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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百六十三話 アクセルの決断

             第百六十三話 アクセルの決断
     キールに入ったロンド=ベル。彼等はそこで整備と補給を受けた。
「まずはこれで安心ね」
「そうだね」
シンジがレイの言葉に頷いていた。
「あとは敵が何時出て来るかだけれど」
「それでどんな相手か」
「アインストかな。それともシャドウミラーかな」
「バルマーの可能性もあるわ」
レイはふと彼等の名前を出したのだった。
「それもな」
「バルマーも?」
「ええ」
シンジに対して頷いてみせての言葉であった。
「そうよ。あの国もね」
「そういえば最近大人しいけれど」
「あとゲストもだよな」
ここで話に入って来たのはアルトだった。
「俺はロンド=ベルに入って奴等と戦ったことはないけれどな」
「ああ、そうでしたね」
シンジは彼自身の言葉からこのことに気付いたのだった。
「アルトさん達はまだ」
「大体インスペクターと同じなんだよな」
「はい」
そうだと答えるシンジだった。
「そうです。兵器とかも」
「じゃああの連中と同じか」
「ただですね」
ここで言い加えるシンジだった。
「違うのは敵の指揮官でして」
「指揮官が?」
「インスペクターは四人だけれど」
今度はミリアが説明してきた」
「ゲストは三人なのよ」
「三人」
「そしてね」
さらに話すミリアだった。
「そのタイプも全く違うからそれは注意しておいて」
「わかりました」
ミリアのその言葉に素直に頷くアルトだった。
「じゃあそれは」
「データとかはちゃんとマクロスのコンピューターに入ってるから」
マックも言ってきた。
「だから何時でも見られるよ」
「じゃあそうさせてもらいます」
「それとだけれど」
綾人もいた。
「何かアインストも気になるし」
「っていうかここに帰って暫く経つけれど何も解決してないんだよな」
「だよな、それは」
「エクセレンさんが戻って来ただけだな」
ケーンとタップ、ライトも話をする。
「結局のところ何の進展もなしか?」
「アクセルが消えて」
「あの嫌らしいお貴族様の復帰だけでな」
「いや、そこでなのでしょうな」
しかしベンがここで言ってきた。
「今確かにこれといった進展はありませんが」
「その時にだな」
「はい、その通りです」
こうダグラスにも述べる。
「今はその準備でしょう」
「そうだとすると」
遥も考える顔になって述べる。
「今は少し堪えてなのね」
「そうするべきでしょう」
まさにそれだと述べるベンだった。
「今は」
「わかったわ」
ここまで聞いて頷く彼女だった。
「それじゃあ今は」
「はい、それで」
「それじゃあ今はこのドイツで腰を据えて」
「それはそうと大尉」
キムがここで彼女に声をかけてきた。
「一つにになるのですが」
「どうしたんですか?カナンさん」
「いえ、私です」
つい間違えてしまった彼女だった。
「この前ははぐれ外道とも言っておられましたが」
「御免なさい、何か感じが似てるから」
だから間違えてしまうというのだった。
「特にカナンさんとは」
「正直それは私も否定しませんが」
それでもあまり嬉しくなさそうである。
「私はキムですのね」
「ええ、わかったわ」
「それでタータ王女」
今度は彼女が間違えてしまった。
「・・・・・・すいません」
「ううん、いいわ」
つい苦笑いになる遥だった。
「お互い様だから」
「声は複雑ですね」
「そうね。何につけても声ね」
二人はこのことを嫌になるまで実感してもいた。
「とにかく。今はドイツに腰を据えてだけれど」
「そのドイツ料理ですが」
「どうかしたの?」
「ジャガイモが随分多いのですね」
彼女が言うのはこのことだった。
「話には聞いていましたがこれ程までとは」
「それがドイツ料理ですが」
そのドイツ人のエレナの言葉である。
「ジャガイモは主食ですよ」
「それとパンなのね」
「はい、そうです」
まさにそうしたものであるとはいうが。
「けれどどちらかというとやっぱり」
「ジャガイモなの」
「美味しいですよね、ジャガイモ」
「そうね」
ジャガイモと聞いて微笑む遥だった。
「身体にもいいしね」
「はい。ですからどんどん食べましょう」
「ただ」
しかしだった。ここでキムは言うのだった。
「一つ思うことは」
「何かあるのですか?ジャガイモに」
「そのドイツ料理のジャガイモだけれど」
彼女が言うのはこのことだった。
「バターをたっぷりつけたり揚げたりするけれど」
「他にも一杯ありますよ」
「どれも。結構以上にコレステロールが気になる料理ばかりで」
「コレステロールですか」
「それにソーセージにベーコンで」
ドイツ料理の定番である。
「そして飲むものは」
「はい、ビールです」
やはりそれであった。
「ビールは最高の飲み物ですよ」
「痛風にならないかしら」
それを心配しているのだった。
「そんな料理だと」
「痛風ですか」
「だから。そうした料理でビールだから」
キムの言葉は続く。
「それにドイツの男の人って」
「むっ!?」
レーツェルがそれに反応する。
「私のことか」
「はい。御言葉ですがドイツ人の男性は」
「そうね」
遥も今のキムの言葉に真剣な顔で頷く。
「髪の毛がかなりね」
「そうですよね。食べるものに関係があるのでは」
「気のせいだと言っておこう」
そういうことにしてしまおうとするレーツェルだった。
「それはな」
「禿か」
ここで言ったのはユウナだった。
「確かに食べ物に凄く影響のある話だからね」
「そうですね」
アズラエルも彼の今の言葉に頷く。
「僕も気をつけている話です」
「そういえばアズラエルさんは」
ここで彼に言うユウナだった。
「鬘疑惑がありましたね」
「地毛ですよ」
そこは断るのだった。
「ちゃんとした」
「ええ、それはわかります」
「それは何よりです」
「僕もそういうのは一目でわかりますから」
それが可能だというのである。
「もうちゃんと」
「というかユウナ様」
「何故それがおわかりで」
「うん、父さんがねえ」
自分の父のことであるという。
「鬘するからね」
「そういえばお父上は」
「髪の毛が」
「遺伝するから。怖いね」
実に切実な悩みであった。
「髪の毛は長い友達であって欲しいよ」
「御前の言うことは本当に何でも切実になるな」
カガリがその彼に突っ込みを入れる。
「何でなんだ?」
「いや、今のオーブの首相やってると誰でもそうなるよ」
なってしまうというのだ。
「苦労が多くてね」
「悪かったな、こんな国家元首でな」
「せめて結婚相手がいれば」
「いないのですね」
「はい、本当にいません」
レイヴンに対して項垂れて答える。
「誰かいませんかね。いい人が」
「そうですね。難しい話かと」
「やっぱりそうですか」
駄目出しされても頷くまでに困っているのだった。
「さて、弱ったものですね」
「まあ話は置いておきまして」
アズラエルが話を変えてきた。
「とりあえず何か食べましょう」
「そうですね。では何を」
「和食です」
それだというのである。
「納豆と若布のお味噌汁と鰯。それに海苔とお漬け物です」
「いいですね。和食は身体にいいですからね」
微笑んで応えるユウナだった。
「それでは」
「はい。それでは」
「では私はキムチを」
キムが選ぶのはそれだった。韓国人らしい。
「それで食べます」
「私も和食にしようかしら」
遥もそれにしようという。
「それじゃあ」
「ドイツ料理はコレステロールですか」
「気をつけていくか」
エレナとレーツェルはこんなことを考えた。とりあえずは平穏な今だった。
しかし翌日には。スウェーデンに彼等が現われたのだった。
「アインスト!?」
「それともシャドウミラー!?」
「シャドウミラーです」
彼等だというのである。
「彼等が出て来ました」
「そうか、わかった」
ヘンケンはナタルの言葉に頷いた。
「ではすぐに北に向かおう」
「はい」
敬礼で応えるナタルだった。
「ではこのまま」
「うむ。それではだ」
「全軍で、ですね」
「そうだ。今回もだ」
「護りは連邦軍がしてくれますからね」
エレドアも言ってきた。
「ではこのまま」
「行くぞ」
こうしてすぐに出撃した彼等だった。そのうえでスウェーデンとデンマークの境に向かう。そこにもうシャドウミラーが展開していた。
「流石にお早い」
「やはり貴様か」
アーチボルトの姿を認めて顔を曇らせるゼンガーだった。
「これからの指揮官は」
「私だけではありませんよ」
彼がこう応えるとだった。
「彼等も」
「俺かよ」
アラドはその彼等を見て顔を顰めさせた。
「出来れば見たくねえけれどな」
「仕方ないわね、それは」
オウカが彼に言う。
「我慢するしか」
「ちぇっ、それでも嫌だな」
「そしてもう一人か」
「はい」
ゼンガーの言葉に慇懃に応えるアーチボルトだった。
「彼です」
「ゼンガー=ゾンボルトよ」
ヴォータン=ユミルもいた。
「今度こそ貴様を倒す・・・・・・!」
「望むところだ」
ゼンガーも受けて立つ。
「ここで貴様を倒す」
「・・・・・・参る」
「全軍出撃だ」
大文字が両者が対峙する中で指示を出した。
「いいな」
「了解!」
「じゃあやるか!」
全軍出撃する。こうしてロンド=ベルはデンマーク側からシャドウミラーの軍勢に攻撃をはじめた。
まずは優勢に進める。一気に攻撃に出てシャドウミラーの大軍を押しやった。
「ふむ。流石ですね」
「何か策があるな」
ゼンガーは今の戦局に不穏なものを感じていた。彼は軍の先頭に立ちそのうえで次々に来る敵軍を斬っている。その中で彼に問うたのだ。
「ここでも」
「まあその通りですがね」
「そうか。それでは」
「さて、もういいですかね」
彼が今言ったその時だった。
突如として左右からミサイルが姿を現わしたのである。
「ミサイル!?」
「しかもただのミサイルじゃないぞ!」
皆そのことをすぐに悟ったのである。
「核ミサイル・・・・・・!」
「まさかこんなところで!」
「さて。どうしますか?」
核ミサイルを放ってきた彼は自信に満ちた声で言ってきた。
「このミサイルは。どう防ぎますか?」
「くっ、何と卑劣な」
「これでは一般市民にも影響が」
丁度近くに市街地がある。そこに影響が出るのは間違いなかった。
しかしだった。アーチボルトは悠然と笑ったままで。こう言ってきたのだ。
「それがどうかしましたか?」
「何っ!?」
ユウキは今の彼の言葉に目の色を変えた。
「一般市民の命なぞどうなってもいいのか」
「はい」
平然と答える彼だった。
「その通りですが」
「あんた、本気で言ってるのかい!」
リルカーラは血相を変えていた。
「今の言葉!」
「その通りですが何か?」
「許せないよ!」
声も荒いものになっている。
「それならこっちだって!」
「ではどうされるのですか」
明らかに愚弄している言葉であった。
「この状況をどうして逃れるおつもりですか?」
「核ミサイルは!?」
「全部で十発です!」
ブライトの問いにサエグサが答える。
「左右に五発ずつです」
「そうか、それならばだ」
それを聞いてだった。彼は言った。
「右にはビルバインを」
「わかった」
ショウがすぐに応える。
「左はハイニューガンダムだ」
「爆発させずに撃墜するんだな」
「そうだ」
まさにそうだとアムロに告げた。
「それでいいな」
「やらせてもらう」
「ショウ、いけるよね」
「やってやる!」
チャムへのショウの返答はそのままだった。
「何としてもな!」
「わかったわ。じゃあ御願い」
すぐにそれぞれの場所に向かうアムロとショウだった。
「行くぞ!」
「それなら!」
左右に向かいそうして。
ショウはオーラ斬りを一度に放った。
「これでだ!」
「愚かな」
アーチボルトはそれを見て笑った。
「それではミサイルが爆発してしまいますよ」
「それはどうかな」
だがここでショウは言葉を返す。
「俺だって見ているんだ?」
「ではミサイルを爆発させずに斬ったと」
「そうだ、見ろ!」
その言葉と共にだった。見ればミサイルはどれも真っ二つになっていた。信管には影響がなくそのまま断ち切られているのだった。
「何と・・・・・・」
「これ位のことはできる!」
こう言うのであった。
「これでこっちは大丈夫だ!」
「そして俺も」
今度はアムロだった。
一気にフィンファンネルを放つ。そうしてだった。
ショウと同じ様に両断する形で攻撃する。それで彼も五発のミサイルを防いだのだった。
「よし!」
「そうですか。防ぎましたか」
「見たか」
ゼンガーはアーチボルトに対して告げた。
「この通りだ」
「まさかそうして防ぐとは思いませんでしたが」
「貴様の姦計はこれで費えた」
「それではです」
だがアーチボルトの余裕のある態度は変わらない。
「このまま攻めるだけです」
「また来るか」
援軍を出す。かなりの数の敵軍が姿を現わす。そこにはレモンやイーグレットもいた。
「アクセルはいないのね」
まずこう言ったレモンだった。
「まだ」
「さて、どうなったのでしょうかね」
アーチボルトは彼女にも慇懃無礼であった。
「死なれたのでは?」
「・・・・・・・・・」
「さて、それではです」
彼女が答えないのは放っておいて言葉を続ける。
「攻勢に転じましょう」
「ええ。それじゃあ」
「貴方達もですよ」
「わかっている」
「俺達もやらせてもらう」
「楽しませてもらう」
こう言って攻撃に加わるイーグレット達だった。彼等も加わりその攻撃は激しさを増した。
ロンド=ベルはそれを見て一旦は守りに転じた。しかしだった。
「まだだ!」
「凌げ!」
お互いに言い合う。
「それからだ」
「また反撃だ!」
こう言ってであった。一旦敵の攻勢を凌ぎそのうえで。一気に攻勢に出た。
「よし!」
「今だ!」
一斉攻撃だった。それで攻める。これでまた押し返した。
「成程、流石ですね」
そのロンド=ベルの勢いを見てまた言うアーチボルトだった。
「ここで押し返すとは。しかしです」
「まだ言うつもりなんだね」
「いい加減頭にきてきたわ」
リョウトとリオが不機嫌な声を出した。
「もうこれ以上貴方と話すつもりはありません」
「ここで倒してあげるわよ!」
こう言ってであった。さらに攻撃の手を強める。ロンド=ベルはシャドウミラーを完全に押していた。
そうして敵の数が半減したその時に。青いマシンが戦場に姿を現わしてきた。
「あれは!?」
「まさか」
「ここで来たというの!?」
「そうだ」
その彼が声に応えた。
「答えを出した」
「では聞くわ」
ラミアがその彼に問う。
「貴方のその答えは何かしら」
「戦う」
これであった。
「俺は戦う」
「戦うというのね」
「御前達と共にだ」
こう言うのである。
「ラミア=ラヴレスよ」
「ええ」
「御前は答えを既に出しているな」
「そうよ」
まさにその通りだと答えるラミアだった。
「だから今ここにいるわ」
「ならば俺はだ」
その彼女の言葉を聞いてさらに言う。
「その答えを見つける為に御前達と共に戦う」
「それが貴方の出した答えだと」
「そうだ」
まさにそうだというのである。
「それでいいか」
「ええ、いいわ」
いいとするラミアだった。
「皆もそれで」
「ああ、いいぜ」
「それが答えならな」
いいという彼等だった。
「喜んでな」
「一緒に戦わせてもらうぜ」
「わかった」
そこまで聞いて頷く彼だった。
「ではこのアクセル=アルマー」
「ああ」
「俺達と一緒にだな」
「戦わせてもらう。答えを出す為に!」
こう言って今ロンド=ベルに加わる。彼もまたロンド=ベルに戻ったのだった。
そうしてだった。彼はレモンの前に姿を現わしたのだ。その姿を。
「わかったわ」
「いいのだな、それで」
「ええ」
アクセルに対して頷いてみせた。
「それが貴方の出した答えだというのなら」
「そうか。いいのか」
「それなら」
そしてさらに言ってきた。
「私も遠慮はしないわ」
「遠慮なぞいらん」
アクセルもそれは受けないつもりだった。
「俺は御前と戦う」
「それが答えだからね」
「そうだ、戦う」
また言うのだった。
「だからだ。行くぞ」
「ええ、来るといいわ」
レモンも言葉を受けた。
「それなら。敵と味方として」
「行くぞ!」
二人の戦いがはじまった。ゼンガーはヴォータンと激しい一騎打ちに入っていた。
「むんっ!」
「ふんっ!」
互いに剣を振るう。それは宙で激突した。
凌ぎ合いながら。ここで言うゼンガーだった。
「できるな」
「貴様こそ」
ヴォータンはこう言葉を返した。
「やるものだな」
「しかしだ。俺は倒れはしない」
このことを言うゼンガーだった。
「貴様に倒されることはない」
「ないというのか」
「貴様を倒すことはあってもだ」
「ならばだ」
ヴォータンも退くことなく彼に告げてきた。
「我も。貴様を斬る!」
「よかろう。倒れるのはどちらかだ!」
お互いに激しく斬り合う。彼等の一騎打ちも熾烈なものだった。
しかし戦局は次第にロンド=ベル有利になりその数も減っていく。そして遂に。
「もう限界ですね」
「何っ!?」
「まだだ!」
アーチボルトの言葉を聞いたイーグレット達が騒ぐ。彼等も前線にいる。
「俺達はまだやれる!」
「だからまだだ!」
「戦う!」
「貴方達がよくてもです」
だがアーチボルトはこう彼等に告げるのであった。
「全軍の損害が七割五分に達しました」
「潮時ね」
「はい」
今度はレモンに答えていた。
「その通りです。ですから」
「撤退ね」
彼女は言った。
「これでね」
「そういうことです。それでは」
「くっ、それなら」
「仕方がないのか」
「その通りです。次です」
彼はまた言った。
「撤退しましょう」
「わかった」
ヴォータンもそれに応えた。そしてゼンガーに顔を向けて。
「それではだ」
「撤退するのだな」
「また会おう」
こう言い残しヴォータンも撤退した。こうしてここでの戦いは終わったのだった。
「終わったな」
「そうだな」
ククルは今のゼンガーの言葉に頷いた。
「一先はだ」
「ここでの戦いは終わった」
ゼンガーもこのことはわかっていた。
「そして新たな仲間が加わった」
「アクセル=アルマー」
ククルはその名を呼んだ。
「あの男を信じるのだな」
「無論」
それ以外はないといった口調であった。
「あの男から感じられるものは真だからだ」
「そうだな」
ククルも彼の今の言葉に賛同した。
「それはその通りだ」
「わかっていたのだな」
「わかってはいた」
それは認めるククルだった。
「だが。貴様のその言葉を確かめただけだ」
「そうだったのか」
「そしてその心もだ」
それも確かめたというのである。
「わかった。それはな」
「それは何よりだ」
「おそらく次の戦いはかなりのものになる」
このことも言う彼女だった。
「その時にあの男の力が必要になるか」
「戦いは続く」
また言う彼だった。
「俺もまたヴォータン=ユミルと。そして」
「あの男との決着を着けるのだな」
「その通りだ。では今はだ」
「総員帰還せよ」
テツヤがここで告げてきた。
「そしてキールに戻るぞ」
「うむ、わかった」
「それではだ」
二人もそれに応えて戻る。今は戦いを終え帰還する彼等だった。
アクセルもその中にいた。彼はラミアと向かい合っていた。そしてアルビオンの中で話すのであった。
「俺がここに戻ったことについてどう思っている」
「ありのままだ」
こう返すラミアだった。
「それだけだ」
「ありのままか」
「私は人間として生きる」
彼女が言ったのはこのことだった。
「そして隊長、いや」
「アクセルでいい」
こう呼ばせることにしたのだ。
「俺も御前のことはラミアと呼んでいるからな」
「そうか。ではアクセル」
「ああ」
「御前もそうするのか」
「俺は最初から人間だった」
彼はまずこうラミアに返した。
「しかし本当の意味で人間だったかどうかはまだわからない」
「それではそれを確かめる為にだな」
「そうなる。俺はロンド=ベルで戦う」
彼は言った。
「人間として。人間とは何なのかを知る為にだ」
「ならば共に戦おう」
ラミアもまた彼に告げた。
「人として」
「わかった。人として」
こう言い合いそのうえでそれぞれの部屋に戻る。アクセルもまた人であることを見極める為に今ロンド=ベルで戦うことを決意したのである。

第百六十三話完

2009・11・4  
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