ソードアート・オンライン ~人形使いの集い~ フェアリーダンス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
ALOにリンクスタート
帰宅してシャワーを浴びてベッドイン、俺は即座に意識を失う
目が覚めると夕方だった
昨日の日払いバイト料を受け取りに鮫洲にある派遣会社の事務所へと向かう
なんと35000円もらえた、少し嬉しい
(時給1250円x8時間+時給1250円x割増1.55倍x14時間)-所得税5%
ホクホク顔で帰ろうとすると吉永君と角田君があらわれた、同じく給料を受け取りにきたようだ
「うっす」「うぉ~っす」「うぇぃっす」と挨拶をかわし、3人でサイゼリアへと向かう
「遠藤さん、アミュスフィア使ってみました?」と吉永君
「いや、すぐ寝ちゃったから部屋に転がしたままだよ」
「そっすか、俺もソフトを持ってないから壊れてるかどうかわかんないんすよね」
「昨日言ってたALOってのはいくらくらいするの、安いなら試してみようぜ」
価格comで値段を調べてみると、それほど高くはないようだ
「じゃあ3人でALOとやらを1本だけ買って試してみよう、3台全部壊れてるって事はないだろう」
「じゃあ秋葉原へ行きますか」
そんなわけで秋葉原のヨドバシカメラへと向かう
3人でジャンケンし、最初は俺が持って帰って動作検証する事になった
部屋に戻ってきた俺は、ラフな格好に着替え、携帯を留守モードにするとベッドの上に座った
バックパックのジッパーを開け、ヨドバシカメラで入手したゲームパッケージを取り出す
「アルヴフェイム・オンライン」
話を聞いた限りでは相当に歯ごたえのありそうな内容だ
パッケージを開封して小さなROMカードを取り出した
穴のあいたダンボール箱から取り出したアミュスフィアの電源を入れ、スロットにカードを挿入する
数秒でインジケータが点滅から点灯へと変わる
俺はアミュスフィアを頭に装着した
アゴの下でハーネスをロックし、シールドを降ろして目を閉じる
不安と興奮で速まる心臓のビートを抑えつけながら、俺は言った
「リンクスタート」
閉じた瞼を透かして届いていた朧な光が、さっと消えた
視神経からの入力がキャンセルされ、真の暗闇が俺を包む
しかしすぐに、眼の前に虹色の光が弾けた
不定形の光はアミュスフィアのロゴマークに形を変え始める
最初はぼんやりと滲んでいたそれが、脳の視覚野との接続が確立されるにつれてクリアに浮き上がる
やがてロゴの下に視覚接続OKのメッセージが小さく表示される
次にどこか遠くから奇妙な多重音が近づいてくる、歪んだサウンドもまた徐々に美しい和音へとピッチを変え
最後に荘重な起動サウンドを奏でて消える
聴覚接続OKのメッセージ
セットアップステージは次に体表感覚へと移り、重力感覚へと進み、ベッドの感覚と体の重さが消える
その他、各種感覚の接続テストがひとつひとつ実施され、OKマークが増えていく
いずれフルダイブ技術が進歩すれば、この過程も大幅に短縮されるのだろうが、今はヘッドギアが俺の脳の各部位を
順繰りにノックして回るのをじっと待つしかない
しかし、ついに最後のOKメッセージがフラッシュし、次の瞬間、俺は暗闇の中をまっすぐに落下した
やがて下方向から虹色の光が近づき、そのリングを潜った俺の仮想の足がすとんと異世界に着陸する
といってもそこはまだ暗闇に包まれたアカウント登録ステージだ
頭上にアルヴフェイム・オンラインのロゴが描き出され、同時に柔らかい女性の声でウェルカムメッセージが響き渡る
俺は合成音声の案内に従って、アカウント及びキャラクターの作成を開始した
胸の高さに青白く光るホロキーボードが出現し、まず新規IDとパスワードの入力を求められる
適当に考えたIDとパスワードを素早く打ち込む
クライアントをダウンロードするタイプのMMOゲームなら、ここで課金方法の選択があるが
パッケージ購入型のALOには1ヶ月無料プレイ期間が設定されていた
次いでキャラクターネームの入力、何も考えず「レーザープリンター40キロ」と入力した
性別はもちろん男性を選ぶ
次に、合成ボイスはキャラクター作成を促した、といっても初期段階では種族の選択があるだけらしい
容姿は無数のパラメーターからランダムに生成され、キャンセル不可と説明される
どうしても気に入らない場合はゲーム内部で追加料金を支払って再作成するしかないようだ
まあこの際、どんな面相になろうとも不都合はない
プレイヤーの分身たるキャラクターは、いわゆる妖精をモチーフにした九種族から選択できるようだった
それぞれに多少の得手不得手があると説明される
サラマンダー、シルフ、ノームと言ったRPGでお馴染みの名前から、ケットシー、レプラコーンとあまり聞き覚えのないものもある
俺としてはアミュスフィア本体の動作試験が目的だったので、どれでもよかったのだが
緑を基調とした初期装備が気に入ったので「シルフ」なる種族を選択しOKボタンにタッチする
全ての初期設定が終了し「幸運を祈ります」という人口音声に送られて、俺は再び光の渦に包まれた
説明だと、それぞれの種族のホームタウンからゲームがスタートするらしい
床の感覚が消え、浮遊感、次いで落下感覚が俺を襲う、光の中から徐々に異世界が姿を現す
深い闇に包みまれた小さな塔の上空に俺は出現する
初めて味わうフルダイブ型ゲームの感覚刺激が仮想の全身の神経を漲らせていくのを感じながら
俺は街の中央にある塔へとぐんぐんと近づいていく
目の前が再び暗転して霧がはれると俺はスイルベーンの街の中にいた
「すげ~、いまのTVゲームってこんなんなってるのかよ」感動しつつ街中をウロウロしてみる
あまりにも広すぎて短時間で回りきるのは不可能と判断してログアウト、吉永君に電話する
「うぃっす、俺だけどALO動いたよ」と報告
「じゃあ、明日会社に持ってきてください」と吉永君
「ラジャー」と言って電話を切る
少し考えてからALOをもう1つ購入する為に秋葉原のヨドバシカメラへ向かう
ゲームの販売コーナーへ行くと4Fバイトリーダーを発見
「ぅぃ~っす」と声をかけると「こんにちは」と4Fバイトリーダー、この人は外でもまじめなんだな
話をすると、どうやら彼も同じくALOを買いに来たらしい
さすがバイトリーダー、抜け目無く自分も箱に穴のあいた「アミュスフィア」をもらってきたようだ
立ち話もなんだからと8Fにある「しゃぶしゃぶ但馬屋」へ行く
飲み食いしながら雑談して別れる
帰宅してログインしようかと思ったが酔っ払っているのでやめ、シャワーを浴びて寝る
翌朝、会社で吉永君にALOのパッケージと垢パスのメモを渡す
昼休みは俺、吉永君、角田君、4Fバイトリーダーで一緒に飯を食いながらALOの話題に花を咲かせる
なんでも4Fバイトリーダーは徹夜して飛行スキルをマスターしたらしい
バイトリーダーすげーよ、流石はリーダー
仕事が終わって帰宅、シャワーを浴びようと思った所で吉永君から電話
「遠藤さん、何ですか"レーザープリンター40キロ"って!」なんか怒っているようだ
「えっ、おっ、あああぁ~、適当につけちゃったw」すこしキョドる俺
「ちょっと~、勘弁してくださいよ~」
「まあいいじゃん、キャラデリして作り直せばいいんだし」
「まあ、そうですけどね」
「でもさ、"レーザープリンター40キロ"がわかったってことはアミュスフィアは正常だったって事だよね」
「そうですね、グラフィックとかすげー綺麗で感動しました」
「じゃあ明日は角田君に渡してあげてね」
「角田君は近所に住んでるので、今すぐ渡してきちゃいます」
「了解、じゃあ自分用のALOは別に買いに行くんだよね?」
「ですね、それも今から買ってきます」
「じゃあさ、4Fバイトリーダーにも連絡して4人で一緒に遊ぼうぜ」
「わかりました、超ダッシュで買ってきますよ」
待ち合わせ時間の20:00になった
「リンクスタート」
スイルベーンの街にログイン、電話で打ち合わせていた場所へ向かい、皆のキャラを探す
そして発見
俺:マードック(シルフ)
4Fバイトリーダー:シャルル(シルフ)
吉永君:ヨッシー(シルフ)
角田君:レーザープリンター40キロ(シルフ)
「ちょwwwwwww、角田君、そのキャラ名は・・・」
後書き
しゃぶしゃぶ但馬屋については下記参照
http://www.yodobashi-yokohama.com/restaurant/restaurant_taji.html
ページ上へ戻る