ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~
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SAO:アインクラッド~神話の勇者と獣の王者~
最後の戦い
前書き
いよいよクライマックス!!ちなみに最終回ではありません。
「さぁ~て……。あのでっかいドラゴンを倒すとしますかね」
「頑張ろうね、カガミ君!!」
「……《ビットスタンバイ》……はじめようぜ」
「いくか!!いこう!!早くやらせて!!」
上からカガミ、アルテミス、シャノン、ケイロン。
彼らの前に鎮座するのは、黒い瘴気を纏った赤い龍……ハザードのテイミングモンスター、《ザ・バーニングバーン・ドラゴン》というフィールドボスの一体、《レノン》。本来ならボスをテイムするのは無理だが、それを可能にするのがハザードのユニークスキル《獣聖》。
「いくぞ!!」
ゲイザーの掛け声で一斉に攻撃が始まる。
シャノンの巨剣にのこぎりの刃のように《ビット》が取りつく。同時に金色のエフェクトが発生し……
「《ゴールド・パンデミック》!!」
シャノンの《帝王剣》《太陽剣》複合スキルが発動。レノンのHPを削り取る。しかし……
「うっわ~……防御力あがってやんの……面戸癖~な」
そのHPは5割ほどしか減ってはいなかった。のこり、5割。ちなみに10割のHPゲージがあと9本残っている。合計で95割。
「いぁあああああああああああ!!」
裂ぱくの気合いと共に凄まじいスピードの刺突が付きこまれる。それも、二本の剣で。
《星衝剣》。アルテミスのもつ、レイピアを二本使うユニークスキル。そのスピードは、アインクラッドでずば抜けて高いスピードを持つ《閃光》アスナをもはるかに凌駕していた。
合計で28もの連撃が叩き込まれる。さらに連撃に終了と同時に、アルテミスと入れ替わりでカガミが入り込む。
レノンのかぎづめ攻撃を、華麗な(?)舞を思わせる動きでやすやすと回避していく。さらに腰の二本の刀を抜刀。逆手で持つ。右の刀は極端に長い。対して、左の刀は、こちらは極端に短い。それらをまるで自らの腕のように操り、攻撃を続ける。一撃一撃が、非常に美しく、また見た目にそぐわぬ威力を持っている。
これがカガミのユニークスキル。名を、《舞刀》。美しく、そして強い。
後方からは立て続けに矢が迫る。それは数を三倍にして、次々とレノンに突き刺さる。
発射したのは、ひたすら楽しそうな笑みを浮かべるケイロン。彼女のユニークスキル《三日月弓》は、放った矢の数が三倍になるというスキル。さらに専用武器である弓は、分裂して二本のサーベルにもなる。
そして一瞬にしてレノンに取りつき、神速の打撃をたたきこむゲイザー。目に負えないスピードで、なんと50もの突きが叩き込まれる。
レノンのHPは確実に減って行った。
*
「コハク」
「なに?」
「……ハザードは……秋也は、仲間だったよな?」
「うん」
「……いつから、こんな風になったんだろうな。シャノンは……陰斗は、たぶん気付いてたんだ。あいつの事、知らなかったんだ。俺だけ」
「私も知らなかったよ。けど、今は……後悔してる場合じゃない。勝とう」
倒すんじゃなくて――――――――――。
「ああ。ありがとう。コハク」
セモンは《天叢雲剣》を構えなおした。
「支援、頼むぜ」
「まかせて」
セモンはニヤリと笑うと、コハクの頭を撫でた。
そしてハザードに向かって叫ぶ。
「秋也!!……勝負だ!!」
「来い……そして兄さんのために消えろ、清文!!」
お互いの出せるスピードと、出せるパワーをすべて乗せて、神速の一撃が放たれる。
《神話剣》突進剣技《アラブル・ブラスト》。対して《獣聖》突進剣技《アヌビス・ストライク》。
ガキィイン!!と音を響かせて、両者の剣が激突。再び、つばぜり合いとなる。
「ぐう、うぉぉぉぉ!!」
「ぬうぅううううう!!」
ズドン!!というすさまじいインパクトののち、両者は弾き飛ばされる。その隙を狙ってコハクの衝撃波がハザードを打つ。
「ぐお!!」
「でりゃぁ!!!」
片手剣技、《ソニックリープ》。ハザードの体を弾き飛ばすが、ハザードもすかさず受け身をとって、反撃のソードスキル。
「きぃぃぃよぉぉぉぉふぅぅぅみぃいいいいいいッ!!」
《獣聖》最上位ソードスキル、《ギルガメス・ブレイク》。全30連撃。
同時に、セモンもスキルを発動させる。《アラブル・ランブ》のモーション。
「秋也ぁアアアアアアアアアアアアッ!!」
お互いの一撃一撃が激突し、激しい火花を散らせる。同時に27連撃目がはじかれる。《アラブル・ランブ》はここで終わり・・・。
「俺の……勝ちだぁあああああ!!」
鬼の形相でハザードが叫ぶ。
《天叢雲剣》が不規則に明滅する。
しかし……
「うおっ……ぁああああああああああああああ!!!」
再び《天叢雲剣》に激しい輝きが戻る。
セモンの剣技は、終わらなかった。
「何!?」
さらに剣げきが続く。
「ぐっ……あああっ!!?」
計四十三連撃。
「……ばかな!?こんなスキルは……《神話剣》にはないはず!!」
「あるんだよ。これが……《神話剣》本当の最上位スキル。封印された剣技……《アラブル・バーニン・ヴァルブレイヴ》だ!!」
それこそが―――――――――――セモンが、《ある事件》の時に託されたスキル。この世界のみならず、異世界の力さえも取り込んだ、最強のスキル。
「おわりだぁあああああああああ!!」
*
「くらえ、レノン!!《アメンラー・インティカ》ぁああああああ!!!」
「《プトレマイオス・メテオリバー》――――――ッ!!」
「《桜吹雪・千の型》!!」
「《スターバースト・シューティンガー》!!」
「《サジッタ・ドライヴ》!!」
それぞれの持ちうる最高級のソードスキルで、レノンを打つ。
「ゴァアアアアアアアアアアアアア!!!」
黒い瘴気が打ち払われ、そこに残ったのは、小さな、赤い竜だった。
「……終わったな」
シャノンが呟くと同時に、全員がそこに倒れこんだ。
「あとは……頼んだぜ、セモン」
*
その最後の44撃目は……ハザードに……秋也に、届かなかった。
代わりに、《イモータル・オブジェクト》の表記が記される。そして、秋也の苦し紛れの反撃も、セモンに……清文に、届かずに、やはり《イモータル・オブジェクト》の表記に阻まれた。
よく見ると、先ほどまでレッドゾーンだったHPも、いつの間にかフル回復している。
「これは……」
「……!!そんな、兄さん!!」
二人が茅場とキリトの方を見ると、しかしそこには、ポリゴン片のかけらと、キリトの剣と、アスナのレイピアが残るのみだった。
「……キリト」
セモンの呟きに重なるように、機械的な声が響く。
『ゲームは、クリアされました。プレイヤーの皆さんは、順次ログアウトされます』
うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
歓喜の叫びがアインクラッドを揺らした。
後書き
次回、アインクラッド編最終回!!
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