国連宇宙軍奮闘記
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最後の作戦会議
前書き
艦名は2199と違います。
――2199年5月11日――
――地球 国連宇宙軍司令部 会議室――
「各員起立!」
沖田提督が部屋に入ってきたのを確認した近藤副長が全員に号令をかける。
「諸君、遠方からご苦労であった。」
沖田提督が労いの言葉をかけつつ会議を始める。
「皆も知っての通り地球艦隊は出撃する。」
「遂に地球圏にも敵艦隊か。」
召集を受けた『さわかぜ』の艦長が呟く。
「いや違う。」
それに対し沖田提督が答えた。
「違うと言いますとどういう事でしょうか?」
予想されていた出撃に対し違うという事で疑問を感じた『くらま』艦長が質問をする。
「冥王星だ。」
「!!」
全員が驚きの声を上げる。
無理もない、と思いつつ話を続ける沖田提督。
「諸君も知っての通り遊星爆弾による被害は甚大である。」
「我々は地下都市を築き必死に生き延びてきたが、深刻なエネルギー不足に陥った。」
「これ以降はエネルギー不足により艦隊出撃は不可能となる。」
エネルギーは無かった。
いや、有るには有るがその残ったエネルギーは地下都市の維持と移民計画に回された。
宇宙軍に残されたエネルギーはもう無かったのである。
「まさしく我々に残された最後のチャンスである。」
沖田提督は一旦区切り全員を見回す。
「諸君の活躍に期待する。」
「あまりにも無茶です!」
『あぶくま』の艦長が反対する。
「いくらエネルギーが無いとは言え自分からわざわざ死にに行くようなものです!」
『しまかぜ』の艦長が同意する。
「しかし出撃できなければ何もできまい!」
『きりしま』の艦長がそれに反論する。
艦長たちが口々に賛成や反対を口にする。
「沖田提督!」
「何かね?」
『むらさめ』の艦長が質問し沖田提督が聞いた。
「出撃しなかった場合はどうなるのでしょうか?」
「!?」
艦長たちが驚く。
出撃しないという事は命令違反。
何の理由もなくできるものではない。
「ふむ、出撃しない場合は防衛計画が宇宙軍の地球圏防衛計画から陸軍の本土決戦計画に移行する、なお負けた場合も同様である。」
「!!」
再び艦長たちが驚く。
陸軍の本土決戦計画。
すなわち地球の下りてきた敵を殲滅する。
しかし実際は地下都市が敵の進行までの持つ保証はどこにもなく、かつエネルギー不足からあと2年持たないと言われている現状ではただ死を待つ計画と言えた。
「反対意見はあるか。」
近藤副長が艦長全員に聞く。
「・・・。」
宇宙軍に選択の余地はなかった。
「うむ、出撃は三日後の14日0600時である。」
「以上、解散!」
副官の号令で会議は終了した。
――地球 国連宇宙軍富士基地 第3ドック――
そのドックには一隻の突撃艦が鎮座していた。
M-21882式雪風型突撃艦『ゆきかぜ』
それが彼女の名前である。
前型であるM-21881式磯風型突撃艦に比べ対消滅エンジンは増強され全長は約20メートル伸び、そのエンジンパワーで前型を上回る装甲を身に着けた彼女がやってきたのは9週間前であった。
ボロボロになった彼女を物資とエネルギーが不足する中これほど綺麗に直ったのはドック長が優秀であるからに他ならないであろう。
ただ対消滅エンジンはパーツが無かったのだが…。
そんな彼女に一人の男性が近づいていた。
古代 守、階級は中佐。
この艦の艦長である。
古代が彼女を修理したドック長、真田志郎に話しかけた。
「どうだ、戦えるようになったか?」
「ん、ああ。」
真田は歯切れの悪そうに答えた。
「・・・そうか、3日後には出撃する。」
古代と真田は同期だった。
そして顔を見ればすぐに分かる仲だった。
真田の態度を見てすべてを分かった古代は話し始めた。
「冥王星戦線だ、ここで負けたら地球はもう後が無い。」
それが真田と古代の最後の会話であった。
後書き
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