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IS《インフィニット・ストラトス》~星を見ぬ者~

作者:白さん
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第十五話『IS学園』

 
前書き
原作スタートです。 

 
「ようやくか……全く、何故か飛行機というのは慣れんものだな……」


白い制服のようなものをきっちりと着込んだスウェンは飛行機をおり、日本の大地に足をつけていた。何故彼が此処に居るのか、それは3ヶ月前に遡る。





/※/





スウェンは隊長を辞めさせられたと同時に“シュバルツェ・ハーゼ”を脱退した。

誰にも告げずに。

そして謹慎を受け、スウェンはグレーデュント宅に戻り夫妻との生活をしていた。ただ、リズは入院中の為家には居ない。容態は安定しているようで、スウェンは毎日のようにリズに会いに行っているとの事だ。


そんなある日の事



ピンポンと家のチャイムがなり、スウェンは玄関へ赴き扉を開けると


「よ! 元気そうで何よりだ、スウェン!」


笑顔を見せつつそう言ってきたシュハイクがそこに居た。格好は軍服ではなく、カジュアルな私服なようだ。


「シュハイク……責任官」

「あら? お久しぶりですね、シュハイクさん」


玄関の傍を通りがかったネレイスがシュハイクに挨拶をする。


「久しぶりです、Drネレイス。スウェン、少し時間あるか?」

「……義母さん、上がってもらっても構わないだろう?」

「ええ、どうぞ」

「失礼します」





「それで? お話とは?」

「まあ、待て、茶の一杯は飲ませろ」


居間のテーブルを挟んで、スウェンとシュハイクが向かい合って座っている。


「しかし、懐かしい構図だな。6年前か、お前を“シュバルツェ・ハーゼ”にスカウトしたのは」

「……ええ、まあ」

「お前も随分と成長して……私は嬉しいよ」


現在のスウェンの姿は、スウェンがこの世界に来る前の状態となんら変わらない姿だ。厳密に言えば、姿が戻ったというのが正しいだろう。


「シュハイク責任官、そろそろお話を」

「せっかちだな……まあいい、スウェン。お前の謹慎が解除になった」

「? どういうことです?」

「お前も知っているだろう? “二人目”が現れた事を」

「……はい」


つい数日の事、日本のとある中学生がISを起動したという情報が全世界に広まった。普通なら、そんな話題は世界には広まりはしない。ならば何故広まったのか? それは起動者が男子だったからだ。つまり、スウェンに次ぐ“二人目”の男のIS起動者が現れたのだ。


「その二人目は日本に存在する、IS操縦者育成特殊国立高等学校。通称“IS学園”に入学する事に決まった」


「IS……学園」


IS学園とはISの操縦者育成を目的とした日本に存在する教育機関である。スウェンも部隊に居たころは何度かは耳にした事がある。


「そして上層部は、謹慎の解除を申し渡すと同時に、お前にIS学園への入学を指定した」

「俺に?」

「ああ。“二人目”も現れた事だし頃合だった……世界にもう一人、男のIS起動者が居る事を知らしめるためにも、同じIS学園に入学させたほうが上層部も都合が良いだろう」

「成る程……これは絶対事項ですよね」

「ああ、そうなるな。ところでスウェン、お前学校行ったことあるか?」

「……そういうところには行った事は無いです」

「丁度良い機会だ、年齢のほうは……まあ、何とかなるだろう。若者は本来勉学に励むべきだ、DrロイもDrネレイスも勿論賛成だろう?」


ロイとネレイスは顔を見合わせ、互いに頷く。


「上層部の考えは気に入らないけど、スウェンがそういう学校に行ってくれるとなれば、僕達としても嬉しいね」

「そうね。学校に行って、いろいろ学ぶのも人生じゃ必要だからね」


シュハイクは満面の笑みになり、スウェンの方を向く。


「と、いうことだ。お前の入学は今から3ヶ月後だ。資料や、手続きは軍でやってくれるらしい。お前はドイツ代表候補生として、入学……というより転校という形になるが」

「どちらとしても構いませんよ。まあ、出来るだけ頑張りますよ」

「よく言った! それでこそ私が見込んだ男だ! 早速私は戻って上層部に伝える! それではな!」





/※/





そして今に至るのである。


「リズにもしっかりと顔を出してきたから……まあ、問題は無いが」


スウェンは空港を出ると、辺りを見渡す。


「確か、IS学園の教師が迎えに来ると言っていたが……」

「スウェン・カル・バヤンだな」

「?」


背後から声を掛けられ、身体をそちらに向けるとスウェンの知っている人物が居た。


「あなたは……織斑 千冬」

「覚えていたか、まあ、会ったのがほんの前だからな」

「IS学園の教師というのはまさか……」

「私だ。今から学園に向かう、さっさと車に乗れ」

「了解」


千冬が車に乗った後、スウェンは後ろの席に乗る。スウェンが車に入っての第一印象


(中々に散らかっているな……)


何の袋かわからないものが車内に散乱している。触ろうと思ったが、絶対何か言われそうと思い踏みとどまる。スウェンは流れていく景色を見る。


「どうだ? ドイツとはまた違った景色だろう?」

「はい……教師織斑はシュハイク責任官とは仲がよろしいのですか?」

「……まあそうなるかもな、奴とは何かと話が噛み合う。一緒に居て割かし楽しい」

「そうですか」

「では次はこちらから聞くぞ。お前は篠ノ之 束とはどういった関係だ?」


まさかこの場所でその名を聞く事になるとは。スウェンはそう思い口を開く。


「俺は篠ノ之 束の興味の対象……といったところです」

「ほう、それはまた珍しい。奴は身内意外にはあまり関心や興味は一切抱かないが……お前のISだけならとも無く、話を聞く限りお前自身にも随分と熱心なようだが。よく話題が出てくるよ」

「そうだったんですか。その口振りからするに、教師織斑は篠ノ之 束の事をよく知っておられるようで」

「……腐れ縁というヤツだ」

「?」




/※/





IS学園の廊下を、千冬の後に付いて行くスウェン。


(不思議なものだな、俺が学生になるとは)


歩きながら様々な事を考える。自分は学校と言える場所に行った事がない、自分が行ったのは兵士養成学校という名の地獄だ。一つのミスで身も裂けそうな程の罰を受ける。

スウェン自身もどれだけ傷を負ったのか、とても指で数え切れるものではないだろう。少なからず、あのような思いをするのは御免だ。この学園はそんなものが無いようにと切に願う。

先行している千冬が教室の前で止まる。室名札を見ると一年一組と書かれており、千冬はスウェンの方を向き


「ここがお前のクラスだ、呼ぶまでここ待機していろ」

「了解しました」


スウェンは相槌をうつと、千冬だけが教室に入っていく。すると


「「「キャアアアアアアアアア!!!!」」」

「!?」


大勢の女子の悲鳴……というより、歓声のようなものが聞こえた。中で何が起こっているんだ……とスウェンはやや中の状況に対して心配になってくる。


「そういえば……この学園の男は俺とその二人目だったな……」


自分の立場を再確認したスウェンは、制服のネクタイをきっちりと閉めなおす。


「カルバヤン、入って来い」


千冬の呼ぶ声にスウェンはドア開け、くぐる。教壇の上に立ち


「ドイツ代表候補生、スウェン・カル・バヤンだ。これからの学園生活、よろしく頼む」


軽く会釈をし前を見ると、珍しい物を見るような目で見られているスウェンは


(何だ……これは。別の意味で……堪えるな)


そう思った瞬間


「男子よ!! 二人目の男子!!」

「しかもしかも! 銀髪のイケメン!!」

「かっこいいー!!」


(二回目だが、何だ……これは……!? どう、反応すれば良いのだ……)


突然の女子生徒からの大音量の声に、流石のスウェンでもたじろいでしまった。


「毎度毎度……なんでこう騒がしいんだ。静かにしろ!」


千冬の一喝により、クラスは静まり返る。「ほう…」とスウェンは感心したような声を上げる。


「お前は織斑の席の後ろだ」

「解りました……(織斑?)」





休み時間に入り、自分の席へ向かうスウェンに一人の少年が声を掛けてき、手を差し伸べてきた


「俺は織斑 一夏。よろしくな」

「スウェン・カル・バヤンだ。よろしく頼む」


スウェンも手を差し出し握手をする。すると、一夏はスウェンの顔を見て


「あれ? どこかであった事ないかな?」

「どうかな……しかし、この視線はどうにかならないものか?」


スウェンは横目で教室の外を見る。教室の外からは他のクラスの女子生徒の視線が二人に向けられていた。だが、それだけではない。教室内からも視線を浴びせられている。何度も言うようだが、このような視線は流石のスウェンでも堪えるようだ。


「ははは……まあ、お互い頑張ろうぜ」

「……ああ」



そして次の休み時間



「ちょっとよろしくて?」

「へ?」

「?」


二人は声を掛けられた方を向くと、腰までの長さはあるロールのかかった金髪に頭頂部でそれを抑える青のカチューシャをつけた生徒が居る。スウェンはその女子生徒を見て


(これが縦ロールというやつか……クラリッサから借りた漫画本でしか見た事がないが……本物は初めて見た)


少し興味ありげにその女子生徒のことを見るスウェン。


「まあ! 何ですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら?」


一夏は口をポカンと開けて、スウェンはその言動の後、別の方向を向く。


「ちょっと! そこの貴方! わたくしの話を聞いてるのですか!?」

「すまないが……俺は君の事は知らない。恐らく、織斑。お前もだろう」

「あ、ああ」

「わ、わたくしを知らない!? このイギリス代表候補のセシリア・オルコットを!?」

「ほう……君も代表候補生か」

「そういえば貴方も代表候補生でしたわね」


すると、一夏は話の途中で手を挙げ


「代表候補生って何?」


その言葉にクラス全員がずっこける。もちろんセシリアも。スウェンは頭に手を抑え


「大丈夫なのか……ここは」


ため息混じりに呟くスウェンであった。


 
 

 
後書き
次回の更新は近日に行います。 
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