転生者達による神世界開拓記
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閑話
第十三話
守護騎士システムが完成した後日、サクラが家に押しかけて来た。地球に行くのが待ちきれないのだろう。
「約束の日が来ちまったか……」
守護騎士システムは完成したが管制人格システムは完成しなかった……否、最初からあった。そもそも根幹である管制人格がなければ大魔導典籍という魔導書は作動しないのだ。
「失念してたな……」
ただ、プログラムのままで人型にしていないから魔導書の外から出れないのだ。ここはデータを作る時間がなかったので放置した。真っ白に燃え尽きたぜぇ……。
「お兄ちゃ~ん!」
ちょうどサクラが来たようだ。声色からうきうきしているのが分かる。
「入っていいぞ」
「お邪魔しま~す」
「お邪魔します」
……ん?今声が二つ聞こえたぞ?
「……サクラ」
「何かな?」
「そこの銀髪の子は誰だ?」
「私の従姉妹で同い年のアイシアっていうの」
「よろしくね、お兄さん」
見てみるとD.C.Ⅱのアイシアそっくりだな。この世界ではサクラと従姉妹で竜なのか……どんな世界軸してんだよ。
「今日は出発の日なんだが……まさか?」
この子も連れてけってか?
「お兄ちゃんの考えてる通りだよ」
「サクラがいう地球って所に興味を持ちました。是非行ってみたいです!」
「別に構わんが……出発する前にいう事がある。心して聞け」
俺はサクラとアイシアに魔法世界の真実を要点だけ押さえて説明した。二人とも最初は信じられないという顔だったが、段々と蒼白
「そう、なんだ」
「……地球には行けないのお兄ちゃん?」
「一つだけ方法はある」
「「ホント!?」」
「ああ」
基本的にサクラ達の体は魔法世界に依存している。なら依存先を変え、魔力を自生出来るようにすればいい。
「三日間徹夜で作った守護騎士プログラムを使えば何とかなる」
「守護騎士……」
「……プログラム?」
「この魔導書、大魔導典籍の所有者を守護する事を目的したプログラム……なんだが正直必要性がなくてな。今まで作ってなかったんだ」
「それとこれと、何の関係があるの?」
「サクラ達をこの本の守護騎士にするのさ。そうすればこの魔法世界から出ても自滅しなくなる(……筈)」
「へぇ~お兄さんって凄いんだね」
「でしょ~?」
「何故サクラが返事をする?」
能力を作る能力でもっと簡単な解決法はあったがこっちの方が後の事を考えると有利な気がしてきたからこっちにした。
「それじゃ早速……大魔導転籍、50ページの魔法参照、詠唱開始」
「「……え?」」
「守護転生!」
魔法の光が二人を包み、そのまま部屋全体まで広がる。しばらく間発光は止まらなかった。目がチカチカする。
「も~、やるならやるって言ってよ~!」
「お兄さん……」
「いや、すまん。一回もやった事無いからどんな風になるか分からんかった」
「あたし達は実験台!?」
「うにゃ~……」
「いや、ホントごめんなさい」
実験台扱いしたのは事実だし謝らないと。90度直角に曲げて謝る。○字工事みたいにふざけないぞ。
「……もういいよ。ボクもちょっと無神経だった。お兄ちゃんはこんなにも頑張ったのに」
「そうだね、過去は振り向かないものだよ!」
「……アイシア、それ意味が違うよ」
「?」
このアイシアはアホの子なのか?某青髪みたいな?顔浮かべているぜ。
「で、お兄ちゃん?」
「何だ?」
「その守護騎士?の説明をしてよ。あたし達何が変わったかよく分かんないしね」
「それボクのセリフ!?」
「えへへ♪」
……絶対確信犯だよな。
「まず自分達の体が幻である事は話したな?」
「うん」
「故に幻に仮初めの肉体を与えている魔法世界から出れない。範囲外には干渉出来ないからな」
「それでそれで?」
「そこで魔法世界の代わりに大魔導転籍が実体を与えるように調整、もとい権利を奪った」
最も、それは魔法世界みたいに魔力で構成された生き物に限った話なんだけどね。過程が異なるが守護転生は生身の人間にも使える。
「権利?」
「竜種や魔獣は魔法世界の創造者の操り人形なのさ。存在させる代わりにいざという時に私の味方をしろ、的なね」
「大魔導転籍がその権利を奪ったって事は……」
「……何かしらのメリット・デメリットが生じてるって事だよね?」
「その通り。メリットは大魔導転籍が消滅しない限り死なない。デメリットは俺が死んだら大魔導転籍は消滅するし、守護騎士も消滅する」
「つまり……どういう事?」
「アイシア……端的に言うとこの本があれば地球に行けるって事だよ」
「へぇ~……お兄さんって凄いね!」
分かってなさそうな顔しているな。サクラも匙投げてるような説明だったし。
「難しい話はこれまでにして……地球に行くぞ」
「わ~い!」
「楽しみ~♪」
体でめいいっぱい嬉しさを表現している二人。和むな……子供を持った父親の気分だ。 (※ロリ→父性フラグ?)
「オスティアまで飛んで行くぞ」
「あ、待ってお兄さん」
「うあ?」
「折角だから私の背中に乗ってみない?」
「30cmも身長差があるが……」
「人間の姿でじゃないよ!竜の姿だってば!」
そりゃそっか。体重も倍ぐらい違うもんな。
「とりあえずこの家に認識疎外と人払いの術式を掛けてっと……」
「それじゃいくよ~」
アイシアは回転しながら変身のポーズのような格好を決める。すると人間の皮膚が竜の皮膚に変化するのを切っ掛けとし、みるみると姿形を変えていった。銀色の古龍龍樹か。
「ボクも金色の竜に出来るけど今回は無しだよ」
「え~?サクラ何言ってるのよ。あたしだけ素肌晒してるみたいじゃない」
「だってオスティアだよ?一匹ですら危ないのに二匹で行ったら退治されちゃうよ」
「そっか……それじゃ仕方ないね」
「それじゃお兄ちゃん、アイシアの背中に乗ろう」
「土足はやめてね?」
「ああ」
竜の背中に乗るという経験は前世含めて初めて経験する事だ。しっかりと味わなければ。
「しっかり掴まっててよ~……よーいどん!」
「うお……っ!?」
「うにゃ~~~!?」
時速とか分速とかそんなちゃちなもんじゃない、もっと恐ろしい(ry
「あははは♪速い速い~!」
「「…………(ブクブク)」」
オスティアに着く頃にはサクラも俺も目を回してた。だがしかし、悪夢はこれだけでは終わらなかった。
「「えっ!?今日はもうないの!?」」
「それじゃもう一回だね♪」
オスティアのゲートポートは閉まっていた。急遽違うゲートポートに移動、着いた時には俺達の顔は真っ青に染まっていた。地球に着いた時にはスピード狂のアイシアには二度と乗らないと心から決めたのは完全な余談である。
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