スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇
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第百六十八話 『かつて』と『これから』
第百六十八話 『かつて』と『これから』
「どっちにしろな!」
「そうだ、考えてみればな!」
甲児と勝平の強気は世界が違っても同じだった。
「倒せばいいんだよ!」
「手前をな!」
「倒すのですの」
アルフィミィは彼らのその言葉に応えてきた。
「私を」
「それ以外に何がある!」
ドモンも彼女に叫ぶ。
「貴様を倒すそれ以外にだ!」
「待って、ドモン」
その彼にレインが言ってきた。
「ここは何かあるわ」
「この世界がか」
「ええ、ここは」
レインは冷静に周りを見ながら述べるのだった。
「宇宙みたいよ」
「宇宙だと!?」
「ええ、何か」
「その通りですの」
するとだった。そのアルフィミィが言ってきたのだった。
「この空間は貴方達の宇宙とつながり」
「何っ!?」
「それじゃあ」
ヂボデーとサイシーがそれを聞いて言う。
「この世界はこのまま」
「おいら達の世界を」
「広がっていきますの」
アルフィミィの言葉は続く。
「終焉、そしてはじまりへ向かう為に」
「だとするとだ」
「ここは」
今度はアルゴとジョルジュが彼女に問うた。
「御前達の空間か」
「アインストが生まれ出でる場所」
「そうですね」
やはりそうだというのであった。
「そして二つの鍵によって」
「また鍵なのね」
アレンビーはそれを聞いて眉を顰めさせた。
「いい加減そればかりね。訳わかんないままだし」
「私達だけでなくこの空間そのものが」
「どうなるというのだ!?」
キメルが問うた。
「我々のこの世界が」
「貴方達の世界に現われることになりますの」
「そしてだというのだな」
今度はギリアムが問うた。
「我々の世界は御前達に侵蝕される」
「・・・・・・・・・」
「そうだな」
今は沈黙するアルフィミィに問うのだった。
「それが御前の役目か」
「はい」
ここでは答えるアルフィミィだった。
「私達の力では」
「どうだというのだ?」
「こちら側へ出て来ることはできても」
アルフィミィは言う。
「空間をつなげることはできませんので」
「だからか」
「そうですの」
またこう述べてからであった。
「扉を開く為の力が」
「それが鍵か」
「そうなのね」
「それが必要だったのですね」
「それではだ」
キョウスケはまたアルフィミィに問うた。
「最終的に御前が選び出したのはギリアム少佐と」
「システムXNなのね」
エクセレンも言った。
「それだというのね」
「その為にですの」
「我々をこの世界に呼んだというのか」
「刻は来てしまいましたの」
ギリアムに対しても言うのだった。
「今がその」
「待て」
その彼女に今問うたのはアランだった。
「御前達では空間をつなげられないと言ったな」
「そうですの」
「それではだ」
それを聞いたアランはあることを述べてきた。
「ならばあの巨大なアインストにもその力はないのだな」
「!?どういうことだそりゃ」
「アラン、それって」
忍と沙羅がすぐにそれに問うた。
「つまりよ」
「どういうことなんだい?」
「奴に空間をつなぐ力があればだ」
アランは彼等の言葉に応えて述べた。
「既に今の様な状況になっているな」
「けれどさ、それじゃあ」
「これまではだ」
今度は雅人と亮が言った。
「その力がなかったってこと!?」
「充分には」
「そうだ」
まあにその通りだというのだった。
「少なくともあの連中はだ」
「あの連中!?」
「待って」
リュウセイとアヤはいぶかしむ顔になっていた。
「俺達が感じたあれは」
「あの思念は」
「まさか」
リュウセイも唖然とした顔になっていた。考えているうちにだ。
「あいつ等よりも上の奴が」
「間違いない」
レビも感じ取ってた。
「先程より力が増している」
「それじゃあ」
「やっぱり」
「感じる・・・・・・」
また言うレビだった。
「これは」
「この空間のせいなのかしら」
ラーダも顔を顰めさせていた。
「この」
「そうかも知れません」
クスハがそのラーダに応えた。
「この気配は」
「この薄気味悪い感じは」
ブリットも言う。
「まさに」
「けれど」
クスハはさらに言っていく。
「それでも静かな」
「そうだな、ここは」
「何もない」
リョウトはこう評した。
「安らぎすら感じられる位に」
「私達の宇宙には」
リオも言う。
「人の思念が多過ぎて」
「けれどここには」
「何もないから」
だからだというのだった。
「それでこんなに」
「静かなんだ」
「宇宙は飽和状態にありますの」
また言ってきたアルフィミィだった。
「だからこそ様々な混沌が生まれ」
「そして?」
「それがまた宇宙を広げていく」
こうエクセレンに語るのだった。
「ですから」
「訳がわかんねんだよ!」
勝平がその言葉に言い返した。
「だからいい加減に人様がわかる話をしやがて!」
「わかりませんの?」
しかしアルフィミィはその彼にもこの調子だった。
「貴方達の存在が」
「またそれか」
「もう聞き飽きたわよ」
宇宙太と恵子もおおむね勝平と同じ意見になっていた。
「もういつもだからな」
「言ってることが」
「ワン!」
「貴方達のその存在が」
そのアルフィミィの言葉だった。
「この宇宙の破滅を早めているということを」
「それは手前等じゃねえのか!」
闘志也が言い返した。
「もういい加減変なことを言うのは止めやがれ!」
「誰にもわからないようなことを言っている場合はだ」
刹那も言うのだった。
「それはまやかしであることが殆どだ」
「そうなんだ」
沙慈が刹那の今の言葉に突っ込みを入れた。
「そうした場合は」
「そうだ。哲学でも文学でもそうだ」
刹那は言う。
「それは大帝まやかしを誤魔化しているだけなのだ」
「じゃあアインストも」
「そう思っていい」
断言であった。
「少なくとも聞かなくてもいいものだ」
「そうなんだ」
「御前達の目的が何であろうともだ」
キョウスケも言う。
「ここで退くわけにはいかん」
「やはり」
アルフィミィもここで話を一旦切ってきた。
「不純物は排除しなければなりませんのね」
「来い」
キョウスケもそれを受ける。
「倒す、いいな」
「元に戻しますの」
アルフィミィはこう表現した。
「何もかもを」
「出た!?」
「レーダーに反応!?」
アムロが察したと同時に命が叫んだ。
「敵です!」
「来たか!」
「じゃあよ、これで決めてやらあ!」
こう言った彼等の前に巨大なアインストが幾つも現われた。無論普通の彼等もだ。カチーナがその彼等を見てそれで言うのだった。
「あのでかいのが」
「物凄い数ですよ」
ラッセルがカチーナに告げてきた。
「百はいますよ」
「アインストレジセイア」
アルフィミィがその名を告げてきた。
「それですの」
「くっ、つまりはだ」
キョウスケが歯噛みしながら呟いた。
「奴等も働き蜂だ」
「つまりはだ」
「そうね」
レオナがタスクの言葉に頷く。
「さらに上のアインストがね」
「いるってことだな」
「そうだな、アルフィミィ」
ここでまた彼女に問うキョウスケだった。
「その通りだな」
「私達は」
アルフィミィはそれに応えるようにして言ってきた。
「新しい生命を模索していたんですの。それが」
「完成したというのか」
ゼンガーがそれに問うた。
「つまりは」
「そして」
レーツェルも続く。
「御前を含むアインスト達はだ」
「!?」
「その為の実験だったのだな」
「それは・・・・・・」
「そう考えるのが妥当だ」
アルフィミィに否定はさせなかった。
「そうなる理屈だ」
「いいえ、それは」
「!?これは」
エクセレンは今の彼女を見て気付いた。
「あの娘、何か」
「どうした?何かわかったのか」
「ええ、感じたわ」
こうキョウスケに答えて述べるのだった。
「揺らいでるわ」
「その心がか」
「そうよ。感じたわ」
それをだというのである。
「それは間違いないみたいだな」
「新たな生命の礎」
アルフィミィはそれでも言う。
「それが誕生すればこの宇宙は」
「それではだ」
キョウスケはエクセレンの言葉を受けたうえで彼女に告げた。
「見せてもらおうか」
「見るというのですね」
「そうだ。だが」
ここでキョウスケの言葉が剣になった。
「それは御前達の生命と引き換えにだ」
「総員戦闘用意!」
「もうできてるぜ!」
「とっくにね!」
タリアの今の言葉にシンとルナマリアが応えた。
「じゃあやってやるぜ!」
「これでアインストとも最後ね」
「間違いなくそうなる」
レイも言った。
「それはな」
「それじゃあな。ここで」
「終わらせるわ」
こうして両軍の最後の戦いがはじまった。アインスト達は半月状にロンド=ベルに迫った。
それに対してロンド=ベルはまずは敵を引き付けるのだった。
「まだだな」
「ええ」
「まだね」
こう言い合ってまずは牙を研ぐのだった。
そうして間合いに入った時だった。
「よし!」
「今だ!」
「これで!」
一斉攻撃を仕掛けた。それでまずは敵の動きを止めたのである。
そうしてだった。一気に突っ込むのだった。
「全軍突撃!」
「一気に終わらせる!」
「ここで!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
先頭に立つ凱が叫んだ。そしてだった。
「ガトリングドライバアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーッ!!」
渾身の力で敵に攻撃を撃ち込んだ。それでまとめて潰す。
それが突破口となった。ロンド=ベルはさらに切り込んでいく。
「よし、今だ!」
「行くぞ!」
デュオとウーヒェイがそれに続く。
鎌が敵に向かって光った。そうして。
「ほらよ!」
一閃した。それで数機まとめて斬ったのだった。
ウーヒェイは敵の中でそのトライデントを振り回した。
「集まっていればそれだけ斬る相手がいる!」
振り回してそれで斬るのだった。
「それを今教えてやる!」
「そしてだ」
「僕達も!」
トロワとカトルはその二人のすぐ後ろにいた。
ヘビーアームズカスタムはピエロの如く跳んだ。そのうえで着地してから一斉攻撃を放った。
「こうした攻撃もある」
「マグアナック隊全機突撃です!共に!」
「はい、カトル様!」
「やってやりますよ!」
「この連中ともこれで終わりです!」
カトルは彼等と共に総攻撃を浴びせそれから敵の中に踊り込んだ。
マイクもまた。本気になっていた。
「マイクやっちゃうもんねーーーーーーーーー!!」
叫びながらすぐにモードチェンジに入った。
そうしてだった。彼の周りに兄弟達が揃った。
「ヘイブラザー!行くぜ!」
その彼等に声をかける。
「ミュージックスタート!」
その音楽でアインスト達を粉々にしていく。最初からかなり派手に攻撃していた。
ボルフォッグはゴルディマーグと共にガオファイガーのすぐ側で戦っていた。
「行きましょう、このまま!」
「おうよ!」
ゴルディマーグは砲撃を仕掛けその拳で敵を粉砕しながら親友に応えた。
「ここが正念場だな!」
「その通りです」
まさにそうだと返す彼だった。
「こここそがです」
「ならよ。潰してやるぜ!」
言いながら実際に接近してきたアインストを拳で吹き飛ばした。
「最後にな!」
「私もです!」
ボルフォッグはその手裏剣を放った。
「これで!」
「そうよ、派手に潰しまくってやるぜ!」
「私達だって!」
「ルネ姉様、行きましょう」
「勿論だよ」
ルネは言われる前に既に敵の中に踊り込んでいた。光竜と闇竜がそれに続く。
「二人共遅れるんじゃないよ!」
「はあい!」
「わかってます、お姉様!」
「アインストの言ってることはね」
そしてルネはこうも言った。
「正直よくわからないところが多いよ」
「そうよね。結局」
「あまりにも抽象的で」
「けれどね」
それでもなのだった。
「その言ってることはね」
「言ってることは」
「どうだというのですか?」
「あたしにはあまり好きになれないものだね」
そうだというのである。
「どうもね」
「そうよね。結局自分勝手に世界を滅ぼすんだし」
「結果として他の組織の幾つかと同じです」
「あたし達にはあたし達の世界があるんだ」
ルネはそれを言うのだった。
「それを勝手に潰されてたまるものか。そうだろ?」
「ええ、確かに」
「その通りです」
彼女達もその考えだった。
「だからこそなのね」
「彼等と戦うと」
「勝つよ」
そして戦うからには、だった。
「いいね、それで」
「わかったわ、ルネ姉ちゃん」
「それでは!」
「このまま突き進むよ!」
言いながらその剣でアインスト達を切り裂いていく。妹達の助けを受けながら。
そして四人もだった。果敢に戦っていた。
「氷竜!」
「わかっている炎竜!」
「雷龍、ここでだな」
「そうだ、やろう風龍!」
彼等も周りの敵にこれでもかと攻撃を浴びせていた。
「狙いを定める必要はない!」
「このまま倒していくだけだ!」
「そして勝ち」
「世界を守る!」
彼等はその為に戦っていることを自覚していた。
そして遂にであった。アルフィミィに接近した。
「これで終わりよ!」
エクセレンのヴァイスリッターが彼女のマシンに狙いを定める。
「決めるわ!」
攻撃の暇は与えなかった。一気に撃った。
その一撃が貫いた。致命傷なのは明らかであった。
「これで終わりね」
「そうだな」
キョウスケもそれを見て述べた。
「間違いない。これでな」
「ええ、確かに」
「やはり」
その撃ち抜かれたアルフィミィ外ってきた。
「私では・・・・・・駄目ですのね」
「人を」
あちこちから火を噴く彼女のマシンを見ながら言うエクセレンだった。
「それも私をベースにしても」
「駄目だというのですのね」
「そうよ」
まさにその通りだというのだ。
「それで究極の進化なんて」
「でも」
しかしだった。ここでまた言うアルフィミィだった。
「はじまる」
「何っ、まだだというのか」
「はじまるというの!?」
「貴方達にもわかる筈」
キョウスケとエクセレンへの言葉だった。
「それが」
「!?まさか」
「それでもだっていうの!?」
「新たなる鼓動」
そのアルフィミィが言ってきた。
「宇宙の新たなる意志が」
「くっ、ううっ・・・・・・」
「どうした、エクセレン」
「これは・・・・・・」
自分の脳に直接来たのである。
「新しい・・・・・・代わるもの」
「新しい代わるものだと!?」
「ええ、けれど」
それを感じ苦しみながらの言葉だった。
「その試みは」
「貴方達にも」
今度はクスハやブリット達を見ての言葉だった。
「伝わる筈」
「くうっ!」
「何だこれは!」
クスハとブリット達が呻きだした。
「今頭の中に」
「何かが見えた!?」
リョウトとリオも言う。
「何なんだ、今のは」
「まさか」
「この巨大な思念が」
「アインストの中心だというのか」
そしてカーラとユウキもだった。
「何で巨大な思念」
「しかもこれが」
「空間とつながるっていうのかよ!」
「まさか」
タスクとレオナも感じていた。
「こんなのがつながったら」
「とんでもないことになるわ!」
「クスハ、ここは!」
「ええ、ブリット君!」
二人が言い合う。
「何とかしないと」
「けれど」
「来る・・・・・・奴が」
「ここに」
リュウセイとアヤも苦しんでいた。
「この場所に」
「私達の前に」
そしてだった。今その巨大な何かが彼等の前に姿を現わしてきたのだった。
「はじまりの地から来た者達よ」
「こ、声が聞こえる」
レビはその声をはっきりと聞いた。
「この声が」
「これより新たな進化がはじまる」
「新たな進化だっていうのかよ」
「そうだ」
こうリュウセイに答えるのだった。
「今からだ」
「御前がそれを司るというのだな」
「如何にも」
イルムの問いにも答える。
「我こそが」
「それではだ」
それを聞いたリンがその存在に問うた。
「人が猿から進化したのも御前の仕業だというのか」
「・・・・・・・・・」
「おい、答えやがれ!」
今叫んだのはカチーナだった。
「何だってんだ!」
「はじまりの地に生まれた命の種子」
するとこう言ってきたのだった。
「だが」
「だが?」
「それには欠陥が生じた」
「欠陥!?」
「そう」
それだとラミアに返すのだった。
「進化の過程の中で禁断の知恵の果実を口にし」
「禁断の果実!?」
「それは」
多くの者がここでこれを思い浮かべた。
「聖書にあるが」
「それなのかしら」
「だとしたら一体」
「その知恵とは」
しかしだった。それはさらに言ってきたのだった。
「その罪を償うことなく増えていった生命体」
「それがか」
「人間」
キョウスケが呟くとすぐだった。
「宇宙の静寂を乱し自らと宇宙そのものの寿命を縮める愚かな生命体」
「それが私達だというのね」
「そうだ」
まさにそうだとエクセレンにも返した。
「それが今の御前達だ」
「うるせえ!」
それを聞いたバサラが叫び返した。
「支配者とか神様ぶった台詞はもうな!」
「そうよ、聞き飽きたわよ!」
ミレーヌも言い返す。
「そんな言葉はね!」
「神か」
だがそれは二人のその言葉にも反応してきたのだった。
「否だ」
「何っ!?」
「違うっていうの!?まさか」
「そうだ」
まさにそうだというのである。
「我は神ではない」
「じゃあ何だってんだ!」
「あんた何者なのよ!」
「我は監査者」
それだというのである。
「はじまりの地で生まれ宇宙へ広まっていった命の種子」
「俺達もか」
ダバがそれを聞いて呟いた。
「とするとゲストやインスペクターも」
「まさか?」
リリスも言おうとした。しかしまた言うのだった。それは。
「それ等を監視し歪みや過ちを正すもの」
「だとすると」
タケルがここでそれに問うた。
「地球人やインスペクター、ゲストのルーツは同じなのか?」
「・・・・・・・・・」
「そして」
彼にとってはまさに核心のことも問うのだった。
「あのバルマーでさえも」
「それはだ」
「それは!?」
「御前達がわかることではない」
こう言ってそれについては言おうとはしなかった。
「それはだ」
「おい、ここまで言ってかよ!」
「それはないんじゃないの!」
誰もがそれには抗議した。
「一体何なんだよ!」
「何で私達とあいつ等がそっくりそのままなのよ!」
「御前達に知性や力」
また言ってきたのだった。
「そして試練を与え進化を促す存在がいる」
「それが」
「何かというと」
「その血を引き門を開き」
「門!?」
「また!?」
それもまたこれを話に出して来たのである。
「古の記憶に触れようとする者がいる」
「それってまさか」
「ああ、そうかも知れないな」
クスハとブリットはここまで聞いて言い合った。
「あの人が」
「そうなのかもな」
「彼等や御前達の存在は」
言葉がまだ続いていた。
「宇宙の存在を乱す。故にだ」
「それでかよ」
「だからだっていうのね」
アラドとゼオラはそれに問い返した。
「御前等にとって俺達は欠陥品かよ」
「それで抹殺するっていうのね」
「精神。心の進化」
また言ってきたのだった。
「それは肉体に関係しない。だが」
「だが?」
「御前達の精神は未熟過ぎる」
こう言うのである。
「己の欲望のままに力を使い」
「それも何度も聞いたぜ」
「そうよね」
カズマとミヒロが言った。
「それこそどれだけ聞いたかわからない位にな」
「聞いていたけれど」
「知識を貪り宇宙を蝕んでいく」
これもまた彼等が何度も聞いている言葉だった。
「そして」
「それからもわかってるぜ」
カチーナが忌々しげに言った。
「もうな」
「無秩序に広がりすぎた命の種子と進化によって加速度を増し」
「やっぱりね」
万丈もわかっていた顔だった。
「そう言うと思ったよ」
「運命の刻限を待たずに御前達は自らの手で自らの宇宙を壊しつつある」
「それでだというのだな」
ギリアムがそれに問うた。
「我々の進化に。そして」
「そうだ」
「存在に終止符を打つのだな」
「その通りだ」
まさにそうだというのであった。
「まずはじまりの地から歪みを正す」
「勝手な話だな」
ここまで聞いたキョウスケはこう述べた。
「手に負えなくなったから全てをリセットするか」
「そうよね」
エクセレンも今の彼の言葉に頷いた。
「簡単に言えばそうなるわよね」
「まさにそれだ」
さらに言うキョウスケだった。
「この連中の言っていることはな」
「凄い勝手ねこうした存在って」
「古い宇宙を新しい宇宙で塗り潰すというのだな」
「そうだ」
やはりそういうことだった。
「だからこそ」
「よし、わかった」
ここまで聞いて頷いたキョウスケだった。
そしてそのうえで言うのだった。
「それではだ」
「何だ、今度は」
「そこにいるアルフィミィはだ」
彼女を指し示しての言葉だった。
「その短絡な思考から生み出された犠牲者だな」
「えっ・・・・・・」
「そうなるな」
「その通りだ」
驚くアルフィミィをよそにそれを認めてきたのだった。
「選ばれなかった者だ」
「選ばれなかった者!?」
エクセレンがそれに反応する。
「じゃあ私は」
「御前の役目は既に終わった」
エクセレンにも言ってきたのだった。それは。
「だからだ」
「どうしようっていうのかしら、それで」
「ここでアルフィミィと共に抹消する」
そうするというのである。
「今ここでだ」
「お嬢ちゃんもだっていうのね」
「そうだ」
実に無機的な返答だった。
「今ここでだ」
「その言葉二言はないわね」
「ない」
やはり無機的である。
「それは言っておこう」
「私は・・・・・・」
「ここは新しい宇宙」
それはまた言ってきた。
「我はその礎だ」
「だからお嬢ちゃんを消すと」
「不純物は要らぬ」
「この何もない宇宙にか」
キョウスケはそれにまた言い返した。
「御前にとって都合の悪いものを排除するだけの」
「御前達は誤ったのだ」
「また勝手な理屈だな」
今言ったのは大介だった。
「自分を絶対だという」
「そうよね」
マリアも忌々しげな顔になっていた。
「何様だっていうのかしら、あれは」
「神とは思っていないというが」
大介はそれについて辛辣に述べた。
「しかし言っていることはだ」
「同じよね」
「そうだ、同じだ」
まさにそうだというのだった。
「傲慢な神だ。それ以外の何者でもない」
「結局はそういうことなのね」
「進化の方向を誤ったのだ」
その傲慢な神の言葉はさらに続く。
「その行く末を監査する必要はない」
「へっ、言ってくれるぜ」
「そうね」
今度言ったのは甲児とさやかだった。
「手前の勝手な理屈ばかりな」
「自分しかないのね」
「これまでそんな奴は何度も見てきたけれどな」
「全く変わらないのね」
「所詮そうした存在ということだ」
「そうね」
鉄也とジュンも言う。
「その程度ということだ」
「それなら」
「倒す」
「ええ、それだけね」
彼等は簡単だが確実な答えを出したのだった。
そしてひかるも。言った。
「それなら私も」
「答えは出てるだわさ」
「そうでやんすね、ボス」
「こんな奴には答えは一つしかないよ」
ボス、ヌケ、ムチャもわかっていた。
「ぶん殴ってやるだわさ」
「宇宙は手前だけのものではないでやんすよ」
「それがわかっていないなんて何様なんだよ」
「古きものは塗り潰され」
まだ言うのだった。それは。
「新しき世界と生命が監査者たる我によって誕生するのだ」
「けれど」
だがここで。アルフィミィが言った。
「私は見たくなりましたの」
「えっ!?」
「どういうことだ!?」
クスハとブリットが驚いた声をあげた。
「今の言葉は」
「どういう意味だ!?」
「キョウスケが」
彼を見ての言葉だった。
「気になりますの」
「俺がか」
「そうですの」
まさにその通りだというのだ。
「貴方が」
「そうか」
「けれど」
不意にアルフィミィの言葉の色が変わってきた。
「この気持ちは」
「どうした?」
「本当に私のものなのかわからない」
不安げな言葉だった。
「そこまでは」
「けれどよ」
その彼女にエクセレンが優しく言ってきた。
「貴女は選んだのに」
「ええ。けれど」
その不安定な言葉はまだ続いていた。
「この気持ちも塗り潰されてしまうんですの」
「それはわからないわ」
「わからないのですの」
「でも」
また言うエクセレンだった。
「自分で確かめる為に」
「私自身で」
「貴女は戦うことを選んだんでしょう?」
「そうですの」
それは間違いなかった。
「私はそれで」
「それは貴女自身の心よ」
それだというのだった。
「私のものじゃないわ」
「私自身のものですの」
「そうよ。貴女のね」
「エクセレン・・・・・・」
「やはり」
そのアルフィミィを見ていうそれだった。
「はじまりの地の者を基礎とした時点で間違っていたか」
「こいつはまだ」
「こう言うのね」
誰もがいい加減それには我慢できなくなっていた。
「所詮は」
「黙れ」
それに対してキョウスケが言ってきた。
「御前に俺達の世界の命運を決める権利なぞない」
「我等は」
しかしそれは言うのだった。
「人よりも遥か前から」
「前からだというのか」
「そして遥か未来へと存在し続ける」
こう言うのだった。また。
「我等はアインストでありツークンフト」
「ツークンフト」
「それだというの?」
「これからん宇宙の行く先は我等が決め」
やはり言うことは変わらない。
「見定めるのだ」
「ならばだ」
それに対して反論するキョウスケだった。
「問おう」
「何をだ?」
「御前達にその決断を下す役目と権利があるのならだ」
「何だというのだ?」
「俺達は何故ここにいる」
このことを問うてみせたのである。
「何故今に至るまで俺達の存在を抹消できなかった」
「むうう・・・・・・」
「御前達が我々の宇宙に現れた様に」
ギリアムも言ってきた。
「我々が御前達の宇宙へ現れたことは何かの意味がある筈だ」
「そしてエクセレンもそれに言ってきた。
「お嬢ちゃんの気持ちの変化にも」
「ならばだ」
ここまで話を聞いた上でまたそれは述べてきた。
「御前達が我等にとって」
「そうだ」
「変化をもたらす存在」
こう言ってきたのだった。
「いや、我等の抑止力だというのか」
「お互い様だってことだよ」
今度はリュウセイが言ってきた。
「そして」
「そして」
「俺達と御前等」
それを同じとするリュウセイだった。
「どっちがこれからの世界に残るか」
「言うのか」
「そうさ。その答えはまだわからねえ」
リュウセイはさらに言った。
「この戦いが終わってみたいとな」
「むう・・・・・・」
「御前の手出しも口出しも不要だ」
「そうね」
ライとアヤも言う。
「それはだ」
「まさに大きなお世話ね」
「つまりな!」
マサキもいた。
「俺達がこの宇宙で生きていくのに手前等なんざ必要ねえ!」
「そうよね」
「ああ。今までそうだったようにな!」
「わかったわ、マサキ」
ミオはマサキのその言葉に頷いた。
「それじゃああたしもね。いつも通り明るく楽しく!」
「偉い!それでこそ師匠!」
「つようおまんな!」
「流石でんな!」
カモノハシ三匹の囃しは本当にいつも通りだった。
「さあ、戦うわよ!」
「この宇宙が最後にどうなろうとも」
キョウスケが最後にそれに告げた。
「その行く末を決めるのは」
「我ではないというのだな」
「そうだ。ここに生きる俺達だ」
「そしてよ」
エクセレンも続いた。
「それ全くの」
「御前達にとって無意味だということを」
今キョウスケの闘志が宿った。
「教えてやる!」
「全軍攻撃開始!」
ブライトが最後に残ったアインスト達に攻撃を命じた。
「ここで決める。いいな!」
「はい!」
「わかってます!」
こうして今アインスト達に攻撃を仕掛けるロンド=ベルだった。それにもすぐに迫った。
「これでだ」
「キョウスケ!」
エクセレンがキョウスケに声をかけてきた。
「いつも通りなのね」
「そうだ。いつも通りだ」
こう返すキョウスケだった。
「いいな」
「ええ。じゃあ突っ込んで」
「背中は任せた」
「その言葉、受けたわよん」
楽しげな笑みでエクセレンに返すキョウスケだった。
「それじゃあ」
「突っ込む」
これはいつも通りのキョウスケだった。
「そして御前は、だな」
「ええ、狙うわ」
もうそのつもりだった。
既に狙いを定めている。そうしてだった。
「さあ、今回は容赦しないわよん!」
「大きい分狙いを定め易い」
エクセレンの援護射撃を受けながら自身も攻撃を出しながら進むキョウスケだった。
「だからだ」
「来たか」
「俺のこの攻撃、受けてもらう」
彼もその攻撃を受けるがそれで怯まなかった。
そうしてだった。まずはエクセレンとキョウスケの攻撃が次々に貫く。
「よし!」
「今だな」
それを見たキョウスケはいよいよ速度を速くさせるそうしてだった。
「受けろ!」
その渾身の攻撃で貫いた。それの動きが完全に止まった。
「うぐうっ・・・・・・」
「終わったな」
キョウスケは確かな手応えを感じていた。
「これでな」
「そうね」
それはエクセレンも同じだった。
「私達のランページ=ゴースト。決まったわ」
「まだだ」
しかしそれはまだ言うのだった。
「まだ我は」
「何っ!?」
「終わらぬ・・・・・・」
「無駄だ」
それに対して告げたキョウスケだった。
「貴様の身体は滅びつつある」
「そうだというのか」
「そうだ。そのまま消えてもらうぞ」
「身体か」
しかしだった。まだそれは諦めてはいなかった。
「身体はある」
「まだ言うのか」
「つながれつつある空間の向こうに」
「空間のだと」
「・・・・・・かくなる上は」
「!?こいつ」
「何をする気なの!?」
誰もがそれに目を見張った。
「まだ生きてるだけでもとんでもねえのに」
「まだ何かしようっていうなんて」
「残された力を使って」
こう言ってだった。何かのエネルギーを集めた。
それに光が集まる。皆すぐにあることを感じ取った。それは。
「こ、これは!」
「転移反応!」
それだったのだ。
「しかも巨大過ぎる!」
「まさかこれは」
「あのアインストが」
アクセルとラミアも言った。
「まさか。まだ本当に」
「何かするというのか」
「我は」
それは言った。
「まだ終わらぬ」
「貴様・・・・・・!」
「最後の力を使って」
呻く様にして言うのだった。
「新たなる身体を。転生を」
「ま、まさか!」
「また!」
誰もが瞠った。そうしてその中で。それは大きく変わるのだった。
第百六十八話完
2009・11・26
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