーの操り人形だった」
このことも言うのだった。
「しかしそれはだ」
「違うというのですか」
「そうだ、違う」
また言うマーグだった。
「最早私は違うのだ」
「違うというと」
「最早バルマーには汲みしない」
はっきりとした決別の言葉だった。
「何があろうともだ」
「ではもう」
「私はマーズと共に戦う」
またそれを告げたのである。
「何があろうともだ」
「そんな・・・・・・私は・・・・・・」
「私は君を恨んではいない」
このことも言うのだった。
「いや、むしろ」
「むしろ・・・・・・」
「君は私を」
そのことは小声になっていた。
「失いたくはない」
こう言うのだった。
「何があろうとも。絶対に」
「私を。ですが私は」
ロゼはマーグのその言葉を聞いて申し訳なさそうに言うのだった。
「司令に応えられは」
「私は君がいないと駄目だ!」
しかしマーグはまた言った。
「だからだ。死なないでくれ!」
「司令・・・・・・」
「行くぞロゼ!」
ゴッドマーズで身構えるのだった。
「今そこから君を出す!」
「兄さん!」
「マーズ」
「俺にも協力させて欲しい」
こう申し出てきたのである。
「ここは。俺にも」
「助けてくれるのか」
「言った筈だ、俺達はもう何があっても離れない」
このことを言うのである。
「だからだ。何があっても」
「そうか。ならだ」
「ファイナルゴッドマーズならあの戦艦を止められる」
また言うマーズだった。
「そして」
「ロゼを」
「けれど一人じゃ無理だ」
如何にゴッドマーズといえどであった。
「二人なら」
「そうだな。我々二人の動きを合わせたらだ」
「できる」
こう言い合うのであった。
「何があってもだ」
「それならやろう!」
タケルからマーグに告げてきた。
「今から!」
「よし、それならばだ!」
二人は動きを合わせた。そうしてだった。
「ダブル」
「マーズフラッシュ!」
最初はその光を放ち動きを止めた。それから。
その剣を抜いて戦艦に向かい。その剣を構え。
「行くぞダブル」
「ファイナル」
「ゴッドマーズ!!」
その剣でそれぞれ左右に斬った。それを受けてさしもの巨大戦艦もその動きを完全に動きを止めてしまったのである。
そしてだ。シュウもまただ。
「さて、私は」
「御主人様の出番ですね」
「そうです」
こうチカに言ってからだった。
ネオ=グランゾンのその力を放ちブラックホールを無効化した。戦艦から黒い闇が拡がりそのうえで消え去った。
それで何もかも終わりだった。巨大戦艦は完全に動きを止めた。
「ブラックホールが」
「ロゼ」
マーグはまたロゼに声をかけた。
「来るんだ」
「私が」
「そうだ、私と共にだ」
来るように言うのである。
「本当にバルマーの為に戦おう」
「バルマーの為に」
「バルマーは今のままでは滅びる」
マーグにはわかっていることだった。
「だからだ。バルマーの為に」
「ですが私は」
それでもロゼはまだ戸惑いを見せていた。
「司令にお応えすることは」
「兄さん」
「わかっている」
ここでまた弟の言葉に頷くマーグだった。
「あの戦艦は最早」
「沈むのは時間の問題だ」
まさにそうした状況だった。あちこちから火を噴いているのが何よりの証拠だ。
そしてそれを見ながらであった。決断の時を見ているのだった。
「ロゼはこのままでは」
「どうするんだ?それで」
「心配することはなし」
しかしここでマーグは言った。
「そこから出て来ないのなら」
「それなら」
「私から行く」
そうするというのである。
「ここはだ」
「兄さん、まさかまた」
「大丈夫だ。傷の回復は思ったより早い」
タケルが何を言いたいのかはもう察していた。
「気にするな」
「そうか。だったら」
「今からだ」
こう言ってであった。瞬間移動を使った。そのうえで巨大戦艦の艦橋の中に一人いるロゼの前に出てみせたのである。
艦橋の中もあちこちから火が出ていた。ロゼはその中に一人でいた。
その彼女にだ。マーグは言った。
「出よう、ここから」
「ですが」
この状況でも躊躇いを見せるロゼだった。
「私は」
「それならだ」
もうロゼに多くは言わせなかった。そしてだった。
彼女を抱き締めるとそのうえでまた瞬間移動を使った。そのままゴッドマーズに戻ったのである。まさに一瞬であった。
その瞬間に巨大戦艦は爆発した。そして今戦いは終わったのだった。
「終わったな」
「そうね」
「これで」
皆その沈む巨艦を見て言っていた。
「戦いはこれで」
「とりあえずは」
「まだバルマー軍はいる」
その彼等にマーグが告げる。
「しかしだ」
「しかしですか」
「それじゃあ」
「戦いが終わったのは事実だ」
それはだというのだ。
「今の戦いはだ」
「それではです」
シュウが告げてきた。
「地球に帰るとしましょう」
「よし、それなら」
「これで」
皆それに頷いてであった。各艦に戻る。マーグはマクロス7に戻ったところでがくりと膝をついたのであった。
「兄さん!」
「大丈夫です」
その彼に千葉が告げてきた。彼を心配して格納庫に来ていたのである。
「命に別状はありません」
「そうですか、よかった」
「ですが無理をしました」
それはというのである。
「休息が必要です」
「休息がですか」
「暫く。ゆっくりと寝てもらいましょう」
そうしてもらうというのである。
「戦いもとりあえずは終わりましたし」
「そうですか」
「私のせいで」
ロゼはそのマーグの左肩を担ぎながら言った。
「こうなってしまったのですから」
「どうするというんだい?」
「私に介抱させて下さい」
マーグを気遣う顔で見ながら千葉に言うのだった。
「どうかここは」
「いいんだね、君もかなり疲れている筈だけれど」
ロゼのその顔を見て言ったのである。確かにロゼの顔はかなり憔悴しきっていた。それはもうはっきりとわかるものだった。
「それでも」
「構いません。だから」
「わかった」
優しい顔で頷いた千葉だった。
「それならだ。頼んだよ」
「有り難うございます。それなら」
「ロゼ、君もまた兄さんを」
「離れたくない」
そのマーグを見ながらの言葉である。
「何があっても」
「そうか。君もまた」
「私は司令と一緒にいます」
こう言うのだった。
「ですから」
「わかった。それなら」
タケルはロゼの心を知った。それならばだった。
彼女の前を去る。そして二人きりにさせたのだった。
ロンド=ベルはシュウの力で地球に戻った。エクセリヲンも一緒であった。
「あれっ、いいんですか?」
「一緒で」
「正式にロンド=ベルに配属することになった」
タシロはこう皆に答えた。
「バルマー銀河辺境方面軍は倒した」
「その通りだ」
マーグはそれを聞いて静かに応えた。
「だが」
「その通りだ。まだバルマー帝国軍はいる」
それを言うのだ。
「あの刻印からまだ来るだろう」
「その彼等に対してですか」
「向かう為に」
「宇宙怪獣達はブリタイ司令が引き受けてくれるそうだ」
彼等がだというのだ。
「ゼントラーディ、メルトランディのかなりの数が太陽系の外に来てくれている」
「じゃあ俺達は」
「また地球圏の中の守りに」
「そういうことだ。そして我々もまた」
タシロは言う。
「その任に着くことになったのだ」
「皆あらためて宜しく」
ノリコが明るい声で皆に挨拶をしてきた。
「タカヤノリコ中尉配属になったから」
「同じくアマノカズミ大尉」
「ユング=フロイト大尉」
この二人もだった。
「宜しくね」
「はじめて見る人達もね」
「どうか宜しく」
「こちらこそ」
ロンド=ベルの面々も彼等に応える。
「何か三人とも凄い格好で」
「目のやり場に困るけれど」
「出撃時以外は軍服でいなさい」
未沙がすかさず言ってきた。
「いいわね、それは」
「えっ、制服って」
「そんなブルマーでいたら風紀を乱すわ」
生真面目な彼女らしい言葉だった。
「ただでさえこの部隊は風紀が乱れているというのに」
「そんなの気にしなくていいんじゃねえのか?」
それを一番乱しているバサラの言葉だ。
「別によ。そんなのはよ」
「バサラ君は特によ」
未沙はそのバサラに対しても言う。
「全く。人の話全然聞かないんだから」
「何かまた凄い人ばかりさらに集まったみたいね」
ユングはその彼等を見て微笑んでいる。
「私に似ている人もいるし」
「そうね。私に似てる娘も増えたし」
「だからまあそういう話はなしで」
ノリコが二人を止めてきた。
「私はハーリー君しかいないですし」
「一人でもいるだけましではないのか?」
タシロはこう言うのだった。
「わしなぞどれだけあの三輪長官と似てると言われたか」
「言われてみればそっくり」
「確かに」
藪蛇であった。
「本当に」
「嫌になる位に」
「とにかくですね」
シュウがここで言ってきた。
「マーグさんもロゼさんも無事に加わり何よりですね」
「ですよね」
彼の言葉にチカが頷く。
「それは本当に」
「さて、それでは」
また言うシュウだった。
「私はこれで」
「今度は一体どちらに」
「また時が来るのを待ちます」
微笑んでこう自身の使い魔に言うのである。
「その時にまた」
「そうですか。またロンド=ベルから離れて」
「大勢で何かをするのは私の性に合いませんので」
だからだというのである。
「それに」
「それに?」
「調べたいこともあります」
目に鋭い光が宿った。
「ですから余計に」
「そうですか。それじゃあここは」
「では皆さん」
ロンド=ベルの面々に対して告げるのだった。
「名残惜しいですがこれで」
「おいシュウ」
そのシュウにマサキが声をかけてきた。
「また出て来るつもりだな」
「時が来れば」
ここではこう言うだけのシュウだった。
「その時は」
「そうか、わかった」
マサキもそれを聞いて静かに頷いた。
「じゃあまたな」
「ではマサキ、貴方もお元気で」
最後は彼に別れを告げてであった。シュウはまた姿を消した。
マーグはすぐに回復した。それからすぐにロゼと共にロンド=ベルに加わった。そのうえでタケルと三人で話すのだった。
「我々はだ」
「これからロンド=ベルの中で」
「長かったよ」
こう兄に微笑んで言うタケルだった。
「けれどもう本当にね」
「そうだ、離れることはない」
「司令はそれだけ弟さんのことを」
「この世でたった二人だけの兄弟だ」
だからだとロゼに話すのだった。
「だからこそだ」
「そうですか」
それを聞いてだった。ロゼは深刻な顔になった。マーグはその彼女に問うた。
「どうした、ロゼ」
「いえ、私も」
その顔で答えるのだった。
「妹がいまして」
「えっ、そうだったの!?」
「ロゼさんに妹さんがいたの」
「そうだったんだ」
ここで皆出て来た。そのうえで驚いていた。
「へえ、しっかりしてるって思ったら」
「お姉さんだったのね」
「私と同じなのね」
ルナマリアが笑顔で言ってきた。
「ロゼさんって」
「ホークさんですか?」
「ルナマリアでいいわ」
ここでは気さくに返す彼女だった。
「それでね、ロゼさん」
「はい、ルナマリアさん」
「同じお姉ちゃん同士仲良くやろうね」
「は、はい」
少しおどおどしながら応えるロゼだった。
「こちらこそ。宜しく」
「何かロゼさんって」
「かなりっていうか」
「おしとやかな人?」
皆ここで気付いたのだった。彼女のその性格にだ。
「気が強いって思ってたのに」
「実は」
「女性はしとやかであるのに限る」
ナタルが皆に言ってきた。
「私もだ。実際に」
「そうそう、ナタルさんって言葉は厳しいけれど」
「乙女だし」
「下着なんて花柄とかフリルばっかりだし」
「アクセサリーとかお部屋の内装もね」
そうしたことも話されていく。
「男性の趣味も王子様とか特撮ヒーロー系だし」
「乙女チックなのよね」
「お料理もお裁縫も得意だしな」
「お、大人をからかうものじゃない」
ナタルは周りの言葉にその顔を赤くさせていた。
「だからだ。おしとやかなのがだな」
「こういう人もいますから」
「宜しく御願いします」
「わかりました」
少しおどおどしながら一同に応えるロゼだった。
「ナタル=バジルール少佐ですか」
「ナタルでいい」
彼女にしてもかなりくだけてきていた。
「それでロゼだったな」
「はい」
「君は料理や裁縫はできるのか?」
「父が厳しかったので」
まずはそこから話すロゼだった。
「他にも洗濯やアイロンがけも」
「ロゼは家事は何でもできるんだ」
ここでマーグも話してきた。
「どれも見事なものだよ」
「うわ、それは意外」
「如何にも女戦士って思ってたのに」
「乙女だったの」
「戦士であっても乙女だ」
こう主張するナタルだった。
「どうもこの部隊はそういうのは極端で困るがな」
「そういえばだ」
何故かアレンが出て来たのだった。
「俺の心が乙女とかいう話は何処から来たのだ?」
「御前も何か変な世界からの記憶があるんだな」
「不気味なマッチョのおっさんだが心は乙女の奴だったな」
こう相棒のフェイに返すのだった。
「御前は白鳥とかだったな」
「まあな。あれはあれで大変だったがな」
フェイにもそうした記憶が存在しているのだった。
「そこでもショウの奴と会ってたな」
「そうだったのか」
「そういえば何か俺も」
ショウもここで言う。
「アメジストにこだわっていたな。やたらと寒い国で」
「それでも俺よりはましだな」
アレンはその二人にまた言う。
「何故俺が乙女なのだ」
「それでだ」
アレンが腕を組み考えに耽っている間にもナタルの話は続いていた。
「ロゼ君は立派だ」
「その通りね。やっぱりお料理やそうしたことができるにこしたことはないわ」
クローディアもそれには賛成なのだった。
「できないよりは幸せになれるわ」
「何っ、そうなのか!?」
カガリがそれを聞いて驚きの声をあげた。
「私は料理はいつもバーベキューとか鍋とかだがそれは駄目か」
「野戦食だな、それは」
クランがすぐに突っ込みを入れてきた。
「それしか作れないとかか?」
「御飯は飯盒だが駄目か?」
何とそういう料理しか知らないカガリだった。
「オリエンテーション形式で美味しいぞ」
「御前本当にお姫様か?」
ここで出て来たのはやはりシンだった。
「何処の猿なんだよ、一体」
「私が猿だというのか!」
「そうだよ、猿だよ!」
また売り言葉に買い言葉だった。
「何処ぞのドイツ猿でもドイツ料理はできるぞ、それに対して手前は何だ!」
「ちょっと待ちなさいよ!」
そのドイツ猿も出て来た。
「あんたドイツ料理を馬鹿にしてるの!?」
「ドイツ料理は馬鹿にしないが手前は馬鹿にしてやる!」
アスカにも言い返すシンだった。
「マユなんかもうとびきりに美味い御馳走を作ってくれるんだぞ、それに対して御前はドイツ料理以外は何もないだろうが!」
「失礼ね、イタリア料理も作られるわよ!」
「何でそこでイタリアが出るんだよ!」
「ドイツ人はイタリアが好きなのよ!」
これは昔からである。
「だからそうなのよ」
「そうだったのか」
「そうよ。パスタもピザも得意よ」
「じゃあそれ食ってさっさと太れ」
まだ言うシンだった。
「ビールも飲んでな!」
「あんただってビール好きでしょうが!」
「ドイツ人みたいに痛風だらけになってたまるか!」
「ドイツってそんなに痛風多いのか?」
「ビールばかりだからな」
ディアッカの言葉にタスクが答える。
「それとソーセージにベーコンだろ?ジャガイモにはバターだよな」
「じゃあその組み合わせばっかだからか」
「禿も多いらしいな」
「げっ、そりゃやばいな」
髪の毛の話になるとさらに言うディアッカだった。
「なあシンジ、気をつけろよ」
「何で僕なの?」
「御前の親父さんやばいからな」
ゲンドウの話も出て来た。
「だからよ。息子の御前もな」
「そういえば僕額は」
「俺もだな」
そしてアスランもであった。
「額の広さがかなり」
「とにかくだ、手前もワンパターンな料理だよな」
「五月蝿いわね、まだ言うの!?」
「マユみたいに色々な御馳走作ってみやがれ!」
「ドイツ料理は御馳走よ!」
「それしかないから駄目だってんだよ!」
「しかもだ!」
またカガリが言う。
「私の料理を侮辱しているな!」
「侮辱じゃねえ、本当のことだ!」
カガリとも喧嘩をするのだった。
「野戦食作る姫様が何処にいるってんだ!」
「野戦食ではない、御馳走だ!」
「カガリ、ここは同盟よ!」
「わかった、それではだ!」
こうして三人で喧嘩をしていた。ロゼはそれを唖然とした顔で見ていた。
そしてであった。一人言うのだった。
「あの、これがですか」
「そうだ、ロンド=ベルだ」
まさにそうだと話すナタルだった。
「ここはこういう部隊だ」
「凄いですね」
ナタルに応えて言うのだった。
「本当に」
「ははは、すぐに慣れるよ」
そのロゼにタケルが笑顔で言ってきた。
「賑やかでいいよ」
「そうだね。賑やかだね」
マーグは既にその目を細めさせていた。
「色々な人間がいてそのうえで」
「さて、それではだ」
またナタルが言ってきた。
「今は休息に入ろう」
「はい、それじゃあ」
「これで」
戦いが終わった彼等はそのまま一時の休息に入った。しかし戦いはまだ終わらない。むしろこれからですらあった。
第三次完結篇第二幕完
2010・2・2
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