ガールズ&パンツァー もう一人の転校生
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三回戦の様子。
『本日は戦車道大狩流派祭の予選トーナメント三回戦の映像を元に三回戦突破校の特徴を押さえていこうと思います。司会は大洗女子学園放送部の部長である東栄えいか勤めます。』
大洗の放送部は各試合のまとめとして私たちに渡してくれた。
『まずは三回戦第一試合。我らが大洗女子学園対修善寺女子高校の試合の映像をご覧ください。』
映し出された挨拶の場面。
梨華がいないのはもちろん不機嫌だったから。
『この試合における修善寺女子高校は遊撃隊を倒す作戦から始めたようです。1両が偵察に出され遊撃隊に向かっていきましたが、見事にこれを撃破しました。その後三両やられてしまいましたが力の差はかなりのものだったでしょう。』
そんなに力の差はないから。
練習試合でも勝っていることだし。
『続きまして第二試合。鎌倉歴史高校対青葉女学園の試合はかなり一方的でした。鎌倉歴史高校お得意の囲い込みをくらい動けなくなったところを一斉砲撃にて殲滅。鎌倉歴史高校は1両も撃破去れずに終わった。』
そんなに力の差ははないと思うけど。
青葉女学園には桜がいるはずだけど、なにをやっているんだろう。
『第三試合。多治見大付属高校対九州中央高校の試合はどちらも揺すらない戦いでした。九州中央高校は例年通りの戦法で多治見大付属高校を追い込みますが、あと一歩届かず敗北。』
九州中央高校は北九州流。
私たちと同じ戦い方なら駿河流には負けないで欲しかったな。
『最後に四回戦ですが、四回戦はアンツィオ高校対鹿島女子学園の試合でした。鹿島女子学園は古くから大狩流を使用している学校ですが、最近有名の大洗女子学園に対抗意識が強く、アンツィオ高校を一時間掛からずに倒してしまいました。』
アンツィオ高校はまた負けたんだ。
みほにも負けて、鹿島にも負ける。
今年は良いことが無いんだねきっと。
『準決勝の対戦ですが、第一試合に大洗女子学園対鎌倉歴史高校。第二試合に多治見大付属高校対鹿島女子学園です。我らが大洗には是非とも勝ってもらいたいところです。』
たった20分のビデオとは言いかなりの出来栄えだと僕は思った。
それにしても決勝トーナメント進出校の予想は結構違っていましたね。
半田女子高ではなく修善寺女子高。
上越高校ではなく青葉女学園。
中央高校ではなく九州中央高校。
岡崎工業高校ではなくアンツィオ高校。
上越高校なんて棄権するし、平塚水産高校は酒田女子高校に勝っちゃうし。
上越高校は棄権を計画的に行った可能性がある。
本当にグダグダだよ。
「梨華。前に送られてきた添付ビデオについて話しても良いのでは。」
さやねが私に言ってきた。
私もそろそろ頃合いだと思った。
「みんな。少し私の話を聞いてください。」
私はこの部屋から出ていこうとする人がいるなかお願いした。
「この前、修善寺女子高から送られてきた添付ビデオの中身を見せたいんだ。だから少し残って。」
私自身あのビデオを見たくはない。
『第30会全国高等学校戦車道大会決勝戦。白河女子高等学校対時川商業高等学校。本年度も30大会連続で決勝戦まで上がってきた白河女子高等学校。対するは負けると横田工業高等学校と併合になる時川商業高等学校。今回の部隊は内木演習場での試合です。此処、内木演習場は谷、崖等の危険な演習場ですので選手のみなさんには注意して頑張ってもらいたいですね。』
前置きが長いため問題のところまで早送りすることにいした。
『ご覧ください。時川商業高等学校の戦車を谷から落とすあの戦い方を。これはルール上大丈夫なのでしょうか?此処で時川商業高等学校が白旗をあげています。ですが審判からはなんの連絡もありません。また一両落とされました。やっと白河女子高等学校の隊長が乗るMBT-2の登場です。まさか、いきなりフラッグ車に砲弾を撃ち込みました。』
私はここでビデオを止めた。
これ以上見ても意味がないとう言う理由もあるが、それ以前に私が見ていられなかった。
「これが昔の大狩流なんですか?」
一年生の質問にただ頷くことしか出来なかった。
「私は同じ流派のしたことに責任は取るつもり。もし横田高校が上がってきたのなら謝るつもりだった。」
しかし横田高校は一回戦で九州中央高校に負けた。
次いつ会えるかわからない。
「梨華が重く思う必要はないと思うよ。」
私に励ましを入れたのはみほだった。
「それで当時の人はしっかり反省したはずなんだから。」
「そうです。梨華先輩は何も悪いことしていないのですから。」
みほに続いて他の仲間も励ましてくれた。
「ありがとう、みんな。」
私は感謝をした。
蔑まなかった仲間たちに。
大狩流の闇はこれだけではないのである。
でもまだ梨華は知らなくていい。
もうちょっと大人になってから分かるのである。
後書き
次回は準決勝です。
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