スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇
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第百八十六話 七柱の神々
第百八十六話 七柱の神々
「それではです」
「ああ」
「いよいよなのね」
シュウの言葉にマサキとミオが応える。
「冥王星にだな」
「そこに殴り込みね」
「言葉はいささか乱暴ですがその通りです」
シュウはミオの今の言葉を少し訂正を要求しながら述べた。
「そうしてバルマー軍とです」
「まずは」
今度は未沙が言ってきた。
「エクセリヲンとの合流ですね」
「そうだわ。それを忘れたら駄目よ」
ボビーも彼女のその言葉に頷いて述べる。
「折角だからね」
「無論それもわかっています」
シュウは微笑んで彼等のその言葉に応えた。
「その集合場所に移転しますので」
「それでは」
「問題はないわね」
「御心配は無用です」
まさにその通りだとも告げる。
「では皆さん」
「ああ」
アキトが真剣な面持ちで頷く。
「行こう、冥王星に」
「それであのバルマー銀河辺境方面軍ともだ」
「決着をつける」
今度はリュウセイとレビが言う。
「長い戦いだったがな」
「これでだ」
「まだそうした軍が四つあるにしてもね」
ミサトはこのことを言うのも忘れなかった。
「それでもね」
「そうですね。それでも一個方面軍を潰すのは大きいですよ」
今のミサトに応えたのはミナキである。
「やっぱり。これからのことを考えましても」
「それはその通りよ」
ミサトもそれは否定しない。
「まずはね」
「銀河辺境方面軍を倒して」
「地球の平和を回復させましょう」
そうするというのである。
「絶対にね」
「ええ。それじゃあ」
リツコがミサトのその言葉に頷いてみせた。
「冥王星にね」
「それじゃあいざ」
「敵地へ」
こうしてシュウのネオ=グランゾンの移動能力を使って一気に冥王星近辺まで辿り着いた。その宙域には既に彼等が展開していた。
「おお、来たか」
「お久しぶりです」
タシロとカズミが応えてきた。
「待っていたぞ」
「何か随分と大勢になってますね」
「そうね」
そこにはユングもいた。
「それに皆元気そうで何よりよ」
「待て、あんた」
エイジがそのユングに対して驚いた声で言った。
「っていうかそこの美人さんもだけれどよ」
「美人さん?」
「そこの青い髪の人だよ」
エイジはこうタシロにも言った。
「そこの。誰なんだあんた一体」
「アマノ=カズミよ」
その美人の方から微笑んで名乗ってきた。
「宜しくね」
「あんたもよ、その声よ」
「声!?」
「そう、声だよ」
エイジが言うのはこのことだった。
「その声だけれどよ」
「ああ、わかったわ」
ユングが微笑んで応えてきた。
「私の声がクェスやチャムちゃん達と似てることね」
「同一人物か?」
「あんたが言うな」
ルナは呆れながらエイジに突っ込みを入れた。
「そういうあんただって」
「ミスティさんとかマリーメイア、それにニナさんもだよな」
「他にもいるぜ」
絶好のタイミングでシンが突っ込みを入れてきた。
「ラーダさんにクロによ」
「こうして考えてみると」
「私の声に似てる人は多いニャ」
「そっくりじゃねえかよ」
こうカズミに言うのである。
「本当に同一人物か?」
「いつも言われるわ」
カズミは微笑みながら答えた。
「本当にね」
「世の中そっくりな人が本当に多いな」
エイジはあらためてそのことを思った。
「何だって位にな」
「そうかもね」
ここでノリコも出て来た。
「私は」
「何ですか?」
言おうとしたところでハーリーが出て来た。
「何か噂以上に僕に似てる人ですけれど」
「私そっくりなんじゃ?」
ミーナも言う。
「何なのって位に」
「確かに」
ノリコもそのことをすぐに自覚した。
「私にも遂にそうした人が出て来たのね」
「それはいいことだね」
「全くだ」
アキトとビリーが同時に頷く。
「実は俺も」
「前から思っていたが」
お互いに言い合う。
「最初に会った時から」
「それは」
「まあよくあることだ」
タシロが笑いながら言ってきた。
「気にすることはない。しかし本当にさらに大勢になったな」
「はじめて見る人も多いし」
ノリコも笑いながら話す。
「とりあえずじっくりお話聞いてみたいわね」
「そうよね。それはね」
ユングも笑いながら応える。
「似てる面々もさらに増えたし」
「本当にそっくりだな」
ヒギンズも言う。
「おかげで他人の気がしない」
「だから同じ人じゃないかな」
斗牙もそう思う他なかった。
「それじゃあ」
「そうですね」
「だからあんた達も人のこと言えないのっ」
ルナは今度はその斗牙とルカに話す。
「何でこう似てる人達が多いのよ、ロンド=ベルは」
「気にするな」
「そうだよ」
今度はノインとリョーコが言う。
「それはよくあることだ」
「だから気にするな」
「気にするわよ、私にはいないから」
ルナはそれがかなり不満であった。
「それがどうもね」
「御前それは言っても仕方ねえだろ」
エイジが呆れながらいじけかけるルナに言う。
「そういう御前はよ」
「何よ」
「どっかの世界でサイコソルジャーだろ」
「記憶がある気がするわ」
「じゃあいいじゃねえかよ」
強引にそういうことにしてしまうのだった。
「俺はそっちの世界は知らねえからな」
「けれどあんたはライダーの世界にいるじゃない」
「そっちは俺だけじゃねえけれどな」
また世界が複雑なものになってきていた。
「大体よ、ユンだってよ」
「私ですか?」
「どっかの世界で隅っこの方で領主やってただろ」
「自覚はあります」
ユンはそれを言われると困った顔になるのだった。
「あと包丁持って暴れたことも」
「だよな。何か最近あちこちの世界に記憶が飛ぶな」
「それを言うと話が収まらないんだけれど」
そのことを指摘したのはアムだった。
「もう誰でも同じものがあるから」
「全くだよ。例えばクワトロ大尉も」
「私か」
「他の世界で忍者だったり蝙蝠だったりした記憶があるよな」
「その通りだ」
レッシィの言葉を認めるしかないクワトロだった。
「他にはスタンドの記憶もある」
「ほらね、こういうものなんだよ」
レッシィはそう話す。
「皆ね」
「本当にこの位にしておかない?」
スメラギは妙に深刻な顔になっていた。
「話が収まらなくなるわ」
「その通りね」
その言葉に頷いたのはドロシーだった。
「言っておくけれど」
「言っておくけれど?」
「私もユンもスワンも別の名前のことは知らないから」
「そ、そうですよね」
「その通りデス!」
ドロシーの今の言葉に何故か必死に合わせる二人だった。
「それはまあ」
「気のせいデス!」
「そんなことは堂々としていればいいんじゃないのか?」
シローはそれには構わなかった。
「俺だったらそうするが」
「そうだな」
それに頷くアレンだった。
「俺もだ」
「いや、あんた達は」
「声ですぐわかるから」
皆二人にはこう突っ込みを入れる。
「恋とか姫とかで」
「丸わかりでしたよ」
「ねえ、もう」
「一発で」
「だから隠す必要はないんだ」
「わかることならな」
こうして完全に居直る二人だった。
「そうだろ、サンドマンさんよ」
「それにフラガ少佐」
同時に二人も引き込む。
「こういうことってやっぱりな」
「隠したら駄目なんだよ」
「そういうものだが」
「しかしな」
だが二人はそのことにはかなり困った顔を見せていた。
「私はどうもな」
「賛成できねえな」
こう言うだけだった。
「だが。言葉の意味はわかる」
「それはな」
「じゃあよ、やっぱりよ」
「それでいいじゃないか」
「とにかくだ」
サンドマンはさらに強引に言ってきた。
「今は戦いの場に向かうとしよう」
「その通りです」
レイヴンもそれに応える。
「それでは今こそ冥王星に」
「向かうとしよう」
こう話をして戦場に赴く。その冥王星に辿り着くとであった。
「来たな」
「そうだな」
「遂にだ」
七隻のヘルモーズがまずはそこにいた。そして無数の軍勢もである。
「ここが決戦の場となる」
「我等が勝つか地球人が勝つか」
「その戦いだ」
「よいか」
バランもいた。
「ここで奴等を倒す」
「はい、わかっています」
「それでは」
「我等も」
七人のジュデッカ=ゴッツォ達がここで応える。
「切り札を出します」
「いざという時は」
「あのズフィルードを」
「そうしましょう」
こう言って彼等を迎え撃つ。その時だった。
ロンド=ベルが来た。冥王星に向かわんとしていた。
そこで両軍は会った。早速対峙する。
「へっ、いやがるな」
「数はどれだけかしら」
「前の二倍位じゃな」
兵左衛門が一同に答える。
「その程度じゃな」
「相手にとって不足はねえ!」
勝平がここで叫ぶ。
「次から次にだ。倒してやるぜ!」
「そうだな。それしかないな」
「ここはね」
彼に対して宇宙太と恵子も言う。
「あの七隻のヘルモーズを倒してな」
「ズフィルードも倒さないと」
「いいか、三人共」
一太郎も三人に言ってきた。
「ここは確かに正念場だ」
「そんなの言わなくてもわかってるぜ」
「そうじゃない。それでもだ」
さらに言ってきたのである。
「無理はするな」
「無理はかよ」
「確かに銀河辺境方面軍との戦いはこれで終わる」
それはだという。
「しかしだ」
「まだ先があるってのかよ」
「そうだ、バルマーにもまだ戦力はある」
一太郎はこのことを念頭に置いていた。
「それに宇宙怪獣達もいればスピリチュアルもいる」
「何かまだ結構いるんだな」
「だからだ。わかるな」
一太郎はまた勝平に話す。
「ここは無理はするな。戦いはまだあるんだ」
「何か思いきりやりたいんだけれどな」
「全力で戦え」
それはいいという。
「しかしだ」
「しかしなのかよ」
「命は粗末にするな」
こう言うのである。
「わかったな、それはな」
「命はかよ」
「そういうことだ。二人もだ」
宇宙太と恵子にも声をかけるのだった。
「何があっても絶対に死ぬな。いいな」
「わかったよ、一太郎さん」
「じゃあ私達も」
二人も彼の言葉に頷く。
「ここは死ぬ場所じゃない」
「生きる場所だから」
「そうだ、生きる場所だ」
まさにそれだというのだ。
「死ぬな。いいな」
「わかったぜ、兄ちゃん」
ここでやっと頷く勝平だった。
「それじゃあ俺は生きるな」
「よし、じゃあそういうことでな」
「やるか」
こうしてだった。彼等は戦場に向かう。遂に全軍がぶつかった。
ロンド=ベルとバルマーの決戦がはじまった。双方激しい戦いの中に身を置いた。
「おらよ!」
「どれだけ敵が多くてもね!」
「へ、平気だ」
「全くな」
ガルとミン、ゴル、ジンがそれぞれ言いながら攻撃を浴びせる。
「数で怯むんならな!」
「今までで終わってんだよ!」
「そ、それよりも」
「質で来い」
「がはははははははは!いい準備体操だ!
グン=ジェムは周りの敵を次々に切り刻んでいる。
「これだけの数があれば身体がなまることはないわ!」
「相変わらず楽しんでるね」
その彼にライラが声をかけてきた。
「この戦いも」
「そっちはどうだ?」
「軍人だからね」
微笑んで返すライラだった。
「こっちもね」
「そうか、戦いを楽しんでるのか」
「楽しんでるっていうかこの部隊では好きなだけ戦いたいね」
そうだというライラだった。
「私はそうだよ」
「そうなのか」
「ああ、そうなんだよ」
言いながらであった。そのまま己の機体を駆って戦う。今の機体はドーベンウルフだった。
「ティターンズとは違ってね」
「その時よりもいいのか」
「いいね」
言葉が微笑んでいた。
「とてもね」
「そうか。それならだ」
「やらせてもらうよ」
インコムを放った。それで前に来た敵の小隊を巧みに倒す。
「こうしてね」
「いい腕だな、相変わらずな」
「見事だ」
ここでジェリドとカクリコンも来た。カクリコンが乗っているのは今はバイアランである。
「まあ俺も今の方がな」
「気分よく戦える」
それは彼等も同じであった。
「ティターンズは嫌な仕事も多かったからな」
「それと比べたらずっといい」
「その通りだね。ヤザン」
「何だ?」
ライラは今度はヤザンに声をかけた。
「あんたもそうかい?」
「まあな」
笑いながら返してきたヤザンだった。ラムサス、ダンケルを従えながらだ。
「こういう戦いも悪くねえな」
「そうだね。人類の為とかいうのはね」
「こそばゆいもんだがここでの戦いはね」
「いいもんだぜ」
そういうことだった。
「結構以上にな」
「そういうことね」
マウアーも言う。
「この戦いはいいわね」
「しかし」
「しかし?」
ライラは今のグン=ジェムの言葉に問うた。
「これで終わりではないな」
「終わらないっていうのかい」
「それはもうわかっているな」
こうライラに問い返してもきた。
「もうな」
「そうだね。まだ色々といるからね」
「わしはまだ戦わせてもらおう」
言葉はまた楽しそうな感じになった。
「思う存分な」
「期待してるよ。それじゃあね」
「戦うか」
「そうだね」
こうして彼等も戦う。さらにであった。
「それじゃあ」
「これからの戦いの為にもだ」
こう言ってまた戦場に向かう。彼等の戦いは激しくなる一方だった。
バルマー軍はしつこいまでに波状攻撃を浴びせる。しかしであった。
それでもロンド=ベルは負けていなかった。逆に攻撃を浴びせその攻撃を潰していく。そうして遂にであった。
「よし、見えてきたぜ!」
「バルマー軍!」
「来たな!」
「ああ、ヘルモーズだ」
「来たな」
遂に七隻の戦艦が出て来た。それに乗るのは。
「エペソ=ジュデッカ=ゴッツォ」
「サルデス=ジュデッカ=ゴッツォ」
「ヒラデルヒア=ジュデッカ=ゴッツォ」
「ラオデキア=ジュデッカ=ゴッツォ」
「スミルナ=ジュデッカ=ゴッツォ」
「ベルガモ=ジュデッカ=ゴッツォ」
「テアテラ=ジュデッカ=ゴッツォ」
彼等はそれぞれ名乗ってきた。
「我等七人がだ」
「それぞれ相手をさせてもらおう」
「それでいいな」
「わしもだ!」
そしてバランも自ら来ていた。キャリコとスペクトラもだ。
「小童、いるな!」
「ああ!」
トウマが彼の言葉に応える。
「いるぜ、ここにな!」
「ならば来い!」
言葉は多くは不要だった。
「ここで決着をつけてくれる」
「へっ、こっちもそのつもりだぜ」
「いい顔になってきておるわ」
バランは彼のその顔を見て笑った。
「最初のあの時の顔とは大違いよ」
「あんたは相変わらずだけれどな」
「何っ!?」
「相変わらず達磨みたいな顔をしてるな」
「ええい、黙れ!」
達磨と聞いてすぐに怒りの声をあげてきたバランであった。
「わしを達磨というか!」
「いや、ちょっと待て」
「今の言葉だけれど」
コウタとショウコがそこに突っ込みを入れる。
「あんたバルマー人なのに達磨知ってるのか」
「それは何でなの?」
「ひょっとしてさ」
ミオも笑いながら言ってきた。
「目の玉が出る達磨とかは」
「知っておる」
こうミオに返すバランだった。
「それもだ」
「あはは、話がわかるね」
「おい、だからだよ」
「何でそれを知ってるのよ」
それをさらに言う二人だった。
「そんなことをよ」
「どうしてなの?」
「地球で見た」
これがバランの返答だった。
「それで知ったのだ」
「何時の間にそんなものを」
「何か凄い話」
「そしてだ」
彼はさらに言うのだった。
「わしは間違っても達磨ではない!」
「別に力説しなくていいんじゃないかしら」
ミナキはその彼の言葉を聞いてまずは首を捻った。
「何もそこまでは」
「だよな」
それにトウマも頷く。
「何もそこまでな」
「そうよね。ムキにならなくても」
「そうだよな」
「わしにとっては無視できん」
彼にとってはという。
「そうしたことはだ」
「まあそれならそれでいいけれどな」
「そうね」
トウマとミナキはそれ以上バランに言わなかった。
「とにかくだ。七隻のヘルモーズだ」
「またこれの相手ね」
「それだけじゃない」
クォヴレーが二人に言ってきた。
「ここはだ」
「ああ、そうだな」
「撃沈してからもね」
それからの展開ももうわかっている彼等だった。
「出て来るんだったよな」
「ズフィルードが」
「諸君」
ここでまた大河が全員に言ってきた。
「まさに正念場だ」
「はい、確かに」
「それは」
「人類の興廃この一戦にあり!」
そしてこうまで言う。
「全員健闘を祈る!」
「よし、まずはだ!」
火麻もここで言う。
「全員散れ!散開だ!」
「はい!」
「ここは!」
「ヘルモーズの主砲に注意しろ!」
だから散開しろというのである。
「それでだ。一気に迫りだ」
「はい、一気に」
「そうして」
「潰せ!」
彼らしい言葉だった。
「いいな、それでだ!」
「了解です!」
「それじゃあ!」
「わかったな。一気に沈めろ!」
火麻はさらに告げるのだった。
「それでズフィルードを引き摺り出せ!」
「へっ、面白くなってきたな!」
ヘクトールの言葉である。
「ここまで派手だとかえって楽しいぜ!」
「そうね」
パットも微笑んでいた。
「何か相手にとって不足はないって感じで」
「まずは散開してだ」
「攻撃開始ですう」
アーウィンとグレースもだ。
「そのうえで沈める」
「そして」
「ズフィルードをだ」
「倒しましょう」
ジェスとミーナも言う。
「それから冥王星だ!」
「一気に行くわよ!」
「よし、諸君!」
ブライトも指示を出す。既に七隻の戦艦以外は全て倒してしまっている。残っているのはバランとキャリコ、スペクトラだけとなっている。
「あんた達の相手はな!」
「俺だ」
「それでいいわよね」
トウマにクォヴレー、セレーナがそれぞれ言う。
「決着をつけるからな」
「そういうことだ」
「文句あるかしら、それで」
「小童、ますます気に入ったぞ」
バランはトウマのその言葉を聞いてさらに言うのであった。
「どうやらまことにわしの相手に相応しいな」
「そう言ってくれるんだな」
「左様、バラン=ドバン参る!」
まさに武人の言葉であった。
「そしてこの鉄球で粉砕してくれようぞ!」
「望むところだ。行くぜ!」
「貴様にはまだ聞きたいことがあるが」
「ふん、何だ?」
キャリコがクォヴレーに返した。
「俺にまだ聞きたいことがか」
「少なくとも貴様は言わない」
彼もそれは読んでいた。今までの彼とのやり取りでだ。
「だが。それでも聞き出す方法はある」
「無理にということか」
「戦いの中でわかる」
だからだというのである。
「だからだ」
「そうか。なら来るのだな」
こうして二人も闘いに入る。そしてセレーナとスペクトラもである。
「私だってね!」
「どうやらだな」
スペクトラも彼女に言葉を返してきた。
「私と御前はだ」
「何だっていうのかしら」
「どちらかが生き残り」
スペクトラは言う。
「どちらかが死ぬ関係の様だな」
「そういう刹那っていうか運命的な話は好きじゃないわね」
「好きではないか」
「そうよ」
それは事実だという。
「ただ」
「ただ?」
「あんたは倒すわ」
それは絶対だというのである。
「何があってもね」
「仲間の仇か」
「そうよ」
「ですよね」
エルマも話に加わってきた。
「やっぱりあの時のことは」
「そうよ、忘れないから」
「地球人共を倒して何が悪い」
「あんたはどうも思っていなくても」
セレーナの声が強いものになった。
「私は違うのよ。見なさい!」
こう言ってであった。スペクトラに迫る。
「この私の力で。あんたを倒すわ!」
「望むところだ」
スペクトラも彼女に向かう。
「敵は倒す。それだけよ」
「覚悟!」
彼女達も戦いに入る。冥王星前で最後の戦いがはじまった。
ヘルモーズは果敢に攻撃を仕掛ける。しかしであった。
「当たるかよ!」
「そんな攻撃!」
ロンド=ベルの面々は巧みな動きで巨大戦艦の動きをかわしていく。
「その程度でな!」
「倒せるわけないでしょ!」
「くっ、何と素早い!」
「ならば!」
主砲を放ってもだった。散陣でそれをかわす。そうしながら戦っていた。
ヘルモーズはどれも次第にダメージを負っていく。そうして。
「どうやらだな」
「うむ、そうだな」
「ここは」
彼等はそれぞれ言っていく。
「我等の出番か」
「地球人達も侮れぬ」
「まさかここまでとはだ」
こう言ってであった。それぞれのヘルモーズが沈められた。
そしてその中から。遂に出て来たのであった。
巨大なマシンがだ。それこそは。
「ズフィルード」
「やっぱり出て来たのね」
「遂にかよ」
「一つ言っておく」
七人の一人ラオデキアの言葉である。
「汝達に対してだ」
「あんたとも長いよな」
リュウセイがその彼に言ってきた。
「オリジナルのあんたとも会ったぜ」
「余のオリジナルともか」
「ああ、そうさ」
まさにそうだというのである。
「それとも会ったぜ」
「確かにあの余は余のオリジナルである」
それは彼も認めた。
「しかしだ」
「しかし?」
「どうだというのだ」
リュウセイだけでなくライも述べてきた。
「何か引っ掛かる言い方だけれどよ」
「何だというのだ」
「余達はだ」
「そうだ、我々はだ」
「オリジナルであってもだ」
「オリジナルではない」
こうそれぞれ言ってきたのである。他のジュデッカ=ゴッツォ達もだ。
「ラオデキア=ジュデッカ=ゴッツォのオリジナルもだ」
「本来の意味でオリジナルではない」
「それは言っておく」
「まさか」
それを聞いてわかったのはアヤだった。
「貴方達七人のオリジナルの元になった者がいる」
「有り得ることだ」
レビも言ってきた。
「バルマー軍の司令官はだ」
「ええ」
「全てあの連中だ」
そのラオデキア達だというのだ。
「あのタイプだ」
「艦隊司令官はなのね」
「そうだ、バルマー軍の五つの方面軍」
大きく分けてそう区分されている。
「そしてそれをそれぞれ構成している七個艦隊」
「合わせて三十五艦隊の司令達は」
「全てあのジュデッカ=ゴッツォだ」
そうだというのである。
「そしてジュデッカ=ゴッツォというのは」
「どうだというの?」
「バルマー十二支族の一つ」
バルマーを構成する十二の家だ。
「ジュデッカ=ゴッツォ家のことだ」
「ってことはだ」
リュウセイもここまで話を聞いてわかったのだった。
「あの連中はそのジュデッカ=ゴッツォ家の奴のクローンってわけか」
「そういうことだ」
「ああ、だからか」
ここまで聞いて全てを理解したリュウセイであった。
「奴等全部同じ顔に声だったんだな」
「そういうことだ」
「バルマー十二支族はだ」
ここで言ってきたのはヴィレッタだった。
「ドバン家にだ」
「あのおっさんか」
「それにギシン家」
マーグの家である。
「ポセイダル家にトーラー家、ゴッツォ家、それにジュデッカ=ゴッツォ家等があるがだ」
「どれもバルマーの権力を独占している」
レビも話してきた。
「その十二の家がだ」
「確かグラドスもだったよな」
「そうだ。グラドス家だ」
ヴィレッタは彼等もそうだと説明した。
「その十二の家が霊帝を補佐し支えているのだ」
「成程な」
それを聞いて納得した顔で頷くリュウセイであった。
「それで十二支族全部じゃないにしろだ」
「他にも家はある」
「バルマーの中枢って訳か」
「バルマー帝国は巨大だ」
レビもまた言ってきた。
「しかし権力を持っている者は僅かだ」
「つまりは」
アヤはここまで話を聞いて述べた。
「専制国家ってことね」
「しかもかなり封建的色彩も強いな」
ライも言う。
「前から思っていたことだが」
「今時珍しい国家じゃないのか?」
「いえ、そうも言えないみたいよ」
ガーネットがジャーダに話す。
「だってボアザンもそうだし」
「そういえばあの国もだったな」
「確かにバルマーはかなり極端だけれど」
このことは否定しなかった。誰がどう見てもであるからだ。
「それでもね。そうした国家はね」
「やっぱり少ないよな」
「そう思うわ。それで今は」
「ああ」
「ズフィルード達を何とかしないとね」
そのバルマー帝国の切り札をである。それに立ち向かうのであった。
総員でそのズフィルードに向かう。しかしであった。
流石に強い。皆その戦闘力にまずは唖然となった。
「くっ、この強さ!」
「前よりも」
「強くなってる!?」
そのことをすぐに感じ取った。
「俺達の戦闘データを読み取ってか」
「それで」
「その通りだ」
ペルガモが彼等に応えてきた。
「我等はその手に入れたデータで戦ってきた」
「そして勝利を収めてきた」
ヒラデルヒアも言う。
「それは汝等も知っている筈だ」
「よくな」
「確かにね」
ジュデッカ=ゴッツォ達の今の言葉に万丈が答える。
「それはバルマー戦役の時からよく知っているよ」
「ならばだ」
「我等に勝てはしないということを」
「わかっている筈だ」
「わかってはいても言うことはあるよ」
こう返す万丈だった。
「それはね」
「それは?」
「何だというのだ?」
「ズフィルードが読み取っているのは過去の僕達だね」
こう言ってみせたのである。
「今の僕達については読み取っていないね」
「今の戦闘から読み取っている」
「それは間違いだ」
「違うね」
しかし万丈はまだ言う。
「僕達は今この瞬間にも強くなっているのさ」
「今もだと?」
「この瞬間にも」
「強くなっているというのか」
「その通りさ。僕達の強さは常に進化している」
不敵な、自信に満ちた笑みと共の言葉だった。
「その進化は光速さ」
「戯言を」
「そう言うか」
「ならばその証拠を見せてみるのだ」
「いいだろう」
それに応えてきたのはジェスだった。
「この俺の剣でそれを教えてやる」
「そうだな」
続いたのはアーウィンだ。
「少なくとも俺にもできる」
「その通りよ」
「それはね」
パットとミーナも言ってきた。
「私達が見せてあげるわ」
「今ここでね」
「さて、それじゃあね」
「行きますですう」
ヘクトールとグレースも出て来た。
「一気にやらせてもらうか」
「今から」
「よし、それならな!」
「やってやるぜ!」
「一気に!」
彼等は一気にズフィルード達に向かった。そうしてであった。
まずはジェスとミーナだった。二機のグルンガストが動きを合わせる。
「ジェス、やるわ」
「あれをか」
「ええ、あれなら決められるわ」
ミーナが主導していた。そのうえで一気にズフィルードの一機に接近してだ。
あの剣を出してそうして。
「行くわよ、計都羅喉剣」
「暗剣殺!」
二人で攻撃を合わせて一閃させた。縦と横、十文字に斬られた。
そしてアーウィンとグレースもであった。
「グレース」
「はいですう」
「決めるぞ」
「じゃあ私が援護を」
「ありったけの攻撃を撃ち込め」
彼女のラングリースへの言葉だ。
「そして俺はだ」
「どうするんですかあ?」
「これで決める」
言いながらブラックホールキャノンを出してきた。
「これでだ!」
「決めますです!」
二人で一気に渾身の攻撃を撃ち込まんとする。照準を合わせて一気に撃った。
そうしてヘクトールとパットもであった。
「ヘクトール!」
「おうよ!」
威勢のいい声でパットに応える。
「決めるってな!」
「そうよ、決めましょう!」
「よし、それならな!」
「どうするの?」
「二人で同時にやるぜ」
笑いながら彼女に言ってきた。
「それでいいな」
「二人同時ね」
「ああ、そうだ」
そうしてであった。言う言葉は。
「あれでな」
「ええ、あれで」
「行くぜ!」
「それだったら!」
それぞれ言ってであった。まずは跳んだ。
そうして一気に急降下してであった。
「ゲシュペンスト!」
「キィーーーーーーーック!」
一気に蹴りぬいた。それで勝負を決めた。
そしてであった。ギリアムも攻撃を仕掛けていた。
「汝はだ」
「何だ?」
「我等を知っているのか」
こう彼に問うたのはラオデキアであった。
「まさかと思うが」
「いや、御前達のことは知らない」
「知らないのか」
「貴様等の中にいた者は見たことがあるがな」
「我等の中だと?」
「ユーゼス=ゴッツォ」
この名前を出すのだった。
「この男はだ」
「あの反逆者か」
ラオデキアはその名前を聞いて述べた。
「余のオリジナルに粛清されたな」
「そうだったな。あの男は知っている」
「しかし妙な言い方だな」
ラオデキアはそのことも見抜いていた。
「何かこの世界のことではない様な口振りだ」
「俺はこの世界の住人ではなかった」
「ほう、そうなのか」
「違う世界から来た。その世界に奴がいたのだ」
「?どういうことだ?」
「世界は一つだけではない」
ギリアムは言った。
「御前達が思っているより複雑なのだ」
「複雑だというのか」
「この世界だけではないということだ」
再び言ってであった。
そのスラッシュリッパーを放つ。しかも一度ではなかった。
無数に放ちであった。ラオデキアのそのズフィルードを切り刻んだのであった。
ゼンガーもであった。一気に迫る。
「参る!」
その斬艦刀を構えてであった。
そのうえで斬る。それにレーツェルが続く。
「友よ!」
「うむ!」
「今こそ我等の心を一つに!」
「その時だ!」
「受けよ!」
レーツェルのヒュッケバインはブラックホールを放った。
そしてゼンガーはその剣で一閃して。それで勝負を決めたのであった。
アラドとゼオラもであった。二人の息が一つになっていた。
「アラド!」
「わかってる!」
二人のマシンが全速移動に入っていた。
そうしてリミッターを解除してだ。
「行くぜ!」
「これで!」
「ツインバード」
「ストライーーーーーーーーーク!」
その翼で斬ってであった。しかも何度もである。
「アイン!」
「ツヴァイ!」
何度も切り裂きそのうえで。留めの剣の一撃を決めてみせたのであった。
最後の一機に向かったのは。フォルカであった。彼の横にはアルティスがいる。
「あれを決めるのだな」
「そうする」
「わかった」
アルティスはその言葉を受けて頷いた。
「それでは私もだ」
「動きを合わせろ、いいな」
「うむ、行くぞ!」
「い出よ蒼覇龍!」
その両手に龍を出してであった。一気にその龍を放ってきた。
「受けよ!」
その龍を放ち叫んだ技は。
「真覇猛激烈波!!」
そしてアルティスもまた。
「我が最大奥義」
そして。
「紅蓮!覇炎陣!」
二人の奥義が炸裂した。それでズフィルードの動きを止めてしまった。
七機のズフィルードが倒された。これはジュデッカ=ゴッツォ達にとっても予想外であった。
「何っ!?我等が」
「我等が敗れたというのか」
「まさか」
「まさかではない」
フォルカがその彼等に対して告げてきた。
「万丈が言ったな」
「それか」
「それなのか」
「我々の進化は光速だ」
フォルカも言った。
「それをわからなかったからこそだ」
「我等は敗れた」
「そういうことか」
「その通りだ。それではだ」
七人のジュデッカ=ゴッツォ達に静かに告げた。
「安心して旅立つがいい」
「くっ、バラン様」
「それでは」
「うむ」
バランはその彼等の言葉を静かに受けていた。
「わかっておる」
「我等の最期見届けて頂きたい」
「今ここでの」
「誇り高き最期見せてもらおう」
バランは言った。彼等に対して。
「今からな」
「では」
「これで」
七人は爆発するズフィルードと運命を共にした。これで戦いは終わった。
バランは彼等の最期を見届けるとだった。まずはキャリコとスペクトラに告げてきた。
「してだ」
「はい」
「我々ですか」
「そなた達は戻れ」
こう彼等に告げたのである。
「本来の部隊にだ」
「グラドス軍と同じく」
「ここはですか」
「後はわしが預かる」
バランはまた告げた。
「わかったな」
「はい、それでは」
「我々はこれで」
「それではな」
こう言って去らせようとする。しかしここで。
「いえ」
「むっ!?その声は」
マーグの声だった。ペミドバンのそのモニターに彼が出て来ていた。
「マーグか」
「はい、ここはです」
「わしも去れというのか」
「後は私にお任せ下さい」
こう言うのである。
「それで御願いします」
「しかしじゃ」
「私は勝ちます」
何時になく強い言葉であった。
「だからじゃ。よいな」
「わかった」
言っても引かないと見た。ならばであった。
彼も去ることにした。しかしここで言うのであった。
「マーグよ」
「はい」
「御主のその心、見せてもらった」
このことをである。
「しかとな」
「私の心をですか」
「そしてじゃ」
マーグにさらに話していく。
「その武勇もじゃ」
「私の武勇も」
「そう、見せてもらった」
それもだというのだ。
「御主ならば絶対に道を開ける。ではな」
「また御会いしましょう」
「それでは」
こうしてバランもまた去った。そうしてであった。
冥王星を前にして。タケルはマーグに対して言った。
「兄さん・・・・・・」
「私を兄と呼ぶならばだ」
マーグもまたタケルに対して返してきた。
「来るのだ」
「来いというのか」
「そうだ、来るのだ」
そうしてそのタケルに告げた言葉は。
「全ての決着をつける」
「全ての」
「私が死ぬか御前が死ぬか」
今のマーグはこう考えていた。
「どちらかだ」
「どちらかでもない」
しかしタケルはそれは違うという。
「どちらでも」
「ではどうだというのだ?」
「何度も言っている。俺は必ず兄さんを取り戻す」
そうだというのである。
「必ずだ。兄さんは俺の」
「それはないがな。それではだ」
これでマーグはモニターから消えた。そうして姿を消した。後に残ったタケルは。
「俺は」
「ええ、行きましょう」
アスカがタケルに声をかけてきた。
「お兄さんと取り戻しね」
「アスカ・・・・・・」
「いい、皆」
シンジだけでなく全員に言うアスカだった。
「何があってもね。マーグさんをタケルさんのところにね」
「本気ね」
「この時を待っていたのよ」
こうまでレイに返すアスカだった。
「だから。冥王星に」
「わかったわ」
レイもアスカのその言葉を受けて頷いた。
「それじゃあ」
「よし、それで」
「それなら」
こうして全員で向かわんとする。その中でレイも言うのだった。
「私も」
「綾波もなの?」
「タケルさんの願いを叶えたい」
そうだというのである。
「絶対に」
「そうなんだ」
「あれだけの想いは必ず」
こう言ってタケルのゴッドマーズを見るのだった。
「叶わないといけないから」
「いけないんだ」
「だから」
だからこそだというのである。
「私も」
「そうだ」
刹那も頷くのだった。
「俺は今まで」
「今まで?」
「人の心があそこまで強いとは思わなかった」
そうだったのだ。彼もだ。
「一途な。あそこまでだとは」
「そうね」
それにノリコも頷いた。
「タケルさんのことは聞いていたけれど」
「そうね」
それに頷くのはユングだった。
「実際に見たら凄いわね」
「けれど。あの心は」
カズミも彼を見ていた。
「きっと。何かを成し遂げるわ」
「まずは心だ」
タシロも言うのであった。
「心があってこそだ。だからこそだ」
「そうですよね。それじゃあ」
「諸君!」
そのタシロの言葉だ。
「いざ冥王星へだ!」
「はい、それじゃあ!」
「今こそ!」
「行きましょう、タケルさん」
ルリが彼に声をかけてきた。
「お兄さんを取り戻しに」
「うん、ルリちゃん」
「私はまた見ます」
彼女の中ではそれは既に決まっていることだった。
「人の美しさを」
「何かルリちゃんって」
「ああいうのが案外好きなのね」
メグミとハルカがそのルリを見て話す。
「一矢さんの時から」
「本当にね」
「はい、好きです」
ルリ自身もそれを認める。
「あそこまで一途な方は」
「奇麗ですよね」
ハーリーも熱い目でタケルを見ていた。
「あそこまで強く想っていると」
「妬けるかな」
ビリーも苦笑いになっていた。
「あそこまでの感情は僕には持てそうにもないな」
「危ない意味じゃなくてか」
「ははは、僕にはそれはないよ」
こうアキトに返すのだった。
「それはね」
「そうかな。ビリーさんも」
「そうだといいけれどね」
こう話す彼等だった。しかしここで周りはひそひそと囁き合うのだった。
「ビリーさんとアキトさんと」
「一緒にいたら何か」
「全然区別つかないし」
「同盟国以上のものを感じるけれど」
「いや、俺もね」
そのアキトが明るく話していた。
「こうした人がいてくれて嬉しいよ」
「それは素直に羨ましいです」
ルリの言葉はここでは変わった。
「私としましては」
「じゃあ私は?」
ユリカが出て来て言う。
「どうなんですか?」
「物凄く羨ましいです」
実に素直に言うルリだった。
「こればかりはどうしようもありませんから」
「そうですよね。僕もやっと」
「私はリィナちゃんとエマさんがいるし」
ハルカはいるのであった。
「だから羨ましくはないけれど」
「私は凄く羨ましいです」
ここで何故かユンが出て来た。
「というか前から影が薄いような」
「それ呪いじゃねえのか?」
リュウセイが結構真面目な顔で話す。
「何かよ。北の方の隅っこで領主やってた記憶あるだろ」
「そこで散々に言われた記憶があります」
それをどうしても否定できないユンだった。
「レフィーナ艦長は」
「私は別に」
彼女は違うという。
「だって。サリーさんがいますから」
「それに私包丁持って暴れません」
何故かこのことも必死に否定するユンだった。
「弟は大好きですけれど」
「馬はどうなんだ?」
「大好きです」
またリュウセイに答える。
「そちらも。白馬が」
「それで下着は?」
「青と白のストライブか白です」
アヤの問いに実に素直に答える。
「その二つが一番好きです」
「そうよね、やっぱり」
「って何言わせるんですか」
言ってから気付いたユンだった。
「何か私最近変に言われますけれど」
「声のせいじゃないですか?」
綾人が突っ込みを入れる。
「俺も最近」
「そういえば綾人君は何か」
「ライオンとか言われるようになりました」
「昔は俺だけだった」
何故かアランがここで言う。
「それが変わってきたからな」
「そっちの世界なら俺か?」
宙まで出て来た。
「何かよ。あの世界だと俺全然目立たなかった気がするんだがな」
「それは気のせいじゃねえだろ」
豹馬が言ってきた。
「絶対によ」
「そうだな。絶対にな」
彼もまた否定できなかった。
「ちっ、どうせ天馬はよ」
「前世もっと酷いじゃねえのか?」
カイも言ってきた。
「もうよ。目立つのはよ」
「黄金だけよね」
「っていうか主役そっち?」
今度はミリアリアとメイリンの姉妹が話す。
「完全に」
「もうそうとしか」
見えないというのである。
「何をどう見てもね」
「あれは」
「俺はそっちの世界は知らないがな」
宙にとってはそれが幸せであった。
「ああ、そういえばタケル何かアスガルドにいただろ」
「僕もいたかな」
マサトまで出て来た。
「何かさ。それでユングさんとかヒギンズさんとかにそっくりなお姫様がいて」
「ああ、そうだな」
竜馬もである。
「いたな、確かに」
「記憶にある」
今度はトロワである。
「それはだ」
「否定はしない」
「まあとにかくだな」
豹馬がまた言ってきた。
「まずは冥王星に行くか」
「そうだな」
「とにかくね」
「いざ冥王星へ」
こうして彼等は冥王星に降り立った。そうしていよいよマーグとの決着をつけんとするのであった。
第百八十六話完
2010・1・26
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